37 / 58
<2回目>6月5日 まどか視点
電話、かけちゃった
しおりを挟む
「ただ……。脅しをかけておけば、あちらは隠蔽する可能性が高い。当日、それを摘発さえできれば、修学旅行の中止は可能なはずだ」
「……あっ! そっか! 運転手さんに異常がないか、保健室の先生に見てもらえば……!」
「――なぜそうなる。養護教諭は医師免許を持っていない。大人の体調不良の診断など、できるわけがないだろう」
「そうなの……?」
「なぜ彼女を、先頭に立たせているんだ……」
委員長はうんざりとした声を出すと、これ以上は話したくないとばかりに口を閉じちゃった。
ええ? わたしはもっと、委員長くんのお話が聞きたいのに……!
「あんさー? こんだけ委員長がヒント出してくれたら、このあとどうするべきかくらいわかるんじゃない?」
「そうだな。まとめよう」
恵麻ちゃんから促された松本くんは、これからわたし達がやるべきことをまとめてくれたの。
「このあと、みんなには当日の動きを指示する。そのあと、バス会社に接触を図ろう」
「まどか。どこの会社かわかる?」
「あのね、黄色いバスだったよ!」
「黄色って言うと、東京の有名な観光バスかー?」
「そうだな。電話で怪しい問い合わせをしたところで、大人達がどう動くかはわからない」
「いいじゃん! やろーよ。うち、スマホ貸したげる!」
松本くんが今後のやるべきことをまとめてる途中で、恵麻ちゃんが手に持ってたスマホを貸してくれることになったの。
画面には黄色い観光バスで有名な、東京のバス会社の電話番号が表示されてる。
わたし達は顔を見合わせて、誰が電話に出るか悩んだんだ。
「どうする」
「んじゃ、オレが――」
「却下! 海斗は大人の神経を逆なでするでしょ!? ここは松本くんが適任よ。ね? まどか!」
「う、うん。わたし達じゃ、うまく説明できるかわからないし……」
「いや、俺は……」
「あっ。いっけなーい。手が滑って、電話かけちゃったー」
松本くんはあんまり、乗り気じゃないみたい。
わたし達の申し出を、断ろうとしてたからかなぁ?
恵麻ちゃんがわざとらしく声を上げて、通話ボタンを押しちゃったの。
「ちょっと! 何やってんのよ!?」
「だって~。押し問答してる時間がもったいないじゃん?」
「こっちは誰が説明するか決まってないのに! どうするのよ!?」
あざかちゃんが凄い剣幕で恵麻ちゃんを怒ってるけど、全然堪えてない。
メンタル強いなぁ……。
プルル、プルルル。
わたしが感心している間にも、呼び出し音が聞こえてくる。
恵麻ちゃんがスマホを操作してスピーカーに変更した瞬間――。
電話は、バス会社につながっちゃったんだ。
『お電話ありがとうございます。イエロー観光バスです』
ど、どうしよう……!
わたしは助けを求めるように、松本くんへ視線を向けたんだけど……。
彼は、委員長の背中をじっと見つめてる。
これって、電話に出るつもりはないって意思表示かな!?
この状況なら、仕方ないよね!
電話が切られる前に、わたしが時間を稼がなきゃ……!
「あ、あの! 明日修学旅行でバスを借りる、きらめき中学校の生徒です!」
『お世話になっております』
「あの! 偉い人と、お話がしたくて……!」
『どういったご用件でしょうか?』
「えっ!? ええっと……」
今すぐ電話越しに、本題へ入ってもいいのかなぁ……?
変なことを言ったら、きっとすぐに切られちゃう。
わたしはどうすればいいかわからなくて、大パニックになっていて……。
あわあわと大慌てで、もごもご口を動かすことしかできなかったの。
「……あっ! そっか! 運転手さんに異常がないか、保健室の先生に見てもらえば……!」
「――なぜそうなる。養護教諭は医師免許を持っていない。大人の体調不良の診断など、できるわけがないだろう」
「そうなの……?」
「なぜ彼女を、先頭に立たせているんだ……」
委員長はうんざりとした声を出すと、これ以上は話したくないとばかりに口を閉じちゃった。
ええ? わたしはもっと、委員長くんのお話が聞きたいのに……!
「あんさー? こんだけ委員長がヒント出してくれたら、このあとどうするべきかくらいわかるんじゃない?」
「そうだな。まとめよう」
恵麻ちゃんから促された松本くんは、これからわたし達がやるべきことをまとめてくれたの。
「このあと、みんなには当日の動きを指示する。そのあと、バス会社に接触を図ろう」
「まどか。どこの会社かわかる?」
「あのね、黄色いバスだったよ!」
「黄色って言うと、東京の有名な観光バスかー?」
「そうだな。電話で怪しい問い合わせをしたところで、大人達がどう動くかはわからない」
「いいじゃん! やろーよ。うち、スマホ貸したげる!」
松本くんが今後のやるべきことをまとめてる途中で、恵麻ちゃんが手に持ってたスマホを貸してくれることになったの。
画面には黄色い観光バスで有名な、東京のバス会社の電話番号が表示されてる。
わたし達は顔を見合わせて、誰が電話に出るか悩んだんだ。
「どうする」
「んじゃ、オレが――」
「却下! 海斗は大人の神経を逆なでするでしょ!? ここは松本くんが適任よ。ね? まどか!」
「う、うん。わたし達じゃ、うまく説明できるかわからないし……」
「いや、俺は……」
「あっ。いっけなーい。手が滑って、電話かけちゃったー」
松本くんはあんまり、乗り気じゃないみたい。
わたし達の申し出を、断ろうとしてたからかなぁ?
恵麻ちゃんがわざとらしく声を上げて、通話ボタンを押しちゃったの。
「ちょっと! 何やってんのよ!?」
「だって~。押し問答してる時間がもったいないじゃん?」
「こっちは誰が説明するか決まってないのに! どうするのよ!?」
あざかちゃんが凄い剣幕で恵麻ちゃんを怒ってるけど、全然堪えてない。
メンタル強いなぁ……。
プルル、プルルル。
わたしが感心している間にも、呼び出し音が聞こえてくる。
恵麻ちゃんがスマホを操作してスピーカーに変更した瞬間――。
電話は、バス会社につながっちゃったんだ。
『お電話ありがとうございます。イエロー観光バスです』
ど、どうしよう……!
わたしは助けを求めるように、松本くんへ視線を向けたんだけど……。
彼は、委員長の背中をじっと見つめてる。
これって、電話に出るつもりはないって意思表示かな!?
この状況なら、仕方ないよね!
電話が切られる前に、わたしが時間を稼がなきゃ……!
「あ、あの! 明日修学旅行でバスを借りる、きらめき中学校の生徒です!」
『お世話になっております』
「あの! 偉い人と、お話がしたくて……!」
『どういったご用件でしょうか?』
「えっ!? ええっと……」
今すぐ電話越しに、本題へ入ってもいいのかなぁ……?
変なことを言ったら、きっとすぐに切られちゃう。
わたしはどうすればいいかわからなくて、大パニックになっていて……。
あわあわと大慌てで、もごもご口を動かすことしかできなかったの。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが集団お漏らしする話
赤髪命
大衆娯楽
※この作品は「校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが小さな公園のトイレをみんなで使う話」のifバージョンとして、もっと渋滞がひどくトイレ休憩云々の前に高速道路上でバスが立ち往生していた場合を描く公式2次創作です。
前作との文体、文章量の違いはありますがその分キャラクターを濃く描いていくのでお楽しみ下さい。(評判が良ければ彼女たちの日常編もいずれ連載するかもです)
13歳女子は男友達のためヌードモデルになる
矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。
オオカミ少女と呼ばないで
柳律斗
児童書・童話
「大神くんの頭、オオカミみたいな耳、生えてる……?」 その一言が、私をオオカミ少女にした。
空気を読むことが少し苦手なさくら。人気者の男子、大神くんと接点を持つようになって以降、クラスの女子に目をつけられてしまう。そんな中、あるできごとをきっかけに「空気の色」が見えるように――
表紙画像はノーコピーライトガール様よりお借りしました。ありがとうございます。
校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが小さな公園のトイレをみんなで使う話
赤髪命
大衆娯楽
少し田舎の土地にある女子校、華水黄杏女学園の1年生のあるクラスの乗ったバスが校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれてしまい、急遽トイレ休憩のために立ち寄った小さな公園のトイレでクラスの女子がトイレを済ませる話です(分かりにくくてすみません。詳しくは本文を読んで下さい)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる