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2.捨てられた子供達②
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段々とアルフォードとジュリエッタとの距離が縮まり、二人は程なく婚約した。
誰よりも喜んだのは、意外なことにアマンダつまり、義母である現サトラー公爵夫人だ。
彼女からすれば夫であるゲイルとジュリエッタの距離が、義理の従兄妹よりも近い気がして、心配だったのだろう。
しかし、ストラウス大公妃イレーネ…アルファードの母親は、ジュリエッタの出自が気に入らなかった。
父親のローランドが二人の仲を祝福したことにより、渋々結婚を許したのだ。
二人は、神殿で華やかで厳かな結婚式を挙げる事になり、その結婚式で最初の奇跡が起こった。
愛と運命の女神クレマンテの像の指先からジュリエッタの腹に向けて、細い糸の様な光が指したのだ。
一年後にその意味を皆が知ることになる。
ジュリエッタは、式から3ヶ月後に身籠り、レスティーナが誕生した。
レスティーナは、白銀の髪に赤い瞳を持って産まれた。
その色は女神の代弁者、分身と呼べる存在で、久しく生まれなかった女神の代弁者に皆、歓喜した。
特に王家は誰よりも喜んだ。
何故なら女神の代弁者が現れた場合、王族に嫁ぐのが慣わしで、当然の如く、レスティーナも生まれた時から王子の婚約者と定められた。
だが、レスティーナの相手は言明されていない。
女神の代弁者が現れた時、その時代の国の繁栄は約束されたも同然だったからだ。
その功績を称えて、アルフォードとジュリエッタには、次代の大公家の継承を約束された。この国では大公家は血による継承で無い為、当代が死去した場合、国に返還しなければならない決まりごとがある。
しかし、その継承権を与えられたことで、ジュリエッタの価値が変わった。大公妃イレーネも嫁を認めざるを得ない状況となった。
先に国領の静養に行った大公夫妻の元に向かう途中、落雷に遭い大木が馬車の方に倒れてきた。
馬車は燃える大木の下敷きとなり、火が燃え移る。
絶望的な光景に周囲も生存は不可能で、助かったとしても全身火傷を負い、虫の息だろうと覚悟を決めていた。
護衛達の決死の救出でアルファード達を馬車から助け出すと、レスティーナの周りには火が避けていた。
とはいえ、長時間馬車の中にいた為、結局夫婦は中毒症状を引き起こして死亡した。
外傷などは見当たらず、美しい姿のまま、大公家に遺体だけがレスティーナと共に帰ることになったのだ。
残された1歳にも満たない赤子の行く末を案じて、最初はレスティーナを王家で育てようと考えていたが、ゲイル・サトラー公爵からの申し出で結局、公爵家に引き取られる事になる。
これに甚く反対のは他でもないイレーネだった。息子夫婦がなくなれば大公家を王家に返還しなければならない。寄る術もないイレーネにとってレスティーナは唯一縋れる存在だったからだ。
レスティーナの後見を務めて、大公家を存続させる。
それがイレーネの望みだった。例え、孫娘が嫌っていた嫁…ジュリエッタに瓜二つであろうとも、そうするしか自分がこれまでと同じ境遇で過ごせる手立ては他になかった。
だが、結果をみればこの時のイレーネの申し出を王家が無下に断った事は愚策の他にならない。
先のことは誰にも分からない…神ともう一人を除いては──。
物語の悲劇は、ここから始まったと言っても過言ではない。
この時の判断が後に禍を引き起こす要因となった事だけは確かである。
何も知らない赤子のレスティーナはゲイルに抱かれて、安らかな寝顔を見せていた。
誰よりも喜んだのは、意外なことにアマンダつまり、義母である現サトラー公爵夫人だ。
彼女からすれば夫であるゲイルとジュリエッタの距離が、義理の従兄妹よりも近い気がして、心配だったのだろう。
しかし、ストラウス大公妃イレーネ…アルファードの母親は、ジュリエッタの出自が気に入らなかった。
父親のローランドが二人の仲を祝福したことにより、渋々結婚を許したのだ。
二人は、神殿で華やかで厳かな結婚式を挙げる事になり、その結婚式で最初の奇跡が起こった。
愛と運命の女神クレマンテの像の指先からジュリエッタの腹に向けて、細い糸の様な光が指したのだ。
一年後にその意味を皆が知ることになる。
ジュリエッタは、式から3ヶ月後に身籠り、レスティーナが誕生した。
レスティーナは、白銀の髪に赤い瞳を持って産まれた。
その色は女神の代弁者、分身と呼べる存在で、久しく生まれなかった女神の代弁者に皆、歓喜した。
特に王家は誰よりも喜んだ。
何故なら女神の代弁者が現れた場合、王族に嫁ぐのが慣わしで、当然の如く、レスティーナも生まれた時から王子の婚約者と定められた。
だが、レスティーナの相手は言明されていない。
女神の代弁者が現れた時、その時代の国の繁栄は約束されたも同然だったからだ。
その功績を称えて、アルフォードとジュリエッタには、次代の大公家の継承を約束された。この国では大公家は血による継承で無い為、当代が死去した場合、国に返還しなければならない決まりごとがある。
しかし、その継承権を与えられたことで、ジュリエッタの価値が変わった。大公妃イレーネも嫁を認めざるを得ない状況となった。
先に国領の静養に行った大公夫妻の元に向かう途中、落雷に遭い大木が馬車の方に倒れてきた。
馬車は燃える大木の下敷きとなり、火が燃え移る。
絶望的な光景に周囲も生存は不可能で、助かったとしても全身火傷を負い、虫の息だろうと覚悟を決めていた。
護衛達の決死の救出でアルファード達を馬車から助け出すと、レスティーナの周りには火が避けていた。
とはいえ、長時間馬車の中にいた為、結局夫婦は中毒症状を引き起こして死亡した。
外傷などは見当たらず、美しい姿のまま、大公家に遺体だけがレスティーナと共に帰ることになったのだ。
残された1歳にも満たない赤子の行く末を案じて、最初はレスティーナを王家で育てようと考えていたが、ゲイル・サトラー公爵からの申し出で結局、公爵家に引き取られる事になる。
これに甚く反対のは他でもないイレーネだった。息子夫婦がなくなれば大公家を王家に返還しなければならない。寄る術もないイレーネにとってレスティーナは唯一縋れる存在だったからだ。
レスティーナの後見を務めて、大公家を存続させる。
それがイレーネの望みだった。例え、孫娘が嫌っていた嫁…ジュリエッタに瓜二つであろうとも、そうするしか自分がこれまでと同じ境遇で過ごせる手立ては他になかった。
だが、結果をみればこの時のイレーネの申し出を王家が無下に断った事は愚策の他にならない。
先のことは誰にも分からない…神ともう一人を除いては──。
物語の悲劇は、ここから始まったと言っても過言ではない。
この時の判断が後に禍を引き起こす要因となった事だけは確かである。
何も知らない赤子のレスティーナはゲイルに抱かれて、安らかな寝顔を見せていた。
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