8 / 13
やる気の確認
しおりを挟む日が昇ると今日が王都に居られる最後の日だと言う事を思い出した。
正直ガチャ以外にしたい事は思いつかない。
僕は僕と同室で寝ていたカゲロウを起こした。
「何かやってみたい事とか僕にやって欲しいことは無いか?」
「私が、ですか?」
「そうだ、今から僕たちは戦争に参加する。もしかしたら死ぬかもしれないし怪我をするかもしれない。だからかなえられる内に僕に手助けしてくれる君に恩を返しておきたい」
僕は人をうわべだけで判断する事が出来ない。
だからカゲロウにこんな考えをし、言葉にだしてしまう。
彼女は僕が認めた唯一の味方だからだ。
「いいえ。主に私はまだ何もしていません。それに私は主の能力でございますれば、主が私に恩を感じる必要などどこにもございません」
「だけどお前は生まれたばかりなんだ。なのに僕はそんなお前を戦争に出そうとしている。なら対価を払うべきだ」
「その考えは配下たる私にしてみれば恐縮至極です。それにその考えは配下の思考を鈍らせます。私は主の剣であり盾です。であるのならば私が主に求める物はたった一つ命令です」
「嫌だ! 僕は配下なんて言葉は嫌いだ! お前は僕の盾になる必要なんて絶対にない。それは僕の倫理と目的に反している。僕は矛盾を作る気なんて無い。だからカゲロウ、お前が僕に命令を求めるのなら僕はお前にこう命令しよう。「自由にしろ」と」
「主…… 分かりました私は主の御傍を離れず主の為に行動しましょう。だから盾にはなりませぬ。私は決めました。私の目標は主と共に主の創る世界を見る事です!」
「お前がそれを望むのなら。だから絶対に死ぬことも怪我を負う事も許さないぞ!」
「はい! 主」
『シークレットサービス発動確認。固体名「カゲロウ」ランクアップを開始。適性確認。スキル<風操作>及び<風魔法>を統合進化。スキル<風神>の獲得を確認。ランクアップに伴い物理能力及び魔力を一段階上昇させます。<風化の呪い>を<風化の祝福>に変更します』
僕の脳にそんな言葉が響く。
すると、カゲロウの身体が変化した。
基本的な部分は変わっていないが、2枚だったはずの漆黒の翼が4枚になっていた。
「その姿は……」
「え? 主?」
カゲロウは気が付いていないようだ。
翼を指さす。
するとカゲロウも気が付いたようで声を上げた。
「え!? これは、なんでござる!? 翼が四枚に。それにこの湧き上がるような魔力と気は……それに呪いが上書きされている!? 主、これはなんでござるか!?」
「多分、僕が持ってる恩恵の能力だ……僕も初めて知って驚いてるよ」
「これが主の……では呪いが無くなったのも主の御かげか?」
「僕、というよりかは神の力だけどな」
「感謝するでござる!」
ひと時の放心状態のあと、僕は昨日やりそびれたカゲロウの自己紹介を屋敷の人間にする事にした。
幾何かの使用人にはカゲロウの魔力を感じ取る人間がいたが、みんな恩恵だと言うと納得してくれた。
どうやらリオンが僕に恩恵がある事を皆に話しておいたようだ。
だから、お前自身はどうやって僕に恩恵がある事を知ったんだよ!
朝食や昼食をこの屋敷で貰う決心はつかなかったがカゲロウが無警戒に食べているのを見て、僕も気が抜けた。
なにが「おいしいでござる」か、まあ美味しかったけどな。
その後はリオンと戦況について幾つか質問した。
こっそり情報閲覧をリオンを対象に使ってみたが、鑑定スキルをもっていた。
それと魔力感知スキル。
どちらも勉強や修行で覚える事が出来る物だが、それには数年単位の修行が必要なはずだ。
その他にも幾つかの有用なスキルを持っていた。
まあ、僕と違ってランダムじゃ無かったら、僕もこうするだろうなって構成だ。
その後はカゲロウを連れて魔石集めだ。
ガチャレベルはガチャに吸われた魔石の数に依存するようなので、レベル上げを狙う。
それと小細工も幾つか用意しておきたい。
ちなみに今のカゲロウのステータスだが。
物理能力S
魔力S
スキル <風神><身体強化><抜刀術><刀術><秘剣・朧斬り><手刀術><超加速><天空歩行><鴉の妖術>
装備 天狗の下駄 魔鴉の羽衣
となっている。
それに<風化の祝福>だが無差別だったのが任意になっただけではなく、読んで字のごとく風に化ける事が出来るようになった。
要するに体が気化するのだ。
見せて貰ったが、敏捷力が大きく上がるようだ。
その変わり風化状態では物理攻撃が出来ないらしい。
勿論相手の物理攻撃もすり抜ける。
風は殴れないし斬れないのだ。
ちなみに天狗の下駄は素早さをあげ、魔鴉の羽衣は魔法耐性と熱耐性を持っているようだ。
少しすると魔石もたまって来た。
コンテニューはカゲロウにも適応されるようなので、戦争に向けて10個は持っておこう。
まあ、人間からは魔石が二つ手に入る事が解っているので、必要になるかは不明だが。
適当に5個ずつガチャって残りが10個になるまで引く事にした。
幾つかの小細工を用意して、その日は切り上げた。
戦争が始まるまで、残り3日だ。
0
お気に入りに追加
34
あなたにおすすめの小説
幼馴染みの2人は魔王と勇者〜2人に挟まれて寝た俺は2人の守護者となる〜
海月 結城
ファンタジー
ストーカーが幼馴染みをナイフで殺そうとした所を庇って死んだ俺は、気が付くと異世界に転生していた。だが、目の前に見えるのは生い茂った木々、そして、赤ん坊の鳴き声が3つ。
そんな俺たちが捨てられていたのが孤児院だった。子供は俺たち3人だけ。そんな俺たちが5歳になった時、2人の片目の中に変な紋章が浮かび上がった。1人は悪の化身魔王。もう1人はそれを打ち倒す勇者だった。だけど、2人はそんなことに興味ない。
しかし、世界は2人のことを放って置かない。勇者と魔王が復活した。まだ生まれたばかりと言う事でそれぞれの組織の思惑で2人を手駒にしようと2人に襲いかかる。
けれども俺は知っている。2人の力は強力だ。一度2人が喧嘩した事があったのだが、約半径3kmのクレーターが幾つも出来た事を。俺は、2人が戦わない様に2人を守護するのだ。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
神に同情された転生者物語
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。
すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。
悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。
異世界でネットショッピングをして商いをしました。
ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。
それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。
これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ)
よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m
hotランキング23位(18日11時時点)
本当にありがとうございます
誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる