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しおりを挟むテーブルを挟み気まずい空気を醸し出す二人は沈黙している。
アリスは不本意に揉みしだかれた胸元を大事そうに隠している。
「ルークス先生?」
「……」
ルークスはその間の記憶がなかったのか自分の両方の掌を睨みワナワナしながら感情の吐き出し口を探している様だった。
その戸惑いっぷりは前世の自分と同じ童貞の匂いがぷんぷんしている。
「先生、あんなに乱暴に掴んだら痛いです。僕、痛いのは嫌……です」
言いきるとぷいっとそっぽ向く。掴まれた箇所を見たら急に恥ずかしくなってしまったから。心なしか耳まで赤くて羞恥に震える女子に見えなくもない。
「……もっ申し訳ない」
とても悔しそうにうつむき加減で生徒に謝罪する。その間も掌を責める目線が動く事はなさそうで……、元同志としてはいたたまれない気持ちが沸いてきた。
ルークスは手を握りしめ決意を決めた目でキリッと顔を上げてまっすぐアリスを見る。
「あんな破廉恥な事をしでかした側である自分がこんなことを言うのは可笑しいかもしれないが……、きっ君は何故この部屋に来ていた? そして私達は、今まで一体……何をしていたのだ!?」
また変な汗を流して目線が泳ぎ、ルークスは挙動不審に下を向いてしまった。
「何といって良いのか……。先生、とりあえずこのコーヒーでも飲まれて落ち着いては如何でしょうか?」
「……うむ」
さっき咲良が飲んでいたカップを差し出すと、それを掴んでクイッと煽る。
ぶっは!
「甘っ! げほげほ……」
アリスが信じられないモノを見た顔をする。
「ええ? さっきまでは喜んで飲んでいたのに?」
「私が? ……いつだ? 甘いものは苦手なのだが?」
やはり、ルークスはそのクールな見た目のまま甘いものが苦手らしい。咲良が主導権を握っている時は激甘志向になる不思議思考を実際に体感してコメントに詰まる。
「それよりも最初から説明をしてくれないか。さっきのアレは、私が誘ったのか? それとも君が求めたのか?」
真面目そうな教師が耳まで赤くしてる癖にツンツンし始めた。
「それは……」
「ルークス先生! カナデ嬢が!!」
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