【完結】旦那様、溺愛するのは程々にお願いします♥️仮面の令嬢が辺境伯に嫁いで、幸せになるまで

春野オカリナ

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仮面の令嬢 辺境に嫁ぐ

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 春麗らかな日射しの中、ブラックボンド辺境伯爵家では、婚礼が華やかに行われていた。

「では誓いの口付けを」

花嫁のベールを取ると、そこには仮面を付けた花嫁がいた。

参列者は、(えっ、仮面?あれに口付けるのか?)全員のツッコミが聴こえてくるような光景だった。

この結婚式は、末代までの語り種になった。

「これに口付けをするのか…」

思わず、花婿は呟いた。

無言で全員頷いていた。

「あのう、手では駄目でしょうか?」

仮面の花嫁から愛らしい声が聴こえてきた。
神官が「別に問題ありません」そう告げると花婿と参列者はホッと胸を撫で下ろした。

誰だって、得体の知れない物に口付けはしたくないだろう。

(ナイス、神官!)

全員の心の声が聴こえてきそうだ。

だが、花婿の試練は更に続くことになる。

披露宴が終わると、花嫁と二人だけになるのだが、

(果たして、自分はあの仮面女と初夜を無事迎えられるのか?はっきり言って自信がない)

ため息をつきながら、夫婦の寝室に向かった。

(疲れて寝ていてくれないかな~)

僅かな期待は外れ、ガッツリ花嫁は起きていた。

無言でベッドに入ると、

「恥ずかしいので、明かりを消しては頂けないでしょうか?」

花婿は、明かりを消して事に挑んだ。なんとも言えない倒錯的な初夜だった。暗闇の中に花嫁の愛らしい声で喘がれ、乱れた姿を想像しただけで夢中になれた。

どのくらいしたのか、相手は処女なのに加減が出来なかったらしい。気が付けば朝になっていた。今までになく刺激的な夜だった。

(俺は、新境地を開いたかも知れない…)

訳のわからない理屈をつけて、まだ眠っている妻を後にして、部屋から出ていった。

主人が朝まで寝室にいたことは、屋敷の全員が知る事となった。

(旦那様は、戦場でも強いが、こっちの方も強いんだな。ウンウン)

等と妙な納得をしていた。

昼頃になって奥方が恥ずかしそうに食堂に現れた。その姿に全員が

「「「「えっ、誰?」」」」

と呟いた。勿論、辺境伯は開口一番に、大きな声で言った。あまりの声の大きさに侍女がポットを落とした位だ。

「旦那様、奥方様の素顔でございます」

侍女頭のシーラが告げると、後ろに控えていた専属侍女達も『ウンウン』と頷いていた。

正に晴天の霹靂!美少女と噂の妹の代わりに嫁いで来た姉は、実は、とんでもない美女だった。【傾国の美女】とはこの娘の事をいうんだろうな。

『これは、護衛の命がいくつあっても足らないだろう』

その場の全員が思った。

何故なら、主人である辺境伯は、大きな口を開けて、誰より顔を真っ赤にして奥方の顔を食いいる様に見つめている。完全に一目惚れだった。分かりやすい主人に家令のモーリスは、

(先が思いやられる。きっとこのしっかり者の奥方様に一生頭が上がらないことだろう)

と想像した。

斯くして、仮面の令嬢の辺境地での新しい新婚生活がスタートした




 
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