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3章 バチェラー2日目
15話 バチェラー2日目開始!
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ドラクロア、ヴィヴィアンは何で私に、こんなことをしたんだろう。
着慣れないドレスを見た。
ううっ。落ちつきません……。
バチェラー2日目の集合場所は、王城の裏手のバラ園だ。
春の柔らかい日差しが照らしている。
今日は夜の部もあるので、昼から集合することになっていた。
王城のずしりとした柱の影に隠れていた。
みんなの前に出るのが、怖い……。殿下にもどう思われるか……。
「アニマ! なにしているの」
「ひぃぃー! ひぃぃぃぃぃ」
肩を叩かれた。ハーマイオニーだった。
今日もハーマイオニーはため息が出るほど美しかった。
私を見ると、二度見して、首をかしげた。顔をくっつけんばかりの距離に接近した。きめ細かい肌だなぁ。
「今日、アニマ、めちゃくちゃかわいいね! どうしたの?」
あわてて、顔を隠す。
「な……なんでも……ないです」
「だれかと思ったらアニマちゃんかー。バチェラー2日目から新しい美女令嬢参戦かと思ったよ。いい! ドレスもすごくいい。あたしはね。最初からアニマちゃんは化けるって思っていたよ」
リンジーが近づいてきて、ニヤニヤしながらいろんな角度から舐め回すように見る! 見る! 見る! 見る!!!
「姉さま。ちょっと!」
けばけばしいメイクをしたニーナが私を強く引っぱる。
「ドレスとメイクをいますぐ変更して!」
「で、できないわ! スペアなんて持っていないし、すでにハーマイオニー様とリンジー様に見られたの。いま変えたら変に思われてしまう」
それに――どんなつもりかはわからないが、ドラクロアとヴィヴィアンが一生懸命してくれたことを、裏切りたくないのだ。
数日前、急に屋敷に来た彼女たちは、部屋に案内するように言ってきた。
「ドレスを見せて」
ドラクロアがクローゼットのものをベッドに出した。
2人とも、ため息を漏らす。
「ちょっと!!!!」
ヴィヴィアンが怒って私に詰め寄った。
「えっ!」
「ぜんっぜんドレスがない!!!! 年頃! 結婚適齢期!! バチェラー中!!! わかります? もっとかわいい、格好いい、色んなドレスが必要! ドレスは戦闘服なのです!!!! わかりました?」
「あっ。はい」
「ほんとだ……これはすくない。なんとかできる?」
と、ドラクロア。
「我が家には……その……あまりお金が……なくて」
私は言った。
ヴィヴィアンが頬に手を当てた。
「わたくしの店に行きましょう」
首をぶんぶんと振った。
「私、髪が黒いから、ちょっと、ピンク系のドレスは似合わない……かと。それにヴィヴィアン様のオートクチュールを買える財産がないのです」
「馬鹿にしないで! ドレスは別にピンクだけでなく、様々な種類を取りあつかってます。それとお金のことは考えないで結構です」
「そんな! いけません!」
「いいえ。わたくしたちはそのつもりでここへ来たのです。見せてくださいましたよね?」
背の低いヴィヴィアンは、私を上目遣いに見た。青い、澄んだ瞳だ。
「見せた? なにをでしょう」
「演劇です。【悪役令嬢の掟】! わたくしは感激いたしました。そのお礼だと思ってください。まさか、観劇代をとらないだなんて、女優らしからぬことを言いはしませんよね」
「だなっ。素晴らしかった。言葉では陳腐になるぐらいにね」
ドラクロアは首肯して、笑った。
なんだか照れくさくて、うつむいた。
「さあ、わたくしの馬車に乗って、店までまいりましょう」
「そう。私たちのことは侍女とでも思ってくれたらいい」
ドラクロアが言った。
私はそっと、ヴィヴィアンの後ろ姿を見つめる。彼女は殿下のことはすでに吹っ切れたように元気に見えた。あんなに泣いて、悲しんでいたのに。
そして、バチェラー2日目の当日、朝早くやってきた2人は、私にドレスを着せ、ドラクロアがメイクをやってくれた。
「アニマはどうかわからないけど、私は自分の顔にコンプレックスしかないんだよ。だからさ、なんとかできないかと思って、メイクを独学で研究しててさ。まぁ、見ててよ」
筆を置いたドラクロアがため息を漏らした。
「アニマ、化けたな。見てみてよ」
言葉が出なかった。鏡にうつる私は、いつものきつい顔ではなく、どことなく、優しげで、自分ではないみたいだった。
まゆ毛やつり上がった目尻を、線を入れたり、影を作ることですこし下げて、随分柔らかい表情になっている。
「アニマ様はまだまだこれからですよ。さらにヴィヴィアンの純白のオートクチュールが乗っかりますからね。まあ、無敵ですよ。すべての令嬢をこれで蹴散らせます」
ヴィヴィアンの鼻が王都まで伸びたかのようだ。
「すごい!!」
今度は声に出ていた。私、ここまで変身できるんだ!!!
ドレスとメイクの変更を断った私に、ニーナは舌打ちした。
「そのドレスとメイクで行くって私聞いてないんだけど。しっかりしてよ! 私が殿下に選ばれなければいけないんだから」
「ご……ごめんなさい」
「謝ってもだめでしょう! ちゃんとサポートしてよね! ったく」
ニーナは端に移動して腕を組んだ。
周りがざわついた。
殿下とロイドがやってきた。
「遅くなって申し訳ありません。全員揃っていますか。早速バチェラーの2日目を――」
殿下が令嬢を一度、さあっと見てから、私を2度見して、3回、見た。
まゆ毛がつり上がった。
もしかして殿下も、私のことを素敵だって言ってくれるのだろうか。
殿下は大きく目を見開き、口をパクパクとさせた。
うるさい心臓を気にしないようにしながら、じっと、その時を待つ。
殿下は額から大量の汗を出し、地面にこぼれるほどだった。私から目をそらし、ロイドによりかかる。
ロイドが微笑んだ。
「ほほっ。殿下は連日の公務で疲れているのです。令嬢の方々。本日はお手柔らかにお願いいたしますね」
――いや。私がどんなにメイクやドレスを着飾っても、殿下は私が怖いんです! それだけでした。期待してはいけない。分かってはいたのに、この気持ちは何でしょう。他の令嬢が私を怖がらないから忘れていました。私は誰もが恐怖する、悪役令嬢なのです。
私は強く噛んだ唇の近くをもんで、うにょーんと伸ばす。こわばりをとるように、丹念に、もんだり、伸ばしたりした。
頬を張った。しかし、せっかくドラクロアに素敵にしてもらったメイクは落とさないように、控えめに。
いい音がして、ニーナが振りかえる。
私は、笑った。
「さあ、ニーナと殿下をくっつける為にがんばります」
「頑張ってよね。まぁ、殿下は間違いなく私を選ぶけれども」
移動しているとき、ドレスとメイクのことをロイドから根掘り葉掘り聞かれた。そうですか。ヴィヴィアン様とドラクロア様が。なかなかメイクが上手ですし、アニマ様はとてもお綺麗です、とお世辞を言われた。
着慣れないドレスを見た。
ううっ。落ちつきません……。
バチェラー2日目の集合場所は、王城の裏手のバラ園だ。
春の柔らかい日差しが照らしている。
今日は夜の部もあるので、昼から集合することになっていた。
王城のずしりとした柱の影に隠れていた。
みんなの前に出るのが、怖い……。殿下にもどう思われるか……。
「アニマ! なにしているの」
「ひぃぃー! ひぃぃぃぃぃ」
肩を叩かれた。ハーマイオニーだった。
今日もハーマイオニーはため息が出るほど美しかった。
私を見ると、二度見して、首をかしげた。顔をくっつけんばかりの距離に接近した。きめ細かい肌だなぁ。
「今日、アニマ、めちゃくちゃかわいいね! どうしたの?」
あわてて、顔を隠す。
「な……なんでも……ないです」
「だれかと思ったらアニマちゃんかー。バチェラー2日目から新しい美女令嬢参戦かと思ったよ。いい! ドレスもすごくいい。あたしはね。最初からアニマちゃんは化けるって思っていたよ」
リンジーが近づいてきて、ニヤニヤしながらいろんな角度から舐め回すように見る! 見る! 見る! 見る!!!
「姉さま。ちょっと!」
けばけばしいメイクをしたニーナが私を強く引っぱる。
「ドレスとメイクをいますぐ変更して!」
「で、できないわ! スペアなんて持っていないし、すでにハーマイオニー様とリンジー様に見られたの。いま変えたら変に思われてしまう」
それに――どんなつもりかはわからないが、ドラクロアとヴィヴィアンが一生懸命してくれたことを、裏切りたくないのだ。
数日前、急に屋敷に来た彼女たちは、部屋に案内するように言ってきた。
「ドレスを見せて」
ドラクロアがクローゼットのものをベッドに出した。
2人とも、ため息を漏らす。
「ちょっと!!!!」
ヴィヴィアンが怒って私に詰め寄った。
「えっ!」
「ぜんっぜんドレスがない!!!! 年頃! 結婚適齢期!! バチェラー中!!! わかります? もっとかわいい、格好いい、色んなドレスが必要! ドレスは戦闘服なのです!!!! わかりました?」
「あっ。はい」
「ほんとだ……これはすくない。なんとかできる?」
と、ドラクロア。
「我が家には……その……あまりお金が……なくて」
私は言った。
ヴィヴィアンが頬に手を当てた。
「わたくしの店に行きましょう」
首をぶんぶんと振った。
「私、髪が黒いから、ちょっと、ピンク系のドレスは似合わない……かと。それにヴィヴィアン様のオートクチュールを買える財産がないのです」
「馬鹿にしないで! ドレスは別にピンクだけでなく、様々な種類を取りあつかってます。それとお金のことは考えないで結構です」
「そんな! いけません!」
「いいえ。わたくしたちはそのつもりでここへ来たのです。見せてくださいましたよね?」
背の低いヴィヴィアンは、私を上目遣いに見た。青い、澄んだ瞳だ。
「見せた? なにをでしょう」
「演劇です。【悪役令嬢の掟】! わたくしは感激いたしました。そのお礼だと思ってください。まさか、観劇代をとらないだなんて、女優らしからぬことを言いはしませんよね」
「だなっ。素晴らしかった。言葉では陳腐になるぐらいにね」
ドラクロアは首肯して、笑った。
なんだか照れくさくて、うつむいた。
「さあ、わたくしの馬車に乗って、店までまいりましょう」
「そう。私たちのことは侍女とでも思ってくれたらいい」
ドラクロアが言った。
私はそっと、ヴィヴィアンの後ろ姿を見つめる。彼女は殿下のことはすでに吹っ切れたように元気に見えた。あんなに泣いて、悲しんでいたのに。
そして、バチェラー2日目の当日、朝早くやってきた2人は、私にドレスを着せ、ドラクロアがメイクをやってくれた。
「アニマはどうかわからないけど、私は自分の顔にコンプレックスしかないんだよ。だからさ、なんとかできないかと思って、メイクを独学で研究しててさ。まぁ、見ててよ」
筆を置いたドラクロアがため息を漏らした。
「アニマ、化けたな。見てみてよ」
言葉が出なかった。鏡にうつる私は、いつものきつい顔ではなく、どことなく、優しげで、自分ではないみたいだった。
まゆ毛やつり上がった目尻を、線を入れたり、影を作ることですこし下げて、随分柔らかい表情になっている。
「アニマ様はまだまだこれからですよ。さらにヴィヴィアンの純白のオートクチュールが乗っかりますからね。まあ、無敵ですよ。すべての令嬢をこれで蹴散らせます」
ヴィヴィアンの鼻が王都まで伸びたかのようだ。
「すごい!!」
今度は声に出ていた。私、ここまで変身できるんだ!!!
ドレスとメイクの変更を断った私に、ニーナは舌打ちした。
「そのドレスとメイクで行くって私聞いてないんだけど。しっかりしてよ! 私が殿下に選ばれなければいけないんだから」
「ご……ごめんなさい」
「謝ってもだめでしょう! ちゃんとサポートしてよね! ったく」
ニーナは端に移動して腕を組んだ。
周りがざわついた。
殿下とロイドがやってきた。
「遅くなって申し訳ありません。全員揃っていますか。早速バチェラーの2日目を――」
殿下が令嬢を一度、さあっと見てから、私を2度見して、3回、見た。
まゆ毛がつり上がった。
もしかして殿下も、私のことを素敵だって言ってくれるのだろうか。
殿下は大きく目を見開き、口をパクパクとさせた。
うるさい心臓を気にしないようにしながら、じっと、その時を待つ。
殿下は額から大量の汗を出し、地面にこぼれるほどだった。私から目をそらし、ロイドによりかかる。
ロイドが微笑んだ。
「ほほっ。殿下は連日の公務で疲れているのです。令嬢の方々。本日はお手柔らかにお願いいたしますね」
――いや。私がどんなにメイクやドレスを着飾っても、殿下は私が怖いんです! それだけでした。期待してはいけない。分かってはいたのに、この気持ちは何でしょう。他の令嬢が私を怖がらないから忘れていました。私は誰もが恐怖する、悪役令嬢なのです。
私は強く噛んだ唇の近くをもんで、うにょーんと伸ばす。こわばりをとるように、丹念に、もんだり、伸ばしたりした。
頬を張った。しかし、せっかくドラクロアに素敵にしてもらったメイクは落とさないように、控えめに。
いい音がして、ニーナが振りかえる。
私は、笑った。
「さあ、ニーナと殿下をくっつける為にがんばります」
「頑張ってよね。まぁ、殿下は間違いなく私を選ぶけれども」
移動しているとき、ドレスとメイクのことをロイドから根掘り葉掘り聞かれた。そうですか。ヴィヴィアン様とドラクロア様が。なかなかメイクが上手ですし、アニマ様はとてもお綺麗です、とお世辞を言われた。
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