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コーネリア
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私の名前はコーネリア・オルフェ侯爵令嬢。今は結婚しているから、ギャロット伯爵夫人ね。夫のアレクセイとは、デビュタントの時に知り合ったの。
慣れない靴を履いて靴擦れをおこした私に親切に声をかけて来たのがアレクセイ・ギャロット公爵令息だった。この時はまだ見習い騎士同然で第二騎士団に入団したばかりだが、既に有名人で、御前試合の20才以下の部門では常にアイゼン様と上位を争っている程だったの。若手の期待のホープの彼と偶然知り合って、私達は直ぐに恋に落ちたわ。
御前試合で勝者に贈るオリーブの冠を私に受け取って欲しいと言われた時には、雲の上でも歩いているような感覚だった。騎士からオリーブの冠を受け取ることは求婚を受諾するという暗黙の了承で、騎士達にとっても憧れのプロポーズだった。
忙しい彼との時間はあまり取れなかったけれど、騎士団に差し入れを持って行ったり、自宅の庭でピクニックの真似事をしたわ。彼はとても紳士で決して、口付け以上の事をしてこなかったし、そういう雰囲気になっても顔をそらして耳を赤くした。そんな彼が愛おしかった。私だけが知っている秘密だと思っていた。
早く結婚したいのに、彼からは「まだ早いもう少ししてから」といつもそう返事をもらうばかり。
やっと念願の親衛隊に配属が決まり、しかも王太子殿下の護衛という名誉ある立場になった時
「やっと、きちんと言える。私の妻として生涯を共に歩んでほしい。愛しています。コーネリア」
跪いて、手には薔薇の形を象ったピンクダイヤモンドをはめ込んだ指輪を私の薬指にはめてくれた時の優しい笑顔を一生忘れない。
なのに私達は一大イベントの結婚式を台無しにされたわ。見知らぬ女に……。「彼は違う」「人違いだ」と叫んでいたけど誰の耳にも彼の言葉は届かなかった。勿論、私の頭の中にも入らなかった。ただ、起きている事があまりにも理不尽過ぎて受け入れられない状態、何も考えられなかった。それに彼を疑った自分もいたし、不安な気持ちに拍車がかかってしまった。いつも仕事で忙しい彼を癒しているのは果たして自分なのか?それとも別の誰かなのか分からなくなっていた。
いつも忙しいと言っていたのは本当なの?私の事を愛していると言った口で別の女性にも愛を囁いたの?
嫉妬と疑惑が私の心を支配していく様だった。
彼の婚約者の座を狙っている令嬢は多かったし、夜会等で嫌がらせを受けることも少なくない。そんな日常で彼の心をどうやって繋ぎ止めるか必死な私には冷静さが欠けていたのだと後になって後悔した。
改めて彼と話し合おうとしても家族は絶対にそれを許さなかった。一度、屋敷を抜けて彼の元に行こうとしたら、次の日に無理やり領地に送り込まれ、世間から遮断した鳥籠生活を余儀なくされたわ。使用人達は全員、父である侯爵に絶対の服従をしている人達ばかりで固められ、逃げ出せない様に仕組まれていた。彼との連絡も取れなくなり、半ば諦めかけていた頃に、王都から白い花と新聞、それに待ちに待った彼からの手紙が送られてきた。
手紙には、口下手な彼らしい義務的な内容で今までの経緯が綴られている。そしていつもの言葉で締めくくられていた。
愛しい僕の女神コーネリアへ、世界中の祝福が君に贈られるように願う
私を女神と例えるのは後にも先にも彼だけだ。
もうすぐ彼を貶めた者達への反撃が開始される。私は離れた領地から彼が迎えに来るのを待つしかないのだろうか?
本当にそれでいいの?後悔しない?王都に還って彼を支えなくても…
自問自答しながらまだ迷っていると、父から王都に戻る様に指示があった事を家令が伝えてきた。これでやっと彼の元に還ることが出来るとこの時は漠然と考えていた。浅はかな私は、この後、更なる試練が待ち受けているとも知らずに……。
慣れない靴を履いて靴擦れをおこした私に親切に声をかけて来たのがアレクセイ・ギャロット公爵令息だった。この時はまだ見習い騎士同然で第二騎士団に入団したばかりだが、既に有名人で、御前試合の20才以下の部門では常にアイゼン様と上位を争っている程だったの。若手の期待のホープの彼と偶然知り合って、私達は直ぐに恋に落ちたわ。
御前試合で勝者に贈るオリーブの冠を私に受け取って欲しいと言われた時には、雲の上でも歩いているような感覚だった。騎士からオリーブの冠を受け取ることは求婚を受諾するという暗黙の了承で、騎士達にとっても憧れのプロポーズだった。
忙しい彼との時間はあまり取れなかったけれど、騎士団に差し入れを持って行ったり、自宅の庭でピクニックの真似事をしたわ。彼はとても紳士で決して、口付け以上の事をしてこなかったし、そういう雰囲気になっても顔をそらして耳を赤くした。そんな彼が愛おしかった。私だけが知っている秘密だと思っていた。
早く結婚したいのに、彼からは「まだ早いもう少ししてから」といつもそう返事をもらうばかり。
やっと念願の親衛隊に配属が決まり、しかも王太子殿下の護衛という名誉ある立場になった時
「やっと、きちんと言える。私の妻として生涯を共に歩んでほしい。愛しています。コーネリア」
跪いて、手には薔薇の形を象ったピンクダイヤモンドをはめ込んだ指輪を私の薬指にはめてくれた時の優しい笑顔を一生忘れない。
なのに私達は一大イベントの結婚式を台無しにされたわ。見知らぬ女に……。「彼は違う」「人違いだ」と叫んでいたけど誰の耳にも彼の言葉は届かなかった。勿論、私の頭の中にも入らなかった。ただ、起きている事があまりにも理不尽過ぎて受け入れられない状態、何も考えられなかった。それに彼を疑った自分もいたし、不安な気持ちに拍車がかかってしまった。いつも仕事で忙しい彼を癒しているのは果たして自分なのか?それとも別の誰かなのか分からなくなっていた。
いつも忙しいと言っていたのは本当なの?私の事を愛していると言った口で別の女性にも愛を囁いたの?
嫉妬と疑惑が私の心を支配していく様だった。
彼の婚約者の座を狙っている令嬢は多かったし、夜会等で嫌がらせを受けることも少なくない。そんな日常で彼の心をどうやって繋ぎ止めるか必死な私には冷静さが欠けていたのだと後になって後悔した。
改めて彼と話し合おうとしても家族は絶対にそれを許さなかった。一度、屋敷を抜けて彼の元に行こうとしたら、次の日に無理やり領地に送り込まれ、世間から遮断した鳥籠生活を余儀なくされたわ。使用人達は全員、父である侯爵に絶対の服従をしている人達ばかりで固められ、逃げ出せない様に仕組まれていた。彼との連絡も取れなくなり、半ば諦めかけていた頃に、王都から白い花と新聞、それに待ちに待った彼からの手紙が送られてきた。
手紙には、口下手な彼らしい義務的な内容で今までの経緯が綴られている。そしていつもの言葉で締めくくられていた。
愛しい僕の女神コーネリアへ、世界中の祝福が君に贈られるように願う
私を女神と例えるのは後にも先にも彼だけだ。
もうすぐ彼を貶めた者達への反撃が開始される。私は離れた領地から彼が迎えに来るのを待つしかないのだろうか?
本当にそれでいいの?後悔しない?王都に還って彼を支えなくても…
自問自答しながらまだ迷っていると、父から王都に戻る様に指示があった事を家令が伝えてきた。これでやっと彼の元に還ることが出来るとこの時は漠然と考えていた。浅はかな私は、この後、更なる試練が待ち受けているとも知らずに……。
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