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プロローグ
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やばい! やばい! やばぁ~い!!
私は今猛烈に焦っている。
仕送りを入れた封筒がどこかに消えてしまって、最近1人暮らしを始めたばかりのアパートで泣きながら探していた。散らかった物で部屋の中は大惨事だ。足の踏み場もない。
「無い! なんでぇ!? 何処ぉ!?」
『本当に無いの?』
「うえ゛え゛ぇ゛~~、お母さんどうしよ~!?」
『そうねぇ……、最低限送るから美緒もバイトやってみなさい』
「っ……、ぅ゛……、う゛ん゛、あ゛い゛がど」
『これが現金だったから良かったものの、クレジットカードとか家の鍵なら本当に困るでしょ? 気を付けなさいね』
「う゛ん゛……」
『まあいつかやらかすんじゃ無いかってお父さんと話してたんだけど』
「ぞん゛な゛~!?」
ううう、お母さんもお父さんも酷い~。
娘がこんなに泣いてるのに! 自業自得だけど!
そんな風に思いながら、お母さんとお父さんの優しさを感じる。
『振り込んどくから頑張りなさいね』
「う゛ん゛……!」
『1人暮らしもきっと良い経験になるから。あ、あと危ないことはしちゃ駄目よ?』
「う゛ん゛」
『大学生になったからこそ分別を付けること。いいわね?』
「も~、分かってるよ~」
『じゃあ頑張りなさい』
「はーい!」
『じゃあね』
「うん、お母さん。またね」
アプリが切れて、お母さんの声が聞えなくなる。
なんとか生きていけると胸をなで下ろして、一安心したところにお母さんから「振り込んどいたわよ」ってメッセージが来た。
お母さんの言うとおり、銀行のアプリを開いて残高を確認すると3万円が振り込まれてる。生きていくのに本当の本当に最低限だった。
お母さんに「ありがとっ!」って返信をした後にスマホをテーブルの上に置く。
食費とスマホ代、光熱費代、水道代……等々でこの3万円は無くなってしまう。
得るのは大変で、簡単に無くなっちゃうのがお金で、私はいとも簡単に仕送りの7万円を失ってしまったのだった……。
「お母さん、お父さんありがと。さて、片付けないと……」
しっちゃかめっちゃかに部屋を探したせいで服やら教科書やらが散乱していてため息が出た。
今思えば、探して片付けて、探して片付けてを繰り返せばこんな目に遭わなかったのにと自重する。これからは冷静になって行動しようと決心した。
そして部屋を片付け始める。綺麗になるのはいつになるのやら…………。
んー、さっぱり!
シャワーを浴びてきて、一応綺麗になった自分の部屋を眺める。
片付けを始めて約2時間、やっと散らかす前の8割くらいまでに戻ったはず。明日も講義があるから適当に切り上げてシャワーを浴びたのが正解だった。これなら友達も呼べる。
6月になったばかりだけど、だんだん気温も高くなってきてるから汗を流せて至福の時間となった。
髪が傷まないようにドライヤーをかけて、空いている右手でスマホを持つ。そして、良いバイトが無いかを調べる。
入学した直後の4月5月は慣れない1人暮らし、新しい人間関係作りとか大学生活に慣れるので精一杯でバタバタしてたけど、最近慣れてきたからバイトを始める良い機会だ。大学生の間に免許も取りたいし。
「(さぁて、何かないかなー)」
バイトを紹介しているホームページの中で、最寄り駅を中心に調べる。
そうだなー……。有るにはあるけど、多すぎて逆に決めきれないません。
飲食関係、スーパー、書店、お弁当作りとかデリバリー……。大学生活に支障がないようして、どんなバイトをしようか悩む。
「……これなんだろう?」
1つ気になるバイトを見つけた。スマホを操作して内容を調べる。
……どうやらとあるメーカーで開発中のアダルトなグッズの試作品のテストをするといったバイトみたいだ。いわゆるテスター、思いついたのはゲームのβテストだった。パズルゲームしか遊んだこと無いから分からないけどきっとそんな感じだろう。
より詳しく閲覧すると、定期的に送られてくるエッチなグッズを使ってみて、その感想をレポートするというのがバイトの内容だった。さてさて、お給料の方は……?
「え゛っ!? 商品1つにつき2万!? 詐欺じゃ無いの!?」
信じられずに思わず大声を上げた。だってそれくらいあり得なかったから。
シャワー上がりなのに変な汗を掻いている自覚がある。でも、落ち着いて調べてみると、超有名な女性用の下着を造っている会社の子会社なのが分かった。私も愛用してる。
上下共に女性の使用感を大切にしてくれて、魅力を引き出してくれる下着で、例え胸が小さくても大きく見せてくれるし、大きな胸でもしっかりと身体を守ってくれて崩れない。
Cカップの平凡な私も着用モデルさんのようにキラキラと輝いているような錯覚を覚えさせてくれて、とても信用できる下着メーカーだ。この下着メーカー以外のブラジャーとショーツを使おうとはもう考えられない。
【世の中の女性をより魅力的に】、これを企業理念に掲げているだけあります。
「家でも出来るんだ……。うん、履歴書履歴書」
バイト内容の項目を見れば見るほど興味が湧いてくる。応募してみて駄目だったら次のバイトを考えよう。
デジタルの履歴書でもエントリー出来るみたいだから、とっくのとうに使い終わったドライヤーの代わりにノートパソコンを広げて操作していく。
ここに来る前、3月中にしていた単発のバイトの応募用に使っていた履歴書のデータを探し出した。これを直していこう。写真もまだ6ヶ月以内のものだから大丈夫だし。
とある映画のワンシーンのように「よろしくおねがいしまーす!!」とでも言いながら履歴書を送ることにしよう、こんな好待遇のアルバイトを見逃すわけにはいかない。
履歴書を送って2日後、あっさりそのアルバイトに採用された。面接も世間話みたいな電話でそこまで対策をしなくても良かったかも。
何でも、幅広い年代の女性からの意見が欲しいと言うことで大規模採用をしている、かつテストを行うのも行わないのも本人の意思らしく、登録制のアルバイトに近かったから採用されたみたいだ。まあ大勢の中の1人ってこと。
羞恥心からか、なかなか大学生からの応募が少ないから助かると電話面接をして下さった本庄ともよさんに大変ありがたがられた。うん頑張ろう。
送られてくる試作品を使って1人でエッチする。その使用感をレポートで提出するというなんと簡単なバイトなのか。……いや、慢心はできない。大規模採用ということは私の価値はそこまで高くないからね、いつクビにされてもおかしくない。
でも、時間もそこまで取られないし、そこそこの大金も稼げるってことで嬉しい。
バイトばかりして単位が取れなかったり、留年するといったことはお金を出してくれているお母さんとお父さんの期待を踏みにじる行為だ。
良い所に就職できるように頑張らないといけないからね。目指せ成績優秀者でコネも貰うんだ!
もう1品目を送って下さったみたいだからどんなものが来るのか緊張反面ドキドキしながら待とう。……道具を使っての1人エッチは初めてだから楽しみだ。
私は今猛烈に焦っている。
仕送りを入れた封筒がどこかに消えてしまって、最近1人暮らしを始めたばかりのアパートで泣きながら探していた。散らかった物で部屋の中は大惨事だ。足の踏み場もない。
「無い! なんでぇ!? 何処ぉ!?」
『本当に無いの?』
「うえ゛え゛ぇ゛~~、お母さんどうしよ~!?」
『そうねぇ……、最低限送るから美緒もバイトやってみなさい』
「っ……、ぅ゛……、う゛ん゛、あ゛い゛がど」
『これが現金だったから良かったものの、クレジットカードとか家の鍵なら本当に困るでしょ? 気を付けなさいね』
「う゛ん゛……」
『まあいつかやらかすんじゃ無いかってお父さんと話してたんだけど』
「ぞん゛な゛~!?」
ううう、お母さんもお父さんも酷い~。
娘がこんなに泣いてるのに! 自業自得だけど!
そんな風に思いながら、お母さんとお父さんの優しさを感じる。
『振り込んどくから頑張りなさいね』
「う゛ん゛……!」
『1人暮らしもきっと良い経験になるから。あ、あと危ないことはしちゃ駄目よ?』
「う゛ん゛」
『大学生になったからこそ分別を付けること。いいわね?』
「も~、分かってるよ~」
『じゃあ頑張りなさい』
「はーい!」
『じゃあね』
「うん、お母さん。またね」
アプリが切れて、お母さんの声が聞えなくなる。
なんとか生きていけると胸をなで下ろして、一安心したところにお母さんから「振り込んどいたわよ」ってメッセージが来た。
お母さんの言うとおり、銀行のアプリを開いて残高を確認すると3万円が振り込まれてる。生きていくのに本当の本当に最低限だった。
お母さんに「ありがとっ!」って返信をした後にスマホをテーブルの上に置く。
食費とスマホ代、光熱費代、水道代……等々でこの3万円は無くなってしまう。
得るのは大変で、簡単に無くなっちゃうのがお金で、私はいとも簡単に仕送りの7万円を失ってしまったのだった……。
「お母さん、お父さんありがと。さて、片付けないと……」
しっちゃかめっちゃかに部屋を探したせいで服やら教科書やらが散乱していてため息が出た。
今思えば、探して片付けて、探して片付けてを繰り返せばこんな目に遭わなかったのにと自重する。これからは冷静になって行動しようと決心した。
そして部屋を片付け始める。綺麗になるのはいつになるのやら…………。
んー、さっぱり!
シャワーを浴びてきて、一応綺麗になった自分の部屋を眺める。
片付けを始めて約2時間、やっと散らかす前の8割くらいまでに戻ったはず。明日も講義があるから適当に切り上げてシャワーを浴びたのが正解だった。これなら友達も呼べる。
6月になったばかりだけど、だんだん気温も高くなってきてるから汗を流せて至福の時間となった。
髪が傷まないようにドライヤーをかけて、空いている右手でスマホを持つ。そして、良いバイトが無いかを調べる。
入学した直後の4月5月は慣れない1人暮らし、新しい人間関係作りとか大学生活に慣れるので精一杯でバタバタしてたけど、最近慣れてきたからバイトを始める良い機会だ。大学生の間に免許も取りたいし。
「(さぁて、何かないかなー)」
バイトを紹介しているホームページの中で、最寄り駅を中心に調べる。
そうだなー……。有るにはあるけど、多すぎて逆に決めきれないません。
飲食関係、スーパー、書店、お弁当作りとかデリバリー……。大学生活に支障がないようして、どんなバイトをしようか悩む。
「……これなんだろう?」
1つ気になるバイトを見つけた。スマホを操作して内容を調べる。
……どうやらとあるメーカーで開発中のアダルトなグッズの試作品のテストをするといったバイトみたいだ。いわゆるテスター、思いついたのはゲームのβテストだった。パズルゲームしか遊んだこと無いから分からないけどきっとそんな感じだろう。
より詳しく閲覧すると、定期的に送られてくるエッチなグッズを使ってみて、その感想をレポートするというのがバイトの内容だった。さてさて、お給料の方は……?
「え゛っ!? 商品1つにつき2万!? 詐欺じゃ無いの!?」
信じられずに思わず大声を上げた。だってそれくらいあり得なかったから。
シャワー上がりなのに変な汗を掻いている自覚がある。でも、落ち着いて調べてみると、超有名な女性用の下着を造っている会社の子会社なのが分かった。私も愛用してる。
上下共に女性の使用感を大切にしてくれて、魅力を引き出してくれる下着で、例え胸が小さくても大きく見せてくれるし、大きな胸でもしっかりと身体を守ってくれて崩れない。
Cカップの平凡な私も着用モデルさんのようにキラキラと輝いているような錯覚を覚えさせてくれて、とても信用できる下着メーカーだ。この下着メーカー以外のブラジャーとショーツを使おうとはもう考えられない。
【世の中の女性をより魅力的に】、これを企業理念に掲げているだけあります。
「家でも出来るんだ……。うん、履歴書履歴書」
バイト内容の項目を見れば見るほど興味が湧いてくる。応募してみて駄目だったら次のバイトを考えよう。
デジタルの履歴書でもエントリー出来るみたいだから、とっくのとうに使い終わったドライヤーの代わりにノートパソコンを広げて操作していく。
ここに来る前、3月中にしていた単発のバイトの応募用に使っていた履歴書のデータを探し出した。これを直していこう。写真もまだ6ヶ月以内のものだから大丈夫だし。
とある映画のワンシーンのように「よろしくおねがいしまーす!!」とでも言いながら履歴書を送ることにしよう、こんな好待遇のアルバイトを見逃すわけにはいかない。
履歴書を送って2日後、あっさりそのアルバイトに採用された。面接も世間話みたいな電話でそこまで対策をしなくても良かったかも。
何でも、幅広い年代の女性からの意見が欲しいと言うことで大規模採用をしている、かつテストを行うのも行わないのも本人の意思らしく、登録制のアルバイトに近かったから採用されたみたいだ。まあ大勢の中の1人ってこと。
羞恥心からか、なかなか大学生からの応募が少ないから助かると電話面接をして下さった本庄ともよさんに大変ありがたがられた。うん頑張ろう。
送られてくる試作品を使って1人でエッチする。その使用感をレポートで提出するというなんと簡単なバイトなのか。……いや、慢心はできない。大規模採用ということは私の価値はそこまで高くないからね、いつクビにされてもおかしくない。
でも、時間もそこまで取られないし、そこそこの大金も稼げるってことで嬉しい。
バイトばかりして単位が取れなかったり、留年するといったことはお金を出してくれているお母さんとお父さんの期待を踏みにじる行為だ。
良い所に就職できるように頑張らないといけないからね。目指せ成績優秀者でコネも貰うんだ!
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