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第3章『双子の少女を救出する事にした』
孤独死と四賢者
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「アハハ!ここで皆死ぬのよ!素敵でしょ?」
アンナはこの盤面にて最良にして最悪な手を繰り出す
この世界を自分ごと消滅させる…選択としては良いと思う…だが…
「お前…死ぬのが怖くないのか?」
他者から殺されるのならば覚悟はいらない
しかし、自分から死を選ぶというのは相当な覚悟と自棄の心が無ければ成しえない
「怖くないか?怖いよ…あんな思いは嫌…どんどん自分の体温が下がっていくのがハッキリと解るの…そして今まで生きてきた道筋が全て脳裏から呼び起こされる…楽しかった思い出も…嫌な思い出も…」
「でも…でもね…不思議と心地が良いの…あの時とは違う…みんないる…1人じゃない!死ぬのなんて怖くない!」
アンナはもう壊れたのだろう
先程からずっと狂気の笑いが収まる気配がなく血の涙を流している
「そうか…まぁ死ぬのはお前だけだ、俺達は帰らせてもらうぜ」
この世界に来てから使えなかったあれが絵本が破かれた事によって能力の強制力は消え使える様になった
「『別次元へ誘う扉』じゃあなアンナ、この世界で達者に生きろよ」
この魔法は今いる世界とは違う世界へと移動する魔法だ
ここは絵本の世界…つまりアルカ達がいる世界とは違う世界な為移動可能という訳だ
「行くぞマッドハッター!…ハートの女王も連れてくるなら連れて来い!」
俺は二人の手を引き時空の裂け目に入る
「『Arrivederci』この言葉をお前に贈るぜアンナ」
俺、マッドハッター、ハートの女王、クローノは時空の裂け目に消えていった
一人残されたアンナは呆然と立ち尽くす
「はは…みんないなくなっちゃった…」
アンナは手に持っている引き裂いた絵本を床に叩きつける
「なんで…何でよ!何でみんな私の前から消えるの!パパとママも私をあの館に置いて消えていった!いい子にしてたのに…私…いい子にしてたのに…私を1人にしないでよ…」
アンナは床に膝を抱えて座り込む
「誰でも良いから…私のそばに居てよ…」
地震が続く中アンナは…死を待つのみとなった
孤独死…それが星の数ほどある死の中で一番残酷で悲しい死である…
「もう人を困らせる真似はしないか?」
どこかから声が聞こえてくる
「うん…もう人を困らせたり悪い事はしません…」
アンナは顔を上げず聞こえてきた声に答える
「それじゃあお仕置きはこれで終わりだ」
その声が聞こえた瞬間、ピタリと地震が止む
アンナが顔を上げるとそこにはユートの顔があった
「涙で可愛い顔が台無しだぜ、ほら拭いてやるよ」
俺は自らの服を1部破り『錬成士』を使いハンカチを錬成する
『錬成士』
商業神の加護の恩恵スキルの一つ
このスキルは魔力が込められた物を錬成するには魔法効果付与のスキルも必要になるが、普通の魔力が込められてない道具ならば錬成前の元素が少なくても、錬成前の元素が含まれていれば何でも錬成可能
但し、元の元素が作った物とかけ離れていたら一定時間が経ったら錬成前の物質に戻る
「でも…あなたは私をこの世界に置いて行ったんじゃ…」
「あぁ、お前に贈った言葉の意味を知らないのか?」
「『Arrivederci』意味はまた会いましょうだぜ」
「だけど流石に全部許すのはいけないと思ったので反省してもらう為に『精神操作』を使って幻覚を見てもらったわけだ」
俺が指を弾くと周りの景色がガラリと変わる
そこは絵本の世界に入る前にいた大きな図書室であった
アンナは辺りを見渡した後
「ひぐっ…うわぁぁぁぁぁん」
大きな声で泣いた
「主様が女の子を泣かした…主様は女を泣かせるのが上手いのぉ」
クローノはクスクスと笑いを堪えきれずに笑い出す
俺はクローノの頭を掴み
「何か言ったか?クローノ」
「す…すまぬ…じゃから手をどけてくれんか…頭がが」
クローノは白目を向いて気絶する
ちょっとやりすぎた感が否めないが…良しとしよう
「ユート君は大人気ないなぁ」
おぉ…もう1人いたかぁ
俺は手の関節をゴキゴキと鳴らす
「これ!妾の夫に何をする気じゃ無礼者!」
ハートの女王…なのか?
あの悪趣味なドレスは消え誰もが振り返る様な美人がそこにいた
「お前誰だよ」
「なんじゃこの男は!無礼にも程があるのじゃ!妾の名を覚えておくが良い!」
「妾の名は『クロウディア=マクナヴェール』この男の妻じゃ」
ハートの女王…改めクロウディアはマッドハッターに抱きつく
「もう言っても良いかな」
「私は『シオン=マグナヴェール』巷で噂の四賢者の一人さ」
なん…だと……
「さてと…ソプラノさん終わったよ」
シオンが天に向かって叫ぶ
『お疲れ様~いや~楽しかったよ、でもあの終幕は神様の僕も予想外だったぜ』
天から光が舞い降りてそこから一人の女性が姿を現す
その女は商業神の名を持つ女神『ソプラノ』であった
「お前…何でこっちの世界に、そもそも合格者って何の事だ」
俺はソプラノに詰め寄る
「まぁまぁ落ち着いてそういう所もちゃんと説明してやるからさ」
アンナはこの盤面にて最良にして最悪な手を繰り出す
この世界を自分ごと消滅させる…選択としては良いと思う…だが…
「お前…死ぬのが怖くないのか?」
他者から殺されるのならば覚悟はいらない
しかし、自分から死を選ぶというのは相当な覚悟と自棄の心が無ければ成しえない
「怖くないか?怖いよ…あんな思いは嫌…どんどん自分の体温が下がっていくのがハッキリと解るの…そして今まで生きてきた道筋が全て脳裏から呼び起こされる…楽しかった思い出も…嫌な思い出も…」
「でも…でもね…不思議と心地が良いの…あの時とは違う…みんないる…1人じゃない!死ぬのなんて怖くない!」
アンナはもう壊れたのだろう
先程からずっと狂気の笑いが収まる気配がなく血の涙を流している
「そうか…まぁ死ぬのはお前だけだ、俺達は帰らせてもらうぜ」
この世界に来てから使えなかったあれが絵本が破かれた事によって能力の強制力は消え使える様になった
「『別次元へ誘う扉』じゃあなアンナ、この世界で達者に生きろよ」
この魔法は今いる世界とは違う世界へと移動する魔法だ
ここは絵本の世界…つまりアルカ達がいる世界とは違う世界な為移動可能という訳だ
「行くぞマッドハッター!…ハートの女王も連れてくるなら連れて来い!」
俺は二人の手を引き時空の裂け目に入る
「『Arrivederci』この言葉をお前に贈るぜアンナ」
俺、マッドハッター、ハートの女王、クローノは時空の裂け目に消えていった
一人残されたアンナは呆然と立ち尽くす
「はは…みんないなくなっちゃった…」
アンナは手に持っている引き裂いた絵本を床に叩きつける
「なんで…何でよ!何でみんな私の前から消えるの!パパとママも私をあの館に置いて消えていった!いい子にしてたのに…私…いい子にしてたのに…私を1人にしないでよ…」
アンナは床に膝を抱えて座り込む
「誰でも良いから…私のそばに居てよ…」
地震が続く中アンナは…死を待つのみとなった
孤独死…それが星の数ほどある死の中で一番残酷で悲しい死である…
「もう人を困らせる真似はしないか?」
どこかから声が聞こえてくる
「うん…もう人を困らせたり悪い事はしません…」
アンナは顔を上げず聞こえてきた声に答える
「それじゃあお仕置きはこれで終わりだ」
その声が聞こえた瞬間、ピタリと地震が止む
アンナが顔を上げるとそこにはユートの顔があった
「涙で可愛い顔が台無しだぜ、ほら拭いてやるよ」
俺は自らの服を1部破り『錬成士』を使いハンカチを錬成する
『錬成士』
商業神の加護の恩恵スキルの一つ
このスキルは魔力が込められた物を錬成するには魔法効果付与のスキルも必要になるが、普通の魔力が込められてない道具ならば錬成前の元素が少なくても、錬成前の元素が含まれていれば何でも錬成可能
但し、元の元素が作った物とかけ離れていたら一定時間が経ったら錬成前の物質に戻る
「でも…あなたは私をこの世界に置いて行ったんじゃ…」
「あぁ、お前に贈った言葉の意味を知らないのか?」
「『Arrivederci』意味はまた会いましょうだぜ」
「だけど流石に全部許すのはいけないと思ったので反省してもらう為に『精神操作』を使って幻覚を見てもらったわけだ」
俺が指を弾くと周りの景色がガラリと変わる
そこは絵本の世界に入る前にいた大きな図書室であった
アンナは辺りを見渡した後
「ひぐっ…うわぁぁぁぁぁん」
大きな声で泣いた
「主様が女の子を泣かした…主様は女を泣かせるのが上手いのぉ」
クローノはクスクスと笑いを堪えきれずに笑い出す
俺はクローノの頭を掴み
「何か言ったか?クローノ」
「す…すまぬ…じゃから手をどけてくれんか…頭がが」
クローノは白目を向いて気絶する
ちょっとやりすぎた感が否めないが…良しとしよう
「ユート君は大人気ないなぁ」
おぉ…もう1人いたかぁ
俺は手の関節をゴキゴキと鳴らす
「これ!妾の夫に何をする気じゃ無礼者!」
ハートの女王…なのか?
あの悪趣味なドレスは消え誰もが振り返る様な美人がそこにいた
「お前誰だよ」
「なんじゃこの男は!無礼にも程があるのじゃ!妾の名を覚えておくが良い!」
「妾の名は『クロウディア=マクナヴェール』この男の妻じゃ」
ハートの女王…改めクロウディアはマッドハッターに抱きつく
「もう言っても良いかな」
「私は『シオン=マグナヴェール』巷で噂の四賢者の一人さ」
なん…だと……
「さてと…ソプラノさん終わったよ」
シオンが天に向かって叫ぶ
『お疲れ様~いや~楽しかったよ、でもあの終幕は神様の僕も予想外だったぜ』
天から光が舞い降りてそこから一人の女性が姿を現す
その女は商業神の名を持つ女神『ソプラノ』であった
「お前…何でこっちの世界に、そもそも合格者って何の事だ」
俺はソプラノに詰め寄る
「まぁまぁ落ち着いてそういう所もちゃんと説明してやるからさ」
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