上 下
16 / 92

イケメン君とボッチ君

しおりを挟む
俺は、一撃でオークを倒せた事の驚きと共に神木さんのスキルへの畏敬の念を抱いた。
今回のレベルアップでFランクに上がったとは言え神木さんに比べると俺は、まだまだ初級者レベルであると言う事を痛感してしまったが、ある意味それで良かったと思う。
Fランクに上がって自分が強くなったと調子にのりかけるところを、諌められた気がして明日からは、気持ちを入れ替えて頑張ろうと思う。
でも、今回の魔核はオークのものなので三万円の価値がある。一日で三万円稼げるとは信じられない。
この調子で頑張れば、今回使ってしまった二十万円を取り戻すのもそう遠くは無いと思う。
オークの魔核を回収してテンション高めの状態でロードサイクルに乗って家に帰っている途中
「グギャギャギャギャ」
遠くから聞き慣れたゴブリンの声が聞こえて来た。
俺には何の通知も無かったので他のサバイバーが担当しているのか?
横取りするとトラブルになりそうなので被害が広がらない様にだけ見守っておこうと思いながら、声の方に向かうと、3人組のサバイバーがゴブリンと相対して追い詰めているところだった。
あれは………新城か?
俺には三人のサバイバーのうちの一人に見覚えがあった。
あれは俺と同じクラスのイケメン君の新城だ。
新城が戦っているのを見るのは初めてだが、ゴブリンに対して3人いるので不覚をとる事は無いだろう。
俺はそのままの距離を保ちながら戦況を見守る事にした。
三人のサバイバーがそれぞれスキルを使いゴブリンに手傷を負わせながら弱らせていっている。
それなりに連携も取れている様に見え、戦闘はスムーズに進んでいる様だ。
「ゴブリン、これで決める! 死んでも恨んでくれるなよ『アイスジャベリン』」
新城がゴブリン相手に恥ずかしいセリフを言い放つと同時にスキルを発動して氷の槍が飛んで行きゴブリンを串刺しに仕留めた。
「ふっ………俺達の敵じゃ無かったな」
また恥ずかしいセリフを吐いているが、そもそもゴブリンって日本語を理解しているとは思えないが、こいつはその事を理解した上でこんなセリフを吐いているんだろうか?
恥ずかしいセリフと共に戦闘を終了した三人がゴブリンの魔核を回収して撤収を始めた。
俺は、なんとなく面倒なので気づかれる前にその場を立ち去ろうとしたが
「おい! お前うちのクラスのボッチじゃないのか?」
新城が目ざとく俺を見つけてくれてしまった。
正直無視して帰ってしまいたい衝動に駆られるが、明日からの学園での事を考えるとそうもいかない。
それにしてもボッチ君って……
「あ、ああ、新城くん。奇遇だね」
「こんなところで何やってるんだ? その格好もしかしてお前もモンスターを討伐に来たのか?」
「まあ、そんなところだよ」
「おい、まじかよ。確かお前って攻撃能力無しの無能者だったよな。そんな胸当てつけて肉壁にでもなるつもりかよ。プフッ……」
「いや、まあ」
「おい、お前らもこいつの事知ってるだろ。こいつ俺のクラスの最下層サバイバーの無能者だぜ」
「あ~こいつか、ブハッ! 格好だけは一丁前だな、恥ずかしくね~のかよ」
「肉壁かよ。俺なら恥ずかしくて死んじゃうかもな。無能者なんて呼ばれたら生きていけね~よ。最悪だな」
俺の事を知ってるとなるとこいつら全員同じ学園の生徒か。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

強さがすべての魔法学園の最下位クズ貴族に転生した俺、死にたくないからゲーム知識でランキング1位を目指したら、なぜか最強ハーレムの主となった!

こはるんるん
ファンタジー
気づいたら大好きなゲームで俺の大嫌いだったキャラ、ヴァイスに転生してしまっていた。 ヴァイスは伯爵家の跡取り息子だったが、太りやすくなる外れスキル【超重量】を授かったせいで腐り果て、全ヒロインから嫌われるセクハラ野郎と化した。 最終的には魔族に闇堕ちして、勇者に成敗されるのだ。 だが、俺は知っていた。 魔族と化したヴァイスが、作中最強クラスのキャラだったことを。 外れスキル【超重量】の真の力を。 俺は思う。 【超重量】を使って勇者の王女救出イベントを奪えば、殺されなくて済むんじゃないか? 俺は悪行をやめてゲーム知識を駆使して、強さがすべての魔法学園で1位を目指す。

日本国転生

北乃大空
SF
 女神ガイアは神族と呼ばれる宇宙管理者であり、地球を含む太陽系を管理して人類の歴史を見守ってきた。  或る日、ガイアは地球上の人類未来についてのシミュレーションを実施し、その結果は22世紀まで確実に人類が滅亡するシナリオで、何度実施しても滅亡する確率は99.999%であった。  ガイアは人類滅亡シミュレーション結果を中央管理局に提出、事態を重くみた中央管理局はガイアに人類滅亡の回避指令を出した。  その指令内容は地球人類の歴史改変で、現代地球とは別のパラレルワールド上に存在するもう一つの地球に干渉して歴史改変するものであった。  ガイアが取った歴史改変方法は、国家丸ごと転移するもので転移する国家は何と現代日本であり、その転移先は太平洋戦争開戦1年前の日本で、そこに国土ごと上書きするというものであった。  その転移先で日本が世界各国と開戦し、そこで起こる様々な出来事を超人的な能力を持つ女神と天使達の手助けで日本が覇権国家になり、人類滅亡を回避させて行くのであった。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

処理中です...