2 / 46
1章 悪役令嬢の私がどうしてバチェラーに?
2話 殿下の魂(ソウル)をもらいうけます!
しおりを挟む
「あなたを我がバチェラー(王太子妃決定婚活バトルロワイヤル)へお誘いに参りました」
「えっ……」
バチェラーとは、王族が結婚相手を選ぶために、令嬢を集め、たった1席しかない妃の座を奪いあう婚活祭りだ。
私、まさか! 王太子妃になれるチャンスがあるってこと?
そうなるとお金が湯水のように流れ込み、我がタウンゼント領の資金難も解消され、王太子妃として、たとえ顔が怖くても……まぁ、許容されるだろう。されるか? まあ、されるか。なんと素晴らしい未来であろうか。美しい顔立ちであろう(想像)殿下と私なら、もしかしたら、それなりに見られる顔の子がうまれるのでは……。
「それと」
殿下のお声に、私は妄想のふたを閉じ、頬をぺちん、と叩く。隣の男性がすこし笑ったような気がする。バカにするというより、楽しげだった。
「なんでしょうか」
私は居住まいをただし、せき払いをした。目の前には衝立があるだけなのだが。
「バチェラーには悪役令嬢枠として参加してほしいのです」
「はぁ……」
生返事をしてしまった。
「バチェラーの悪役令嬢役とは、なにをするものなのでしょうか」
「悪役令嬢となってバチェラーの盛り上げ役をやってくれれば結構です。国民や新聞記者たちは大喜びするでしょう」
一瞬で悟った。ピエロ役だ。みんなの前で振られ、笑われる役を求めているのだ。浮かれた頬の熱が、急速に冷めた。
「ちなみに俺は、悪役令嬢は好きではないのです。悪役令嬢という言葉さえ、この世には必要ないと思っています! むしろ、むしろ、唾棄すべきものだとさえ思う!!」
これは顔が怖くて悪役令嬢役しかさせてもらえない私への当てつけ? それに悪役令嬢役で呼んでおいて、必要ないってどういう意味??
「あっそれと勘違いをしないほしいのですが。バチェラーに参加するからといって、あなたを愛すことは絶対に、ありません。それだけはわかっておいてほしいのです」
いつもだったら笑って流せる。当たり前に浴びせられ、当然の権利のように降ってくる、私への暴言。
ただ、雨が降ってきたかのように傘で受けとめ、滴を振りはらうだけだ。
足もとは、濡れてしまうが。
今日は違った。演技はうまくいかず、マシューにも婚約破棄をされ、あげく、私は。
――期待をしてしまった。
この私が、王太子と一緒になれるかもしれないと。
夢を見てしまった。
私の奥歯はすりつぶされ、砕かれるのを待つ寸前。顔がぴくぴく動くのを止められない。
私の足もとは、すでにずぶ濡れだった! おおきな水たまりに足をとらわれていた。
「じゃあなんで!!!!! 私をバチェラーに呼ぶの!?!!!!!!!!!!!」
私は、勢いよく立ち上がって帰ろうとするが、膝が大きくぶつかって、衝立を倒してしまった。殿下に向かって衝立が倒れていく。
――やってしまった。
ぞわり、と背中をいやーな汗がつたっていく。
「無礼を働いて誠に申し訳ございませんが、バチェラーには参加しません。これで失礼いたします」
「待ってください」
殿下が倒れた衝立に挟まって、顔を半分しか出さないで、言った。
蒼と白みの入った美しい銀髪に、沈む太陽の最後の線のような、優しく淡いトパーズのような瞳。すっとのびた鼻。はじめて見る殿下のお姿は脊髄が痺れてしまうほど素敵だった。顔の半分しか見えず、しかも、衝立に挟まれた状態で、これ以上の美男子はいないのではないだろうか。
しかし、大量の汗を掻き、手がふるえ、私をまっすぐに見つめることも出来ないみたいだ。
――なんだ。この方も。
ただ、私が怖いだけなのだ。
「あなたは絶対に自分に来た仕事を断らない。そして、悪役令嬢という役にプライドを持っている。そうですね」
「え、ええ」
「そんな貴方に、悪役令嬢役をやってほしいのです」
「私の事が怖いのですよね。他の方に頼まれてはいかがですか?」
「あなた以上に、演技がうまい人はいない」
私の心臓が高く跳ねた。が、首を強く振る。
「私はやりません。バチェラーは演劇ではないのですから。もっと真剣で切実な、結婚の儀式でしょう」
「いいえ。バチェラーは演劇そのものです。そこに出演してもらうだけ。もちろんお礼はさせていただきます。劇場から貰っている3年分の給料を出――」
「でます!!!!!!!!!!!!!!!! いまから、すぐにやれますよ!!!!」
殿下の会話を遮る。そして、殿下を起こそうと手を伸ばすが、殿下は私の手をとらなかった。隣の男性が衝立を起こそうとしたが、重いためかびくともしない。私は片腕でひょいっ、と衝立を持ち上げて、元にもどした。私を見ていた男性は表情を失った。私は笑みを返す。
衝立により殿下は見えなくなった。
私は胸に手をあてた。殿下にむかって話す。
「参加するのは、お金が目当てって訳じゃないです。たしかにお金は大事ですけど。後に私がバチェラーに関することや、殿下を演じることもあるかもしれないので」
そこで、言葉を切った。
「私は殿下の魂を頂戴するために、参加することにします」
隣から息をのむ気配がした。
「それは……殿下を殺すって言う意味ではないですよね?」
男性が私に掴みかからんばかりに顔を近づける。
殿下が言った。
「違いますよ。ロイド様。アニマ嬢は演じた役や本などの登場人物を魂として取りこみ、いつでも呼びだせるそうです。俺も……取りこむことができるという意味でしょう」
「なんでそんなところまで知っているのですか」
私が笑うと、殿下も声を出して笑った。はじめて笑った声を聞く。
しかし隣のロイドという男性は何者だろうか。殿下に敬意を払われている。
ロイドという名前に聞き覚えがある。演劇の本で見たような気がする。俳優だったか?
殿下の安堵の声が漏れる。
「アニマ嬢。数々の失礼なことを言ってしまって、申し訳ありませんでした」
ロイドもうなずいて、ニコリ、と笑う。
ロイドが私を見つめていた。なぜ、こんなに私の悪役令嬢役が求められているのかはわからないが、私ははじめて舞台に立ったあの日のように、誇らしげな気持ちになった。
◇◇◇◇◇◇◇◇
セシル殿下は王宮の執務室の椅子に座った。
そして、ロイドに問いかけた。
「それで、あの短い時間で出来そうですか」
「ええ。わたくしのことをだれだと? 可能です。明日、明後日には、立体物でも、平面でも、どちらでもいけそうです」
ロイドはほほえむ。
「さすが、師匠です!」
椅子が倒れそうなほどにとびあがって、セシルはロイドに抱きついた。
「ここでは、殿下と従者という関係なのですから、あまり、敬意をはらったお言葉をしていると怪しまれます。ただし、もっと、褒めてくださってもいいですよ。なにせ、わたくしの腕は他に代えがきかないのですから」
「はい! 師匠は世界でいちばんすごい腕を持っています!」
セシルの言葉にロイドは満足そうにうなずく。
「それで、買収の件はどうなりました」
「ああ……もう褒める時間は終わりなのですね……。――ええ、買収の件は滞りなく完了しました。これで、貴方様の持ち物です」
ロイドはさびしげに首を一振りして、気持ちを切り替えるように言った。
「では、なんの問題もなく、バチェラーをはじめられますね」
セシルの声にロイドは力強くうなずく。
「では、わたくしはこれから、作業にかかりっきりになりますから」
そうして、1週間後に予定通り、バチェラー(王太子妃決定婚活バトルロワイヤル)は開催されることとなった。
「えっ……」
バチェラーとは、王族が結婚相手を選ぶために、令嬢を集め、たった1席しかない妃の座を奪いあう婚活祭りだ。
私、まさか! 王太子妃になれるチャンスがあるってこと?
そうなるとお金が湯水のように流れ込み、我がタウンゼント領の資金難も解消され、王太子妃として、たとえ顔が怖くても……まぁ、許容されるだろう。されるか? まあ、されるか。なんと素晴らしい未来であろうか。美しい顔立ちであろう(想像)殿下と私なら、もしかしたら、それなりに見られる顔の子がうまれるのでは……。
「それと」
殿下のお声に、私は妄想のふたを閉じ、頬をぺちん、と叩く。隣の男性がすこし笑ったような気がする。バカにするというより、楽しげだった。
「なんでしょうか」
私は居住まいをただし、せき払いをした。目の前には衝立があるだけなのだが。
「バチェラーには悪役令嬢枠として参加してほしいのです」
「はぁ……」
生返事をしてしまった。
「バチェラーの悪役令嬢役とは、なにをするものなのでしょうか」
「悪役令嬢となってバチェラーの盛り上げ役をやってくれれば結構です。国民や新聞記者たちは大喜びするでしょう」
一瞬で悟った。ピエロ役だ。みんなの前で振られ、笑われる役を求めているのだ。浮かれた頬の熱が、急速に冷めた。
「ちなみに俺は、悪役令嬢は好きではないのです。悪役令嬢という言葉さえ、この世には必要ないと思っています! むしろ、むしろ、唾棄すべきものだとさえ思う!!」
これは顔が怖くて悪役令嬢役しかさせてもらえない私への当てつけ? それに悪役令嬢役で呼んでおいて、必要ないってどういう意味??
「あっそれと勘違いをしないほしいのですが。バチェラーに参加するからといって、あなたを愛すことは絶対に、ありません。それだけはわかっておいてほしいのです」
いつもだったら笑って流せる。当たり前に浴びせられ、当然の権利のように降ってくる、私への暴言。
ただ、雨が降ってきたかのように傘で受けとめ、滴を振りはらうだけだ。
足もとは、濡れてしまうが。
今日は違った。演技はうまくいかず、マシューにも婚約破棄をされ、あげく、私は。
――期待をしてしまった。
この私が、王太子と一緒になれるかもしれないと。
夢を見てしまった。
私の奥歯はすりつぶされ、砕かれるのを待つ寸前。顔がぴくぴく動くのを止められない。
私の足もとは、すでにずぶ濡れだった! おおきな水たまりに足をとらわれていた。
「じゃあなんで!!!!! 私をバチェラーに呼ぶの!?!!!!!!!!!!!」
私は、勢いよく立ち上がって帰ろうとするが、膝が大きくぶつかって、衝立を倒してしまった。殿下に向かって衝立が倒れていく。
――やってしまった。
ぞわり、と背中をいやーな汗がつたっていく。
「無礼を働いて誠に申し訳ございませんが、バチェラーには参加しません。これで失礼いたします」
「待ってください」
殿下が倒れた衝立に挟まって、顔を半分しか出さないで、言った。
蒼と白みの入った美しい銀髪に、沈む太陽の最後の線のような、優しく淡いトパーズのような瞳。すっとのびた鼻。はじめて見る殿下のお姿は脊髄が痺れてしまうほど素敵だった。顔の半分しか見えず、しかも、衝立に挟まれた状態で、これ以上の美男子はいないのではないだろうか。
しかし、大量の汗を掻き、手がふるえ、私をまっすぐに見つめることも出来ないみたいだ。
――なんだ。この方も。
ただ、私が怖いだけなのだ。
「あなたは絶対に自分に来た仕事を断らない。そして、悪役令嬢という役にプライドを持っている。そうですね」
「え、ええ」
「そんな貴方に、悪役令嬢役をやってほしいのです」
「私の事が怖いのですよね。他の方に頼まれてはいかがですか?」
「あなた以上に、演技がうまい人はいない」
私の心臓が高く跳ねた。が、首を強く振る。
「私はやりません。バチェラーは演劇ではないのですから。もっと真剣で切実な、結婚の儀式でしょう」
「いいえ。バチェラーは演劇そのものです。そこに出演してもらうだけ。もちろんお礼はさせていただきます。劇場から貰っている3年分の給料を出――」
「でます!!!!!!!!!!!!!!!! いまから、すぐにやれますよ!!!!」
殿下の会話を遮る。そして、殿下を起こそうと手を伸ばすが、殿下は私の手をとらなかった。隣の男性が衝立を起こそうとしたが、重いためかびくともしない。私は片腕でひょいっ、と衝立を持ち上げて、元にもどした。私を見ていた男性は表情を失った。私は笑みを返す。
衝立により殿下は見えなくなった。
私は胸に手をあてた。殿下にむかって話す。
「参加するのは、お金が目当てって訳じゃないです。たしかにお金は大事ですけど。後に私がバチェラーに関することや、殿下を演じることもあるかもしれないので」
そこで、言葉を切った。
「私は殿下の魂を頂戴するために、参加することにします」
隣から息をのむ気配がした。
「それは……殿下を殺すって言う意味ではないですよね?」
男性が私に掴みかからんばかりに顔を近づける。
殿下が言った。
「違いますよ。ロイド様。アニマ嬢は演じた役や本などの登場人物を魂として取りこみ、いつでも呼びだせるそうです。俺も……取りこむことができるという意味でしょう」
「なんでそんなところまで知っているのですか」
私が笑うと、殿下も声を出して笑った。はじめて笑った声を聞く。
しかし隣のロイドという男性は何者だろうか。殿下に敬意を払われている。
ロイドという名前に聞き覚えがある。演劇の本で見たような気がする。俳優だったか?
殿下の安堵の声が漏れる。
「アニマ嬢。数々の失礼なことを言ってしまって、申し訳ありませんでした」
ロイドもうなずいて、ニコリ、と笑う。
ロイドが私を見つめていた。なぜ、こんなに私の悪役令嬢役が求められているのかはわからないが、私ははじめて舞台に立ったあの日のように、誇らしげな気持ちになった。
◇◇◇◇◇◇◇◇
セシル殿下は王宮の執務室の椅子に座った。
そして、ロイドに問いかけた。
「それで、あの短い時間で出来そうですか」
「ええ。わたくしのことをだれだと? 可能です。明日、明後日には、立体物でも、平面でも、どちらでもいけそうです」
ロイドはほほえむ。
「さすが、師匠です!」
椅子が倒れそうなほどにとびあがって、セシルはロイドに抱きついた。
「ここでは、殿下と従者という関係なのですから、あまり、敬意をはらったお言葉をしていると怪しまれます。ただし、もっと、褒めてくださってもいいですよ。なにせ、わたくしの腕は他に代えがきかないのですから」
「はい! 師匠は世界でいちばんすごい腕を持っています!」
セシルの言葉にロイドは満足そうにうなずく。
「それで、買収の件はどうなりました」
「ああ……もう褒める時間は終わりなのですね……。――ええ、買収の件は滞りなく完了しました。これで、貴方様の持ち物です」
ロイドはさびしげに首を一振りして、気持ちを切り替えるように言った。
「では、なんの問題もなく、バチェラーをはじめられますね」
セシルの声にロイドは力強くうなずく。
「では、わたくしはこれから、作業にかかりっきりになりますから」
そうして、1週間後に予定通り、バチェラー(王太子妃決定婚活バトルロワイヤル)は開催されることとなった。
8
お気に入りに追加
76
あなたにおすすめの小説
ほらやっぱり、結局貴方は彼女を好きになるんでしょう?
望月 或
恋愛
ベラトリクス侯爵家のセイフィーラと、ライオロック王国の第一王子であるユークリットは婚約者同士だ。二人は周りが羨むほどの相思相愛な仲で、通っている学園で日々仲睦まじく過ごしていた。
ある日、セイフィーラは落馬をし、その衝撃で《前世》の記憶を取り戻す。ここはゲームの中の世界で、自分は“悪役令嬢”だということを。
転入生のヒロインにユークリットが一目惚れをしてしまい、セイフィーラは二人の仲に嫉妬してヒロインを虐め、最後は『婚約破棄』をされ修道院に送られる運命であることを――
そのことをユークリットに告げると、「絶対にその彼女に目移りなんてしない。俺がこの世で愛しているのは君だけなんだ」と真剣に言ってくれたのだが……。
その日の朝礼後、ゲームの展開通り、ヒロインのリルカが転入してくる。
――そして、セイフィーラは見てしまった。
目を見開き、頬を紅潮させながらリルカを見つめているユークリットの顔を――
※作者独自の世界設定です。ゆるめなので、突っ込みは心の中でお手柔らかに願います……。
※たまに第三者視点が入ります。(タイトルに記載)
【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
扇 レンナ
恋愛
スパダリ系執着王太子×愛を知らない純情令嬢――婚約破棄から始まる、極上の恋
伯爵令嬢テレジアは小さな頃から両親に《次期公爵閣下の婚約者》という価値しか見出してもらえなかった。
それでもその利用価値に縋っていたテレジアだが、努力も虚しく婚約破棄を突きつけられる。
途方に暮れるテレジアを助けたのは、留学中だったはずの王太子ラインヴァルト。彼は何故かテレジアに「好きだ」と告げて、熱烈に愛してくれる。
その真意が、テレジアにはわからなくて……。
*hotランキング 最高68位ありがとうございます♡
▼掲載先→ベリーズカフェ、エブリスタ、アルファポリス
完結・せっかく助け出した初恋の人に、新婚初夜に『お前を愛してないし、これからも愛することはない!』って真顔で言うとか、魔王様はアホっすか!?
まほりろ
恋愛
幼馴染の美少女を、根性の悪い継母と、意地悪な異母妹と、傍若無人な元婚約者から救い出した魔王様。
少女は魔王様の恩人で初恋の人でした。再会した二人はめでたく結婚。
そこまでは良かったんですが……。
新婚新婚に「お前を愛してないし、これからも愛することはない! 俺に愛されたいなど思うな!!」って真顔で言うとか魔王様はアホっすか?
えっ? 新婚初夜にそう言うのが人間界の常識だと思ってた?? マジっすか?!
世間知らずな魔王様のために、出来る部下のオレが仲直りのきっかけを作ってあげるっす!
(※ちな、有料です。億単位のお金を用意しててほしいっす)
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します。
※小説家になろうにも掲載してます。
※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
※小説家になろう2022年11月15日夜、日間異世界恋愛ランキング、63位まで上がった作品です。
【完結】名ばかりの妻を押しつけられた公女は、人生のやり直しを求めます。2度目は絶対に飼殺し妃ルートの回避に全力をつくします。
yukiwa (旧PN 雪花)
恋愛
*タイトル変更しました。(旧題 黄金竜の花嫁~飼殺し妃は遡る~)
パウラ・ヘルムダールは、竜の血を継ぐ名門大公家の跡継ぎ公女。
この世を支配する黄金竜オーディに望まれて側室にされるが、その実態は正室の仕事を丸投げされてこなすだけの、名のみの妻だった。
しかもその名のみの妻、側室なのに選抜試験などと御大層なものがあって。生真面目パウラは手を抜くことを知らず、ついつい頑張ってなりたくもなかった側室に見事当選。
もう一人の側室候補エリーヌは、イケメン試験官と恋をしてさっさと選抜試験から引き揚げていた。
「やられた!」と後悔しても、後の祭り。仕方ないからパウラは丸投げされた仕事をこなし、こなして一生を終える。そしてご褒美にやり直しの転生を願った。
「二度と絶対、飼殺しの妃はごめんです」
そうして始まった2度目の人生、なんだか周りが騒がしい。
竜の血を継ぐ4人の青年(後に試験官になる)たちは、なぜだかみんなパウラに甘い。
後半、シリアス風味のハピエン。
3章からルート分岐します。
小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
表紙画像はwaifulabsで作成していただきました。
https://waifulabs.com/
新たな物語はあなたと共に
mahiro
恋愛
婚約破棄と共に断罪を言い渡され、私は18歳という若さでこの世を去った筈だったのに、目を覚ますと私の婚約者を奪った女に成り代わっていた。
何故こんなことになったのか、これは何の罰なのかと思いながら今まで味わったことのない平民の生活を送ることとなった。
それから数年が経過し、特待生として以前通っていた学園へと入学が決まった。
そこには過去存在していた私の姿と私を断罪した婚約者の姿があったのだった。
貴方が選んだのは全てを捧げて貴方を愛した私ではありませんでした
ましゅぺちーの
恋愛
王国の名門公爵家の出身であるエレンは幼い頃から婚約者候補である第一王子殿下に全てを捧げて生きてきた。
彼を数々の悪意から守り、彼の敵を排除した。それも全ては愛する彼のため。
しかし、王太子となった彼が最終的には選んだのはエレンではない平民の女だった。
悲しみに暮れたエレンだったが、家族や幼馴染の公爵令息に支えられて元気を取り戻していく。
その一方エレンを捨てた王太子は着々と破滅への道を進んでいた・・・
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる