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夜会
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馬車は王宮に付き、私はユリウス様にエスコートされながら入場した。
会場は当然の如く私達に注目が集まる。
「まあ、ミシェルウィー公爵令嬢だわ。随分とお痩せになって」
「ご一緒の殿方はデントロー公爵令息ね。もしかして、ご婚約されたのかしら?」
そこかしこから話し声が聞こえる。皆、久しぶりに見る私の姿に興味津々の様だった。
「何だが注目を浴びてしまいましたね」
「申し訳ありません。それは私のせいだと思います」
あれ程の騒ぎを起こした本人が貴族の社交界に復帰すれば当然、話のネタにする為に否応でも注目される。
主催の王家に挨拶をすると
「久しぶりだな。ミシェルウィー公爵令嬢。随分と元気になった様で安心した」
国王陛下に声を掛けられて私は言葉に詰まってしまう。あの事故で多くの人に迷惑をかけた事は確かだ。あれ以来、バルコニーには落下防止の為の措置が取られている。次に誰かが落ちないように…
「その節は大変なご迷惑をお掛けした事をお詫びします。今後は臣下として、国に尽くしたいと考えています。未熟な私ですが、宜しくお願いします」
「元気になったのなら幸いだ。今宵は楽しむと良かろう」
「ありがとうございます。陛下」
続いて挨拶を交わしたのは王太子夫妻。この間の見舞い以来の顔合わせとなり、少し気まずい雰囲気の中
「ミシェルウィー公爵令嬢、もう社交界に復帰できる様になったのか。安心した」
「お姉様、あれ以来ですわね。あらデントロー公爵令息とご一緒ですの?どういったご関係で」
「王太子殿下、妃殿下今宵はお招きに預かりましてありがとうございます。ご心配をお掛けしましたが、体の方も良くなりましたので、皆様にお別れの挨拶をしたく出席しました」
「別れの挨拶?」
私の言葉に反応したのは王太子殿下だった。
「はい、明日より領地の方に参りますので」
「そうか、領地静養されるのだな。ミシェルウィー公爵領は避暑地として有名だから、暑い夏場は王都より過ごしやすいだろう」
「殿下、妃殿下。この度、サフィニア嬢と婚約する事になったのでお知らせ致します」
「そうか、おめでとう」
「まあ、お姉様。デントロー公爵令息のお心をいつ射止められたのですか?ご令嬢方が羨望の眼差しを送っていますわ」
「そうですか、父の意向の様なので、私も先程知らされました。ですが、これから関係を深めて行けたらと思っております」
私の答えに妹の顔色が変わった。きっと今でも元の婚約者を思っている私が、よりにもよってユリウス・デントロー公爵令息にエスコートされて夜会に出席するとは思っていなかったのだろう。
妹は夜会で私を捨てられた憐れな女に仕立てたい様だが、周りは私をそんな風には見なかった。どちらかというと非難の目は妹に向けられていた。
そんな中、私はまだダンスを踊れる程、回復した訳では無いので、ユリウス様と挨拶周りをしていた。
そこで再開したのはレイニー・アドラー伯爵夫人。
彼女は昔、私の家庭教師の一人だった。
懐かしい人に出会えて私の心も落ち着きを取り戻していたのかも知れない。
会場は当然の如く私達に注目が集まる。
「まあ、ミシェルウィー公爵令嬢だわ。随分とお痩せになって」
「ご一緒の殿方はデントロー公爵令息ね。もしかして、ご婚約されたのかしら?」
そこかしこから話し声が聞こえる。皆、久しぶりに見る私の姿に興味津々の様だった。
「何だが注目を浴びてしまいましたね」
「申し訳ありません。それは私のせいだと思います」
あれ程の騒ぎを起こした本人が貴族の社交界に復帰すれば当然、話のネタにする為に否応でも注目される。
主催の王家に挨拶をすると
「久しぶりだな。ミシェルウィー公爵令嬢。随分と元気になった様で安心した」
国王陛下に声を掛けられて私は言葉に詰まってしまう。あの事故で多くの人に迷惑をかけた事は確かだ。あれ以来、バルコニーには落下防止の為の措置が取られている。次に誰かが落ちないように…
「その節は大変なご迷惑をお掛けした事をお詫びします。今後は臣下として、国に尽くしたいと考えています。未熟な私ですが、宜しくお願いします」
「元気になったのなら幸いだ。今宵は楽しむと良かろう」
「ありがとうございます。陛下」
続いて挨拶を交わしたのは王太子夫妻。この間の見舞い以来の顔合わせとなり、少し気まずい雰囲気の中
「ミシェルウィー公爵令嬢、もう社交界に復帰できる様になったのか。安心した」
「お姉様、あれ以来ですわね。あらデントロー公爵令息とご一緒ですの?どういったご関係で」
「王太子殿下、妃殿下今宵はお招きに預かりましてありがとうございます。ご心配をお掛けしましたが、体の方も良くなりましたので、皆様にお別れの挨拶をしたく出席しました」
「別れの挨拶?」
私の言葉に反応したのは王太子殿下だった。
「はい、明日より領地の方に参りますので」
「そうか、領地静養されるのだな。ミシェルウィー公爵領は避暑地として有名だから、暑い夏場は王都より過ごしやすいだろう」
「殿下、妃殿下。この度、サフィニア嬢と婚約する事になったのでお知らせ致します」
「そうか、おめでとう」
「まあ、お姉様。デントロー公爵令息のお心をいつ射止められたのですか?ご令嬢方が羨望の眼差しを送っていますわ」
「そうですか、父の意向の様なので、私も先程知らされました。ですが、これから関係を深めて行けたらと思っております」
私の答えに妹の顔色が変わった。きっと今でも元の婚約者を思っている私が、よりにもよってユリウス・デントロー公爵令息にエスコートされて夜会に出席するとは思っていなかったのだろう。
妹は夜会で私を捨てられた憐れな女に仕立てたい様だが、周りは私をそんな風には見なかった。どちらかというと非難の目は妹に向けられていた。
そんな中、私はまだダンスを踊れる程、回復した訳では無いので、ユリウス様と挨拶周りをしていた。
そこで再開したのはレイニー・アドラー伯爵夫人。
彼女は昔、私の家庭教師の一人だった。
懐かしい人に出会えて私の心も落ち着きを取り戻していたのかも知れない。
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