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約束の金曜日
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「まあ、怪我なく終われて良かったよ。今度ジャガーマンを相手にする時は、さっきの要領で二人で倒そうか」
「はい、それがいいと思います」
「それと、俺の『ファイアボール』なんだけど、さっきの戦闘でほとんど役に立たなかったから、出来ればもう少し強力なスキルと入れ替えたいと思うんだけど」
「それは、大賛成です。今よりも火力が上がるのはいい事だと思います」
「ただなぁ、一つというか致命的というか問題があるんだ」
「なんでしょうか?」
「俺の『フェイカー』は間近で直に見たスキルしか模倣出来ないんだ。前も新しいスキルを模倣するのに苦労したんだよ」
「よければ私が学園のクラスメイトに頼んでみましょうか?」
「いや、それはやめておくよ。よく知らない相手にスキルを模倣されるって良い気しないだろ。しかも俺だしな」
「私は凛くんなら全然いいですけど」
ああ、やっぱり葵はちょっとズレてるけど天使だ。
ボッチの俺にこれほど優しく接してくれるのは葵しかいないだろう。
ただ葵のスキルは既に模倣済みなので新しい対象を見つけなければならない。
「ちょっと寒いけど明日から自転車でウロウロしてみるよ。金曜日は休むけど、他の日はしばらく部屋にいる時間が減ると思うけど葵は好きに部屋使ってくれていいから」
「どうしてですか?」
「どうして?」
「はい、どうして私一人部屋に残るのでしょう」
「ん?だって俺は自転車で外に出るからだけど」
「いえ、ですからなぜ一人で行く前提なのですか?」
どう言う意味だ? 会話が噛み合わない。
「ごめん、言ってる意味がよく分からないんだけど」
「は~……凛くん、私も一緒に行くと言う事ですよ」
「え? 俺一人で大丈夫だって。寒いし、いつまでかかるか分からないし」
「私が一緒に行きたいんですよ。ダメですか?」
ダメですか? ってそんな表情で葵にお願いされて断れる男などこの世の中にいるだろうか? いや、いるはず無い。
しかも俺の個人的な用事なのに一緒について来てくれるなんてどれだけ優しいんだ。
「ダメじゃないです。よろしくお願いします」
「はい。じゃあ明日から一緒に回りましょう」
葵の笑顔が眩しい。少し前まではずっと一人で行動して来たのに、今は葵が一緒に行動してくれる。葵はパートナーとして俺に気を使ってくれているのだと思うが、この寒空の中一緒にいてくれる。その優しさが純粋に嬉しかった。
次の日から学校から帰って来て、服を着込んで自転車であても無く葵と二人で街を廻った。
結局金曜日になるまで何の成果も得る事は出来なかったが、以前一人で廻った時の様な修行感は無く、寒い事は寒かったが、葵と会話しながらの探索は寧ろ楽しかった。
約束の金曜日になり終業式も終わり、いつもの様に葵が迎えに来てくれるのを教室で待っていたが一向に来ない。
朝、約束の確認もしておいたので忘れていると言う事はあり得ないと思うが、何故か来ない。
既に三十分ほど待っているが、他のクラスメイトは全員帰ってしまい教室には俺一人となってしまった。
まあ、クラスメイトが残っていたとしても、どうせ俺は一人なので同じ事ではあるが、さすがに葵の事が心配になって来た。
既に二度ほど端末で連絡を入れているが、未だ何の返信も無い。
何かあったのかと葵の教室も覗きに行ってみたが、そこに葵の姿は無かった。
どうすればいいだろうか。
連絡が取れないので葵のいそうな場所も全く見当がつかない。
「はい、それがいいと思います」
「それと、俺の『ファイアボール』なんだけど、さっきの戦闘でほとんど役に立たなかったから、出来ればもう少し強力なスキルと入れ替えたいと思うんだけど」
「それは、大賛成です。今よりも火力が上がるのはいい事だと思います」
「ただなぁ、一つというか致命的というか問題があるんだ」
「なんでしょうか?」
「俺の『フェイカー』は間近で直に見たスキルしか模倣出来ないんだ。前も新しいスキルを模倣するのに苦労したんだよ」
「よければ私が学園のクラスメイトに頼んでみましょうか?」
「いや、それはやめておくよ。よく知らない相手にスキルを模倣されるって良い気しないだろ。しかも俺だしな」
「私は凛くんなら全然いいですけど」
ああ、やっぱり葵はちょっとズレてるけど天使だ。
ボッチの俺にこれほど優しく接してくれるのは葵しかいないだろう。
ただ葵のスキルは既に模倣済みなので新しい対象を見つけなければならない。
「ちょっと寒いけど明日から自転車でウロウロしてみるよ。金曜日は休むけど、他の日はしばらく部屋にいる時間が減ると思うけど葵は好きに部屋使ってくれていいから」
「どうしてですか?」
「どうして?」
「はい、どうして私一人部屋に残るのでしょう」
「ん?だって俺は自転車で外に出るからだけど」
「いえ、ですからなぜ一人で行く前提なのですか?」
どう言う意味だ? 会話が噛み合わない。
「ごめん、言ってる意味がよく分からないんだけど」
「は~……凛くん、私も一緒に行くと言う事ですよ」
「え? 俺一人で大丈夫だって。寒いし、いつまでかかるか分からないし」
「私が一緒に行きたいんですよ。ダメですか?」
ダメですか? ってそんな表情で葵にお願いされて断れる男などこの世の中にいるだろうか? いや、いるはず無い。
しかも俺の個人的な用事なのに一緒について来てくれるなんてどれだけ優しいんだ。
「ダメじゃないです。よろしくお願いします」
「はい。じゃあ明日から一緒に回りましょう」
葵の笑顔が眩しい。少し前まではずっと一人で行動して来たのに、今は葵が一緒に行動してくれる。葵はパートナーとして俺に気を使ってくれているのだと思うが、この寒空の中一緒にいてくれる。その優しさが純粋に嬉しかった。
次の日から学校から帰って来て、服を着込んで自転車であても無く葵と二人で街を廻った。
結局金曜日になるまで何の成果も得る事は出来なかったが、以前一人で廻った時の様な修行感は無く、寒い事は寒かったが、葵と会話しながらの探索は寧ろ楽しかった。
約束の金曜日になり終業式も終わり、いつもの様に葵が迎えに来てくれるのを教室で待っていたが一向に来ない。
朝、約束の確認もしておいたので忘れていると言う事はあり得ないと思うが、何故か来ない。
既に三十分ほど待っているが、他のクラスメイトは全員帰ってしまい教室には俺一人となってしまった。
まあ、クラスメイトが残っていたとしても、どうせ俺は一人なので同じ事ではあるが、さすがに葵の事が心配になって来た。
既に二度ほど端末で連絡を入れているが、未だ何の返信も無い。
何かあったのかと葵の教室も覗きに行ってみたが、そこに葵の姿は無かった。
どうすればいいだろうか。
連絡が取れないので葵のいそうな場所も全く見当がつかない。
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