冴えないオジサンと居候の精霊

■以下、本文

あまりに唐突だが、僕、竹下の自宅に精霊が居候している。
その精霊との出会いは、かなり古く長い付き合いで、どこでどのように出会ったかまでは、はっきりと覚えていない。

なぜ、精霊なのかというと、初対面の頃、その得体の知れないものに対して、

「何者だ？」

と、尋ねたところ、

「精霊と答えることにしている」

と答えたからである。
以降、その存在は、「精霊さん」と呼ぼうとした。
しかし、それだと、例えば、僕が「竹下です」ではなく、「人です」と名乗るくらい括りが大きすぎて、不都合らしい。

どうしようかと、悩んでいたところ、同じような存在で幼馴染の「坂東さん」が、現れた。
この方については、もっと付き合いが古く、幼少のころから、当たり前に居た。
だから、もはや、空気のように居て当たり前の存在となっていた。

精霊と付き合うこと自体が、特異であり、奇跡的にもかかわらず、ここでは、なんと2柱も存在することとなったのである。
精霊は、本来「柱」という単位である。

しかし、その後いろいろな経緯があって、ここでは、「名」という単位で数えることとなった。