【完結】婚約者には必ずオマケの義姉がついてくる

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　「あのね、リュート様が義姉と一緒に婿に来るといったのよ」


　「はあ？頭に綿でも詰まっているんですか？」


　「ふふ、私もそう思ったわ」


　「でも、あの義姉と言いますと例の方で…」


　「ええ、そうよ」


　私達が例の方と言っているのは、彼の義姉エレーナの事なのです。


　彼女は私達より十歳年上で、昔からリュートに付きっきりでした。


　何処に行くのにも付いてきました。


　「そう言えば、この間の王宮の夜会にも付いて来ましたね」


　「ええ、愚かにもね」


　そう、彼らは風前の灯なのです。


　伯爵家以上の高位貴族しか参加出来ない王宮の夜会にリュートは男爵家の義姉を連れて来たのです。


　しかも、婚約者の私ではなく義姉をエスコートして、当然、今社交界では、彼らの関係を疑っている噂が飛び交っています。


　何故なら、リュートの義姉は、男爵家に嫁いだ男爵夫人なのだから、夫であるハスラー男爵が領地に帰っている間、どうやらずっとジェネシス伯爵家に戻っているから。


　しかも、私の家はシンパニー公爵家、家格は私の方が上なのに馬鹿にしすぎですわ。


　「どうやって制裁しますか。お嬢様」


　「放置しても自滅してくれそうだけど、お気の毒に伯爵様はご存知ないかも知れないわね」


　「では、お知らせしましょう」


　「そうね、そうしましょう」


　私達は、クスクス笑い合いました。


　彼らのこれからの行く末と私達の幸せな未来に紅茶で乾杯したのでした。