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ヤンデレ覚醒
皇女様の涙
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二度目の軌跡を願って命を粗末に扱うなど、待兼紗霧として前世の記憶を持つ彼女には、考えられないのだろう。
「奇跡は、一度しか起きないから奇跡って言うんだよ。皇帝を始末する為に、相打ちしようとか考えないで。ハレルヤが死んだら、私は迷わず後を追うからね」
「俺がいなくなっても、今なら一人で幸せになれるんじゃねぇの?実の姉がいて、ムースがいる。キサネは一人じゃねぇだろ」
「ハレルヤがいない世界になんて……なんの価値もないよ……」
皇女様にとって、一番大切な存在は俺らしい。
一番がいなくなったら、二番や三番目の大切に愛してもらった所で、満たされないのだろう。皇女様は、俺じゃなきゃ嫌なのだ。それは嬉しくもあり、危険でもある。
依存、だよな……。
好きとか愛しているを通り越して、皇女様は俺に依存している。
今までずっとベタベタくっついて、離れるのを嫌がってたからな。
なんの疑問もねぇけど、このままは絶対によくない。
ベタベタされんのは嫌いじゃねぇし、俺は魔界で一番権力を持ってる魔王だ。
魔王をぶち殺せる光の魔剣を持った勇者でも現れない限りは、命を狙われることもないんさろうけどさ。
やっぱ、俺が死んでも……皇女には、生きてほしいんだよ。
それってそんなに、難しいことか?
「正晴くんは、無責任なことばっかり口にする。私の幸せを思うのなら、生きることを諦めないでよ。死にもの狂いで抗って。運命を受け入れるなんて──絶対に許さないんだから」
「わかった。わかったから、落ち着けって……」
「全然わかってないよ!」
皇女様の瞳からは、大量の涙がこぼれ落ちる。
ぽつ、ぽつ、と。
こぼれ落ちた大粒の涙はシーツにシミを作り、俺は胸が締め付けられる思いがした。
待兼と皇女様の涙に、俺は弱いんだよなぁ……。
「ごめんな」
「許さない」
「泣くなよ。キサネは笑顔が、一番かわいいだろ」
「絶対許せない……っ。ハレルヤは、私とずっと一緒に暮らすの!誰にも邪魔なんてさせない!ずっと一緒にいてよ!他の女に目移りなんかしないで!私だけを見て!」
「わかったから……。ほら。約束する。これでいいだろ?」
「全然、よくない……」
俺は皇女様の握りしめた手を強引に力ずくで開くと、小指同士を絡めて指切りをした。
約束破ったら、針千本飲ます、なんて冗談があったアレだ。
皇女様の前じゃ、冗談では済まされなくなるかもしれねぇけど。
「ハレルヤが正晴くんなんだって思ったら、すごく不安になった……」
「そんなに斎藤正晴は、待兼にとって頼りなかったのかよ」
「正晴くんは、私がしてほしくないことばっかりするから……」
「……待兼を残して死んだことは、さんざん謝ったろ。俺にどうしろって言うんだよ……」
「申し訳ないと思うなら、私にたくさんの愛を注いで」
「わかった」
俺は皇女様が好きだ。
前世愛した人間と同一人物だって知れば、ますます愛おしくなるってもんだろ?
皇女様のかわいいおねだりを聞いた俺は、皇女様を胸へ引き寄せ抱きしめる。
離れないように、強く。
「ハレルヤがいなくなったら、私。世界を滅ぼしてから死ぬ」
「怖いこと言うなよ……」
「私は本気だから。誰にも邪魔させないでね。私達のこと祝福できない奴らは、皆死ねば良い……」
泣きつかれたのか、暖かなぬくもりに包まれたことで眠くなったのだろうか。
皇女様は瞼を閉じては開いてを繰り返すようになった。
まだまだ話足りないと不満そうだが、眠気に抗う必要はないだろ。
俺たちには、山程時間があるからな。
「疲れたろ、キサネ。また明日にしよう」
「明日、目が覚めたら。全部忘れてたなんて……やだよ……?」
「大丈夫だ。全部覚えてる」
「……うん……」
皇女様が待兼だってことは、忘れたくても忘れちゃいけねえ。
俺はこれからも、過去を背負って生きていかなきゃなんねぇからな。
「お休み、キサネ」
「……おやすみなさい。正晴くん……」
こりゃ、皇女様が俺を正晴と呼ばないようになるまでは、かなりの時間を要しそうだな。
俺は苦笑いを浮かべ、夢の中へ意識を手放した。
「奇跡は、一度しか起きないから奇跡って言うんだよ。皇帝を始末する為に、相打ちしようとか考えないで。ハレルヤが死んだら、私は迷わず後を追うからね」
「俺がいなくなっても、今なら一人で幸せになれるんじゃねぇの?実の姉がいて、ムースがいる。キサネは一人じゃねぇだろ」
「ハレルヤがいない世界になんて……なんの価値もないよ……」
皇女様にとって、一番大切な存在は俺らしい。
一番がいなくなったら、二番や三番目の大切に愛してもらった所で、満たされないのだろう。皇女様は、俺じゃなきゃ嫌なのだ。それは嬉しくもあり、危険でもある。
依存、だよな……。
好きとか愛しているを通り越して、皇女様は俺に依存している。
今までずっとベタベタくっついて、離れるのを嫌がってたからな。
なんの疑問もねぇけど、このままは絶対によくない。
ベタベタされんのは嫌いじゃねぇし、俺は魔界で一番権力を持ってる魔王だ。
魔王をぶち殺せる光の魔剣を持った勇者でも現れない限りは、命を狙われることもないんさろうけどさ。
やっぱ、俺が死んでも……皇女には、生きてほしいんだよ。
それってそんなに、難しいことか?
「正晴くんは、無責任なことばっかり口にする。私の幸せを思うのなら、生きることを諦めないでよ。死にもの狂いで抗って。運命を受け入れるなんて──絶対に許さないんだから」
「わかった。わかったから、落ち着けって……」
「全然わかってないよ!」
皇女様の瞳からは、大量の涙がこぼれ落ちる。
ぽつ、ぽつ、と。
こぼれ落ちた大粒の涙はシーツにシミを作り、俺は胸が締め付けられる思いがした。
待兼と皇女様の涙に、俺は弱いんだよなぁ……。
「ごめんな」
「許さない」
「泣くなよ。キサネは笑顔が、一番かわいいだろ」
「絶対許せない……っ。ハレルヤは、私とずっと一緒に暮らすの!誰にも邪魔なんてさせない!ずっと一緒にいてよ!他の女に目移りなんかしないで!私だけを見て!」
「わかったから……。ほら。約束する。これでいいだろ?」
「全然、よくない……」
俺は皇女様の握りしめた手を強引に力ずくで開くと、小指同士を絡めて指切りをした。
約束破ったら、針千本飲ます、なんて冗談があったアレだ。
皇女様の前じゃ、冗談では済まされなくなるかもしれねぇけど。
「ハレルヤが正晴くんなんだって思ったら、すごく不安になった……」
「そんなに斎藤正晴は、待兼にとって頼りなかったのかよ」
「正晴くんは、私がしてほしくないことばっかりするから……」
「……待兼を残して死んだことは、さんざん謝ったろ。俺にどうしろって言うんだよ……」
「申し訳ないと思うなら、私にたくさんの愛を注いで」
「わかった」
俺は皇女様が好きだ。
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皇女様のかわいいおねだりを聞いた俺は、皇女様を胸へ引き寄せ抱きしめる。
離れないように、強く。
「ハレルヤがいなくなったら、私。世界を滅ぼしてから死ぬ」
「怖いこと言うなよ……」
「私は本気だから。誰にも邪魔させないでね。私達のこと祝福できない奴らは、皆死ねば良い……」
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「……うん……」
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俺はこれからも、過去を背負って生きていかなきゃなんねぇからな。
「お休み、キサネ」
「……おやすみなさい。正晴くん……」
こりゃ、皇女様が俺を正晴と呼ばないようになるまでは、かなりの時間を要しそうだな。
俺は苦笑いを浮かべ、夢の中へ意識を手放した。
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