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人間界<魔族の夫婦を救え>
お仕置きはご褒美です
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「俺たちは、もう二度と我慢なんざしねぇ。やられたら、誰であろうがやり返す。最初に手を出した方が悪いんだ。絶対に、俺はお前を皇帝の座から引き摺り下ろしてやる……!」
「ほう……やれるものなら、やってみろ」
「俺は魔界の王。ハレルヤ・マサトウレだ!弱きものを虐げた奴らが得する世界なんざ、滅びちまえ!」
俺が宣言すると同時に空が突如として暗くなり、稲光が起きる。
ゴロゴロ、ガシャン。
空に向けて切っ先を掲げた魔剣に、雷が落ちた。
雷を纏った魔剣はビリビリと静電気を発しながら、獲物を狙う。
「うわぁ!おい、人間!どうにかしてくれよ!」
「どうにかできたら、とっくにしてる!私よりもハレルヤがマジになってどうするの……!?戻ってきてよ!」
「ぎゃああ!」
皇女様は皇后に向かって剣の切っ先を向け、雷を迸らせる俺を正気に戻そうと必死だ。
皇女様は正気じゃねぇと勘違いしてるようだが、心の中は冷静だった。
斎藤正晴の過去に引っ張られて、俺の狂気が目覚めてしまっている。
それだけのことだ。
一通り発散すれば、気持ちも落ち着くだろ。
人間界の広場は焼け野原になって、下っ端共は大怪我じゃ済まされねぇかもしれねぇけど。
「わ、わたくしのドレスが……!静電気で、燃え……!」
「皇后様!」
「お前達!今すぐ消化しなさい!」
「しかし……っ」
「早く!」
下っ端共は俺達を始末するのが先だろうと視線を彷徨わせたが、皇后のドレスには火がついており、あっという間に燃え上る。
皇帝が溺愛する毒婦なんざ、殺しちまった方がいいと思ってる奴らも多いんだろ。下っ端共の動きは鈍い。
ヒステリックイカれババアが苦しがっている姿を見て、少しだけ気分がよくなった。
俺は角をもぎ取るような勢いで触れてきた、小さな手の存在に気づく。
「言う事聞かないハレルヤには、お仕置きなんだから」
お仕置きじゃなくてご褒美だろ。
潤んだ瞳で不貞腐れた視線で見上げた皇女様は、俺の唇に噛みついてきた。
歯で舌を噛み切る勢いでが容赦なく噛みつかれた俺は、皇女様を突き飛ばしそうになる。
天国から、地獄じゃねぇか。
俺の手からこぼれ落ちた魔剣が宙に浮かび、切っ先から雷が迸る。
俺はどうにか唇を引き剥がすだけに留めると、口元を抑えて皇女様と目を合わせた。
「帰ろ」
「……お、う……」
皇女様の涙に濡れた瞳が細められ、キラキラと輝く笑顔に変化する。
俺は皇女様を抱き抱え直そうとして、指先の間から血が流れていることに気づいた。ムースに作って貰った服が汚れるのは……マズイよな。
「皇女様。首元に両手回してくれるか?」
「はーい!」
首が締まると、絞首刑の瞬間が思い起こされて精神的に辛い。
辛いが、ムースの作ったドレスを汚すよりはマシだ。
俺は魔剣から迸る雷で下っ端共を蹴散らすと、抱き合いながら怯える魔族夫妻に声を掛けた。
「待たせたな。戻るぞ」
魔族の夫婦は、突然苦しみ出したり両手から血を流しながら大暴れしていた魔王を、信じて良いのか不安そうに見つめている。
信じたくねぇならいいけど。それじゃ俺と皇女様が、過去に向き合って厭々人間界に顔を出した意味がねぇだろ。
「我にトドメを刺さなくて良いのか、小童」
「お楽しみは、最後まで取っとくもんだろ?安心しろよ。そう遠くない未来、あんたを皇帝の座から引き摺り下りしてやる」
震えて待てとか、吠え面欠かせてやるとか、負け惜しみはやべぇフラグじゃねーか?
俺は内心ドキドキと高鳴る胸を抑えながら、余裕綽々な笑顔と共に指を鳴らす。
指を鳴らすと同時に、指の間から流れ出る血が飛び散った。
無表情で俺を見下す皇帝が目に入ったが、俺は皇帝が皇女様を見つめ何度か舌なめずりする姿を見ている。
その無表情には騙されないからなと睨みつけると、俺たちは魔界へ転移した。
「ほう……やれるものなら、やってみろ」
「俺は魔界の王。ハレルヤ・マサトウレだ!弱きものを虐げた奴らが得する世界なんざ、滅びちまえ!」
俺が宣言すると同時に空が突如として暗くなり、稲光が起きる。
ゴロゴロ、ガシャン。
空に向けて切っ先を掲げた魔剣に、雷が落ちた。
雷を纏った魔剣はビリビリと静電気を発しながら、獲物を狙う。
「うわぁ!おい、人間!どうにかしてくれよ!」
「どうにかできたら、とっくにしてる!私よりもハレルヤがマジになってどうするの……!?戻ってきてよ!」
「ぎゃああ!」
皇女様は皇后に向かって剣の切っ先を向け、雷を迸らせる俺を正気に戻そうと必死だ。
皇女様は正気じゃねぇと勘違いしてるようだが、心の中は冷静だった。
斎藤正晴の過去に引っ張られて、俺の狂気が目覚めてしまっている。
それだけのことだ。
一通り発散すれば、気持ちも落ち着くだろ。
人間界の広場は焼け野原になって、下っ端共は大怪我じゃ済まされねぇかもしれねぇけど。
「わ、わたくしのドレスが……!静電気で、燃え……!」
「皇后様!」
「お前達!今すぐ消化しなさい!」
「しかし……っ」
「早く!」
下っ端共は俺達を始末するのが先だろうと視線を彷徨わせたが、皇后のドレスには火がついており、あっという間に燃え上る。
皇帝が溺愛する毒婦なんざ、殺しちまった方がいいと思ってる奴らも多いんだろ。下っ端共の動きは鈍い。
ヒステリックイカれババアが苦しがっている姿を見て、少しだけ気分がよくなった。
俺は角をもぎ取るような勢いで触れてきた、小さな手の存在に気づく。
「言う事聞かないハレルヤには、お仕置きなんだから」
お仕置きじゃなくてご褒美だろ。
潤んだ瞳で不貞腐れた視線で見上げた皇女様は、俺の唇に噛みついてきた。
歯で舌を噛み切る勢いでが容赦なく噛みつかれた俺は、皇女様を突き飛ばしそうになる。
天国から、地獄じゃねぇか。
俺の手からこぼれ落ちた魔剣が宙に浮かび、切っ先から雷が迸る。
俺はどうにか唇を引き剥がすだけに留めると、口元を抑えて皇女様と目を合わせた。
「帰ろ」
「……お、う……」
皇女様の涙に濡れた瞳が細められ、キラキラと輝く笑顔に変化する。
俺は皇女様を抱き抱え直そうとして、指先の間から血が流れていることに気づいた。ムースに作って貰った服が汚れるのは……マズイよな。
「皇女様。首元に両手回してくれるか?」
「はーい!」
首が締まると、絞首刑の瞬間が思い起こされて精神的に辛い。
辛いが、ムースの作ったドレスを汚すよりはマシだ。
俺は魔剣から迸る雷で下っ端共を蹴散らすと、抱き合いながら怯える魔族夫妻に声を掛けた。
「待たせたな。戻るぞ」
魔族の夫婦は、突然苦しみ出したり両手から血を流しながら大暴れしていた魔王を、信じて良いのか不安そうに見つめている。
信じたくねぇならいいけど。それじゃ俺と皇女様が、過去に向き合って厭々人間界に顔を出した意味がねぇだろ。
「我にトドメを刺さなくて良いのか、小童」
「お楽しみは、最後まで取っとくもんだろ?安心しろよ。そう遠くない未来、あんたを皇帝の座から引き摺り下りしてやる」
震えて待てとか、吠え面欠かせてやるとか、負け惜しみはやべぇフラグじゃねーか?
俺は内心ドキドキと高鳴る胸を抑えながら、余裕綽々な笑顔と共に指を鳴らす。
指を鳴らすと同時に、指の間から流れ出る血が飛び散った。
無表情で俺を見下す皇帝が目に入ったが、俺は皇帝が皇女様を見つめ何度か舌なめずりする姿を見ている。
その無表情には騙されないからなと睨みつけると、俺たちは魔界へ転移した。
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