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第一章
ふりかえれば
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最初からベアトリーチェの世界が暗闇だったわけではない。少なくともリリエンヌが生きていた時はベアトリーチェの心にも明るい希望が満ち溢れていた。
殆ど屋敷に帰らないベンジャミンがいつかリリエンヌやベアトリーチェと暮らしてくれる。一緒にお茶を飲み、食事やお出かけをしてくれる。何よりベンジャミンの期待に応えれば、愛してくれると信じていた。
生まれてからリリエンヌと引き離され、使用人たちに囲まれて成長したベアトリーチェは、これが当たり前の生活なのだと思っていた。だが、それが異常なのだと知ったのは皮肉な事にリリエンヌが亡くなった後だった。
リリエンヌが鳥のように窓から落下して死んだ。その葬儀の日は雨が降っていた。リリエンヌの墓の前に立つのは、幼いベアトリーチェと伯父。
伯父は、初対面のベアトリーチェに「一緒にフロンティアに行こう」と手を差し伸べてくれた。
しかし、ベアトリーチェの心にはまだ父ベンジャミンへの僅かな期待を捨てきれなかった。父の言う通り「いい子」にしていればいつか自分を見てくれるのではないかという思いを…。だから、その手を掴むことはできなかった。
だがベンジャミンは、リリエンヌの葬儀が終わった途端、郊外の屋敷に囲っていた愛人と異母妹を公爵家に引き入れた。
エレナとジュリアがベアトリーチェを虐げた訳でもない。結局、ベアトリーチェの心の問題なのだ。
二人を到底受け入れることの出来ないベアトリーチェは、愛という物に殊更しがみ付く様になっていく。父の愛を求め、婚約者への想いがベアトリーチェの中で暴走していった。
緩やかな変化ではなく、激しい濁流の様な感情が次第にベアトリーチェを支配していき、彼らが別の者への愛情を示すとき、ベアトリーチェは容赦なく牙を剥いた。
へレンズ商会の会頭の娘であるエレナは、貴族の夫人の仕事は全くできなかった。その為、王太子妃としての教育を受けながら、屋敷では執務をさせられた。裕福な商家の生まれのエレナは、貴族は平民よりもなんでも好きな物を購入できると信じていた。全ての貴族がそうではない事を理解していない。その為、ベアトリーチェは散財の激しいエレナの尻拭いをする羽目になっていた。
あれは何時だったか…。いつものように執務室に向かうベアトリーチェにジュリアは無邪気な笑顔で、
「お姉様、今お父様やお母様とお茶をしているの。よかったら一緒にどうかしら?最近お疲れなのではない」
「忙しいのよ。また今度にして」
「ご…ごめんなさい。お邪魔したのね」
ジュリアは寂しそうに俯いた。ベンジャミンはジュリアの様子にベアトリーチェが酷い言葉を投げつけたのだと勝手に決めつけて、ベアトリーチェを部屋に軟禁した。
「やめて、お父様。お姉様は悪くないの。ただ、ご気分が優れないだけよ。わたしが悪いの。だからお姉様を叱らないで」
「ジュリアは優しいな。それに比べてお前は!少しはジュリアを見習え!!」
「は…い」
ベアトリーチェは、唇を噛んで悔しさを我慢した。別にジュリアを嫌いな訳ではない。でも、何をしても赦されるジュリアを妬んでいたことも事実。空気の読めないジュリアに悪気はない。ベアトリーチェもそこは分かっていたつもりだった。
だから、婚約者とのお茶席にジュリアが毎回同席しても我慢した。食事の時、透明人間の様な扱いをされてもベアトリーチェは我慢していた。
レイノルドがいる限り、ベアトリーチェの心の平穏は保たれた。
でも、いつからだろう。レイノルドはベアトリーチェを避け始めた。そしてジュリアとの距離がおかしくなったのは…。
学園の生徒会役員の選考にベアトリーチェは落とされ、代わりにジュリアが選ばれた。段々と二人の距離が縮まっていくのを周りも感じていたのだろう。
ベアトリーチェからどんどん人が離れていく。そして、まるで想い合う二人を引き裂く悪女の様に囁かれる様になったのは何時からだったのだろう…。
レイノルドの卒業を期して、ベアトリーチェは王宮への出入りを禁じられた。もう妃教育は終わっているからという理由だが、ベアトリーチェは嫌な予感がしていた。このままでは、自分の立場が危うくなる。ジュリアに全てを奪われる。そんな焦燥感で一杯になっていく。焦れば焦る程、何もできない自分がもどかしくなっていった。
そして、何も出来ないまま一年が過ぎ、ベアトリーチェは学園を卒業した。卒業して初めての夜会で、レイノルドはジュリアをエスコートして現れた。ジュリアの着ているドレスはレイノルドの髪と同じ金色に輝く美しいものだった。
どうして、ジュリアが着るはずだったドレスが自分に回されたのかこの時、ようやく分かった。ジュリアが光ならベアトリーチェは、彼女の影なのだ。どこまで行っても誰からも愛されない自分…。その気持ちの整理できないまま公爵家に帰った。翌日、ふいに昨夜ジュリアが着ていたドレスが目に入る。
自慢そうに「レイノルド様から贈られたのよ」と集まった令嬢に見せびらかしていた姿を思い出す。ベアトリーチェはふらふらとドレスの方に歩いて行くと鋏でドレスを切り刻んだ。
レイノルドにエスコートされて、皆から賛辞を受け、ダンスをして幸せな笑みを浮かべて、見つめ合って将来を語るのはわたしだったはずーーーー。
ボロボロになったドレスの脇で、薄らと満足そうな笑みを浮かべてベアトリーチェは座っていた。その奇行は直ぐにレイノルドの耳に入った。
レイノルドの執務室に呼び出されたベアトリーチェは『婚約破棄』を告げられた。暴れるベアトリーチェを騎士達が引き摺る様に連れて行き、公爵家ではベンジャミンが頬を殴って、使用人部屋に押し込めた。
「レイノルド様を愛しているの。わたしだけのものよ。誰にも渡さないわ。絶対に…ジュリアなんかには」
来る日も来る日も呪いの様に呟く言葉を吐く、ベアトリーチェの心は着実に病んでいった。
そして、会うのはこれで最後だと言われ、招かれた王宮のお茶会で、池のほとりで談笑していた二人を見つける。楽しそうに語らっている彼らを見るベアトリーチェの目には狂気が宿っていた。
ジュリアの背後から忍び寄ったベアトリーチェは、彼女を無言のまま池に突き落したのだ。その一部始終を他の招待客も見ていた。すぐさま、騎士にその場で取り押さえられ、公爵令嬢という身分柄、貴族の牢に入れられる。
裁判にかけられたベアトリーチェは、狂ったように叫ぶ。
「どうしてなの。どうして、あの子は何でも持っているじゃない。どうしてわたしには何もないの。どうして、わたしはあの子じゃないの。どうしてあの子はわたしではないの!!」
子供の様に泣き叫ぶベアトリーチェを憐れむ者はいない。彼女はただ誰かに愛されたかっただけ。たった一人でもよかったのに、誰も彼女を愛さなかったのだ。
ベアトリーチェに下された判決は、北部にある戒律の厳しい修道院への終身刑だった。二度と生きてそこから出られない罰。
ベアトリーチェは、修道院で寒さと飢えに苦しみながら、胸の病で死んだ。死ぬ時に彼女は願った。
──もう、二度とあなたを愛する事はないでしょう。
瞼を閉じるとき、リリエンヌの形見の指輪が光り、目が覚めると10才の自分の部屋にいた。
ベアトリーチェは、全てを話して、その目から涙を零した。
リリエンヌは、幼いベアトリーチェを包み込むように抱き寄せて、
「ごめんなさい。わたしが弱かったばかりに、あなたに苦労をさせたのね。本当にごめんなさい」
母に抱きしめられながら、ベアトリーチェは大声で泣いた。それまでの心に中に溜まっていた物を全て吐き出す様に…。
レオンハルトは暫く考えて、
「ベアトリーチェ、君は闇の精霊師なんだな」
と呟いた。
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だがベンジャミンは、リリエンヌの葬儀が終わった途端、郊外の屋敷に囲っていた愛人と異母妹を公爵家に引き入れた。
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へレンズ商会の会頭の娘であるエレナは、貴族の夫人の仕事は全くできなかった。その為、王太子妃としての教育を受けながら、屋敷では執務をさせられた。裕福な商家の生まれのエレナは、貴族は平民よりもなんでも好きな物を購入できると信じていた。全ての貴族がそうではない事を理解していない。その為、ベアトリーチェは散財の激しいエレナの尻拭いをする羽目になっていた。
あれは何時だったか…。いつものように執務室に向かうベアトリーチェにジュリアは無邪気な笑顔で、
「お姉様、今お父様やお母様とお茶をしているの。よかったら一緒にどうかしら?最近お疲れなのではない」
「忙しいのよ。また今度にして」
「ご…ごめんなさい。お邪魔したのね」
ジュリアは寂しそうに俯いた。ベンジャミンはジュリアの様子にベアトリーチェが酷い言葉を投げつけたのだと勝手に決めつけて、ベアトリーチェを部屋に軟禁した。
「やめて、お父様。お姉様は悪くないの。ただ、ご気分が優れないだけよ。わたしが悪いの。だからお姉様を叱らないで」
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「は…い」
ベアトリーチェは、唇を噛んで悔しさを我慢した。別にジュリアを嫌いな訳ではない。でも、何をしても赦されるジュリアを妬んでいたことも事実。空気の読めないジュリアに悪気はない。ベアトリーチェもそこは分かっていたつもりだった。
だから、婚約者とのお茶席にジュリアが毎回同席しても我慢した。食事の時、透明人間の様な扱いをされてもベアトリーチェは我慢していた。
レイノルドがいる限り、ベアトリーチェの心の平穏は保たれた。
でも、いつからだろう。レイノルドはベアトリーチェを避け始めた。そしてジュリアとの距離がおかしくなったのは…。
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ベアトリーチェからどんどん人が離れていく。そして、まるで想い合う二人を引き裂く悪女の様に囁かれる様になったのは何時からだったのだろう…。
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そして、何も出来ないまま一年が過ぎ、ベアトリーチェは学園を卒業した。卒業して初めての夜会で、レイノルドはジュリアをエスコートして現れた。ジュリアの着ているドレスはレイノルドの髪と同じ金色に輝く美しいものだった。
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