専属【ガイド】になりませんか？！〜異世界で溺愛されました

31.幸せ

「『そして四人は仲良く暮らしましたとさ……』なんて、なるわけないだろ！！！」
　俺はリアムにギルドの休憩室で愚痴ぐちっていた。
　あれから3カ月が経とうとしていた。
　最初の1カ月は地上で過ごすことになり、ギルドで仕事をしつつ、休みの日にはレオンやセオと出かけた。どちらもデートの後はお泊まりコースだ。
　思い出して赤面する……。
「やーらしい！何、思い出してんの？」
　リアムはニヤニヤしていた。
「思い出してないし…！」
「幸せそうで何よりじゃん♪ 何が不満なの？」
　（そう、幸せだ。幸せなんだけども…！！）
「みんな、それぞれヤキモチ焼くみたいで、キスマークとかヤバイんだよ！身が保たない……。」
　机に突っ伏して、ため息をつく。
　「俺からしたら羨ましい悩みだけどなぁ～。みんなに愛されてるってことでしょ？まぁ、俺はジェイだけで十分だけど♪」
「俺、これからどうしたらいいのか、わかんなくなってきた……。」

◇◇◇◇
　
　先月は迎えに来たダニエルと魔界へと行き、魔王様に挨拶あいさつをした。
　病気の進行が早いらしく、ベッドでの挨拶となったが、会ってみると思っていたより若くて驚いた。
　ダニエルが少し歳をとったら、こんな感じかな……よく似ていると思った。
「ダニエルの想い人だと聞いた。これからも、よろしく頼む。」
　魔王だと言うから、怖い人なのかと思っていたが、俺の思い過ごしだったようだ。
「こちらこそ、よろしくお願いします！」
　と、深くお辞儀をした。
　　ダニエルが、「試しに父にガイディングをしてみてほしい。」と言うので、恐おそる恐おそる手を握り気を送った。すると驚いたことに少し顔色が良くなった。
　（病気にも効くなんて聞いたことなかったけど…良かった。）
　「こっちに来た時には度々お願いしたい。」「ダニエルのために、ここに ずっと住んでもいいのだぞ？」と言われたが、返事は濁にごしておいた。
　こうして、魔界ではダニエル……雪夜が仕事の間は本を読んだり、魔王様にガイディングをしたりして過ごし、休みの日は一緒に魔界の視察や遊びに行った。そして夜は抱かれることも多々……。
　（うん、身が保たない！！）

　だけど、愛されるって幸せなことだと思う。
　まだまだ問題は山積みだけど……頑張ろうと思う今日この頃だった────。　　　　　　　　　　　　　完