23 / 92
種明かし
しおりを挟む
それからすぐに屋上に出たが、流石に寒さ厳しい十二月初旬の屋上には誰もいなかった。
「ちょ、ちょっと若葉さん、どうしたんだよ」
「うん、凛くんとちゃんとお話がしたくって」
「え、ま、ああ、そうなんだ……」
ちゃんとお話って何の話をするつもりだ?
俺には若葉さんと話す様な共通の話題は何もないぞ?
「まず、一昨日は本当にありがとうございました。もうダメかと思ったんです。凛くんは命の恩人です。言葉では言い表せないぐらい感謝しています」
「あ、ああ、まあ、たまたまだから気にしなくていいよ。うん」
こんなに真っ直ぐに人から感謝の言葉を向けられたのは生まれて初めてだったので面食らってしまった。
しかも感謝してくれている相手が学園のアイドル若葉葵さんなので、眩しすぎてまともに目を見れない。
「私一昨日はEランクのモンスター一体とFクラスのモンスター一体を相手にしていたんです。それが戦っている間にモンスターが増えてしまって、何とかEランクのモンスターは倒せたのですが、増えたモンスターと合わせて五体を相手にする事になってしまったんです。逃げながら応戦していたのですが、Eランクを倒すのに消耗したのと、数に圧倒されてしまって追い詰められていたところを凛くんに助けていただいたんです」
やっぱりそうか。本来別のターゲットだった俺の相手のモンスターが運悪く合流する形になってしまったのか。やはりFランクのクラスが突然増えるのは想定外だしきついよな。まあなんとか、若葉さんが襲われて怪我する前に俺が到着できて良かったが、それにしても同時に五体はイレギュラー過ぎるな。
「そう、でも気にする事は無いよ。運良く助ける事が出来ただけだし、同じ学園の生徒を見殺しにするわけにもいかなかったからね」
「本当にありがとうございます。凛くんが来てくれなければ私どうなっていたか分かりません」
「まあ、無事でよかったよ。それじゃあもういいかな」
「待ってください。まだお話の途中です」
「ああ、そうなんだ」
「今日はどうしても一昨日のお礼を言いたかったのでちゃんと言えてよかったです。それと質問とお願いがあります」
「質問とお願い?」
「はい。まずは質問ですが、凛くんはクワトロスキルホルダーなのですよね」
「…………うん、ちょっと違うけど」
やっぱり気がつくよな。完全に手の内を晒したもんな……
「でも、四種類のスキルを使用していましたよね」
「まあ、それはそうなんだけど、俺の場合そうじゃないと言うか……」
「それはクワトロスキルホルダーである事を隠していると言う事でしょうか?」
「いやそうじゃないんだけど、今から言う事はあんまり人に言わないって約束してもらえるかな」
「はい、絶対言いません」
「実は俺のオリジナルスキルは一つだけなんだ」
「えっ? でも……」
「うん、それなんだけど俺本来のスキルは『フェイカー』と言うスキルなんだ」
「『フェイカー』ですか? 聞いた事ありません」
「うん、俺も他に持っている人を知らないんだけど、このスキルは他の人のスキルを模倣出来るんだ」
「模倣ですか?」
「うん、そう。威力はかなり落ちちゃうんだけどね。例えば、ちょっと見ててね『エクスプロージョン』」
俺は一昨日模倣した若葉さんの『エクスプロージョン』を空に向かって放った。
「今のは、私の……」
「うん、気分を悪くしたならごめん。若葉さんのスキルを模倣したんだ。それで今俺は『フェイカー』で四つまでのスキルを模倣することが出来るんだ。だから若葉さんには四つのスキルを使いこなしている様に見えたってわけなんだ。種も仕掛けもある感じだよ。若葉さんが考えてたのと違ってがっかりしただろ」
「いえ、他人のスキルを模倣出来るスキル……。しかも四つもですか? すごいです。すごすぎです」
「えっ?」
若葉さんから返された言葉は俺の思っていた返答とは全く違うものだった。
「ちょ、ちょっと若葉さん、どうしたんだよ」
「うん、凛くんとちゃんとお話がしたくって」
「え、ま、ああ、そうなんだ……」
ちゃんとお話って何の話をするつもりだ?
俺には若葉さんと話す様な共通の話題は何もないぞ?
「まず、一昨日は本当にありがとうございました。もうダメかと思ったんです。凛くんは命の恩人です。言葉では言い表せないぐらい感謝しています」
「あ、ああ、まあ、たまたまだから気にしなくていいよ。うん」
こんなに真っ直ぐに人から感謝の言葉を向けられたのは生まれて初めてだったので面食らってしまった。
しかも感謝してくれている相手が学園のアイドル若葉葵さんなので、眩しすぎてまともに目を見れない。
「私一昨日はEランクのモンスター一体とFクラスのモンスター一体を相手にしていたんです。それが戦っている間にモンスターが増えてしまって、何とかEランクのモンスターは倒せたのですが、増えたモンスターと合わせて五体を相手にする事になってしまったんです。逃げながら応戦していたのですが、Eランクを倒すのに消耗したのと、数に圧倒されてしまって追い詰められていたところを凛くんに助けていただいたんです」
やっぱりそうか。本来別のターゲットだった俺の相手のモンスターが運悪く合流する形になってしまったのか。やはりFランクのクラスが突然増えるのは想定外だしきついよな。まあなんとか、若葉さんが襲われて怪我する前に俺が到着できて良かったが、それにしても同時に五体はイレギュラー過ぎるな。
「そう、でも気にする事は無いよ。運良く助ける事が出来ただけだし、同じ学園の生徒を見殺しにするわけにもいかなかったからね」
「本当にありがとうございます。凛くんが来てくれなければ私どうなっていたか分かりません」
「まあ、無事でよかったよ。それじゃあもういいかな」
「待ってください。まだお話の途中です」
「ああ、そうなんだ」
「今日はどうしても一昨日のお礼を言いたかったのでちゃんと言えてよかったです。それと質問とお願いがあります」
「質問とお願い?」
「はい。まずは質問ですが、凛くんはクワトロスキルホルダーなのですよね」
「…………うん、ちょっと違うけど」
やっぱり気がつくよな。完全に手の内を晒したもんな……
「でも、四種類のスキルを使用していましたよね」
「まあ、それはそうなんだけど、俺の場合そうじゃないと言うか……」
「それはクワトロスキルホルダーである事を隠していると言う事でしょうか?」
「いやそうじゃないんだけど、今から言う事はあんまり人に言わないって約束してもらえるかな」
「はい、絶対言いません」
「実は俺のオリジナルスキルは一つだけなんだ」
「えっ? でも……」
「うん、それなんだけど俺本来のスキルは『フェイカー』と言うスキルなんだ」
「『フェイカー』ですか? 聞いた事ありません」
「うん、俺も他に持っている人を知らないんだけど、このスキルは他の人のスキルを模倣出来るんだ」
「模倣ですか?」
「うん、そう。威力はかなり落ちちゃうんだけどね。例えば、ちょっと見ててね『エクスプロージョン』」
俺は一昨日模倣した若葉さんの『エクスプロージョン』を空に向かって放った。
「今のは、私の……」
「うん、気分を悪くしたならごめん。若葉さんのスキルを模倣したんだ。それで今俺は『フェイカー』で四つまでのスキルを模倣することが出来るんだ。だから若葉さんには四つのスキルを使いこなしている様に見えたってわけなんだ。種も仕掛けもある感じだよ。若葉さんが考えてたのと違ってがっかりしただろ」
「いえ、他人のスキルを模倣出来るスキル……。しかも四つもですか? すごいです。すごすぎです」
「えっ?」
若葉さんから返された言葉は俺の思っていた返答とは全く違うものだった。
0
あなたにおすすめの小説
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
日本国 召喚獣管理省 関東庁 召喚獣総合事案即応科。
wakaba1890
ファンタジー
召喚獣。
それは向こう側とされる所から、10歳を迎えた日本人の子供の下に召喚されるモンスターのことである。
初代天皇・神武天皇が日本を建国した際に書かれた絵画には彼は金鵄と呼ばれる金色に輝く鵄(とび)と契約したのが原初となっている。
そして、縄文、弥生、古墳、飛鳥、平安、戦国時代から近代から今に至るまで、時代を動かしてきた人物の側には確かに召喚獣は介在していた。
また、奇妙な事に、日本国に限り、齢10歳を迎えた日本在住の日本人にのみ体のどこかから多種多様な紋章が発現し、当人が念じると任意の場所から召喚陣が現れ、人ならざるモンスターを召喚される。
そして、彼らモンスターは主人である当人や心を許した者に対して忠実であった。
そのため、古来の日本から、彼ら召喚獣は農耕、治水、土木、科学技術、エネルギー、政治、経済、金融、戦争など国家の基盤となる柱から、ありとあらゆる分野において、今日に至るまで日本国とアジアの繁栄に寄与してきた。
そして、建国から今まで、国益の基盤たる彼ら数万種類以上をも及ぶ召喚獣を取り締まり管理し、2600年以上と脈々と受け継がれてきた名誉ある国家職がーーーーー国家召喚獣管理官である。
通販で買った妖刀がガチだった ~試し斬りしたら空間が裂けて異世界に飛ばされた挙句、伝説の勇者だと勘違いされて困っています~
日之影ソラ
ファンタジー
ゲームや漫画が好きな大学生、宮本総司は、なんとなくネットサーフィンをしていると、アムゾンの購入サイトで妖刀が1000円で売っているのを見つけた。デザインは格好よく、どことなく惹かれるものを感じたから購入し、家に届いて試し切りをしたら……空間が斬れた!
斬れた空間に吸い込まれ、気がつけばそこは見たことがない異世界。勇者召喚の儀式最中だった王城に現れたことで、伝説の勇者が現れたと勘違いされてしまう。好待遇や周りの人の期待に流され、人違いだとは言えずにいたら、王女様に偽者だとバレてしまった。
偽物だったと世に知られたら死刑と脅され、死刑を免れるためには本当に魔王を倒して、勇者としての責任を果たすしかないと宣言される。
「偽者として死ぬか。本物の英雄になるか――どちらか選びなさい」
選択肢は一つしかない。死にたくない総司は嘘を本当にするため、伝説の勇者の名を騙る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる