31 / 64
第二章 ニケ、冒険者になる
第10話 トメイトとポテイト
しおりを挟む
「今日はおめえたちに赤茄子(トメイト)と馬鈴薯(ポテイト)の収穫の手伝いと、もしやつらが魔物化していたらその討伐の任務を依頼するだ!」
ボクたちの自己紹介がひとしきり終わると、ゴンサクさんは早速、今回のクエストについて説明を始めた。
明らかに日本人風の顔なのに野菜の発音だけやたら英語の良い発音だったので、そこはちょっとまぁアレだな……と思ったが、まあここはそういう世界観なのだろうと思う。
まぁ触らぬ異世界に祟りなしってやつだ。
ゴンサクさんは続けて、魔物化していた場合の赤茄子と馬鈴薯についての対処法についても説明してくれる。
「赤茄子が魔素を吸収して魔物化すると【血濡れ赤茄子(ブラッディ・トメイト)】になるだ。枝やら蔦やらに棘が生えてそれで攻撃してくる際に【吸血】してくるだで、やつらの攻撃には注意してほしいだ。あと馬鈴薯は魔物化すると【毒蔦馬鈴薯(ポイズン・ポテイト)】になるだ。こいつは蔦に毒属性を帯びるようになるだで、くらうと状態異常でステータスも下がるだ。くれぐれも用心してほしいだ」
ボクはゴンサクさんが物凄く良い発音で【ブラッディ・トメイト】と言った瞬間思わず吹き出しそうになったが、なんとか堪えた――たぶん堪えられていたはずだ……
話を聞く限り、赤茄子と馬鈴薯だと馬鈴薯の方が要注意な気がする。
赤茄子は攻撃を受けても相手のHPを回復されるだけでこっちにステータス異常は発生しないが、馬鈴薯の場合はそれが発生する。
あまり近づかないようにして、『剛力の盾』で守りながら遠距離で『混沌魔弾』で仕留めるのが良さそうだ。
「あと、おめえら。もし魔物がさらに進化して【邪悪種】になっていたら注意するだ。冒険者等級的にもまだおめえらには荷が重え。見つけたら撤退するだで、いち早くオラに報告して欲しいだ」
と、さらにゴンサクさんが注意事項を説明してくれる。
「赤茄子や馬鈴薯が【邪悪種】になってるかどうかってどうやって見分ければ良いんですか?」
と、ボクが質問すると、
「なに言ってるだ、おめえ。そんなもん【鑑定】で見れば一発だべ? 魔物の名前が変わってるし、レベルも【邪悪種】になるとLv10前後あるだ。その辺で判断すれば良いだ」
と、ゴンサクさんが教えてくれた。
昨日討伐した小・邪樹妖のレベルがだいたいLv10だから、別に何とかなるんじゃないか?
あの時はバロラに止めを刺してもらったけど、ボクでもMPが残ってたら倒せてたと思うし……
ゴンサクさんの説明が一通り終わると、ボクたちは街の外にあるゴンサクさんの農地に向かうことになった。
ゴンサクさんの農地はアンヌンから見ると西の方角にあり、ボクが目覚めた【王国】ダンジョンとは逆方向にある。
この街の正門の方から出て徒歩15分くらいの場所にあって、近くには川が流れていた。
話を聞く限りだと、この世界の農業はどちらかというと狩猟・採集に近い。
聖神教の守護結界で守られていない街の外は魔物が多くて危険だが、魔物自体がある種、人間にとって生きるのに不可欠な資源になっている印象だ。
狩猟・採集のスタイルで人口が多いアンヌンの街の食糧需要を賄えるのか?ということを疑問に思ったので、ゴンサクさんに尋ねてみたが、
「なに言ってるだ? 魔物なんてほっといても腐るほど湧いてくるべ? もしオラたちが狩りつくすということがあっても、ダンジョンが勝手に魔物を増やすだ。そんなこと心配する必要はねえだ」
とのことで、この世界では狩猟・採集スタイルでまったく問題が無いらしい。
ただ、ゴンサクさんが全く魔野菜を管理していないかというとそういう訳でも無くて、魔物化すると足が生えたみたいに勝手に移動しちゃって自分の農地からいなくなってしまったりするし、自らの魔素を強化する為に周辺の他の魔野菜を捕食し始めるので、適度に魔物化したものを討伐して農地に魔野菜を維持するようにはしているらしい。
ゴンサクさんの農地にはすでにゴンサクさんの所の従業員と思しき青年が3人居て、収穫の準備をしている。
先に畑の下見をして、どこら辺に魔物化した野菜がいるか調べておいてくれたらしい。
「さっそくおめえたちの出番だ!」
とゴンサクさんに促され、ボクたち冒険者3人組で魔物の方に向かう。
▼▼▼▼
「血濡れ赤茄子が一体だな。みんなで協力して倒すほどのものじゃないが、誰か討伐したいやつはいるか?」
とイケメンケモミミ狩人のテミスくんが言うので、
「じゃあ、せっかくなのでボクがやります!」
と、ボクは積極的にアピールした。
なんてったってイケメンケモミミ狩人くんである。
ここで良いとこの一つでも見せておかないと♪
戦闘の前に【鑑定】で相手のステータスを見る。
今のボクのレベルがLv4で、相手のレベルはLv5なので、もしかしたら少し相手の方が格上なのかもしれないけど、昨日はLv10の小・邪樹妖を討伐できたし、なんとか出来るだろう。
ボクは小・邪樹妖の時と同様の作戦で、血濡れ赤茄子を討伐することにした。
「混沌よ、力の根源よ、我が盾となりて、敵を退けよ! 剛力の盾!」
――ドガガっ
ボクが『剛力の盾』を展開すると、血濡れ赤茄子の方もボクを敵認定したらしく、棘のついた蔦を伸ばしてくる。
やっぱりレベルが低いだけあって、昨日の小・邪樹妖ほどの迫力はない。
『剛力の盾』がしっかり攻撃を追尾して守ってくれているのを確認し、ボクは落ち着いて『混沌魔弾』の術式を展開する。
「混沌よ、力の根源よ、我が眼前に弾となりて、敵を穿て! 混沌魔弾!」
――ビュンっ! バギャっ!
闇色をした魔弾がボクの眼前から高速で相手の方に射出される。
血濡れ赤茄子は蔦で身を守ろうとしたが、小・邪樹妖の時と違いそれで軌道がずれることも無く、相手の主茎に命中し、そこで切断された。
血濡れ赤茄子はそれで絶命したらしく、ボクは主茎の膨らんだ部分を魔法の短剣アゾートで切り割いて魔晶石を回収する。
すると、「魔物化した赤茄子は普通のやつらよりうめえから、出来るだけ実はつぶさねえでくれよ!」と、ゴンサクさんが後から忠告してきた。
蔦で『混沌魔弾』を防ごうとした時にいくつか実が潰れてしまっていたが、まだけっこう実が残っていたので冒険者3人組で回収する。
そうすると、それをゴンサクさんのところの従業員が籠にいれて荷車の方に持って行った。
その後も魔物化した馬鈴薯や赤茄子が発見される度、都度都度ボクたちはゴンサクさんたちに呼ばれ、そいつらを討伐していく。
毒蔦馬鈴薯はやっぱり血濡れ赤茄子よりもやっかいらしく、一番先輩のケモミミ狩人くんがお手本を見せてくれた。
毒蔦馬鈴薯の魔晶石は、蔦が生えている種イモのところに形成されるらしく、そこを破壊すれば討伐できるらしい。
弓を使うのかと思ったけど、彼は腰に帯びていた手斧を取り出すとそれを勢いよく振りかぶり投擲する。
ブォンブォンっ!と音を立て、回転しながら空気を切り裂いて飛んでいった手斧は見事、種イモの部分に命中し、彼は手慣れた手つきで魔晶石と残りの芋を回収した。
二体目の血濡れ赤茄子が現れた時、ロイが「今度は自分が戦います!」と前に出た。
ロイは物凄い勢いで剣を持って突進していったが、あからさまな突撃に赤茄子も蔦で反撃し、ロイは態勢を崩してぐわっとのけぞった。
大丈夫だろうか?と少し心配になったがロイはすぐに態勢を立て直し再度突進していく。
ワンパターンだなとは思ったが、ロイは赤茄子が反撃で繰り出す蔦攻撃を今度はうまく剣で薙ぎ払い、そのまま主茎の部分にグサッ!と剣を突き立て相手の息の根を止めた。
どうやら彼は今日が冒険者デビューだったらしく、初討伐に興奮して「うぉーっ! よっしゃー!」と雄叫びをあげる。
「なんか必死だなぁ、コイツ」と一瞬思ったが、彼は故郷の村をモンスター氾濫災害で失った、その生き残りである。
必死になるのも無理は無い。
むしろいつまでもゲーム感覚でいるボクの方が、この世界では異常のなのかもしれなかった。
この世界のことはまだよく分かっていない。
もしかしたらここがVRではなく、異世界の現実ということは十分ありうるのだ。
ボクたちはその後も順調に魔物化した野菜の討伐を進めていき、正午頃にお昼休みになった。
お昼ご飯はゴンサクさんの奥さんが用意してくれたというおにぎりと馬鈴薯の煮っころがし、大根によく似た根菜の漬物が出た。
討伐任務でお腹も空いていたボクたちは物凄い勢いでおにぎりを消化していく。
ゴンサクさんの方も冒険者がたくさん食べることを承知で、奥さんにたくさんおにぎりを作ってもらっていたらしい。
馬鈴薯の煮っころがしも、お腹が空いていたこともあってかすっごくおいしく感じた!
この世界にもちゃんと醤油的な調味料はあるんだなぁということに感動しつつも、芋の味もすごく濃厚でクリーミーで美味しかった。
ゴンサクさんいわく、煮っころがしの馬鈴薯は魔物化した毒蔦馬鈴薯を使用しているらしく、「魔素が濃厚だからまったりとした味わいが格別だべ?」とドヤ顔で言っていた。
「毒蔦馬鈴薯なのに毒は大丈夫なのか?」と一瞬思ったが、何か毒抜きとかをしているのかもしれないし、討伐したら無害化するのかもしれない。
討伐して無害化するとしたら毒蔦馬鈴薯の毒は魔晶石による影響かもしれないなと思った。
お昼ご飯をいただいてお腹がいっぱいになったボクたちは、少しお昼休憩を取らせてもらう。
「今のところ、順調ですね~」
とボクが言うと、
「そうだな、このまま何も起こらないと良いな」
とケモミミ狩人くんが返した。
ボクたちの自己紹介がひとしきり終わると、ゴンサクさんは早速、今回のクエストについて説明を始めた。
明らかに日本人風の顔なのに野菜の発音だけやたら英語の良い発音だったので、そこはちょっとまぁアレだな……と思ったが、まあここはそういう世界観なのだろうと思う。
まぁ触らぬ異世界に祟りなしってやつだ。
ゴンサクさんは続けて、魔物化していた場合の赤茄子と馬鈴薯についての対処法についても説明してくれる。
「赤茄子が魔素を吸収して魔物化すると【血濡れ赤茄子(ブラッディ・トメイト)】になるだ。枝やら蔦やらに棘が生えてそれで攻撃してくる際に【吸血】してくるだで、やつらの攻撃には注意してほしいだ。あと馬鈴薯は魔物化すると【毒蔦馬鈴薯(ポイズン・ポテイト)】になるだ。こいつは蔦に毒属性を帯びるようになるだで、くらうと状態異常でステータスも下がるだ。くれぐれも用心してほしいだ」
ボクはゴンサクさんが物凄く良い発音で【ブラッディ・トメイト】と言った瞬間思わず吹き出しそうになったが、なんとか堪えた――たぶん堪えられていたはずだ……
話を聞く限り、赤茄子と馬鈴薯だと馬鈴薯の方が要注意な気がする。
赤茄子は攻撃を受けても相手のHPを回復されるだけでこっちにステータス異常は発生しないが、馬鈴薯の場合はそれが発生する。
あまり近づかないようにして、『剛力の盾』で守りながら遠距離で『混沌魔弾』で仕留めるのが良さそうだ。
「あと、おめえら。もし魔物がさらに進化して【邪悪種】になっていたら注意するだ。冒険者等級的にもまだおめえらには荷が重え。見つけたら撤退するだで、いち早くオラに報告して欲しいだ」
と、さらにゴンサクさんが注意事項を説明してくれる。
「赤茄子や馬鈴薯が【邪悪種】になってるかどうかってどうやって見分ければ良いんですか?」
と、ボクが質問すると、
「なに言ってるだ、おめえ。そんなもん【鑑定】で見れば一発だべ? 魔物の名前が変わってるし、レベルも【邪悪種】になるとLv10前後あるだ。その辺で判断すれば良いだ」
と、ゴンサクさんが教えてくれた。
昨日討伐した小・邪樹妖のレベルがだいたいLv10だから、別に何とかなるんじゃないか?
あの時はバロラに止めを刺してもらったけど、ボクでもMPが残ってたら倒せてたと思うし……
ゴンサクさんの説明が一通り終わると、ボクたちは街の外にあるゴンサクさんの農地に向かうことになった。
ゴンサクさんの農地はアンヌンから見ると西の方角にあり、ボクが目覚めた【王国】ダンジョンとは逆方向にある。
この街の正門の方から出て徒歩15分くらいの場所にあって、近くには川が流れていた。
話を聞く限りだと、この世界の農業はどちらかというと狩猟・採集に近い。
聖神教の守護結界で守られていない街の外は魔物が多くて危険だが、魔物自体がある種、人間にとって生きるのに不可欠な資源になっている印象だ。
狩猟・採集のスタイルで人口が多いアンヌンの街の食糧需要を賄えるのか?ということを疑問に思ったので、ゴンサクさんに尋ねてみたが、
「なに言ってるだ? 魔物なんてほっといても腐るほど湧いてくるべ? もしオラたちが狩りつくすということがあっても、ダンジョンが勝手に魔物を増やすだ。そんなこと心配する必要はねえだ」
とのことで、この世界では狩猟・採集スタイルでまったく問題が無いらしい。
ただ、ゴンサクさんが全く魔野菜を管理していないかというとそういう訳でも無くて、魔物化すると足が生えたみたいに勝手に移動しちゃって自分の農地からいなくなってしまったりするし、自らの魔素を強化する為に周辺の他の魔野菜を捕食し始めるので、適度に魔物化したものを討伐して農地に魔野菜を維持するようにはしているらしい。
ゴンサクさんの農地にはすでにゴンサクさんの所の従業員と思しき青年が3人居て、収穫の準備をしている。
先に畑の下見をして、どこら辺に魔物化した野菜がいるか調べておいてくれたらしい。
「さっそくおめえたちの出番だ!」
とゴンサクさんに促され、ボクたち冒険者3人組で魔物の方に向かう。
▼▼▼▼
「血濡れ赤茄子が一体だな。みんなで協力して倒すほどのものじゃないが、誰か討伐したいやつはいるか?」
とイケメンケモミミ狩人のテミスくんが言うので、
「じゃあ、せっかくなのでボクがやります!」
と、ボクは積極的にアピールした。
なんてったってイケメンケモミミ狩人くんである。
ここで良いとこの一つでも見せておかないと♪
戦闘の前に【鑑定】で相手のステータスを見る。
今のボクのレベルがLv4で、相手のレベルはLv5なので、もしかしたら少し相手の方が格上なのかもしれないけど、昨日はLv10の小・邪樹妖を討伐できたし、なんとか出来るだろう。
ボクは小・邪樹妖の時と同様の作戦で、血濡れ赤茄子を討伐することにした。
「混沌よ、力の根源よ、我が盾となりて、敵を退けよ! 剛力の盾!」
――ドガガっ
ボクが『剛力の盾』を展開すると、血濡れ赤茄子の方もボクを敵認定したらしく、棘のついた蔦を伸ばしてくる。
やっぱりレベルが低いだけあって、昨日の小・邪樹妖ほどの迫力はない。
『剛力の盾』がしっかり攻撃を追尾して守ってくれているのを確認し、ボクは落ち着いて『混沌魔弾』の術式を展開する。
「混沌よ、力の根源よ、我が眼前に弾となりて、敵を穿て! 混沌魔弾!」
――ビュンっ! バギャっ!
闇色をした魔弾がボクの眼前から高速で相手の方に射出される。
血濡れ赤茄子は蔦で身を守ろうとしたが、小・邪樹妖の時と違いそれで軌道がずれることも無く、相手の主茎に命中し、そこで切断された。
血濡れ赤茄子はそれで絶命したらしく、ボクは主茎の膨らんだ部分を魔法の短剣アゾートで切り割いて魔晶石を回収する。
すると、「魔物化した赤茄子は普通のやつらよりうめえから、出来るだけ実はつぶさねえでくれよ!」と、ゴンサクさんが後から忠告してきた。
蔦で『混沌魔弾』を防ごうとした時にいくつか実が潰れてしまっていたが、まだけっこう実が残っていたので冒険者3人組で回収する。
そうすると、それをゴンサクさんのところの従業員が籠にいれて荷車の方に持って行った。
その後も魔物化した馬鈴薯や赤茄子が発見される度、都度都度ボクたちはゴンサクさんたちに呼ばれ、そいつらを討伐していく。
毒蔦馬鈴薯はやっぱり血濡れ赤茄子よりもやっかいらしく、一番先輩のケモミミ狩人くんがお手本を見せてくれた。
毒蔦馬鈴薯の魔晶石は、蔦が生えている種イモのところに形成されるらしく、そこを破壊すれば討伐できるらしい。
弓を使うのかと思ったけど、彼は腰に帯びていた手斧を取り出すとそれを勢いよく振りかぶり投擲する。
ブォンブォンっ!と音を立て、回転しながら空気を切り裂いて飛んでいった手斧は見事、種イモの部分に命中し、彼は手慣れた手つきで魔晶石と残りの芋を回収した。
二体目の血濡れ赤茄子が現れた時、ロイが「今度は自分が戦います!」と前に出た。
ロイは物凄い勢いで剣を持って突進していったが、あからさまな突撃に赤茄子も蔦で反撃し、ロイは態勢を崩してぐわっとのけぞった。
大丈夫だろうか?と少し心配になったがロイはすぐに態勢を立て直し再度突進していく。
ワンパターンだなとは思ったが、ロイは赤茄子が反撃で繰り出す蔦攻撃を今度はうまく剣で薙ぎ払い、そのまま主茎の部分にグサッ!と剣を突き立て相手の息の根を止めた。
どうやら彼は今日が冒険者デビューだったらしく、初討伐に興奮して「うぉーっ! よっしゃー!」と雄叫びをあげる。
「なんか必死だなぁ、コイツ」と一瞬思ったが、彼は故郷の村をモンスター氾濫災害で失った、その生き残りである。
必死になるのも無理は無い。
むしろいつまでもゲーム感覚でいるボクの方が、この世界では異常のなのかもしれなかった。
この世界のことはまだよく分かっていない。
もしかしたらここがVRではなく、異世界の現実ということは十分ありうるのだ。
ボクたちはその後も順調に魔物化した野菜の討伐を進めていき、正午頃にお昼休みになった。
お昼ご飯はゴンサクさんの奥さんが用意してくれたというおにぎりと馬鈴薯の煮っころがし、大根によく似た根菜の漬物が出た。
討伐任務でお腹も空いていたボクたちは物凄い勢いでおにぎりを消化していく。
ゴンサクさんの方も冒険者がたくさん食べることを承知で、奥さんにたくさんおにぎりを作ってもらっていたらしい。
馬鈴薯の煮っころがしも、お腹が空いていたこともあってかすっごくおいしく感じた!
この世界にもちゃんと醤油的な調味料はあるんだなぁということに感動しつつも、芋の味もすごく濃厚でクリーミーで美味しかった。
ゴンサクさんいわく、煮っころがしの馬鈴薯は魔物化した毒蔦馬鈴薯を使用しているらしく、「魔素が濃厚だからまったりとした味わいが格別だべ?」とドヤ顔で言っていた。
「毒蔦馬鈴薯なのに毒は大丈夫なのか?」と一瞬思ったが、何か毒抜きとかをしているのかもしれないし、討伐したら無害化するのかもしれない。
討伐して無害化するとしたら毒蔦馬鈴薯の毒は魔晶石による影響かもしれないなと思った。
お昼ご飯をいただいてお腹がいっぱいになったボクたちは、少しお昼休憩を取らせてもらう。
「今のところ、順調ですね~」
とボクが言うと、
「そうだな、このまま何も起こらないと良いな」
とケモミミ狩人くんが返した。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜
櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。
パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。
車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。
ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!!
相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム!
けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!!
パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!


どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…
小桃
ファンタジー
商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。
1.最強になれる種族
2.無限収納
3.変幻自在
4.並列思考
5.スキルコピー
5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。
【BIO DEFENSE】 ~終わった世界に作られる都市~
こばん
SF
世界は唐突に終わりを告げる。それはある日突然現れて、平和な日常を過ごす人々に襲い掛かった。それは醜悪な様相に異臭を放ちながら、かつての日常に我が物顔で居座った。
人から人に感染し、感染した人はまだ感染していない人に襲い掛かり、恐るべき加速度で被害は広がって行く。
それに対抗する術は、今は無い。
平和な日常があっという間に非日常の世界に変わり、残った人々は集い、四国でいくつかの都市を形成して反攻の糸口と感染のルーツを探る。
しかしそれに対してか感染者も進化して困難な状況に拍車をかけてくる。
さらにそんな状態のなかでも、権益を求め人の足元をすくうため画策する者、理性をなくし欲望のままに動く者、この状況を利用すらして己の利益のみを求めて動く者らが牙をむき出しにしていきパニックは混迷を極める。
普通の高校生であったカナタもパニックに巻き込まれ、都市の一つに避難した。その都市の守備隊に仲間達と共に入り、第十一番隊として活動していく。様々な人と出会い、別れを繰り返しながら、感染者や都市外の略奪者などと戦い、都市同士の思惑に巻き込まれたりしながら日々を過ごしていた。
そして、やがて一つの真実に辿り着く。
それは大きな選択を迫られるものだった。
bio defence
※物語に出て来るすべての人名及び地名などの固有名詞はすべてフィクションです。作者の頭の中だけに存在するものであり、特定の人物や場所に対して何らかの意味合いを持たせたものではありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる