9 / 29
最悪なお花畑の異母妹
しおりを挟む
翌朝、シェリーネとジュリアスは、シンドラー侯爵家を訪れた。
事前に連絡が来ていたように、応接室には父アレンと異母妹ロゼリアの姿がある。
憔悴しきったアレンとは違って、自分の母親がデミオン侯爵夫人殺害未遂の容疑で王宮の貴族牢に入れられたというのに、ロゼリアは以前の明るさを取り戻していた。
その不自然な明るさにシェリーネは得体のしれない不気味さを感じ取っていた。
長い沈黙の後に、デミオン侯爵家の面々が到着したと報告がくる。
彼らを出迎えていたのは伯父のマリウス。
今日の話し合いの内容は、セザールとロゼリナの事だという事は分かっている。
セザールがロゼリアと結婚する為には平民になるしかない。仮にロゼリアと婚約を解消しても貴族の中では誰もその事を責めたりしないだろう。
ロゼリアは罪人の娘なのだから。貴族として家の対面を考えたら、そんな娘との結婚など不利益以外のなんでもない。
ましてや、彼女にはシンドラー侯爵家の血は一滴も流れていない庶子なのだ。
しかも父アレンの実家は、アレンが不貞を犯した段階で、侯爵家に申し訳が立たないと爵位を早々に返上している。頼れる親族がいない彼らはこの家を追い出されば、路頭に迷う事間違いなしだ。しかし、そのアレンにシェリーネは温情をかけて、領地の代官としての職を紹介した。
継母セレニィーの実家フォックス男爵家は、セレニィーを勘当している。それは、侯爵夫人を名乗ってからも変わらず絶縁状態だったのだ。
だからこそ、憎かったのかもしれない。真実の愛を貫いた自分達を認めない全ての者が…。結果、実家を巻き込んだのだろうが、男爵は爵位を返上し、出国する許可を願い出ているとジュリアスからシェリーネは昨夜、聞いていた。男爵はこの事に関与していないと判断されている。セレニィーが独断で男爵家の名前を使ったようだと既に判明している。
応接間の扉が開くと、デミオン侯爵、夫人、セザールそして最後にマリウスが入って来た。
それぞれが席に着くと、儀礼的な挨拶を交わした後、デミオン侯爵が本題を切り出した。
その内容を聞いてシェリーネは「やっぱりね…どこまでも愚かなセザール」と心の中で呟いた。
初めは、奇異として喜んでいたロゼリアが急に冷めた口調になって、
「いやよ。平民なんていや。わたしは侯爵令嬢なんだから、何も出来ないわ」
「それはわかっているよ。だから、僕もやるし、出来る様に君もがんばろう」
「なんで、わたしがこんな目に遭うの?おかしいでしょう。わたしはお姫様なのよ。幸せなお姫様でいなくちゃいけないの。お母様がそう言っていたわ。誰よりもお姉さまより幸せにならないと…」
その言葉に居合わせた全員の顔が引き攣っている。シェリーネは子供の様に幼いロゼリナに、一体父と継母はどういう教育をしたのかと疑問に思った。
「ロゼリナ、幸せの形は一つではないよ。侯爵家での贅沢な暮らしは約束できないが、君を誰よりも大切にして、幸せにすると約束する。だから、受け入れてくれ」
セザールの懇願するような声でロゼリナを説得した。しかし、次の瞬間、それは見事なまで打ち砕かれた。
「いやよ。なら、お母様が言ったように、わたしがジュリアス様のお嫁さんになればいいのよ。そしてセザール様はお姉さまと結婚するの。ふふふっ、とーってもいい案でしょう。それで皆が幸せになれるわ」
夢見る様に胸でお祈りでもするように手を合わせて、瞳をキラキラと輝かせながら、ロゼリナは非現実的な事を口走っている。
まるでそれが当然という様に…。
アレンはロゼリナの言葉に頭を抱えて俯いてしまった。ジュリアスは汚物でも見る様な冷たい侮蔑と怒気を孕んだ目を向けている。
セザールは一歩も微塵だにしなかった。彼の頭の中では、ロゼリナが受け入れて、辺境での新しい生活が待っていると信じて疑わなかったのだろう。
真っ青な顔をして、茫然と口を開いていた。
その姿にシェリーネは、どうして、こんな男を好きだと思っていたんだろうと疑問しか浮かばない。そして、ロゼリナとセザールの両方を見ながら「お花畑同士で案外お似合いなのかもしれない」と考えてたのだ。
「まあ、黙って聞いていればなんて失礼な娘なの。由緒ある侯爵家からの申し出をこんな風に断るなんて、しかもマクドルー公爵家がどういう家門か知っての言葉なのかしら」
ロゼリナの失礼極まりない言葉に憤怒を顕にアマーリエが攻撃する。
「あなたの様な身分の様な者が簡単に王族の親戚であるマクドルー公爵家に入る事など不可能です。だから、反対したのよ。こんな頭のおかしな娘と関わりにならないようにと言ったでしょう」
「あ…頭のおかしな娘ってわたしのことですか」
「それ以外に誰がいるのです。流石、あの女の娘よね。今までどういった教育をされてきたのか程度が知れますわ」
アマーリエの口は止まらなかった。どんどんエスカレートしていく。隣で聞いていたエリックも止めに入ったが、何かのアマーリエの中の何かのスイッチが入ってしまって、手におえない状態になった。
段々、その言い争いは子供が言いあう様な低レベルなものにまで変化していくと、
「侯爵令嬢と言っても仮のものよ。ここはエリーロマネの生家。由緒あるシンドラー侯爵家なのよ。平民同然の庶子が侯爵令嬢を名乗る事自体が王族を侮辱しているのと同義なのよ。いい加減弁えなさい!この小娘が!!」
物凄い剣幕で捲し立てられ、ロゼリナは得意の泣き落としで、父アレンに助けを求めた。
「ひどい。侯爵夫人はわたしの事を嫌いだから苛めるんですね」
シェリーネはさっきから「嫌いだ。嫌だ」と「はっきりと嫌悪されているのに態々それを指摘する必要が何処にあるんだろうと、客観視していた。
「苛める苛めないの問題ではないんだよ。侯爵夫人の言っている事は正論で、お前の選択は2つしかないんだ。セザール君と一緒になって、平民として身の丈にあった幸せを求めるのか。修道院に行くしか道は残されていない。だから聞き分けてくれ。大切なロゼリナに私は幸せになってほしいんだ」
アレンが諭す言葉にも耳を傾けないロゼリナは、
「もう、お父様もセザール様もいい。わたしは意地でもここを出ていかないわ」
そう言って、応接室を飛び出した。
慌ててその後をアレンとセザールが追っていく。
「お待ちなさい。ロゼリナ」
そう言ってシェリーネも続いた。
ジュリアスとマリウスもシェリーネの後に続いて行った。
エントランスホールから2階に上がる階段の上でロゼリナは二人に掴まった様で、何度も説得を繰り返すアレンたち、拒否し続けるロゼリナの言い争う声が、ホール全体に響いている。
彼らの所まで、追いついたシェリーネは、
「ロゼリナ。自分の言い分が正しいと常に思っているのでしょうが、貴女が言っている事は貴族として間違っているわ。貴女の母親は罪を犯した。侯爵夫人を殺そうとしたのよ。その罪で貴女も連座は免れない。だから、セザール様は平民になって、貴女と共に生きる事を選んだのよ。他の殿方ならきっと直ぐに切り捨てられたでしょうね。それだけ、貴女を大切に思っているから出来ることよ。申し出を受けなさい。それが貴方の最善よ」
「いやよ。わからないわ。わたしは侯爵令嬢として幸せな一生を送れるって、お母様もお父様もいったじゃない。どうしてこんな事になったの。わたしのせいじゃない。こんなの私が望んだことじゃあない」
「ロゼリナ。侯爵令嬢だというなら、尚の事、受け入れなさい。現実を…。それが貴族として生まれた私達の宿命なのよ」
「いやったら、いやーーー。お姉さまなんて大っ嫌い!!!」
ロゼリナは、シェリーネに掴まれた手を振り払おうとした。瞬間、シェリーネの身体が宙を舞った。
階段の最上階から転落してるのだ。シェリーネは咄嗟の事に受け身も取れず、そのまま落下していた。
死ぬかもしれない。
シェリーネは覚悟を決めた様に、目を閉じた。
その衝撃に備える様に身を縮めたが、背後から自分を支える二つの腕と片腕に強い痛みを感じて目を開けると。
後ろからジュリアスとマリウスがシェリーネを抱きかかえる様に支え、セザールが手すりで体を支える様にして、落ちていくシェリーネの二の腕を掴んでいた。
使用人らの悲鳴で、騒ぎを聞き付けたデミオン侯爵夫妻もその場に現れた。
その異様な光景に何があったのかを知るには十分だった。
落ち着いたロゼリナは結局、セザールとの婚約を解消し、シンドラー侯爵領にある修道院に送られることになった。
シェリーネは落ちた時に足首を痛めたらしく、全治一週間の怪我を負った。
侯爵夫妻は息子の所業に詫びを入れ、慰謝料を支払うと申し出たが、シェリーネは断った。もうこれ以上、彼らに関わりたくないというのが本音だったのだ。
アレンはセレニィーの裁判が終わってから領地に向かう事になった。
一連の婚約解消騒動は、一見落ち着いたかに思えたのだが、この後、世間を騒がす恐ろしい結末を迎える事になろうとは、この時、誰も予想しなかったであろう。
事前に連絡が来ていたように、応接室には父アレンと異母妹ロゼリアの姿がある。
憔悴しきったアレンとは違って、自分の母親がデミオン侯爵夫人殺害未遂の容疑で王宮の貴族牢に入れられたというのに、ロゼリアは以前の明るさを取り戻していた。
その不自然な明るさにシェリーネは得体のしれない不気味さを感じ取っていた。
長い沈黙の後に、デミオン侯爵家の面々が到着したと報告がくる。
彼らを出迎えていたのは伯父のマリウス。
今日の話し合いの内容は、セザールとロゼリナの事だという事は分かっている。
セザールがロゼリアと結婚する為には平民になるしかない。仮にロゼリアと婚約を解消しても貴族の中では誰もその事を責めたりしないだろう。
ロゼリアは罪人の娘なのだから。貴族として家の対面を考えたら、そんな娘との結婚など不利益以外のなんでもない。
ましてや、彼女にはシンドラー侯爵家の血は一滴も流れていない庶子なのだ。
しかも父アレンの実家は、アレンが不貞を犯した段階で、侯爵家に申し訳が立たないと爵位を早々に返上している。頼れる親族がいない彼らはこの家を追い出されば、路頭に迷う事間違いなしだ。しかし、そのアレンにシェリーネは温情をかけて、領地の代官としての職を紹介した。
継母セレニィーの実家フォックス男爵家は、セレニィーを勘当している。それは、侯爵夫人を名乗ってからも変わらず絶縁状態だったのだ。
だからこそ、憎かったのかもしれない。真実の愛を貫いた自分達を認めない全ての者が…。結果、実家を巻き込んだのだろうが、男爵は爵位を返上し、出国する許可を願い出ているとジュリアスからシェリーネは昨夜、聞いていた。男爵はこの事に関与していないと判断されている。セレニィーが独断で男爵家の名前を使ったようだと既に判明している。
応接間の扉が開くと、デミオン侯爵、夫人、セザールそして最後にマリウスが入って来た。
それぞれが席に着くと、儀礼的な挨拶を交わした後、デミオン侯爵が本題を切り出した。
その内容を聞いてシェリーネは「やっぱりね…どこまでも愚かなセザール」と心の中で呟いた。
初めは、奇異として喜んでいたロゼリアが急に冷めた口調になって、
「いやよ。平民なんていや。わたしは侯爵令嬢なんだから、何も出来ないわ」
「それはわかっているよ。だから、僕もやるし、出来る様に君もがんばろう」
「なんで、わたしがこんな目に遭うの?おかしいでしょう。わたしはお姫様なのよ。幸せなお姫様でいなくちゃいけないの。お母様がそう言っていたわ。誰よりもお姉さまより幸せにならないと…」
その言葉に居合わせた全員の顔が引き攣っている。シェリーネは子供の様に幼いロゼリナに、一体父と継母はどういう教育をしたのかと疑問に思った。
「ロゼリナ、幸せの形は一つではないよ。侯爵家での贅沢な暮らしは約束できないが、君を誰よりも大切にして、幸せにすると約束する。だから、受け入れてくれ」
セザールの懇願するような声でロゼリナを説得した。しかし、次の瞬間、それは見事なまで打ち砕かれた。
「いやよ。なら、お母様が言ったように、わたしがジュリアス様のお嫁さんになればいいのよ。そしてセザール様はお姉さまと結婚するの。ふふふっ、とーってもいい案でしょう。それで皆が幸せになれるわ」
夢見る様に胸でお祈りでもするように手を合わせて、瞳をキラキラと輝かせながら、ロゼリナは非現実的な事を口走っている。
まるでそれが当然という様に…。
アレンはロゼリナの言葉に頭を抱えて俯いてしまった。ジュリアスは汚物でも見る様な冷たい侮蔑と怒気を孕んだ目を向けている。
セザールは一歩も微塵だにしなかった。彼の頭の中では、ロゼリナが受け入れて、辺境での新しい生活が待っていると信じて疑わなかったのだろう。
真っ青な顔をして、茫然と口を開いていた。
その姿にシェリーネは、どうして、こんな男を好きだと思っていたんだろうと疑問しか浮かばない。そして、ロゼリナとセザールの両方を見ながら「お花畑同士で案外お似合いなのかもしれない」と考えてたのだ。
「まあ、黙って聞いていればなんて失礼な娘なの。由緒ある侯爵家からの申し出をこんな風に断るなんて、しかもマクドルー公爵家がどういう家門か知っての言葉なのかしら」
ロゼリナの失礼極まりない言葉に憤怒を顕にアマーリエが攻撃する。
「あなたの様な身分の様な者が簡単に王族の親戚であるマクドルー公爵家に入る事など不可能です。だから、反対したのよ。こんな頭のおかしな娘と関わりにならないようにと言ったでしょう」
「あ…頭のおかしな娘ってわたしのことですか」
「それ以外に誰がいるのです。流石、あの女の娘よね。今までどういった教育をされてきたのか程度が知れますわ」
アマーリエの口は止まらなかった。どんどんエスカレートしていく。隣で聞いていたエリックも止めに入ったが、何かのアマーリエの中の何かのスイッチが入ってしまって、手におえない状態になった。
段々、その言い争いは子供が言いあう様な低レベルなものにまで変化していくと、
「侯爵令嬢と言っても仮のものよ。ここはエリーロマネの生家。由緒あるシンドラー侯爵家なのよ。平民同然の庶子が侯爵令嬢を名乗る事自体が王族を侮辱しているのと同義なのよ。いい加減弁えなさい!この小娘が!!」
物凄い剣幕で捲し立てられ、ロゼリナは得意の泣き落としで、父アレンに助けを求めた。
「ひどい。侯爵夫人はわたしの事を嫌いだから苛めるんですね」
シェリーネはさっきから「嫌いだ。嫌だ」と「はっきりと嫌悪されているのに態々それを指摘する必要が何処にあるんだろうと、客観視していた。
「苛める苛めないの問題ではないんだよ。侯爵夫人の言っている事は正論で、お前の選択は2つしかないんだ。セザール君と一緒になって、平民として身の丈にあった幸せを求めるのか。修道院に行くしか道は残されていない。だから聞き分けてくれ。大切なロゼリナに私は幸せになってほしいんだ」
アレンが諭す言葉にも耳を傾けないロゼリナは、
「もう、お父様もセザール様もいい。わたしは意地でもここを出ていかないわ」
そう言って、応接室を飛び出した。
慌ててその後をアレンとセザールが追っていく。
「お待ちなさい。ロゼリナ」
そう言ってシェリーネも続いた。
ジュリアスとマリウスもシェリーネの後に続いて行った。
エントランスホールから2階に上がる階段の上でロゼリナは二人に掴まった様で、何度も説得を繰り返すアレンたち、拒否し続けるロゼリナの言い争う声が、ホール全体に響いている。
彼らの所まで、追いついたシェリーネは、
「ロゼリナ。自分の言い分が正しいと常に思っているのでしょうが、貴女が言っている事は貴族として間違っているわ。貴女の母親は罪を犯した。侯爵夫人を殺そうとしたのよ。その罪で貴女も連座は免れない。だから、セザール様は平民になって、貴女と共に生きる事を選んだのよ。他の殿方ならきっと直ぐに切り捨てられたでしょうね。それだけ、貴女を大切に思っているから出来ることよ。申し出を受けなさい。それが貴方の最善よ」
「いやよ。わからないわ。わたしは侯爵令嬢として幸せな一生を送れるって、お母様もお父様もいったじゃない。どうしてこんな事になったの。わたしのせいじゃない。こんなの私が望んだことじゃあない」
「ロゼリナ。侯爵令嬢だというなら、尚の事、受け入れなさい。現実を…。それが貴族として生まれた私達の宿命なのよ」
「いやったら、いやーーー。お姉さまなんて大っ嫌い!!!」
ロゼリナは、シェリーネに掴まれた手を振り払おうとした。瞬間、シェリーネの身体が宙を舞った。
階段の最上階から転落してるのだ。シェリーネは咄嗟の事に受け身も取れず、そのまま落下していた。
死ぬかもしれない。
シェリーネは覚悟を決めた様に、目を閉じた。
その衝撃に備える様に身を縮めたが、背後から自分を支える二つの腕と片腕に強い痛みを感じて目を開けると。
後ろからジュリアスとマリウスがシェリーネを抱きかかえる様に支え、セザールが手すりで体を支える様にして、落ちていくシェリーネの二の腕を掴んでいた。
使用人らの悲鳴で、騒ぎを聞き付けたデミオン侯爵夫妻もその場に現れた。
その異様な光景に何があったのかを知るには十分だった。
落ち着いたロゼリナは結局、セザールとの婚約を解消し、シンドラー侯爵領にある修道院に送られることになった。
シェリーネは落ちた時に足首を痛めたらしく、全治一週間の怪我を負った。
侯爵夫妻は息子の所業に詫びを入れ、慰謝料を支払うと申し出たが、シェリーネは断った。もうこれ以上、彼らに関わりたくないというのが本音だったのだ。
アレンはセレニィーの裁判が終わってから領地に向かう事になった。
一連の婚約解消騒動は、一見落ち着いたかに思えたのだが、この後、世間を騒がす恐ろしい結末を迎える事になろうとは、この時、誰も予想しなかったであろう。
31
お気に入りに追加
3,725
あなたにおすすめの小説
【完結】待ってください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ルチアは、誰もいなくなった家の中を見回した。
毎日家族の為に食事を作り、毎日家を清潔に保つ為に掃除をする。
だけど、ルチアを置いて夫は出て行ってしまった。
一枚の離婚届を机の上に置いて。
ルチアの流した涙が床にポタリと落ちた。
【完結】探さないでください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
私は、貴方と共にした一夜を後悔した事はない。
貴方は私に尊いこの子を与えてくれた。
あの一夜を境に、私の環境は正反対に変わってしまった。
冷たく厳しい人々の中から、温かく優しい人々の中へ私は飛び込んだ。
複雑で高級な物に囲まれる暮らしから、質素で簡素な物に囲まれる暮らしへ移ろいだ。
無関心で疎遠な沢山の親族を捨てて、誰よりも私を必要としてくれる尊いこの子だけを選んだ。
風の噂で貴方が私を探しているという話を聞く。
だけど、誰も私が貴方が探している人物とは思わないはず。
今、私は幸せを感じている。
貴方が側にいなくても、私はこの子と生きていける。
だから、、、
もう、、、
私を、、、
探さないでください。
【完結】捨ててください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ずっと貴方の側にいた。
でも、あの人と再会してから貴方は私ではなく、あの人を見つめるようになった。
分かっている。
貴方は私の事を愛していない。
私は貴方の側にいるだけで良かったのに。
貴方が、あの人の側へ行きたいと悩んでいる事が私に伝わってくる。
もういいの。
ありがとう貴方。
もう私の事は、、、
捨ててください。
続編投稿しました。
初回完結6月25日
第2回目完結7月18日
【完結】生贄になった婚約者と間に合わなかった王子
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
フィーは第二王子レイフの婚約者である。
しかし、仲が良かったのも今は昔。
レイフはフィーとのお茶会をすっぽかすようになり、夜会にエスコートしてくれたのはデビューの時だけだった。
いつしか、レイフはフィーに嫌われていると噂がながれるようになった。
それでも、フィーは信じていた。
レイフは魔法の研究に熱心なだけだと。
しかし、ある夜会で研究室の同僚をエスコートしている姿を見てこころが折れてしまう。
そして、フィーは国守樹の乙女になることを決意する。
国守樹の乙女、それは樹に喰らわれる生贄だった。
【完結】返してください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ずっと我慢をしてきた。
私が愛されていない事は感じていた。
だけど、信じたくなかった。
いつかは私を見てくれると思っていた。
妹は私から全てを奪って行った。
なにもかも、、、、信じていたあの人まで、、、
母から信じられない事実を告げられ、遂に私は家から追い出された。
もういい。
もう諦めた。
貴方達は私の家族じゃない。
私が相応しくないとしても、大事な物を取り返したい。
だから、、、、
私に全てを、、、
返してください。
【完結】婚約者が恋に落ちたので、私は・・・
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
ベアトリスは婚約者アルトゥールが恋に落ちる瞬間を見てしまった。
彼は恋心を隠したまま私と結婚するのかしら?
だからベアトリスは自ら身を引くことを決意した。
---
カスティーリャ国、アンゴラ国は過去、ヨーロッパに実在した国名ですが、この物語では名前だけ拝借しています。
12話で完結します。
【完結】「心に決めた人がいる」と旦那様は言った
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
「俺にはずっと心に決めた人がいる。俺が貴方を愛することはない。貴女はその人を迎え入れることさえ許してくれればそれで良いのです。」
そう言われて愛のない結婚をしたスーザン。
彼女にはかつて愛した人との思い出があった・・・
産業革命後のイギリスをモデルにした架空の国が舞台です。貴族制度など独自の設定があります。
----
初めて書いた小説で初めての投稿で沢山の方に読んでいただき驚いています。
終わり方が納得できない!という方が多かったのでエピローグを追加します。
お読みいただきありがとうございます。
【完結】王太子妃の初恋
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
カテリーナは王太子妃。しかし、政略のための結婚でアレクサンドル王太子からは嫌われている。
王太子が側妃を娶ったため、カテリーナはお役御免とばかりに王宮の外れにある森の中の宮殿に追いやられてしまう。
しかし、カテリーナはちょうど良かったと思っていた。婚約者時代からの激務で目が悪くなっていて、これ以上は公務も社交も難しいと考えていたからだ。
そんなカテリーナが湖畔で一人の男に出会い、恋をするまでとその後。
★ざまぁはありません。
全話予約投稿済。
携帯投稿のため誤字脱字多くて申し訳ありません。
報告ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる