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1.捨てられた子供達①
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また、目障りな光に包まれる──。
きっとまた彼が石版に触れたのだ。
何度時間を逆行しても結果は同じ……。
何故気付かない?自覚がないのか?その結果を望んでいるのは彼女自身だという事に……。
幾度となく繰り返される日常がどれほど変化しようと変わらないものもある。
それが彼と彼女の関係だ。
始まりは彼が切ってしまった彼女との縁の糸…。
左手に結ばれるという運命の赤い糸を切った段階で、彼女との縁は潰えたのだ。
後は何度繰り返しても結局、最後は別れがあるのみ……。
俺の腕に抱かれながら、白銀の髪をシーツに広げて微睡む彼女を見るのはこれで何度目だろうか──。
彼女はいつも最後に必ず俺の手を取る。それは刷り込み効果の所為なのかもしれないが、そんな事は俺には関係がないことだ。
彼女が生まれてこの公爵家にやってきた時からずっと見守ってきた。
婚約者に冷たくされ落ち込む彼女をどれ程慰めてきたことか──。
俺と彼女は血の繋がった兄妹ではない。
勿論、あの末の頭のネジの緩い妹とも血は繋がっていない。
俺と彼女は養子なのだ。
初めは公爵家に子供がいなかったから大切にされていたと思う。
だが、実子の末娘が生まれると公爵夫妻の歓心は全て末妹に持って行かれた。
当然と言えば当然だが、俺も彼女も王命によって結ばれた養子縁組なのに、かれらはそのことを都合よくきれいさっぱり忘れてしまっていたようだった。
サトラー公爵家には、3人の子供がいる。
しかし、実子は一人だけ……。
マリアンヌ──。
末っ子のマリアンヌだけが公爵夫妻の実子なのだ。
俺カインデルと長女のレスティーナは王命によって公爵家に預けられた子供達。
だから、公爵夫妻が実子であるマリアンヌを溺愛するのは周囲も納得がいくのだろう。
しかし、預けられた子供達は身分から言えば公爵令嬢などより階級が上なのだ。
俺はこの国の第一王子だ。
俺の母親は隣国の王族の血を持つ公爵令嬢であり、前王妃でもあった。俺を産んで直ぐに亡くなった為、この国に後ろ盾がいないままになっている。
強固な後ろ盾もないままの王子であれば当然、俺もを亡き者にしようと企む者や懐柔しようとする輩も出てくる。
その為、父である国王は信ずるに値する臣下に王子である俺を託した。
それがサトラー公爵家だった。
レスティーナもまた憐れな子供であった。
彼女の母親はジュリエッタといい、マロー伯爵の庶子だった。
ジュリエッタの母親は伯爵家に仕える男爵家出身のメイドで、酔った伯爵がメイドに手を付けて生まれた子供だった。
婚外子のジュリエッタは、生まれて直ぐに母親から引き離されて神殿にある修道院に送られた。
それは、伯爵夫人がそうしたからだ。
婿養子の伯爵は夫人に頭が上がらなかった。メイドは子供を産むと何処か遠くの年老いた商人の後妻となった。
ジュリエッタが16才になった年、生誕祭で神殿で祭事を執り行う神子に選ばれた。
彼女は白金の髪に紫の瞳を持った美しい娘に成長していた。
ある日、ジュリエッタに一人の青年が恋をした。
その青年こそレスティーナの父親……ストラウス大公嫡男のアルフォードだった。
何度もジュリエッタに愛を乞うが、身分違いを理由に中々良い返事がもらえない。
そんな時、サトラー公爵家の親類マダガス侯爵家の長女が病死した。
夫人は娘を大層溺愛していて、その死が受けいられなかった。何度も神殿へ祈りを捧げに足を運ぶ内にジュリエッタを見つけた。
どことなく死んだ娘に似ているジュリエッタを養女に迎えたいと言い出した。
侯爵も妻がそれで生きる気力を取り戻すならと納得した。
こうしてジュリエッタはマダガス侯爵令嬢となったのだ。
きっとまた彼が石版に触れたのだ。
何度時間を逆行しても結果は同じ……。
何故気付かない?自覚がないのか?その結果を望んでいるのは彼女自身だという事に……。
幾度となく繰り返される日常がどれほど変化しようと変わらないものもある。
それが彼と彼女の関係だ。
始まりは彼が切ってしまった彼女との縁の糸…。
左手に結ばれるという運命の赤い糸を切った段階で、彼女との縁は潰えたのだ。
後は何度繰り返しても結局、最後は別れがあるのみ……。
俺の腕に抱かれながら、白銀の髪をシーツに広げて微睡む彼女を見るのはこれで何度目だろうか──。
彼女はいつも最後に必ず俺の手を取る。それは刷り込み効果の所為なのかもしれないが、そんな事は俺には関係がないことだ。
彼女が生まれてこの公爵家にやってきた時からずっと見守ってきた。
婚約者に冷たくされ落ち込む彼女をどれ程慰めてきたことか──。
俺と彼女は血の繋がった兄妹ではない。
勿論、あの末の頭のネジの緩い妹とも血は繋がっていない。
俺と彼女は養子なのだ。
初めは公爵家に子供がいなかったから大切にされていたと思う。
だが、実子の末娘が生まれると公爵夫妻の歓心は全て末妹に持って行かれた。
当然と言えば当然だが、俺も彼女も王命によって結ばれた養子縁組なのに、かれらはそのことを都合よくきれいさっぱり忘れてしまっていたようだった。
サトラー公爵家には、3人の子供がいる。
しかし、実子は一人だけ……。
マリアンヌ──。
末っ子のマリアンヌだけが公爵夫妻の実子なのだ。
俺カインデルと長女のレスティーナは王命によって公爵家に預けられた子供達。
だから、公爵夫妻が実子であるマリアンヌを溺愛するのは周囲も納得がいくのだろう。
しかし、預けられた子供達は身分から言えば公爵令嬢などより階級が上なのだ。
俺はこの国の第一王子だ。
俺の母親は隣国の王族の血を持つ公爵令嬢であり、前王妃でもあった。俺を産んで直ぐに亡くなった為、この国に後ろ盾がいないままになっている。
強固な後ろ盾もないままの王子であれば当然、俺もを亡き者にしようと企む者や懐柔しようとする輩も出てくる。
その為、父である国王は信ずるに値する臣下に王子である俺を託した。
それがサトラー公爵家だった。
レスティーナもまた憐れな子供であった。
彼女の母親はジュリエッタといい、マロー伯爵の庶子だった。
ジュリエッタの母親は伯爵家に仕える男爵家出身のメイドで、酔った伯爵がメイドに手を付けて生まれた子供だった。
婚外子のジュリエッタは、生まれて直ぐに母親から引き離されて神殿にある修道院に送られた。
それは、伯爵夫人がそうしたからだ。
婿養子の伯爵は夫人に頭が上がらなかった。メイドは子供を産むと何処か遠くの年老いた商人の後妻となった。
ジュリエッタが16才になった年、生誕祭で神殿で祭事を執り行う神子に選ばれた。
彼女は白金の髪に紫の瞳を持った美しい娘に成長していた。
ある日、ジュリエッタに一人の青年が恋をした。
その青年こそレスティーナの父親……ストラウス大公嫡男のアルフォードだった。
何度もジュリエッタに愛を乞うが、身分違いを理由に中々良い返事がもらえない。
そんな時、サトラー公爵家の親類マダガス侯爵家の長女が病死した。
夫人は娘を大層溺愛していて、その死が受けいられなかった。何度も神殿へ祈りを捧げに足を運ぶ内にジュリエッタを見つけた。
どことなく死んだ娘に似ているジュリエッタを養女に迎えたいと言い出した。
侯爵も妻がそれで生きる気力を取り戻すならと納得した。
こうしてジュリエッタはマダガス侯爵令嬢となったのだ。
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