【完結】旦那様、溺愛するのは程々にお願いします♥️仮面の令嬢が辺境伯に嫁いで、幸せになるまで

春野オカリナ

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使用人は謎を追及する

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 王都から来た領主様の婚約者様は、大変、変わった仮面を付けていた。

 はっきり言って、ものすごーく気になる。

 侍女の話では、仮面を取った事がない。朝から晩までずうっと付けてる。

 だから、誰も顔を見たことがない。

 皆、仮面の下の顔が見たくて堪らない。

 何でも、あの仮面は、万能で浄化作用も備えている為、清潔性を保てるので付けたままでも問題ない。まあ、顔を洗わなくても良いわけだ。

 じゃあ、皆が一番気になるのは、食事だろう?どうやって食べるのか見て見たい。

 誰だって好奇心には勝てない。

 偶々、俺が食堂に荷物を届けに入ったら、奥様と領主様が朝食を摂っていた。

 おや、パンを千切ったら、仮面の口当たりに持って行った。

 すると、吸い込まれて、消えた。

 俺が仰天していると、

 「まあ、初めて見る人は驚くよな。俺も驚いた」

 同僚も驚いたらしい。

 これも日常らしい。領主様も気にしていない。

 「美味しいですわ」

 そう言う奥様の声が聞こえて、(味も分かるのか、凄いな万能じゃないか、あの仮面)と勝手に納得した。

 たまに、奥様の笑い声が聞こえて来ると、(どんな顔で笑っているんだろう?)と想像した。



ーーーー結婚後、仮面の取れた奥様の顔をまともに見ることは、叶わない。何故なら、領主様が奥様と目を合わせただけで、悪魔の様な覇気を漂わせるから、身が持たない。

 こんなに嫉妬深い旦那様だと奥様は、大変だなぁと思う。

 まあ、夫婦仲が良いことには、違いない。


 今日も朝からバカップルぶりを目にしながら、深いため息を漏らしたのは、きっと俺だけではないはずだ。


 はぁーーー、俺も早く結婚してぇーよー
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