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本編 この度、記憶喪失の公爵様に嫁ぐことになりまして
王太子ざまあ?
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それは、5年前の王立学園卒業パーティーでの事。
当時王太子だった旦那様ことラインハルト殿下は、婚約者だったアデイラ・メイナード侯爵令嬢ではなく、ピンクブロンドに派手なリボンを頭からつま先まであしらったショッキングピンクのドレスを着た男爵令嬢を伴っていた。名前をなんていったかなあ……ああ、そうそうフローラ・メッケン男爵令嬢だったかな?そんな姿の女性を公然と連れ歩いていたらしい。はっきりいって女の趣味が悪いとしか思えない。
傍にいたら目がちかちかして疲れそうだ。全身ピンク一色の令嬢を連れて、側近候補たちも会場の壇上の上からか男爵令嬢を守る様にしていたらしい。
そして、ラインハルト殿下がメイナード侯爵令嬢の罪を一つずつ言って最後に婚約破棄を告げる予定だったようなのだが、ここでアクシデントがあった。
殿下が「こ…」まで言ったところで、誰かが勢い余って殿下を押したのだ。殿下はとっさに全身ピンクの令嬢を掴んだが、
「いやよ、離して!一緒に落ちるなんて御免よ!!」
と言って、殿下を突き落す形になってしまった。
殿下は高さ3mの壇上から落ちて、頭から血を流して倒れて気を失った。
その一部始終を会場にいた学園生徒や教員が見ていたわけで、王子に対する傷害罪で男爵令嬢はその場で拘束される事になった。
因みに殿下の婚約者だったメイナード侯爵令嬢は、この時、男爵令嬢の偽証の証拠を持って『ざまあ』をする予定だったのだ。
第二王子ジークハルトと一緒に……しかし、王太子がまさかの『階段落ちイベント』をやらかしてしまった。
階段落ちと云ったら悪役令嬢かヒロインが相場なのだが、ラインハルトが落ちて怪我をしてしまった事により、侯爵令嬢とジークハルトが仕掛けようとした『ざまあ』の展開も不発となってしまい、残念無念な結果に終わった。
ところが、王太子ラインハルトが2週間後に目覚めると、彼は記憶を失って5才の幼児となってしまっていたのである。
勿論、婚約者のアデイラの事も弟たちのことも全て忘れてしまっている状態。国王は廃嫡はせずに辺境国領レグナに新しい公爵位を与えて、追放同然に送り出したのだ。
その際、アデイラとの婚約は解消し、晴れて第二王子ジークハルトと婚約した。だが、運命とは皮肉なもので、折角、兄を蹴落としてでも手に入れたかった王太子の地位に着いたのも束の間、流行病にかかってしまい呆気なくこの世を去った。
後に残された王太子妃となったアデイラ。彼女はラインハルトとの復縁を望むも記憶の回復の兆しは無く断念していた。
そして、国王は絶賛子作りの結果、ようやく男子が3年前に生まれたのだが、まだ赤子を王太子に据えるわけにもいかず、かといって外見23才、中身10才のラインハルトを再び王太子の地位に据えるわけにもいかない。
苦肉の策として、せめて血は残させようとあらゆる女性を送り込んだのだが、我こそはという肉食系の女子たちは天使のような容貌のラインハルトの純粋?な瞳と仕草で陥落し、泣く泣く公爵夫人の地位を諦めたのだった。
そんなこんなで、目ぼしい貴族令嬢の中でデニーロ伯爵家が最後の希望となった。
まあ、南の辺境地は海に近く、山に囲まれた要塞のような土地。海賊・山賊も頻繁に出る治安の悪い場所に愛娘を送る訳にもいかず、結局私にお鉢が回ってきたのだった。
私は初めて会った時から、この元王子を胡散臭く見ていた。なんだか嘘くさい笑顔にあざとさを感じ取っていた。
どうして旦那様情報が詳しいかっていうと、実は私の家庭教師をしていたデボラ・カートン伯爵夫人は旦那様たちの同級生で一部始終を見ていたそうで、面白おかしく話してくれたのだけれど、まさかその2年後に自分がその当事者の妻になるなんて思わなかったのよね。
ああ、人生って何が起きるのか分からない物よね。
そして、今日も胡散臭い旦那様との生活が始まるのだった.
当時王太子だった旦那様ことラインハルト殿下は、婚約者だったアデイラ・メイナード侯爵令嬢ではなく、ピンクブロンドに派手なリボンを頭からつま先まであしらったショッキングピンクのドレスを着た男爵令嬢を伴っていた。名前をなんていったかなあ……ああ、そうそうフローラ・メッケン男爵令嬢だったかな?そんな姿の女性を公然と連れ歩いていたらしい。はっきりいって女の趣味が悪いとしか思えない。
傍にいたら目がちかちかして疲れそうだ。全身ピンク一色の令嬢を連れて、側近候補たちも会場の壇上の上からか男爵令嬢を守る様にしていたらしい。
そして、ラインハルト殿下がメイナード侯爵令嬢の罪を一つずつ言って最後に婚約破棄を告げる予定だったようなのだが、ここでアクシデントがあった。
殿下が「こ…」まで言ったところで、誰かが勢い余って殿下を押したのだ。殿下はとっさに全身ピンクの令嬢を掴んだが、
「いやよ、離して!一緒に落ちるなんて御免よ!!」
と言って、殿下を突き落す形になってしまった。
殿下は高さ3mの壇上から落ちて、頭から血を流して倒れて気を失った。
その一部始終を会場にいた学園生徒や教員が見ていたわけで、王子に対する傷害罪で男爵令嬢はその場で拘束される事になった。
因みに殿下の婚約者だったメイナード侯爵令嬢は、この時、男爵令嬢の偽証の証拠を持って『ざまあ』をする予定だったのだ。
第二王子ジークハルトと一緒に……しかし、王太子がまさかの『階段落ちイベント』をやらかしてしまった。
階段落ちと云ったら悪役令嬢かヒロインが相場なのだが、ラインハルトが落ちて怪我をしてしまった事により、侯爵令嬢とジークハルトが仕掛けようとした『ざまあ』の展開も不発となってしまい、残念無念な結果に終わった。
ところが、王太子ラインハルトが2週間後に目覚めると、彼は記憶を失って5才の幼児となってしまっていたのである。
勿論、婚約者のアデイラの事も弟たちのことも全て忘れてしまっている状態。国王は廃嫡はせずに辺境国領レグナに新しい公爵位を与えて、追放同然に送り出したのだ。
その際、アデイラとの婚約は解消し、晴れて第二王子ジークハルトと婚約した。だが、運命とは皮肉なもので、折角、兄を蹴落としてでも手に入れたかった王太子の地位に着いたのも束の間、流行病にかかってしまい呆気なくこの世を去った。
後に残された王太子妃となったアデイラ。彼女はラインハルトとの復縁を望むも記憶の回復の兆しは無く断念していた。
そして、国王は絶賛子作りの結果、ようやく男子が3年前に生まれたのだが、まだ赤子を王太子に据えるわけにもいかず、かといって外見23才、中身10才のラインハルトを再び王太子の地位に据えるわけにもいかない。
苦肉の策として、せめて血は残させようとあらゆる女性を送り込んだのだが、我こそはという肉食系の女子たちは天使のような容貌のラインハルトの純粋?な瞳と仕草で陥落し、泣く泣く公爵夫人の地位を諦めたのだった。
そんなこんなで、目ぼしい貴族令嬢の中でデニーロ伯爵家が最後の希望となった。
まあ、南の辺境地は海に近く、山に囲まれた要塞のような土地。海賊・山賊も頻繁に出る治安の悪い場所に愛娘を送る訳にもいかず、結局私にお鉢が回ってきたのだった。
私は初めて会った時から、この元王子を胡散臭く見ていた。なんだか嘘くさい笑顔にあざとさを感じ取っていた。
どうして旦那様情報が詳しいかっていうと、実は私の家庭教師をしていたデボラ・カートン伯爵夫人は旦那様たちの同級生で一部始終を見ていたそうで、面白おかしく話してくれたのだけれど、まさかその2年後に自分がその当事者の妻になるなんて思わなかったのよね。
ああ、人生って何が起きるのか分からない物よね。
そして、今日も胡散臭い旦那様との生活が始まるのだった.
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