見知らぬ隣人さん

外食2

仕事を終えて帰宅し、食卓に向かい１日の疲れとマイナス思考をビールで、仕事終わりのビールで、そう、キンキンに冷えたビールで流し込むべく、夕方から何も飲まずに頑張って来た。
途中でコーヒーやお茶を飲もうかとも思ったが、明日は休みで、趣味などもなく家に居ることで幸せを感じることは出来るものの大して人生に楽しみのない公介にとっては、アルコール摂取は、唯一の小さな幸せだった。

そういう世間のお父さんも少なくないのではないだろうか。

たが今の三橋家の冷蔵庫には、ビールがなかった。買いに行くのは公介の仕事であり、ケース買いしていていつもストックしていた。しかし、先日の騒動で買い出しに行くのを忘れていた。

由々しき事態である。

というわけで公介は、羽衣音と唯香に外食を提案した。


外で飲む生ビールは、格別に美味い。だが、仕事終わりに誘ってくれる友人も行きつけの店もない。

家族で外食する以外には年に数回の会社の飲み会だけだった。

久しぶりのキンキンに冷やされたグラスに注がれている生中は、公介の心と喉を潤した。