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やる気の確認

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 日が昇ると今日が王都に居られる最後の日だと言う事を思い出した。
 正直ガチャ以外にしたい事は思いつかない。
 僕は僕と同室で寝ていたカゲロウを起こした。

「何かやってみたい事とか僕にやって欲しいことは無いか?」

「私が、ですか?」

「そうだ、今から僕たちは戦争に参加する。もしかしたら死ぬかもしれないし怪我をするかもしれない。だからかなえられる内に僕に手助けしてくれる君に恩を返しておきたい」

 僕は人をうわべだけで判断する事が出来ない。
 だからカゲロウにこんな考えをし、言葉にだしてしまう。
 彼女は僕が認めた唯一の味方だからだ。

「いいえ。主に私はまだ何もしていません。それに私は主の能力でございますれば、主が私に恩を感じる必要などどこにもございません」

「だけどお前は生まれたばかりなんだ。なのに僕はそんなお前を戦争に出そうとしている。なら対価を払うべきだ」

「その考えは配下たる私にしてみれば恐縮至極です。それにその考えは配下の思考を鈍らせます。私は主の剣であり盾です。であるのならば私が主に求める物はたった一つ命令です」

「嫌だ! 僕は配下なんて言葉は嫌いだ! お前は僕の盾になる必要なんて絶対にない。それは僕の倫理と目的に反している。僕は矛盾を作る気なんて無い。だからカゲロウ、お前が僕に命令を求めるのなら僕はお前にこう命令しよう。「自由にしろ」と」

「主…… 分かりました私は主の御傍を離れず主の為に行動しましょう。だから盾にはなりませぬ。私は決めました。私の目標は主と共に主の創る世界を見る事です!」

「お前がそれを望むのなら。だから絶対に死ぬことも怪我を負う事も許さないぞ!」

「はい! 主」

『シークレットサービス発動確認。固体名「カゲロウ」ランクアップを開始。適性確認。スキル<風操作>及び<風魔法>を統合進化。スキル<風神>の獲得を確認。ランクアップに伴い物理能力及び魔力を一段階上昇させます。<風化の呪い>を<風化の祝福>に変更します』

 僕の脳にそんな言葉が響く。
 すると、カゲロウの身体が変化した。
 基本的な部分は変わっていないが、2枚だったはずの漆黒の翼が4枚になっていた。

「その姿は……」

「え? 主?」

 カゲロウは気が付いていないようだ。
 翼を指さす。
 するとカゲロウも気が付いたようで声を上げた。

「え!? これは、なんでござる!? 翼が四枚に。それにこの湧き上がるような魔力と気は……それに呪いが上書きされている!? 主、これはなんでござるか!?」

「多分、僕が持ってる恩恵の能力だ……僕も初めて知って驚いてるよ」

「これが主の……では呪いが無くなったのも主の御かげか?」

「僕、というよりかは神の力だけどな」

「感謝するでござる!」



 ひと時の放心状態のあと、僕は昨日やりそびれたカゲロウの自己紹介を屋敷の人間にする事にした。
 幾何かの使用人にはカゲロウの魔力を感じ取る人間がいたが、みんな恩恵だと言うと納得してくれた。
 どうやらリオンが僕に恩恵がある事を皆に話しておいたようだ。
 だから、お前自身はどうやって僕に恩恵がある事を知ったんだよ!

 朝食や昼食をこの屋敷で貰う決心はつかなかったがカゲロウが無警戒に食べているのを見て、僕も気が抜けた。
 なにが「おいしいでござる」か、まあ美味しかったけどな。
 その後はリオンと戦況について幾つか質問した。
 こっそり情報閲覧をリオンを対象に使ってみたが、鑑定スキルをもっていた。
 それと魔力感知スキル。
 どちらも勉強や修行で覚える事が出来る物だが、それには数年単位の修行が必要なはずだ。
 その他にも幾つかの有用なスキルを持っていた。
 まあ、僕と違ってランダムじゃ無かったら、僕もこうするだろうなって構成だ。

 その後はカゲロウを連れて魔石集めだ。
 ガチャレベルはガチャに吸われた魔石の数に依存するようなので、レベル上げを狙う。
 それと小細工も幾つか用意しておきたい。
 ちなみに今のカゲロウのステータスだが。

 物理能力S
 魔力S

 スキル <風神><身体強化><抜刀術><刀術><秘剣・朧斬り><手刀術><超加速><天空歩行><鴉の妖術>

 装備 天狗の下駄 魔鴉の羽衣

 となっている。
 それに<風化の祝福>だが無差別だったのが任意になっただけではなく、読んで字のごとく風に化ける事が出来るようになった。
 要するに体が気化するのだ。
 見せて貰ったが、敏捷力が大きく上がるようだ。
 その変わり風化状態では物理攻撃が出来ないらしい。
 勿論相手の物理攻撃もすり抜ける。
 風は殴れないし斬れないのだ。
 ちなみに天狗の下駄は素早さをあげ、魔鴉の羽衣は魔法耐性と熱耐性を持っているようだ。

 少しすると魔石もたまって来た。
 コンテニューはカゲロウにも適応されるようなので、戦争に向けて10個は持っておこう。
 まあ、人間からは魔石が二つ手に入る事が解っているので、必要になるかは不明だが。
 適当に5個ずつガチャって残りが10個になるまで引く事にした。

 幾つかの小細工を用意して、その日は切り上げた。
 戦争が始まるまで、残り3日だ。
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