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第一章 死ぬまでにしたい10のこと

42話 文化祭編③ 命をかける

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 わたくしとミラーたちは互いに笑い合った。

「ほんと、怖かった~。安心したら、力が抜けてしまって」
 ミラーが笑って、へたりこんだ。


 うん? なんだかすごく、部屋が暑い?


 ドンッッッッ!!!!

 
 地響きがし、まばゆい光に部屋が照らされる。



 ミラーの手のひらから、すさまじい熱を感じた。



 炎が具現化している。



 そこにいるだれもが、異変を感じとった。


「みんな、逃げて!!!!!!! 安心したら、魔法勝手に発動しちゃったの!!!!!」
 魔法暴発事故は年に数件は起こっている。


「みんな、逃げて!!!! ミラー、わたくしを狙いなさい。照覧の魔女のわたくしは魔法を相殺できます!!!」

 イタムを出して、床に降ろした。わたくしを心配そうに見上げる。「行って!!!」イタムは急いで逃げた。
 

「アシュフォードさん、ほんとごめん。責任は、とるね」
 てのひらを自分に向けるミラー。炎で彼女の制服の袖が消しとび、珊瑚色の髪の毛先が燃えて、黒くなった。

「なにしているの! わたくしに向けなさい!!! わたくしはどうなってもいいのです!!!」

「貴方は照覧の魔女……。いてくれるだけでこの国のみんなは守られている。私は意地悪することしかできない哀れな令嬢。それでも、ここまで私にしてくれて、ありがとう。貴方のことがすこしでもわかって。ほんと、うれしかったよ」
 ミラーは涙を浮かべ、笑った。 

 
 炎がどんどん大きくなって、天井につきそうになる。


 ミラーの曲げていた手首が、炎の勢いによって、徐々にまっすぐになる。

「だめ、もう抑えられない!!!!!!」


 その手はふたたび、わたくしに向けられた。


「わたくしであれば、この窮地、必ず切り抜けられます。さあ、打っていらっしゃい」

 右目の予知とは違う最期でしたが、そんなことは往々にしてよくあること。病気よりも前に死んでしまうなんて、やっぱり人生というものはわかりません。

 


 ――そこに。




 だれよりもはやく、走り込んできた影があった。



 あっという間に、わたくしとミラーの間に割って入った。




 細いが、服の上からでも筋肉質なことがわかる、その背中を見つめた。




 プラチナブロンドの髪をなびかせ、その高い背を、わたくしはいつも見上げていた。






「フェイト!!!! 大丈夫か!!!!!」





 両腕をのばし、ミラーの炎から、わたくしをかばった。




「えっ……どうして?」
 なぜ、アラン殿下がわたくしを守るの?




「逃げて!!!!  アラン殿下!!!!!!」
 わたくしの絶叫が部屋中に響いた。
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