女神の手違いで僕っ娘に転生したけど存外なんとかなるもんです！

１３

　アリスは意識がはっきりしないままひょいと抱き上げられる。



　自分を抱き上げて一歩一歩進んでいく。絶対的な安心感がアリスを包む。

「……ん……あ……熊さん？」


「ふふふ……やぁね、アンタ凄く失礼な子なのね。アタシ、心は女なのよ？」


　とても綺麗な大きなおネエ様にお姫様抱っこをされて部屋まで向かう……これは夢？








　目が覚めたら部屋で一人だった。気だるそうに体を起こす。
「ん、いつ部屋に帰ったんだっけ？」

　軽く拭いてはあるみたいだけど、べたつきが気持ち悪い。今日は週末で授業は無い。こうなったら……



　かっぽーん……

　お風呂に来てみた。この時間は誰もいなかった。天の助けだと思った。


「ふう……誰もいなくてよかったぁ……」

　清潔を保つ為に！　を念頭に、念入りに、なるべく見ない様に円周率を必死に唱えて邪念を誤魔化しながら洗い流した後は、湯船に浸かってようやく落ち着いて背伸びをしてみた。



　…………

　かぁぁぁ……。


「この体、思春期の元男子おとこのこには刺激が多すぎるんだよ！」

　湯船につかり掌てのひらで顔を覆うと大きなため息をつく。生前もそんなに興味は無かったけど、誰かから噂として聞いてはいた"だけ"だったけど、と何度も何度も念を押しながら、


　チラッ……


「はぁぁぁ……浮いてる」


　胸元の浮遊感にこんなに心揺さぶられる事に驚きながら、指の隙間から見えるモノの存在感で耳まで真っ赤。もう色々隠しきれない。


「うー、父さんの書斎の百科事典の中にあった官能写真集だと思えば……」



「くそっ！　こんなに柔らかい写真集何処にも無かったよ！」


　少しずつ自分自身と折り合いをつけていきたいアリスだった。




「フルーツ牛乳はないのか……」


　湯上がりにフルーツ牛乳を一本いきたい所だけれど、さすがにその文化は無いようだった。



　時間をずらした食堂は閑散としていてゆったりと使えていい事だらけだった。

「朝御飯はご飯とお味噌汁だって決めてたから正直嬉しいけどさ、一夜干しに、梅干し……デザートに三色団子とか、一体誰が作ったんだ？　この世界は不思議がいっぱいだ、でもこの世界の不思議は存外美味しいんだよ♪　もぐもぐ」

　文句を言いながらも箸がすすんでしまう。


「食後は図書館でこの変な国の歴史を調べてみよう」