3 / 92
弱者の一撃
しおりを挟む
おかしい、こいつは明らかに通常のゴブリンの強度を超えている。
最下層パーティの俺達には通常Gランクのゴブリン退治しか回って来ない。だが霧の中にいる眼前のモンスターはそれよりも一回り大きくそして強い。もしかしてあれってホブゴブリンじゃ無いのか? Gランクのゴブリンの強化種。実物を見た事は無いがFランクのモンスターだ。
ホブゴブリンは、通高さんを退けて、今度はこちらに意識を向けたようで向きを変えて向かって来ようとしている。
「やばいです。早く攻撃を!」
「おおっ『ファイアボール』」
再び火の玉が飛んで行き命中する。
「ギャアアアア~!」
『ファイアボール』が着弾して痛がる素振りは見て取れるが、消滅する事は無く大きな奇声と共にこちら目掛けて走り出して来た。
やばい。『ファイアボール』に対する耐性があるのか単純に威力の問題か分からないが倒せない。
ホブゴブリンは猛然と走ってきて俺のすぐ横に立っていたメンバーを思いっきり殴りつけた。ただのパンチだが、一発で完全にノックアウトされてしまった。
やばい!
そう思った瞬間ホブゴブリンが俺の方を向き目が合ってしまった。
このままでは殺される。
逃げるしか無い!
攻撃手段を持たない俺では対抗のしようがない。
俺は全速力でその場を離脱しようとしたが、ホブゴブリンがそれを許してくれるはずがなかった。逃げようとした瞬間服を掴まれ数メートル先に放り投げられてしまった。
「ぐうぅ~!」
急いで起き上がって逃げ出そうとした瞬間、ホブゴブリンが飛びかかってきて馬乗りで身体の動きを完全に押さえつけられてしまった。
「くっ!」
すごい力で押さえつけられ、全く起き上がる事が出来ない。
完全に詰んだ……
脳裏には走馬灯のように今迄の人生が浮かんで来た。
まだだ! 俺はまだ死ねない。十六歳でこんなところで死ぬのは嫌だ!
『ウェイブブレイド』
俺は、無理矢理右腕を引き抜いて動かし『フォッグ』を諦め、道高さんがさっきまで使用していたスキルを模倣して『フェイカー』を発動した。
俺の手に現れたのはスキルによる刃渡り三十センチ程の小さなブレイドだった。
普通であれば俺のレベルで目の前にいるモンスターにこのような超近接武器を突き立てる事は不可能だっただろう。
ただ今は馬乗りと言う極めて密接した状態だ。
俺は思いっきりホブゴブリンの腹を目掛けてブレイドを突き刺した。
少しの抵抗感を感じたが無視して根本まで刺さったブレイドを抜いて力の限り何度も腹に刺した。
「うおおおおおおおおぉおおおお~!」
己の全てを賭けた渾身の気合いと共に必死で攻撃を加えていると、突然ホブゴブリンが消滅して、その場には魔核が一個残された。
「助かった………」
この瞬間俺は奇跡的にホブゴブリンを倒す事に成功した。
もう一度やれと言われても同じ事は出来ない。完全にまぐれ。奇跡が起こったとしか言いようがないが、とにかく俺は生き残る事ができた。
「助かった………。ううっ!」
ホブゴブリンに飛び乗られた部分が痛む。骨は大丈夫そうだが打ち身が酷そうだ。無理矢理動かした右腕も痛む。
「そうだ、他の人達は?」
俺は冷静になってから慌てて他のメンバーを探す。
「ヒィイイ……」
まず、顔を殴られたメンバーは鼻が完全に折れてしまっている。もしかしたら他にも骨折している箇所があるかもしれない。
通高さんも息はあるが意識が無く、先行していたサバイバーは肩を噛みつかれたようで防具毎抉られていたが、こちらも息はある。
残念ながら、医療技術を持たない俺に出来る処置は無いので、急いで組合に連絡してから救急車を呼ぶ。
救急車を呼んだのは初めての事だったが、サバイバー用の端末に緊急連絡ボタンがあったので押すと組合のオペレーターに繋がり即座に手配してくれた。
最下層パーティの俺達には通常Gランクのゴブリン退治しか回って来ない。だが霧の中にいる眼前のモンスターはそれよりも一回り大きくそして強い。もしかしてあれってホブゴブリンじゃ無いのか? Gランクのゴブリンの強化種。実物を見た事は無いがFランクのモンスターだ。
ホブゴブリンは、通高さんを退けて、今度はこちらに意識を向けたようで向きを変えて向かって来ようとしている。
「やばいです。早く攻撃を!」
「おおっ『ファイアボール』」
再び火の玉が飛んで行き命中する。
「ギャアアアア~!」
『ファイアボール』が着弾して痛がる素振りは見て取れるが、消滅する事は無く大きな奇声と共にこちら目掛けて走り出して来た。
やばい。『ファイアボール』に対する耐性があるのか単純に威力の問題か分からないが倒せない。
ホブゴブリンは猛然と走ってきて俺のすぐ横に立っていたメンバーを思いっきり殴りつけた。ただのパンチだが、一発で完全にノックアウトされてしまった。
やばい!
そう思った瞬間ホブゴブリンが俺の方を向き目が合ってしまった。
このままでは殺される。
逃げるしか無い!
攻撃手段を持たない俺では対抗のしようがない。
俺は全速力でその場を離脱しようとしたが、ホブゴブリンがそれを許してくれるはずがなかった。逃げようとした瞬間服を掴まれ数メートル先に放り投げられてしまった。
「ぐうぅ~!」
急いで起き上がって逃げ出そうとした瞬間、ホブゴブリンが飛びかかってきて馬乗りで身体の動きを完全に押さえつけられてしまった。
「くっ!」
すごい力で押さえつけられ、全く起き上がる事が出来ない。
完全に詰んだ……
脳裏には走馬灯のように今迄の人生が浮かんで来た。
まだだ! 俺はまだ死ねない。十六歳でこんなところで死ぬのは嫌だ!
『ウェイブブレイド』
俺は、無理矢理右腕を引き抜いて動かし『フォッグ』を諦め、道高さんがさっきまで使用していたスキルを模倣して『フェイカー』を発動した。
俺の手に現れたのはスキルによる刃渡り三十センチ程の小さなブレイドだった。
普通であれば俺のレベルで目の前にいるモンスターにこのような超近接武器を突き立てる事は不可能だっただろう。
ただ今は馬乗りと言う極めて密接した状態だ。
俺は思いっきりホブゴブリンの腹を目掛けてブレイドを突き刺した。
少しの抵抗感を感じたが無視して根本まで刺さったブレイドを抜いて力の限り何度も腹に刺した。
「うおおおおおおおおぉおおおお~!」
己の全てを賭けた渾身の気合いと共に必死で攻撃を加えていると、突然ホブゴブリンが消滅して、その場には魔核が一個残された。
「助かった………」
この瞬間俺は奇跡的にホブゴブリンを倒す事に成功した。
もう一度やれと言われても同じ事は出来ない。完全にまぐれ。奇跡が起こったとしか言いようがないが、とにかく俺は生き残る事ができた。
「助かった………。ううっ!」
ホブゴブリンに飛び乗られた部分が痛む。骨は大丈夫そうだが打ち身が酷そうだ。無理矢理動かした右腕も痛む。
「そうだ、他の人達は?」
俺は冷静になってから慌てて他のメンバーを探す。
「ヒィイイ……」
まず、顔を殴られたメンバーは鼻が完全に折れてしまっている。もしかしたら他にも骨折している箇所があるかもしれない。
通高さんも息はあるが意識が無く、先行していたサバイバーは肩を噛みつかれたようで防具毎抉られていたが、こちらも息はある。
残念ながら、医療技術を持たない俺に出来る処置は無いので、急いで組合に連絡してから救急車を呼ぶ。
救急車を呼んだのは初めての事だったが、サバイバー用の端末に緊急連絡ボタンがあったので押すと組合のオペレーターに繋がり即座に手配してくれた。
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
幼子は最強のテイマーだと気付いていません!
akechi
ファンタジー
彼女はユリア、三歳。
森の奥深くに佇む一軒の家で三人家族が住んでいました。ユリアの楽しみは森の動物達と遊ぶこと。
だが其がそもそも規格外だった。
この森は冒険者も決して入らない古(いにしえ)の森と呼ばれている。そしてユリアが可愛い動物と呼ぶのはSS級のとんでもない魔物達だった。
「みんなーあしょぼー!」
これは幼女が繰り広げるドタバタで規格外な日常生活である。
断罪寸前の悪役令嬢になってしまいました
柚木ゆず
恋愛
「タチアナ、早く歩け」
「……え? わっ、わたしはタチアナではありません!」
わたしロズリーヌは気が付くと、タチアナ・ルレーラという名の女性になっていました。
その方は隣国の侯爵令嬢であり、罪人。複数の罪を犯した罰として、まもなく断罪が始まろうとしていたのです。
――このままだとわたしが代わりに処刑されてしまう――。
幸いにも近くに居た方・侯爵令息オディロン様は別人だと信じてくださりましたが、明確な証拠がないと処刑は回避できないそうです。
オディロン様の機転のおかげで、1週間の猶予ができました。その間に、なんとしてもタチアナさんを見つけないと――。
【BL】王子は騎士団長と結婚したい!【王子×騎士団長】
彩華
BL
治世は良く、民も国も栄える一国の騎士団長・ギルベルト。
年はとうに30を過ぎ、年齢の上ではおじさんに分類される年齢だった。だが日ごろの鍛錬を欠かさないせいか、その肉体は未だに健在。国一番の肉体にして、頼れる騎士団長として名を馳せている。国全体からの信頼も厚く、実直真面目な人物だった。だが一つだけ。たった一つだけ、ギルベルトには誰にも言えない秘密があった。表立って騎士団長という肩書を持つ彼には、もう一つの仕事があって……──。
「ああ、可愛いね。ギルベルト」
「ん゛……、ぁ、あ゛……っ♡」
穏やかな声と、普段とは異なるギルベルトの声が静かな部屋に響いて。
********
という感じの、【王子×おっさん騎士団長】のBLです
途中Rな描写が入ると思います。
お気軽にコメントなど頂けると嬉しいです(^^)
「婚約を破棄したい」と私に何度も言うのなら、皆にも知ってもらいましょう
天宮有
恋愛
「お前との婚約を破棄したい」それが伯爵令嬢ルナの婚約者モグルド王子の口癖だ。
侯爵令嬢ヒリスが好きなモグルドは、ルナを蔑み暴言を吐いていた。
その暴言によって、モグルドはルナとの婚約を破棄することとなる。
ヒリスを新しい婚約者にした後にモグルドはルナの力を知るも、全てが遅かった。
虚弱高校生が世界最強となるまでの異世界武者修行日誌
力水
ファンタジー
楠恭弥は優秀な兄の凍夜、お転婆だが体が弱い妹の沙耶、寡黙な父の利徳と何気ない日常を送ってきたが、兄の婚約者であり幼馴染の倖月朱花に裏切られ、兄は失踪し、父は心労で急死する。
妹の沙耶と共にひっそり暮そうとするが、倖月朱花の父、竜弦の戯れである条件を飲まされる。それは竜弦が理事長を務める高校で卒業までに首席をとること。
倖月家は世界でも有数の財閥であり、日本では圧倒的な権勢を誇る。沙耶の将来の件まで仄めかされれば断ることなどできようもない。
こうして学園生活が始まるが日常的に生徒、教師から過激ないびりにあう。
ついに《体術》の実習の参加の拒否を宣告され途方に暮れていたところ、自宅の地下にある門を発見する。その門は異世界アリウスと地球とをつなぐ門だった。
恭弥はこの異世界アリウスで鍛錬することを決意し冒険の門をくぐる。
主人公は高い技術の地球と資源の豊富な異世界アリウスを往来し力と資本を蓄えて世界一を目指します。
不幸のどん底にある人達を仲間に引き入れて世界でも最強クラスの存在にしたり、会社を立ち上げて地球で荒稼ぎしたりする内政パートが結構出てきます。ハーレム話も大好きなので頑張って書きたいと思います。また最強タグはマジなので嫌いな人はご注意を!
書籍化のため1~19話に該当する箇所は試し読みに差し換えております。ご了承いただければ幸いです。
一人でも読んでいただければ嬉しいです。
好きな人ができたなら仕方ない、お別れしましょう
四季
恋愛
フルエリーゼとハインツは婚約者同士。
親同士は知り合いで、年が近いということもあってそこそこ親しくしていた。最初のうちは良かったのだ。
しかし、ハインツが段々、心ここに在らずのような目をするようになって……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる