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王宮夜会 ※過去回想
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国王ルパートは語った。
そもそもの原因は、自分がエリーロマネを愛人にしようと母イフェリナに冗談を言った事から始まった。
ルパートは、亡き父王から弟である第三王子コンラードの行方についても聞かされていた。
自分の過ちでイレニアとその子供を不幸にしたと告げられ、その弟はシンドラー侯爵家に預けたと聞かされた。
確かにシンドラー侯爵家なら信頼できるし、王家ともさほど関わりがない。
ブリジット王女が降嫁する時、シンドラー侯爵家が王家に害を及ばさないように誓約したのだ。
しかし、その事が民の王家への不信を煽る事になるとは思い及ばなかった。
長く『宝玉の緋』を持つ子供が生まれない王家とは違い。シンドラー侯爵家とパスパール辺境伯家には時折、その髪色を持つ子供が生まれた。
それが更に民の心を王家から遠ざける結果をもたらした。
ルパートは、常に女傑と云われる母イフェリナ王妃に反感を持っていた。いつもの言い争いの中で、「シンドラー侯爵令嬢を愛人にして、その子を王位につける」と口にしてしまう。
イフェリナは怒りに震え、今までの決まりごとを破る事は王として恥じる事だと諭した。
しかし、父が病に伏しても尚、実権を握り王太子である自分に譲ろうとはしないイフェリナに反発したルパートは、頑として譲らなかった。
口から出たほんの軽い気持ちだったのだが、それが後々の禍の火種になってしまう。
イフェリナは、侍女の一人にある事を頼んだ。
近々王宮で行われる夜会で、エリーロマネの評判に傷をつける事を…。
侍女には妹が嫁いだ先の伯爵家にエリーロマネと同じ年の令嬢がいる事をイフェリナは知っていた。
何も知らないエリーロマネは、気分が悪くなり、侍女に案内されて王宮の休憩室に案内された。
そこへ、アレンが入って来た。
エリーロマネは、数刻をアレンと過ごしたが、その事で噂が広まり始める。噂を肯定するかのようにエリーロマネはアレンと短い婚約をして、急に結婚する事になった。
そして、生まれたシェリーネが月足らずであった事から、二人は王宮の夜会で密会をしていたのではという疑惑と中傷が飛び交った。
その噂を否定するために「一目惚れをして無理矢理結婚した」という別の噂を流した。
エリーロマネを休憩室に案内した侍女はイフェリナの命を受けた侍女だった。そして、アレンを案内したのはアマーリエ。
だが、そこで誤算ができた。
シェリーネは『宝玉の緋』を持って生まれたからだ。
直ぐにイフェリナは調査した。
結果、アレンの祖母がパスパール辺境伯の娘だということが判明した。
イフェリナは、その後もアマーリエを使ってエリーロマネを監視することにした。
エリーロマネが男子を産めば、シェリーネを四公爵家のどこかの養女にして、王子に嫁がせようという話が出ていたからだ。
だが、エリーロマネはシェリーネ以外の子供を儲けなかった。
すると今度は、シェリーネを四公爵の嫡男に嫁がせるべくして、法の改正案が浮上した。
イフェリナはアマーリエに指示を出して、エリーロマネとアマーリエの次男セザールとの婚約を結ばせた。
これで安心できるとイフェリナは安心していたが、数年後、シェリーネとセザールは婚約を解消して、シェリーネはイフェリナの姪孫ジュリアスと婚約してしまった。
ジュリアスは、シェリーネ以外の者を妻には持たないと聞く耳を持たない。
既に、その手は血に染まっていた。
もう一人殺した所で罪の重さは変わらない。
追い詰められたイフェリナは、シェリーネを毒殺する事にした。
そもそもの原因は、自分がエリーロマネを愛人にしようと母イフェリナに冗談を言った事から始まった。
ルパートは、亡き父王から弟である第三王子コンラードの行方についても聞かされていた。
自分の過ちでイレニアとその子供を不幸にしたと告げられ、その弟はシンドラー侯爵家に預けたと聞かされた。
確かにシンドラー侯爵家なら信頼できるし、王家ともさほど関わりがない。
ブリジット王女が降嫁する時、シンドラー侯爵家が王家に害を及ばさないように誓約したのだ。
しかし、その事が民の王家への不信を煽る事になるとは思い及ばなかった。
長く『宝玉の緋』を持つ子供が生まれない王家とは違い。シンドラー侯爵家とパスパール辺境伯家には時折、その髪色を持つ子供が生まれた。
それが更に民の心を王家から遠ざける結果をもたらした。
ルパートは、常に女傑と云われる母イフェリナ王妃に反感を持っていた。いつもの言い争いの中で、「シンドラー侯爵令嬢を愛人にして、その子を王位につける」と口にしてしまう。
イフェリナは怒りに震え、今までの決まりごとを破る事は王として恥じる事だと諭した。
しかし、父が病に伏しても尚、実権を握り王太子である自分に譲ろうとはしないイフェリナに反発したルパートは、頑として譲らなかった。
口から出たほんの軽い気持ちだったのだが、それが後々の禍の火種になってしまう。
イフェリナは、侍女の一人にある事を頼んだ。
近々王宮で行われる夜会で、エリーロマネの評判に傷をつける事を…。
侍女には妹が嫁いだ先の伯爵家にエリーロマネと同じ年の令嬢がいる事をイフェリナは知っていた。
何も知らないエリーロマネは、気分が悪くなり、侍女に案内されて王宮の休憩室に案内された。
そこへ、アレンが入って来た。
エリーロマネは、数刻をアレンと過ごしたが、その事で噂が広まり始める。噂を肯定するかのようにエリーロマネはアレンと短い婚約をして、急に結婚する事になった。
そして、生まれたシェリーネが月足らずであった事から、二人は王宮の夜会で密会をしていたのではという疑惑と中傷が飛び交った。
その噂を否定するために「一目惚れをして無理矢理結婚した」という別の噂を流した。
エリーロマネを休憩室に案内した侍女はイフェリナの命を受けた侍女だった。そして、アレンを案内したのはアマーリエ。
だが、そこで誤算ができた。
シェリーネは『宝玉の緋』を持って生まれたからだ。
直ぐにイフェリナは調査した。
結果、アレンの祖母がパスパール辺境伯の娘だということが判明した。
イフェリナは、その後もアマーリエを使ってエリーロマネを監視することにした。
エリーロマネが男子を産めば、シェリーネを四公爵家のどこかの養女にして、王子に嫁がせようという話が出ていたからだ。
だが、エリーロマネはシェリーネ以外の子供を儲けなかった。
すると今度は、シェリーネを四公爵の嫡男に嫁がせるべくして、法の改正案が浮上した。
イフェリナはアマーリエに指示を出して、エリーロマネとアマーリエの次男セザールとの婚約を結ばせた。
これで安心できるとイフェリナは安心していたが、数年後、シェリーネとセザールは婚約を解消して、シェリーネはイフェリナの姪孫ジュリアスと婚約してしまった。
ジュリアスは、シェリーネ以外の者を妻には持たないと聞く耳を持たない。
既に、その手は血に染まっていた。
もう一人殺した所で罪の重さは変わらない。
追い詰められたイフェリナは、シェリーネを毒殺する事にした。
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