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初夜
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食事が終わり、それぞれ入浴しに別れた。
「今日は腕によりをかけて磨き上げますので」
侍女の一人が張り切って、私を浴室に案内しながら隅々まできれいに仕上げた。マッサージをしながら、最後に薔薇の香油を塗り込んでいく。
微かに香る匂いはさりげなく上品に馨っている。着るのが恥ずかしい様な下着やベビードールを着けさせられ、ガウンを羽織って殿下の待つ寝室に連れて行かれた。
侍女が殿下の手に私を渡した後は、静かに一礼して部屋を出て行った。
気恥しい私は薄明りの中の殿下を直視できず、俯いている。
「おいで、サフィ」
殿下の声に誘われる様に静かに傍まで近寄った。震える私に殿下は優しく手を握りながら
「心配はいらない。無体な事はしないと約束しよう。君の体はまだ回復していない。子供を儲けてもいいと許可が出るまで私は我慢するよ」
「では、何故床を共にするのです」
「これ以上待てないからだ。周りにはっきりと君が私のものだと示したいのだよ。一夜を共にすれば名実共に君は私の妻になる」
「では、暫くはこのままなのですね」
私は内心ホッとした。私の体にはまだ事故の時の醜い傷が残っている。それを殿下に見せるのが怖いのだ。
「あからさまに安堵されるのは癪だな」
殿下は意地の悪い顔を見せながら私の唇を食む様に重ねてきた。何度も角度を変えながら、貪る様な口付けが続くと段々体が熱を帯びて火照り出すのを感じている。
殿下の逞しい胸に身体を預けている私の着衣は次第に乱れている。殿下の綺麗な指が探る様に私の体に触れている。
いつの間にか、ガウンは脱がされ下着だけにされている。
「ジーク様…お願いです。き…今日は…」
しないと言ったのでは。続きの言葉を言わせまいと殿下は私の口内に自分の舌を入れて来た。私の舌を確認する様に何度も吸い上げたり、絡めたりしている。お互いの唾液を飲みながら、殿下の手は私の体を弄っている。
透けて見える乳房に吸い寄せられるように殿下の長い指が双方の頂きにある蕾を刺激していく。
私の体は自分でも恥ずかしい位、反応している。
「あ…ん……ジーク……」
甘い吐息と寝台の軋む音、殿下の荒い息遣いが空間を支配していく。殿下の舌が私の口から離れて頬や耳、鎖骨そして乳房に次第に降りていく。
その度に私の体は反応してビクビクと揺れている。余裕な殿下と違って私には余裕などない。
止めて欲しいと思いながら体は正直で殿下を求める様に、段々触れられた所から熱を感じていた。
下腹部の私の一番恥ずかしい場所がキュッと痺れる様な感覚が全身を襲っている。
ジーク様が欲しい。
体中がそう言っている様に彼を求めて止まない。
殿下が乳房にある蕾を指と舌で弄り始めると、段々私の声が甘い喘ぎに変化していく。
「あ……ふ…あ……ん…いけ……ま……せん…そ…れは」
私は殿下の頭を持って退けようとするが、それが殿下の弑逆心を煽る様で余計に激しく舌と手が忙しなく動き回る。
ぴちゃっ、ぴちゃっ
と態と厭らしい水音を私に聞かせて、耳の奥まで犯していく。体中に甘い痺れを感じながら昂ぶりが頂点に達して声にならない喘ぎ声を発しながらイってしまった。
「ああーああああーーーーっ」
胸の鼓動が激しくなり、肩で息をしている私に
「可愛くイケたね。サフィ。今日はこの位にしておこう」
そう言って乱れた着衣を直して私を抱きしめて眠った。
次の日に侍女が目を背ける位の赤い花びらを散らして、それはまるで私が殿下の所有物だと示す様に……
その夜から殿下は、私と床を共にし、決して最後の一線は守るものの一歩手前の行為は続けられた。
私は殿下の夜の訪れを心待ちになっていく。殿下の色に染められていく。
体中で殿下の手や口を感じている。段々殿下なしでは生きられない様になっていったのだ。
「今日は腕によりをかけて磨き上げますので」
侍女の一人が張り切って、私を浴室に案内しながら隅々まできれいに仕上げた。マッサージをしながら、最後に薔薇の香油を塗り込んでいく。
微かに香る匂いはさりげなく上品に馨っている。着るのが恥ずかしい様な下着やベビードールを着けさせられ、ガウンを羽織って殿下の待つ寝室に連れて行かれた。
侍女が殿下の手に私を渡した後は、静かに一礼して部屋を出て行った。
気恥しい私は薄明りの中の殿下を直視できず、俯いている。
「おいで、サフィ」
殿下の声に誘われる様に静かに傍まで近寄った。震える私に殿下は優しく手を握りながら
「心配はいらない。無体な事はしないと約束しよう。君の体はまだ回復していない。子供を儲けてもいいと許可が出るまで私は我慢するよ」
「では、何故床を共にするのです」
「これ以上待てないからだ。周りにはっきりと君が私のものだと示したいのだよ。一夜を共にすれば名実共に君は私の妻になる」
「では、暫くはこのままなのですね」
私は内心ホッとした。私の体にはまだ事故の時の醜い傷が残っている。それを殿下に見せるのが怖いのだ。
「あからさまに安堵されるのは癪だな」
殿下は意地の悪い顔を見せながら私の唇を食む様に重ねてきた。何度も角度を変えながら、貪る様な口付けが続くと段々体が熱を帯びて火照り出すのを感じている。
殿下の逞しい胸に身体を預けている私の着衣は次第に乱れている。殿下の綺麗な指が探る様に私の体に触れている。
いつの間にか、ガウンは脱がされ下着だけにされている。
「ジーク様…お願いです。き…今日は…」
しないと言ったのでは。続きの言葉を言わせまいと殿下は私の口内に自分の舌を入れて来た。私の舌を確認する様に何度も吸い上げたり、絡めたりしている。お互いの唾液を飲みながら、殿下の手は私の体を弄っている。
透けて見える乳房に吸い寄せられるように殿下の長い指が双方の頂きにある蕾を刺激していく。
私の体は自分でも恥ずかしい位、反応している。
「あ…ん……ジーク……」
甘い吐息と寝台の軋む音、殿下の荒い息遣いが空間を支配していく。殿下の舌が私の口から離れて頬や耳、鎖骨そして乳房に次第に降りていく。
その度に私の体は反応してビクビクと揺れている。余裕な殿下と違って私には余裕などない。
止めて欲しいと思いながら体は正直で殿下を求める様に、段々触れられた所から熱を感じていた。
下腹部の私の一番恥ずかしい場所がキュッと痺れる様な感覚が全身を襲っている。
ジーク様が欲しい。
体中がそう言っている様に彼を求めて止まない。
殿下が乳房にある蕾を指と舌で弄り始めると、段々私の声が甘い喘ぎに変化していく。
「あ……ふ…あ……ん…いけ……ま……せん…そ…れは」
私は殿下の頭を持って退けようとするが、それが殿下の弑逆心を煽る様で余計に激しく舌と手が忙しなく動き回る。
ぴちゃっ、ぴちゃっ
と態と厭らしい水音を私に聞かせて、耳の奥まで犯していく。体中に甘い痺れを感じながら昂ぶりが頂点に達して声にならない喘ぎ声を発しながらイってしまった。
「ああーああああーーーーっ」
胸の鼓動が激しくなり、肩で息をしている私に
「可愛くイケたね。サフィ。今日はこの位にしておこう」
そう言って乱れた着衣を直して私を抱きしめて眠った。
次の日に侍女が目を背ける位の赤い花びらを散らして、それはまるで私が殿下の所有物だと示す様に……
その夜から殿下は、私と床を共にし、決して最後の一線は守るものの一歩手前の行為は続けられた。
私は殿下の夜の訪れを心待ちになっていく。殿下の色に染められていく。
体中で殿下の手や口を感じている。段々殿下なしでは生きられない様になっていったのだ。
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