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赤ちゃん
1 皆さんこんにちは!
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(ん?ここはどこだろう?)
ぼんやりとした視界は窓から漏れ出ている光をとらえている。病室での出来事を思い出していくうちにますますここが何処なのか分からなくなっていく。
ーガチャッ
突然ドアノブが回る音がした。あまりにも突然の事で思わず声が出てしまった。
「あうっ!」
すると、自分の口から出てきたと思われる声は、舌が回っていないよく分からない声と言うよりも音だった。
その事に驚いていると、先程入ってきたと思われる人が僕のことを持ち上げた。
(……持ち上げた?!)
「私の可愛い子。あなたのお兄様やお父様に会いに行きましょうね~。」
「あぅあ!」(あなたは誰ですか?!)
やはり意味ある言葉は、出てこない。それどころか僕が思っている心情とは全く関係ない言葉をかけられた。
「元気なお返事が出来ましたね」
女の人…母親だと思われる人は僕を抱えて歩き出した。
しばらく廊下と思われる所を歩いているとすれ違う人から微笑ましい視線と不安そうな視線、そして、僕に対する嫌悪的な視線。
(正直、あまり心地の良い空間では無い。 )
「お父様に会えるのが楽しみですね~」
……母親さん(?)はかなり呑気なようだ。こんなにもあからさまな視線なのに。いや、気づいていない?
そんな視線に包まれながら、しばらくすると、着いたようだ。中には数人の気配がする。
「着きましたよ~……開けなさい 」
(!?)
のほほんとした声色ではなく威厳のある声が聞こえてきてびっくりした。
騎士(?)が扉を開けると皆こっちを向いた。威厳のある男の人が歩いてきた。
「あぁ、愛しいリーリエよ。よくぞ参った!」
「えぇ、ラインハルト様。ごきげんよう。」
僕に関しては何もふれないまるで見えていないとばかりに扱う男の人と、その後ろのリーリエさんに気付かれない程度でしかしはっきりとした敵意を僕に向けているその人達の行動は実に不愉快で居心地が悪い。
「でね、この子のことなんだけど……」
「あぁ!そうだったな。君に夢中で忘れてしまっていた。すまないな。」
(この人、役者になれるんじゃないかな?)
「この子の名は……」
ドタドタという、足音が聞こえてくる。それと同時に初老の男の声と騎士だと思われる男の争う声が聞こえる。
「大神官長様!お止まり下さい!ここは王族の方専用でございます!」
「ええい!やかましい!通せ!」
「何事だ!」
さっきの男が出ていった。
「おぉ!陛下!この度は誠におめでとうございます!」
「ん?何がだ?」
「新たなる皇子の誕生ですよ!」
男が大神官長と呼ばれた者に怒気をはらんだ声で聞き返す。
「なぜ、知っている?」
しかし、それに気づいた様子のない神官長。
「神託が降りました!」
周りにいた者達が息を呑む。それもそうだ、疎ましい存在のはずなのに神がわざわざ気にかけるほどの子を貶す訳には行かないのだから。
その中で2人違う反応を示すものがいた。1人は転生者であるため神託がどれほどの効果を持っているか知らないのだ。もう1人は、神託が降りたことで舞い上がっている神官長である。
「神託だと?皇子が生まれただけでか?」
「はい!それも創造主、自らの信託にございます!」
その言葉にさらに場が静まりかえる。
「神託にはなんと?」
「皇子の御名にございます。神が示せし皇子の御名は、『サビオヴェヒター』。なお、ファーストネームは、両親で考えた愛の籠った最良のものを付けることだそうです。」
神官長が言い終わるのと同時に皇子の体が柔らかな光に包まれた。体の内側から優しい力を感じる。それを感じてすぐ僕は眠りに落ちた。
ぼんやりとした視界は窓から漏れ出ている光をとらえている。病室での出来事を思い出していくうちにますますここが何処なのか分からなくなっていく。
ーガチャッ
突然ドアノブが回る音がした。あまりにも突然の事で思わず声が出てしまった。
「あうっ!」
すると、自分の口から出てきたと思われる声は、舌が回っていないよく分からない声と言うよりも音だった。
その事に驚いていると、先程入ってきたと思われる人が僕のことを持ち上げた。
(……持ち上げた?!)
「私の可愛い子。あなたのお兄様やお父様に会いに行きましょうね~。」
「あぅあ!」(あなたは誰ですか?!)
やはり意味ある言葉は、出てこない。それどころか僕が思っている心情とは全く関係ない言葉をかけられた。
「元気なお返事が出来ましたね」
女の人…母親だと思われる人は僕を抱えて歩き出した。
しばらく廊下と思われる所を歩いているとすれ違う人から微笑ましい視線と不安そうな視線、そして、僕に対する嫌悪的な視線。
(正直、あまり心地の良い空間では無い。 )
「お父様に会えるのが楽しみですね~」
……母親さん(?)はかなり呑気なようだ。こんなにもあからさまな視線なのに。いや、気づいていない?
そんな視線に包まれながら、しばらくすると、着いたようだ。中には数人の気配がする。
「着きましたよ~……開けなさい 」
(!?)
のほほんとした声色ではなく威厳のある声が聞こえてきてびっくりした。
騎士(?)が扉を開けると皆こっちを向いた。威厳のある男の人が歩いてきた。
「あぁ、愛しいリーリエよ。よくぞ参った!」
「えぇ、ラインハルト様。ごきげんよう。」
僕に関しては何もふれないまるで見えていないとばかりに扱う男の人と、その後ろのリーリエさんに気付かれない程度でしかしはっきりとした敵意を僕に向けているその人達の行動は実に不愉快で居心地が悪い。
「でね、この子のことなんだけど……」
「あぁ!そうだったな。君に夢中で忘れてしまっていた。すまないな。」
(この人、役者になれるんじゃないかな?)
「この子の名は……」
ドタドタという、足音が聞こえてくる。それと同時に初老の男の声と騎士だと思われる男の争う声が聞こえる。
「大神官長様!お止まり下さい!ここは王族の方専用でございます!」
「ええい!やかましい!通せ!」
「何事だ!」
さっきの男が出ていった。
「おぉ!陛下!この度は誠におめでとうございます!」
「ん?何がだ?」
「新たなる皇子の誕生ですよ!」
男が大神官長と呼ばれた者に怒気をはらんだ声で聞き返す。
「なぜ、知っている?」
しかし、それに気づいた様子のない神官長。
「神託が降りました!」
周りにいた者達が息を呑む。それもそうだ、疎ましい存在のはずなのに神がわざわざ気にかけるほどの子を貶す訳には行かないのだから。
その中で2人違う反応を示すものがいた。1人は転生者であるため神託がどれほどの効果を持っているか知らないのだ。もう1人は、神託が降りたことで舞い上がっている神官長である。
「神託だと?皇子が生まれただけでか?」
「はい!それも創造主、自らの信託にございます!」
その言葉にさらに場が静まりかえる。
「神託にはなんと?」
「皇子の御名にございます。神が示せし皇子の御名は、『サビオヴェヒター』。なお、ファーストネームは、両親で考えた愛の籠った最良のものを付けることだそうです。」
神官長が言い終わるのと同時に皇子の体が柔らかな光に包まれた。体の内側から優しい力を感じる。それを感じてすぐ僕は眠りに落ちた。
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とても面白いです!
続きを楽しみにしています!