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<2回目>6月5日 まどか視点
直談判
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「ほら。私ってさ。よく委員長から、注意されてんじゃん?」
「う、うん」
「多分、嫌われてると思うんだよねー」
恵麻ちゃん、勘違いしてるよ……!
わたしはどうやって誤解を解こうか、すごく迷ったの。
委員長が恵麻ちゃんのことを好きだって気持ちは、わたしから打ち明けるのは反則だと思ったから……!
うぅ、今すぐ言いたい!
歯がゆいよー!
「委員長は、恵麻ちゃんのことを心配して、声をかけてくれてるんだよ……!」
「んー。ま、そうだといいよね。私が委員長と話さなくなったら、ぼっちになっちゃうし」
そう、なのかなぁ?
恵麻ちゃんと喧嘩した時、海斗くんは委員長へ積極的に話しかけてた。
だから、一人ぼっちにはならないんじゃ……?
「ま、いいや。明日までに、考えといてね。初めて委員長に授業をサボらせる、魔法の言葉!」
恵麻ちゃんは笑顔でわたしに伝えると……。
ひらひら手を振って、教室を出て行っちゃった。
「あ……っ! 恵麻ちゃん、待って……!」
どうしよう……!
恵麻ちゃん、追いかけた方がいいのかな?
でも……。
これ以上お話して、喧嘩になったら……。
もっと困っちゃうよね?
「霧風」
「松本くん? あのね。今、恵麻ちゃんと――」
「ああ。詳しいことは、放課後聞く。それよりも、朗報だ」
「朗報……?」
どっちにしようか迷っていると、後ろから松本くんに声をかけられたんだ。
恵麻ちゃんを追いかけなきゃいけないから、ごめんね。
そうやって、断ろうとしたんだけど……。
いいことがあるって言われたら、今すぐ聞きたくなっちゃうよね?
わたしは松本くんの言葉を、待つことにしたんだ。
「俺達四人を含めて、十五人。修学旅行に行きたくない奴らを集めた」
「えっ!? もう!?」
「ああ。今から職員室に行って、修学旅行を中止してもらえるように直談判する。一緒に行こう」
「うん……!」
わたしは松本くんと一緒に、急いで職員室に向かったの。
廊下には、ちょっとした人だかりができてる。
中心にいるのは、あざかちゃんと海斗くんだったんだ。
「あざかちゃん……!」
「海斗。お待たせ」
「おうよ。んじゃ、行きますかね」
「ええ。いつでもいいわよ」
クラスメイト達をぞろぞろ引き連れて、わたし達は職員室に乗り込んだの。
「こんなに大勢で、どうしたの?」
「直談判しに来ました」
他のクラスの先生に驚かれたわたし達を見かねて、松本くんが代表して説明してくれたんだ。
そのおかげで、担任の先生とはすぐにお話できたの。
わたしは先生と顔を合わせてすぐ、大きな声でお願いしたんだ。
「先生! 修学旅行に行きたくない、十五人を集めて来ました! 約束通り、中止にしてください!」
でもね?
先生の顔色は、あまり思わしくなくて……。
わたしはすぐに、これは駄目なやつかもって悟ったんだ。
「それはできません」
「どうしてですか!? 約束通り、十五人集めたのに……!」
「私は過半数を集めたら、校長先生に相談してみるといっただけです。中止にするとまでは約束をしてませんよ」
「そんな……!」
やっぱり、先生はしらばっくれるつもりみたい!
せっかくみんなを集めたのに。
これじゃ、直談判し損だよ!
「先生! 一日で十五人も集めるのって、凄いことだよね!?」
「霧風さん。たとえ凄いことだとしても……」
「――わかりました」
「松本くん!?」
「校長先生には、しっかり報告してください。俺達が、修学旅行を中止にしてほしいとお願いしたこと」
松本くんは先生にお願いすると、わたしの手を引いて職員室を出たんだ。
こんなにあっさりと引き下がるなんて……!
もっと担任に説得を試みるつもりだったから、わたしはびっくりしちゃった。
「ごめんな、みんな! 付き合ってもらったのに、いい返事を貰えなくて!」
「あたし達、まだ諦めてないわ! 絶対修学旅行を中止にするわよ!」
茫然としている間にも、集まってくれたクラスメイト達には、あざかちゃんと海斗くんが説明してくれてる。
落ち込んでる場合じゃないよね。
ほんとはわたしが率先して、やらなきゃいけないことなのに……。
「無理やり連れ出して、ごめん」
「松本くんが謝ることじゃないよ……!」
松本くんはわたしから手を離すと、強引に連れ出したことを謝ったの。
でもね?
謝罪なんて、必要ないんだよ。
だからわたしは、顔を上げてってお願いしたんだ。
「……これからのこと、一緒に考えよう」
「……うん……!」
そしたら……。
松本くんは顔を上げると、わたしの瞳をまっすぐ見つめて。
みんなで一緒に、これからのことを考えようって。
提案してくれたんだ。
わたしは笑顔でうなずくと、みんなと一緒に教室へ戻ったの。
「う、うん」
「多分、嫌われてると思うんだよねー」
恵麻ちゃん、勘違いしてるよ……!
わたしはどうやって誤解を解こうか、すごく迷ったの。
委員長が恵麻ちゃんのことを好きだって気持ちは、わたしから打ち明けるのは反則だと思ったから……!
うぅ、今すぐ言いたい!
歯がゆいよー!
「委員長は、恵麻ちゃんのことを心配して、声をかけてくれてるんだよ……!」
「んー。ま、そうだといいよね。私が委員長と話さなくなったら、ぼっちになっちゃうし」
そう、なのかなぁ?
恵麻ちゃんと喧嘩した時、海斗くんは委員長へ積極的に話しかけてた。
だから、一人ぼっちにはならないんじゃ……?
「ま、いいや。明日までに、考えといてね。初めて委員長に授業をサボらせる、魔法の言葉!」
恵麻ちゃんは笑顔でわたしに伝えると……。
ひらひら手を振って、教室を出て行っちゃった。
「あ……っ! 恵麻ちゃん、待って……!」
どうしよう……!
恵麻ちゃん、追いかけた方がいいのかな?
でも……。
これ以上お話して、喧嘩になったら……。
もっと困っちゃうよね?
「霧風」
「松本くん? あのね。今、恵麻ちゃんと――」
「ああ。詳しいことは、放課後聞く。それよりも、朗報だ」
「朗報……?」
どっちにしようか迷っていると、後ろから松本くんに声をかけられたんだ。
恵麻ちゃんを追いかけなきゃいけないから、ごめんね。
そうやって、断ろうとしたんだけど……。
いいことがあるって言われたら、今すぐ聞きたくなっちゃうよね?
わたしは松本くんの言葉を、待つことにしたんだ。
「俺達四人を含めて、十五人。修学旅行に行きたくない奴らを集めた」
「えっ!? もう!?」
「ああ。今から職員室に行って、修学旅行を中止してもらえるように直談判する。一緒に行こう」
「うん……!」
わたしは松本くんと一緒に、急いで職員室に向かったの。
廊下には、ちょっとした人だかりができてる。
中心にいるのは、あざかちゃんと海斗くんだったんだ。
「あざかちゃん……!」
「海斗。お待たせ」
「おうよ。んじゃ、行きますかね」
「ええ。いつでもいいわよ」
クラスメイト達をぞろぞろ引き連れて、わたし達は職員室に乗り込んだの。
「こんなに大勢で、どうしたの?」
「直談判しに来ました」
他のクラスの先生に驚かれたわたし達を見かねて、松本くんが代表して説明してくれたんだ。
そのおかげで、担任の先生とはすぐにお話できたの。
わたしは先生と顔を合わせてすぐ、大きな声でお願いしたんだ。
「先生! 修学旅行に行きたくない、十五人を集めて来ました! 約束通り、中止にしてください!」
でもね?
先生の顔色は、あまり思わしくなくて……。
わたしはすぐに、これは駄目なやつかもって悟ったんだ。
「それはできません」
「どうしてですか!? 約束通り、十五人集めたのに……!」
「私は過半数を集めたら、校長先生に相談してみるといっただけです。中止にするとまでは約束をしてませんよ」
「そんな……!」
やっぱり、先生はしらばっくれるつもりみたい!
せっかくみんなを集めたのに。
これじゃ、直談判し損だよ!
「先生! 一日で十五人も集めるのって、凄いことだよね!?」
「霧風さん。たとえ凄いことだとしても……」
「――わかりました」
「松本くん!?」
「校長先生には、しっかり報告してください。俺達が、修学旅行を中止にしてほしいとお願いしたこと」
松本くんは先生にお願いすると、わたしの手を引いて職員室を出たんだ。
こんなにあっさりと引き下がるなんて……!
もっと担任に説得を試みるつもりだったから、わたしはびっくりしちゃった。
「ごめんな、みんな! 付き合ってもらったのに、いい返事を貰えなくて!」
「あたし達、まだ諦めてないわ! 絶対修学旅行を中止にするわよ!」
茫然としている間にも、集まってくれたクラスメイト達には、あざかちゃんと海斗くんが説明してくれてる。
落ち込んでる場合じゃないよね。
ほんとはわたしが率先して、やらなきゃいけないことなのに……。
「無理やり連れ出して、ごめん」
「松本くんが謝ることじゃないよ……!」
松本くんはわたしから手を離すと、強引に連れ出したことを謝ったの。
でもね?
謝罪なんて、必要ないんだよ。
だからわたしは、顔を上げてってお願いしたんだ。
「……これからのこと、一緒に考えよう」
「……うん……!」
そしたら……。
松本くんは顔を上げると、わたしの瞳をまっすぐ見つめて。
みんなで一緒に、これからのことを考えようって。
提案してくれたんだ。
わたしは笑顔でうなずくと、みんなと一緒に教室へ戻ったの。
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