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12勇将

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俺は気取られないように距離を保ち後をつけていくが、大通りを外れて段々と人けの無い所に進んでいく。
こいつ勇者のくせにこんな所に住んでいるのか? と少し不思議に思ったがそのままついていくと、突然足下が沈んだ。
『ブラッディアース』
女の口からスキル名が発せられたのが聞こえた。
「あ~らどんなネズミかと思ったら結構イケメンじゃない。さっきからコソコソずっとついて来てたわよね。身のこなしが只者じゃない感じするんだけどあんただれ?」
「………」
「答えないと殺すわよ」
女勇者が睨みながら、手に持った投げナイフをこちらに向けてくる。
「俺はブレイブスレイヤーだ」
「は? あんたやばい奴なの? 厨二野郎なの」
「訳の分からない事を言うな。このド派手勘違い野郎!」
「はい、おしまい。はい死んで」

そう言うといきなりナイフを俺の頭めがけて投げて来たが、足下が不安定なので上半身の動きだけでなんとか躱した。

「は? あんたなんで躱せるのよ。勇者である私の一撃なのよ?」
俺は問答無用で『アイスジャベリン』を放つ。

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ。あんたも勇者だったの? ならそう言いなさいよ。私は別に勇者同士で争う気は無いのよ」

人に向かってナイフを投げておいて、今更なにを言ってるんだ?
だが俺の事を勇者と勘違いしているようなので、都合がいい。

「じゃあ、証拠にこの足下のスキルを解除してくれよ」
「それは無理ね。発動したら五分は消えないのよ。それよりなんでつけて来てたのよ」
こいつから後数分の時間を稼げるか?
「それは、あなたのような美しい勇者を見かけたからに決まってるだろ」
「ふ~ん、そういう事……でも残念でした。私はもう十二勇将の橘さんのものよ。残念だけど諦めなさい」
「十二勇将? だれだ? それは」
「あなた本当に勇者なの? もしかしてこっちに来たばっかりなの? 十二勇将を知らないなんてありえないわよ」
「あ、ああ、実はそうなんだ。こっちに来たばかりでよく知らないんだ。すまないが教えてもらえないか?」
「まあ、新人を教育するのも先輩の務めね。教えてあげるわ。十二勇将っていうのは現役の勇者の中でも特に力のある方達十二名の呼び名よ。あの方達の能力は別格ですからね。特に私の橘さんは見た目もカッコよくて最高なのよ」
「そうなんですね。そんなに凄い方達がいるんですか。ちなみにその方達はどのぐらい強いんですか? 俺も目標に頑張りたいんですけど」
「そうね~。最低でもステータス値は三千を超えていると思うわよ」
「三千ですか……」

最低でもよ。実際には五千を超えてるかもね」
五千!? 俺がようやく五百に到達したと喜んでいたのに五千……
今の俺ではどこをどうやっても勝てない。
だが、いずれ超えてみせる。
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