44 / 92
告白
しおりを挟む
何も言わずに先に帰ってしまったとも思えないが、俺はそろそろ帰った方がいいのだろうか。
葵が迎えに来てくれる様になってからこんな事は初めてなので、どうしていいのかわからない。
それから更に十分ほど待っていると、廊下を走る足音が聞こえて来た。
「はぁ、はぁ、はぁ。凛くん本当にごめんなさい。なかなか離してくれなくて……」
息を切らながら葵が教室に飛び込んで来た。
「いや、別にそれはいいんだ。でもどうかしたの? 心配したんだけど」
「本当にごめんなさい。私は用があるって言ったんですけど……」
ん? どう言う事だろう。誰かに捕まってたって事か?
「それって一体…………」
俺が事情を聴こうとすると葵は答え辛そうにボソッと答えてくれた。
「えっと……告白です…………」
「え? 何?」
「いえ、ですので告白です」
「告白?」
告白ってなんだ? 予想して無かった答えに一瞬頭がうまく働かなかったが、徐々に意味が理解できてきた。
告白って告白か! 誰かが葵に告白したって事か。
「こ、告白されたんだ?」
「はい……四人ほど」
「よ、四人!?」
「はい。クリスマスに一緒に過ごしてほしいと……」
「あ、ああ、クリスマスか。それで……」
終業式とクリスマスのタイミングで告白したのか。
葵は学園のアイドルなので告白されるのも無理は無いと思うが四人も?
俺はあまりに予想外の出来事の話と人数の多さにテンパって動揺してしまった。
「それでなかなか帰らせてもらえずに遅れてしまいました。本当にごめんなさい」
「そ、そうなんだ。それで……返事は?」
「え? もちろんお断りしましたよ。クリスマスは凛くんと約束してるじゃないですか」
「あ、ああ、そう、そうだね」
葵が告白を断ったと聞いてホッとしている自分がいる。
葵が告白を断ったからと言って俺の事を好きになってくれる訳ではないのに……
これは重症かもしれない。
「ああ、それじゃあ行こうか。それにしても四人ってすごいな。葵はいつもこんな感じなのか?」
「いえ、普段はたまにですけど、クリスマスとかバレンタインとかの時はこんな感じになったり……」
「そ、そう。やっぱり葵はモテるんだな」
イベントの度に何人もから告白されるってどれだけモテるんだ? 葵に人気があるのは知っていたがこれ程とは思ってもみなかった。
二人で並んで校門まで歩いていくと、前方から校門に立っていた男子が走ってやって来た。
「若葉さん! ちょっといいかな」
男子生徒は当然俺の前ではなく葵の前に立ち声をかけて来た。知らない顔だが、よく見ると結構イケメンだ。身長も高くてすらっとしているので見るからにモテそうだ。
「いえ、今はちょっと……」
「時間は取らせないから、どこかカフェでも行かないか」
マジか……
俺が横にいるのに完全にスルーされている。こいつ俺を置いて葵と二人でカフェに行くつもりか?
まさか俺の事が見えて無い……のか? いや、この至近距離でそれは無いな。
「すいません。私はこれから予定がありますので」
「若葉さん、今日の予定を俺にくれないか? 君に最高のクリスマスを用意するよ」
「いえ、結構です。今日の予定は凛くんでいっぱいですのでごめんなさい」
「凛くん? 凛くんって誰? まさかとは思うけどそいつじゃないよね」
ああ、やっぱり見えてはいたのか。
葵が迎えに来てくれる様になってからこんな事は初めてなので、どうしていいのかわからない。
それから更に十分ほど待っていると、廊下を走る足音が聞こえて来た。
「はぁ、はぁ、はぁ。凛くん本当にごめんなさい。なかなか離してくれなくて……」
息を切らながら葵が教室に飛び込んで来た。
「いや、別にそれはいいんだ。でもどうかしたの? 心配したんだけど」
「本当にごめんなさい。私は用があるって言ったんですけど……」
ん? どう言う事だろう。誰かに捕まってたって事か?
「それって一体…………」
俺が事情を聴こうとすると葵は答え辛そうにボソッと答えてくれた。
「えっと……告白です…………」
「え? 何?」
「いえ、ですので告白です」
「告白?」
告白ってなんだ? 予想して無かった答えに一瞬頭がうまく働かなかったが、徐々に意味が理解できてきた。
告白って告白か! 誰かが葵に告白したって事か。
「こ、告白されたんだ?」
「はい……四人ほど」
「よ、四人!?」
「はい。クリスマスに一緒に過ごしてほしいと……」
「あ、ああ、クリスマスか。それで……」
終業式とクリスマスのタイミングで告白したのか。
葵は学園のアイドルなので告白されるのも無理は無いと思うが四人も?
俺はあまりに予想外の出来事の話と人数の多さにテンパって動揺してしまった。
「それでなかなか帰らせてもらえずに遅れてしまいました。本当にごめんなさい」
「そ、そうなんだ。それで……返事は?」
「え? もちろんお断りしましたよ。クリスマスは凛くんと約束してるじゃないですか」
「あ、ああ、そう、そうだね」
葵が告白を断ったと聞いてホッとしている自分がいる。
葵が告白を断ったからと言って俺の事を好きになってくれる訳ではないのに……
これは重症かもしれない。
「ああ、それじゃあ行こうか。それにしても四人ってすごいな。葵はいつもこんな感じなのか?」
「いえ、普段はたまにですけど、クリスマスとかバレンタインとかの時はこんな感じになったり……」
「そ、そう。やっぱり葵はモテるんだな」
イベントの度に何人もから告白されるってどれだけモテるんだ? 葵に人気があるのは知っていたがこれ程とは思ってもみなかった。
二人で並んで校門まで歩いていくと、前方から校門に立っていた男子が走ってやって来た。
「若葉さん! ちょっといいかな」
男子生徒は当然俺の前ではなく葵の前に立ち声をかけて来た。知らない顔だが、よく見ると結構イケメンだ。身長も高くてすらっとしているので見るからにモテそうだ。
「いえ、今はちょっと……」
「時間は取らせないから、どこかカフェでも行かないか」
マジか……
俺が横にいるのに完全にスルーされている。こいつ俺を置いて葵と二人でカフェに行くつもりか?
まさか俺の事が見えて無い……のか? いや、この至近距離でそれは無いな。
「すいません。私はこれから予定がありますので」
「若葉さん、今日の予定を俺にくれないか? 君に最高のクリスマスを用意するよ」
「いえ、結構です。今日の予定は凛くんでいっぱいですのでごめんなさい」
「凛くん? 凛くんって誰? まさかとは思うけどそいつじゃないよね」
ああ、やっぱり見えてはいたのか。
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
日本国転生
北乃大空
SF
女神ガイアは神族と呼ばれる宇宙管理者であり、地球を含む太陽系を管理して人類の歴史を見守ってきた。
或る日、ガイアは地球上の人類未来についてのシミュレーションを実施し、その結果は22世紀まで確実に人類が滅亡するシナリオで、何度実施しても滅亡する確率は99.999%であった。
ガイアは人類滅亡シミュレーション結果を中央管理局に提出、事態を重くみた中央管理局はガイアに人類滅亡の回避指令を出した。
その指令内容は地球人類の歴史改変で、現代地球とは別のパラレルワールド上に存在するもう一つの地球に干渉して歴史改変するものであった。
ガイアが取った歴史改変方法は、国家丸ごと転移するもので転移する国家は何と現代日本であり、その転移先は太平洋戦争開戦1年前の日本で、そこに国土ごと上書きするというものであった。
その転移先で日本が世界各国と開戦し、そこで起こる様々な出来事を超人的な能力を持つ女神と天使達の手助けで日本が覇権国家になり、人類滅亡を回避させて行くのであった。
母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。
『スキルの素』を3つ選べって言うけど、早いもの勝ちで余りモノしか残っていませんでした。※チートスキルを生み出してバカにした奴らを見返します
ヒゲ抜き地蔵
ファンタジー
【書籍化に伴う掲載終了について】詳しくは近況ボードをご参照下さい。
ある日、まったく知らない空間で目覚めた300人の集団は、「スキルの素を3つ選べ」と謎の声を聞いた。
制限時間は10分。まさかの早いもの勝ちだった。
「鑑定」、「合成」、「錬成」、「癒やし」
チートの匂いがするスキルの素は、あっという間に取られていった。
そんな中、どうしても『スキルの素』の違和感が気になるタクミは、あるアイデアに従って、時間ギリギリで余りモノの中からスキルの素を選んだ。
その後、異世界に転生したタクミは余りモノの『スキルの素』で、世界の法則を変えていく。
その大胆な発想に人々は驚嘆し、やがて彼は人間とエルフ、ドワーフと魔族の勢力図を変えていく。
この男がどんなスキルを使うのか。
ひとつだけ確かなことは、タクミが選択した『スキルの素』は世界を変えられる能力だったということだ。
※【同時掲載】カクヨム様、小説家になろう様
エーリュシオンでお取りよせ?
ミスター愛妻
ファンタジー
ある男が寿命を迎え死んだ。
と、輪廻のまえに信心していた聖天様に呼び出された。
話とは、解脱できないので六道輪廻に入ることになるが、『名をはばかる方』の御指図で、異世界に転移できるというのだ。
TSと引き換えに不老不死、絶対不可侵の加護の上に、『お取り寄せ能力』という変な能力までいただいた主人公。
納得して転移した異世界は……
のんびりと憧れの『心静かな日々』を送るはずが……
気が付けば異世界で通販生活、まんざらでもない日々だが……『心静かな日々』はどうなるのか……こんなことでは聖天様に怒られそう……
本作は作者が別の表題で公開していた物を、追加修正させていただいたものです。その為に作品名もそぐわなくなり、今回『エーリュシオンでお取りよせ?』といたしました。
作者の前作である『惑星エラムシリーズ』を踏まえておりますので、かなり似たようなところがあります。
前作はストーリーを重視しておりますが、これについては単なる異世界漫遊記、主人公はのほほんと日々を送る予定? です。
なにも考えず、筆に任せて書いております上に、作者は文章力も皆無です、句読点さえ定かではありません、作者、とてもメンタルが弱いのでそのあたりのご批判はご勘弁くださいね。
本作は随所に意味の無い蘊蓄や説明があります。かなりのヒンシュクを受けましたが、そのあたりの部分は読み飛ばしていただければ幸いです。
表紙はゲルダ・ヴィークナー 手で刺繍したフリル付のカーバディーンドレス
パブリックドメインの物です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる