151 / 179
第四章 人狼編
148
しおりを挟む
「アルフォンスさん、同行いただきありがとうございます。」
ルーラル村まで馬車の移動となったが、俺は改めて正面に座っているアルフォンスさんにお礼を言った。
アルベルト殿下もかなり忙しいだろうに、右腕ともいえるアルフォンスさんを護衛につけてくださって、大変ありがたい。
「アース君と任務にあたれるのなら喜んで。」
この人は貴族院でもかなりモテているのではないだろうか?
地位や容姿も完璧なうえに、リップサービスつきとは……。
「今回の俺は、護衛兼交渉役といったところだがら、遠慮なく使ってくれて構わないよ。」
「交渉役……ですか?」
「貴族院1年生のアース君では、何かと動きにくいこともあるだろうからね。そういうときは、遠慮なく頼ってほしい。」
「わかりました。ありがとうございます。アルフォンスさんも、身体に異常が現れたらすぐにおっしゃってくださいね。俺が全力で治療しますから。」
「心強いよ。」
そうして、村のことについて情報交換をしていると、ルーラル村に到着した。
ルーラル村は、村といっても人口は1万人近くある栄えた村だ。通常の都市機能は備えており、ギルド関係や商店も揃っている。
ところで、人狼が出現したら村人たちは恐怖のあまり逃げ出すのではないか、という疑問があがることがあるが、実際は問題ないことが多い。
これまでの例だと、人狼はすぐに特定され静かに始末されていたからだ。一般向けには、連続殺人鬼として処理されている。
大抵の場合は、物理的な殺人を行う人狼は現行犯で討伐されることが多いのだが、今回は特殊なケースためか捜査が難航しているようだ。
王家の紋章が刻まれた馬車で現れた俺たち2人を、村の役人たちは恐縮した態度で出迎えた。
「よ、ようこそお越しくださいました! すぐに、村長の家へとご案内いたします!」
「はい、よろしくお願いします。」
アルフォンスさんが丁寧な態度で返答すると、役人たちはいくらか緊張が和らいだようで、きびきびとした動きで案内してくれた。
家というよりは、なんだか役所のようなところに着くと、すぐに村長の部屋に通されることになった。
役所のような外観をしているのは、村長が国から派遣された役人だからだろう。
村の代表者が村長の任についているという感じではないようだ。
「ようこそお越しくださいました。ツーベルク殿、ジーマル殿。私はこのルーラル村の村長を拝命しております、ガダンと申します。」
「お初にお目にかかります。キース・ツーベルクと申します。」
「お初にお目にかかります。アース・ジーマルと申します。」
生真面目な印象を受けるガダン村長は微笑みを浮かべながらも、俺達の様子を静かに観察していた。
特に、最年少回復魔導士の俺の実力を信用しきれていないのだろう。
だが、ここで弱みを見せてはいけない。なぜなら、この目の前にいる村長も人狼候補の1人なのだから。
「長旅でお疲れのことでしょう。すぐにお茶を用意させますので、おかけになってお待ちください。」
「お心遣いありがとうございます。ですが、お気持ちだけで十分です。この村には、治療を必要としている者がいると殿下からうかがっております。まずは、その者がいるところに案内いただいてもよろしいでしょうか?」
アルベルト殿下からこの村の飲食物には絶対に口をつけるなといわれている。
人狼虫が宿主の意識をコントロールするのは、月明かりが出ている時だけであるため、昼間の今は直接害される恐れは少ないが、夜に何か仕込まれている可能性もあるし、念には念を入れておかなければいけない。
アルフォンスさんが殿下の名前を出し、治療を優先したいとまで言っているのだから、村長がこの提案を断るのはまず無理であろう。
村長は微笑みを浮かべながら、すぐに案内してくれた。
ルーラル村まで馬車の移動となったが、俺は改めて正面に座っているアルフォンスさんにお礼を言った。
アルベルト殿下もかなり忙しいだろうに、右腕ともいえるアルフォンスさんを護衛につけてくださって、大変ありがたい。
「アース君と任務にあたれるのなら喜んで。」
この人は貴族院でもかなりモテているのではないだろうか?
地位や容姿も完璧なうえに、リップサービスつきとは……。
「今回の俺は、護衛兼交渉役といったところだがら、遠慮なく使ってくれて構わないよ。」
「交渉役……ですか?」
「貴族院1年生のアース君では、何かと動きにくいこともあるだろうからね。そういうときは、遠慮なく頼ってほしい。」
「わかりました。ありがとうございます。アルフォンスさんも、身体に異常が現れたらすぐにおっしゃってくださいね。俺が全力で治療しますから。」
「心強いよ。」
そうして、村のことについて情報交換をしていると、ルーラル村に到着した。
ルーラル村は、村といっても人口は1万人近くある栄えた村だ。通常の都市機能は備えており、ギルド関係や商店も揃っている。
ところで、人狼が出現したら村人たちは恐怖のあまり逃げ出すのではないか、という疑問があがることがあるが、実際は問題ないことが多い。
これまでの例だと、人狼はすぐに特定され静かに始末されていたからだ。一般向けには、連続殺人鬼として処理されている。
大抵の場合は、物理的な殺人を行う人狼は現行犯で討伐されることが多いのだが、今回は特殊なケースためか捜査が難航しているようだ。
王家の紋章が刻まれた馬車で現れた俺たち2人を、村の役人たちは恐縮した態度で出迎えた。
「よ、ようこそお越しくださいました! すぐに、村長の家へとご案内いたします!」
「はい、よろしくお願いします。」
アルフォンスさんが丁寧な態度で返答すると、役人たちはいくらか緊張が和らいだようで、きびきびとした動きで案内してくれた。
家というよりは、なんだか役所のようなところに着くと、すぐに村長の部屋に通されることになった。
役所のような外観をしているのは、村長が国から派遣された役人だからだろう。
村の代表者が村長の任についているという感じではないようだ。
「ようこそお越しくださいました。ツーベルク殿、ジーマル殿。私はこのルーラル村の村長を拝命しております、ガダンと申します。」
「お初にお目にかかります。キース・ツーベルクと申します。」
「お初にお目にかかります。アース・ジーマルと申します。」
生真面目な印象を受けるガダン村長は微笑みを浮かべながらも、俺達の様子を静かに観察していた。
特に、最年少回復魔導士の俺の実力を信用しきれていないのだろう。
だが、ここで弱みを見せてはいけない。なぜなら、この目の前にいる村長も人狼候補の1人なのだから。
「長旅でお疲れのことでしょう。すぐにお茶を用意させますので、おかけになってお待ちください。」
「お心遣いありがとうございます。ですが、お気持ちだけで十分です。この村には、治療を必要としている者がいると殿下からうかがっております。まずは、その者がいるところに案内いただいてもよろしいでしょうか?」
アルベルト殿下からこの村の飲食物には絶対に口をつけるなといわれている。
人狼虫が宿主の意識をコントロールするのは、月明かりが出ている時だけであるため、昼間の今は直接害される恐れは少ないが、夜に何か仕込まれている可能性もあるし、念には念を入れておかなければいけない。
アルフォンスさんが殿下の名前を出し、治療を優先したいとまで言っているのだから、村長がこの提案を断るのはまず無理であろう。
村長は微笑みを浮かべながら、すぐに案内してくれた。
510
あなたにおすすめの小説
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
【8話完結】強制力に負けて死に戻ったら、幼馴染の様子がおかしいのですが、バグですか?
キノア9g
BL
目が覚めたら、大好きだったRPGの世界に転生していた。
知識チートでなんとか死亡フラグを回避した……はずだったのに、あっさり死んで、気づけば一年前に逆戻り。
今度こそ生き残ってみせる。そう思っていたんだけど——
「お前、ちょっと俺に執着しすぎじゃない……?」
幼馴染が、なんかおかしい。妙に優しいし、距離が近いし、俺の行動にやたら詳しい。
しかも、その笑顔の奥に見える“何か”が、最近ちょっと怖い。
これは、運命を変えようと足掻く俺と、俺だけを見つめ続ける幼馴染の、ちょっと(だいぶ?)危険な異世界BL。
全8話。
追放された出来損ないアルファですが、魔力相殺の力で孤高の天才魔術師と最強パーティーを組みました〜二人で無双して下剋上します〜
水凪しおん
BL
名門剣士一族のアルファとして生まれながら、魔力も筋力も乏しく「出来損ない」と冷遇されてきた青年、ルーク。
息苦しい家を飛び出し、冒険者として生きていくことを決意した彼は、森で一人の特級魔術師と出会う。
彼の名はシリウス。
圧倒的な才能と魔力を持つエリートアルファだが、その強大すぎる魔法の余波が味方をも巻き込むため、誰ともパーティーを組めず孤高を貫いていた。
「俺の魔法の余波を消せる人間なんて、今まで一人もいなかった」
ルークが持つ、実家では無用の長物と見なされていた精密な「魔力相殺」の技術。
それは、シリウスの破壊的な魔力を完璧にコントロールするための唯一の鍵だった。
交わることのない波長。欠けた器と、あふれすぎる中身。
いびつな二つの歯車は互いの弱点を補い合い、完璧な連携で次々と規格外の魔物を討伐していく。
アルファ同士という本能の反発を越え、対等な関係で背中を預け合ううちに、二人の間には深く熱い絆が芽生え始める。
やがて、ルークを連れ戻そうと迫る冷酷な実家の兄。
圧倒的な武力を誇る一族の刺客を前に、ルークとシリウスは真の共鳴を果たし、運命の逆転劇を巻き起こす――。
家柄やオメガバースの運命にとらわれない。
これは、無能と蔑まれた青年と孤独な魔術師が、互いの魂を救済し、世界でただ一つの最強のパートナーシップを築き上げるまでの下剋上ファンタジー。
追放されたおまけの聖女♂は冷徹王太子の腕の中から離してもらえない〜今さら戻れと言われても、もうこの人の魔力しか受け付けません!〜
たら昆布
BL
聖女のおまけで召喚されたと思われて追放された不憫受けが拾われて愛される話
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
有能副会長はポンコツを隠したい。
さんから
BL
2.6タイトル変更しました。
この高校の生徒会副会長を務める僕・東山 優真は、普段の仕事ぶりから次期生徒会長の最有力候補と言われている。……んだけど、実際は詰めの甘さやうっかりミスを根性論でカバーしてきたポンコツだ。
こんなに頑張れているのは、密かに思いを寄せている安西生徒会長のため。
ある日、なんの奇跡か会長に告白され晴れて恋人同士となった僕は、大好きな人に幻滅されないためにポンコツを隠し通すと決めたけど……!?(内容は他サイト版と同じですが、こちらの方がちょっと読みやすいはずです)
結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした
紫
BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。
実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。
オメガバースでオメガの立場が低い世界
こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです
強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です
主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です
倫理観もちょっと薄いです
というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります
※この主人公は受けです
とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~
無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。
自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる