上 下
163 / 241
第4章『猫耳貴族を復興させる事にした』

姫のアドバイスと鬼の眼光

しおりを挟む
「ふむ…では最近ご無沙汰なのかの…」
「まったく…こんなに可愛らしい女性を娶っておきながら勿体無いないのぅ…」
クロウディアはそう言ってアルカを哀れむ

「…まぁまったく無いと言えば嘘になりますが」
「ですが…最近家族が増えてきたので…私は遠慮しているのです…」
アルカがそう言うとクロウディアは馬車の床を激しく音を立てて立ち上がりアルカの手を取る

「引いてはダメじゃ!」
「色恋というのはのぅ、押して押して押しまくるのじゃ!」
「自分こそがNo.1じゃとユートに教えてやるなじゃ!」
クロウディアのその言葉にアルカは目を輝かせて聞き入ってしまう

「なる程…それでは今夜辺りにでも!」
アルカがそこまで行った時にクロウディアが後から頭にチョップが炸裂する

「クロウディア、人の嫁になに吹き込んでんだ」
ユートはそう言ってもう一撃クロウディアに叩き込む

「痛いのじゃ!もうちょっと慈悲の心を持たんか!」
クロウディアはやられた箇所を手で抑えている

「ユート、一体どこに行ってたの?何も言わずに行くから心配して…」
アルカはそこまで言って急に黙ってしまう
その理由がユートの後ろにいる男女に見覚えがあるからだ

「久しぶりネ、アナタ昔から変わてないヨ」
ゼロはそう言ってアルカの全身をマジマジと見つめる

「あぁ~…確かシャウラに氷漬けにされてた子猫ちゃんね…」
「良く見ると…とても美味しそ…」
パサルはそう言って一瞬の内にアルカの目の前まで移動して手を掴み指と指の間に絡ませる
舌を出して今にも捕食しそうな勢いであった

「パサル!お前も何やってんだ!」
ユートはそう言ってスグにパサルとアルカを遠ざけてパサルを無限収納アイテムボックスの中から荒縄を取り出してグルグルに巻き付ける

「お前はニュクスに着くまで大人しくしてろ!」
ユートはそう言って巻き付けたパサルを馬車の端の方に置いておく

「え~離して~どうせならもっと緩くして~」
パサルはジタバタと暴れて縄を解こうとする
見かねたユートはパサルに『安らかに眠れスリープタイム』をかけて寝かせる

「まったく…」
ユートはそう呟いてソファーに座り込み一息つく

アルカは先程のアドバイスを活かそうとユートの隣に移動する
そして、さり気なくユートの肩にもたれかかり瞼を閉じる

「な…アルカ…」
ユートは甘えるアルカに困惑して離れようとすると止められる

「ユート…嫌…ですか?」
上目遣いで優しく呟くその姿勢にユートは心を打たれてアルカをそのままにした


ここからニュクスの街まで最短でも馬車の速さでは三日掛かる為、道中の街で休息を取りながら行く事となった

夜になりそろそろ寝ようという事になった
だが…立ち寄った街の宿屋には人数分の部屋が用意出来ないと言われたので仕方なく二部屋用意してもらった

男部屋と女部屋という訳で部屋を借りた筈が…
ユートがいる部屋にアルカとパサルとクロウディアという偏った面子になってしまっていた

「おかしいだろ!」
ユートがそう三人に突っ込むが三人は何言ってんの?と言った具合の顔をしてユートを見つめる

「人数は3:4でバランスが良いではないかの?何が問題じゃ?」
クロウディアは冷静にユートに諭すとさっさと部屋に入ってしまった

「なぁゼロ、俺と部屋交換しないか?」
ゼロはそう言われて了承しようとしたら…
ユートの背後にいる二人に鬼を殺す勢いの眼光で睨まれてユートの提案を拒否せざるを得なかったら

「すまないヨ…まだワタシ死にたくないネ」
ゼロとオウミはそう言い残してユートに一礼して部屋に入っていった

「ユートちゃん…今夜は寝かさないわよ~」
「ユート…私も…頑張るから…ね?」
ユートはアルカとパサルの二人がかりで押さえ付けられて部屋に引きずられていった
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

【完結】もうやめましょう。あなたが愛しているのはその人です

堀 和三盆
恋愛
「それじゃあ、ちょっと番に会いに行ってくるから。ええと帰りは……7日後、かな…」  申し訳なさそうに眉を下げながら。  でも、どこかいそいそと浮足立った様子でそう言ってくる夫に対し、 「行ってらっしゃい、気を付けて。番さんによろしくね!」  別にどうってことがないような顔をして。そんな夫を元気に送り出すアナリーズ。  獣人であるアナリーズの夫――ジョイが魂の伴侶とも言える番に出会ってしまった以上、この先もアナリーズと夫婦関係を続けるためには、彼がある程度の時間を番の女性と共に過ごす必要があるのだ。 『別に性的な接触は必要ないし、獣人としての本能を抑えるために、番と二人で一定時間楽しく過ごすだけ』 『だから浮気とは違うし、この先も夫婦としてやっていくためにはどうしても必要なこと』  ――そんな説明を受けてからもうずいぶんと経つ。  だから夫のジョイは一カ月に一度、仕事ついでに番の女性と会うために出かけるのだ……妻であるアナリーズをこの家に残して。  夫であるジョイを愛しているから。  必ず自分の元へと帰ってきて欲しいから。  アナリーズはそれを受け入れて、今日も番の元へと向かう夫を送り出す。  顔には飛び切りの笑顔を張り付けて。  夫の背中を見送る度に、自分の内側がズタズタに引き裂かれていく痛みには気付かぬふりをして――――――。 

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

パーティーから追放され婚約者を寝取られ家から勘当、の三拍子揃った元貴族は、いずれ竜をも倒す大英雄へ ~もはやマイナスからの成り上がり英雄譚~

一条おかゆ
ファンタジー
貴族の青年、イオは冒険者パーティーの中衛。 彼はレベルの低さゆえにパーティーを追放され、さらに婚約者を寝取られ、家からも追放されてしまう。 全てを失って悲しみに打ちひしがれるイオだったが、騎士学校時代の同級生、ベガに拾われる。 「──イオを勧誘しにきたんだ」 ベガと二人で新たなパーティーを組んだイオ。 ダンジョンへと向かい、そこで自身の本当の才能──『対人能力』に気が付いた。 そして心機一転。 「前よりも強いパーティーを作って、前よりも良い婚約者を貰って、前よりも格の高い家の者となる」 今までの全てを見返すことを目標に、彼は成り上がることを決意する。 これは、そんな英雄譚。

処理中です...