明日君に、伝えたいこと

桜城恋詠

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<2回目>6月4日(2) まどか視点

令和ギャル

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「委員長が言い負かされるとか、初めてじゃん?」
「恵麻……」

 満面の笑みを浮かべて委員長を呼ぶ女子生徒は、豊洲恵麻ちゃん。
 明るくて元気な女の子だよ。

 校則違反ばっかりするから。
 みんなからこわがられることも多いし、いつも委員長に怒られているけど……。

 見た目が派手なだけで……。
 悪い子ではないんだってことは、わたしが一番よく知ってる!

「うちは別にどっちでもいいけどさ。備えあれば憂いなしって言うじゃん? 座席は決めといた方がよくない?」
「使わない座席表なんて、考えるだけ無駄よ!」
「使うかもしんないしー」
「あんたはどっちの味方なのよ!」
「うちは委員長の味方。じゃ、そう言うことで」

 よかった。
 恵麻ちゃん、委員長のこと嫌ってるわけじゃないんだね。

 バスの事故が起きる前は、風紀を乱すなって言われたせいで言い争いになって……。
 委員長と、喧嘩してたけど……。

 それより前の日付に戻ってきたからか、二人の仲はまだ拗れてはいないみたい。
 このまま、ずっと仲良しでいてもらわなくちゃ!

 修学旅行を予定通り決行する派として表明を宣言した恵麻ちゃんは、ひらひら手を振ったあと、スマートフォンを取り出して弄り始めたの。

 わたし達にはもう、興味はないみたい……。

「おい。恵麻。電子機器を取り出すな。校則違反だぞ」
「うちのこと、気にしてる場合じゃなくない? 早くしないと、時間無くなっちゃうけど」
「ぐ……っ」

 恵麻ちゃんは、凄いなぁ。

 授業中に堂々と持ち込み禁止のスマートフォンを取り出して、先生の前で弄れるんだから。
 委員長から校則違反を指摘されても、お構いなしだもん。

 あとで委員長の味方をした理由を、聞いてみようっと。

「あざか。どーどー。ここは譲ってやろうぜ」
「でも……!」
「今日の所は、先生の許可さえ得られたらいい。俺達は黙るよ」
「許可など、得られるわけが……」
「お、お願いします、先生!」

 わたしは必死に頭を下げて、先生にお願いしたの。
 遠野くんはわたしの主張が通るわけがないって、鼻で笑ってたけど……。

「……わかりました。過半数集めたら、そうした意見が出ていることを校長先生に伝えます」

 わたしは先生と、約束することに成功したんだ!
 やったぁ! これであとは、急いで仲間を見つけるだけだね!

「遠野くん。引き続き、バスの席順決めの司会進行をお願いします」
「わかりました」

 先生から促された委員長は気を取り直して、お願いされた通りにバスの席順を決め始めたんだ。

 ここまで来たらこれ以上、わたし達が騒ぐ必要はないよね。

 椅子に座り直したわたし達は、みんなの席順が決まるまで、これからどうやって仲間を集めようかって、頭を悩ませながら時間を潰したんだ。
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