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彼女はただのクラスメイト?

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「高嶺さんさんが帰ってきましたよ。支えてあげてくださいね」
「あ……はい」

運ばれて来た草薙さんに目をやるが、意識は戻っているらしく、目を開けて横になっている様だ。
点滴はしているが、医師が言っていたように、それ以外は特に外傷らしいものは見受けられない。じ~っと見ていると彼女もこちらに顔を向け、俺と目が合った。

「あなたが………」
「草薙さん大丈夫?」
「はい、大丈夫………だと……思います」

そうだよな。記憶がないんだから自分が大丈夫かどうかなんか分からないよな。

「高嶺さん………いえ睦月さん」
「へっ?」

突然名前を呼ばれて変な声が出てしまった。何で草薙さんが俺の名前を?
憶えている訳が無いので、病院の人が教えたのか。

「睦月さん、あなたが身を挺して私を庇ってくれたお陰で助かったそうです。ありがとうございました」
「いや別に……」
「そうですよ~高嶺さんが庇わなかったらどうなっていたか分かりませんよ。さすが彼氏さんですね」
えっ? さっき看護師さんが変な事を言ってた気がするが気のせいだろう。記憶が無くなった事は大変な事だが、怪我が無かったのは不幸中の幸いだったかもしれない。
「高嶺さんのはを守るための名誉の負傷ですもんね~」
「はあ………まあ」

実際には名誉の負傷なんていう様なものでは無い。
咄嗟に体が動いてしまっただけだったが、それで少しでも草薙さんの役に立てたのなら本望だ。

「草薙さんもこんな勇敢な彼氏がいて羨ましいわ。これからも高嶺さんがいれば大丈夫ね。しっかり甘えて支えてもらうのよ」
「はい………分かりました」
え!? やっぱり看護師さんがおかしな事を言った気がする。しかも何故か草薙さんもそれに対してうなずいた気がする。
「あ、あの~」
「高嶺さんかなたが、を支えるのよ」
「い、いや………」
「嫌なの!?」
「い、いや、そのいやじゃなくて」
「じゃあ、しっかり支えるのよ!」
「あ、はい……」

看護師さんの押しが強すぎて返事をしてしまったが、やりとりがおかしい気がする。

「これで何の心配もいらないわね。草薙さん良かったわね」
「はい。これからもよろしくお願いします。睦月さん」
「あっ、あ、はい」

彼女に面と向かってお願いしますと言われて断る事などできるはずがない。
頼まれればいくらでも支えになるが、問題はそこでは無い。
どうもやりとりしている内容がおかしい。
さっきから草薙さんは俺の彼女、俺は草薙さんの彼氏と言う事になっている気がする。
だけど何でだ?
当然だけど俺と彼女は付き合ってはいない。
ただのクラスメイトだ。
ただのクラスメイトというよりも殆ど話した事も無いクラスメイトだ。
それが何でこんな事になってるんだ?
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