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きっかけは嘘
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「それじゃあ、これからどうしようかな」
「睦月さん、少しお話ししてもいいですか?」
「ああ、勿論いいけど何?」
「ごめんなさい。私記憶が無くなってしまっていて睦月さんの事も病院からしか記憶が無いんです」
「うん、それは分かってるから大丈夫だよ」
「それで、少しでも睦月さんの事が知りたいんです」
「え………」
「よかったら私達の馴れ初めと言いますか………付き合うきっかけを聞いてもいいですか?」
「…………」
馴れ初め………付き合うきっかけ………そんなものは無いよ………だって本当は付き合って無いんだから……
どうすればいいんだ………
「あのぅ、睦月さんと出会ったのはいつでしょうか?」
「……あ、ああ。僕たち同じ高校に通ってるんだよ。同じ学年なんだ。一年生の時はクラスが別だったんだけど二年生になって同じクラスになったんだよ」
「同じ学校の同じクラスなんですね」
「うん、そう。まあ依織は結構目立ってたから一年の時から僕は知ってたんだけど」
「あ、えっと目立ってたというのはどういう意味なのでしょうか?」
「いや、別に悪い意味じゃ無くて……綺麗で成績も優秀だったから」
「綺麗……」
「あ~それはあれだよ俺だけじゃ無くて男子みんなが思ってたっていうか」
「睦月さんもそう思ってたんですか?」
「い、いや俺は別に……」
「嫌……別に?」
「そ、そうじゃ無くて、俺は可愛いと………い、いや」
「か、可愛い………」
「あ……………」
顔が熱い。口が滑った。思わず本当の事を口走ってしまったが、慌てて依織を見ると下を向いていて表情は見えないが耳が赤くなっているのが見て取れた。
依織も照れてるのか?
「それで、お付き合いするきっかけですが、どちらが告白したんでしょうか?」
「そ、それは勿論俺だ……よ」
「睦月さんからですか? てっきり私………」
やばい……完全なる嘘をついてしまった。俺は小心者なので本当は告白などした事がない。そもそも告白していたとしても確実に断られていた自信がある。
「そうなんですね。びっくりです。それで私達は付き合ってどのくらいになるのでしょうか?」
「え、え~とね。確か……」
この質問は予想していなかった。どうしよう。どう答えたらいいんだ。下手な事を言えばボロが出るかもしれない。
「どうかしましたか?」
「いや……実は付き合ってまだ1週間なんだ。夏休みに入る直前に告白してOK貰ったばっかりだったんだ。だから付き合い始めたばっかりなんだよ」
「そう……なんです…ね。よかった……」
「え? よかったって何が?」
「だって睦月さんとの事も忘れてしまったのかと思ってたんです。でも付き合い始めたばかりだったらこれから一緒に思い出を作ればいいでしょう。だからちょっとほっとしました。睦月さんとのお付き合いの事は数日
忘れているだけなのですね。本当によかった………」
一体なんだこの可愛い天使は? 俺との付き合いを忘れたわけじゃ無くて良かったってなんて良い子なんだ。
ただ本当は付き合いなんか元から無かったんだ………ごめん。
「睦月さん、私達学校は波城学園ですよね」
突然依織が俺達の通っている学校の名前を口にしたので驚いたが、記憶が戻ったのか?
「もしかして憶えてるの?」
「いえ、入学試験に合格したのは覚えてるんです」
「そうか~。今は夏休みだけど夏休みが後二週間ぐらいで終わったら学校なんだよ。元々依織は成績も優秀だったけど………」
「それなんですが、学校の事は思い出せないんですけど、知識というか勉強の事はそれなりに憶えてる気がするんです。普通に文字も読めますし、病院で見た事とかも理解出来ているので」
「そう、まあ行ってみないと分からないよね」
「そうですね。やっぱり不安です」
それはそうだろう。高校での記憶が無いのにいきなり高校2年生の途中からスタートだ。しかもクラスメイトともほとんど面識がない状態にリセットされている。
計り知れない不安だろうけど、俺にはどうしていいか分からない。
「睦月さん、少しお話ししてもいいですか?」
「ああ、勿論いいけど何?」
「ごめんなさい。私記憶が無くなってしまっていて睦月さんの事も病院からしか記憶が無いんです」
「うん、それは分かってるから大丈夫だよ」
「それで、少しでも睦月さんの事が知りたいんです」
「え………」
「よかったら私達の馴れ初めと言いますか………付き合うきっかけを聞いてもいいですか?」
「…………」
馴れ初め………付き合うきっかけ………そんなものは無いよ………だって本当は付き合って無いんだから……
どうすればいいんだ………
「あのぅ、睦月さんと出会ったのはいつでしょうか?」
「……あ、ああ。僕たち同じ高校に通ってるんだよ。同じ学年なんだ。一年生の時はクラスが別だったんだけど二年生になって同じクラスになったんだよ」
「同じ学校の同じクラスなんですね」
「うん、そう。まあ依織は結構目立ってたから一年の時から僕は知ってたんだけど」
「あ、えっと目立ってたというのはどういう意味なのでしょうか?」
「いや、別に悪い意味じゃ無くて……綺麗で成績も優秀だったから」
「綺麗……」
「あ~それはあれだよ俺だけじゃ無くて男子みんなが思ってたっていうか」
「睦月さんもそう思ってたんですか?」
「い、いや俺は別に……」
「嫌……別に?」
「そ、そうじゃ無くて、俺は可愛いと………い、いや」
「か、可愛い………」
「あ……………」
顔が熱い。口が滑った。思わず本当の事を口走ってしまったが、慌てて依織を見ると下を向いていて表情は見えないが耳が赤くなっているのが見て取れた。
依織も照れてるのか?
「それで、お付き合いするきっかけですが、どちらが告白したんでしょうか?」
「そ、それは勿論俺だ……よ」
「睦月さんからですか? てっきり私………」
やばい……完全なる嘘をついてしまった。俺は小心者なので本当は告白などした事がない。そもそも告白していたとしても確実に断られていた自信がある。
「そうなんですね。びっくりです。それで私達は付き合ってどのくらいになるのでしょうか?」
「え、え~とね。確か……」
この質問は予想していなかった。どうしよう。どう答えたらいいんだ。下手な事を言えばボロが出るかもしれない。
「どうかしましたか?」
「いや……実は付き合ってまだ1週間なんだ。夏休みに入る直前に告白してOK貰ったばっかりだったんだ。だから付き合い始めたばっかりなんだよ」
「そう……なんです…ね。よかった……」
「え? よかったって何が?」
「だって睦月さんとの事も忘れてしまったのかと思ってたんです。でも付き合い始めたばかりだったらこれから一緒に思い出を作ればいいでしょう。だからちょっとほっとしました。睦月さんとのお付き合いの事は数日
忘れているだけなのですね。本当によかった………」
一体なんだこの可愛い天使は? 俺との付き合いを忘れたわけじゃ無くて良かったってなんて良い子なんだ。
ただ本当は付き合いなんか元から無かったんだ………ごめん。
「睦月さん、私達学校は波城学園ですよね」
突然依織が俺達の通っている学校の名前を口にしたので驚いたが、記憶が戻ったのか?
「もしかして憶えてるの?」
「いえ、入学試験に合格したのは覚えてるんです」
「そうか~。今は夏休みだけど夏休みが後二週間ぐらいで終わったら学校なんだよ。元々依織は成績も優秀だったけど………」
「それなんですが、学校の事は思い出せないんですけど、知識というか勉強の事はそれなりに憶えてる気がするんです。普通に文字も読めますし、病院で見た事とかも理解出来ているので」
「そう、まあ行ってみないと分からないよね」
「そうですね。やっぱり不安です」
それはそうだろう。高校での記憶が無いのにいきなり高校2年生の途中からスタートだ。しかもクラスメイトともほとんど面識がない状態にリセットされている。
計り知れない不安だろうけど、俺にはどうしていいか分からない。
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