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第一章 外界編

十一話 実技試験

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「ふぅ……」
俺は広い公園の木陰の根っこに腰掛けていた。
「疲れた…」
「疲れたねぇ」
「お前はすごい疲れて無さそうな顔をしてたがな」
とても清々しい爽やかな顔をするホルスにそう突っ込みながら額に浮かぶ汗を袖で拭う。
明日は実技試験だ。そのために久々に波動を使って運動をしていたのである。広い公園である上に、平日の真っ昼間だったので誰にも見られることなくのびのび好きなだけ波動を使えた。
単純に生徒の人数が多すぎるためクラスごとに何曜日に試験を行うか決まっている。俺らは火曜日。今日は月曜日
ちなみにホルスにはその相手として付き合ってもらった。
まあもう明日は大丈夫だろう。多分変にミスらない限りは。
水谷と戦ってるときくらいの本気でやってたので本当に疲れた。波動で疲労を取ることもできるが、普通にこの運動?が苦痛になりかけている。足が痛い。もう一回足が痛くなるのはマジで嫌なので今日は終わりにすることにした。
持ってきたスポーツドリンクをがぶ飲みする。冷たい水分がのどを潤す
マジでこの感覚が気持ち良い。運動は嫌だが運動の後のキンキンの飲み物が最高なのでこういう運動はたまによいなと思っている。
「俺は昼寝するからお前先に帰ってれば?」
俺は急に眠くなってきたのでこの木の根っこで寝ることにした。
「…今から寝るの?もうお昼前よ?」
「どうせ姉貴は今日試験だからまだ帰ってこねえし飯はコンビニでパンでも買うから大丈夫だ。お前こそさっさと帰って美味いもんでも食ってろ。」
「…わかったわ。じゃあ、早めに帰ってきてね。寂しいから。」
本当に寂しそうに言うホルス。俺はそれに笑って言葉を返す。
「そんな深刻なことじゃないだろう。俺の部屋の窓は開いてるから、母親にバレることもなく帰れるぞ。」
そして俺はお休み、と言って目を閉じた。








「はぁ、はぁ…」
「…んぁ?」
俺は少し遠くから聞こえる女の荒い息をつく声で目を覚ました。寝起きでガンガンくる頭の上に手を置きながら腕時計に目をやる。
…13時。多分1時間は寝たな。
開けた公園の真ん中に目をやると、膝に手をついてはあはあ言ってる女が居た。…とても見覚えのあるポニーテールの女が。
「お~い水谷~」
俺は大きな声でその名を呼んだ。
「ひっ?!」
驚いて思いっきり後ずさる水谷。俺は苦笑した
「慌てるな。俺だよ、水谷」
立ち上がって水谷に近寄る。水谷は俺の顔を見てホッと胸をなでおろした。
「なんだ疾雷か…びっくりしたわ」
「お前、明日に備えて体を慣らしてるのか?」
「ええ」
額に滲む汗を袖で拭って水谷はそう返事した
「ふーん。勤勉なこった」
「そういう疾雷は何をしてたの?」
「俺か~」
俺はうーんと悩んで
「昼寝してた」
と答えた
「随分といいご身分ね…」
額の静脈をピクピクさせて睨んでくる水谷。ハハハ、と俺は乾いた笑いを浮かべた
「冗談だ。俺も明日に備えて運動してたよ。」
「…さっき聞こえた轟音あなたが出してたのね…」
「え?」
呆れたように言う水谷に俺はビックリする。まあさっきは確かにでかい音は出したが…(雷の波動を拳にまとわせてホルスを全力で殴ってホルスが本気でそれを受け止めたため轟音が発生した)
まあ俺の家というか水谷の家とこの公園は数10メートルしか離れてないので聞こえちゃうのだろう。
「…まあそうだな。」
俺は頬をポリポリ掻きながら言う。
「…あなた、随分とやるきね」
「あ?何がだ?」
水谷は苦笑した
「…いつもやる気無さそうなのに、今回に限ってすごい頑張ってるじゃない」
俺はその言葉にニッと笑って返した
「そうでもしなきゃお前と戦えないんでね。」
そう。今回の目標は唯一つ。
ほかを圧倒して首位に立ち、水谷と全生徒の前で直接対決をする。本気のな。
楽しみで仕方ない。体がウズウズする。
「…そこまでして私と戦いたいわけ?」
呆れながら聞いてくる水谷。
「逆にお前は俺と戦いたくないのか?俺以外と戦っても楽しくないぞ?」
俺の言葉に水谷はブスッとした顔で答える
「…戦いたいわよ、そりゃ。」
「ははは。可愛いもんだ」
俺はわしゃわしゃと水谷の頭を撫でる。
「ちょ…やめ…」
身を捩ってくすぐったそうにする水谷。俺は手を離す。
いつも思うが、小動物みたいだな…こいつ。
「もう…なんなのよ」
少し頬を赤らめる水谷。
俺は少し柄にあわないことをしたな、と後悔する。二度とやらんと心に誓う。
まあ小動物の照れ顔を見れたので良しとしよう。
「まあどうせ最高評価をもらわなければいけないわけだ。その評価をもらうために何をすればいいか。俺は考えた」
「急に話を変えたわね…」
「うっさい。まあその評価をもらうための方法は―――瞬殺だ」
「瞬殺?」
水谷は不思議そうに聞いてきた。
俺は右手で指パッチンを鳴らす。
パチィンという気持ちのいい音が響く。
「そうだ。瞬殺。どうせ俺らは教官と戦うわけだ。その教官の戦いでの最高評価を受けるには、最初の攻撃を受け流してそのあと高火力でカウンターして一撃で終わらせれば問題ない」
姉からの情報のリークとして、俺らは教官と戦うらしい。戦うと言っても、試験のようなものだ。試練と言ったほうが良いか。
まあどちらでも同じである。
そしてその試験での評価点は4つ。
スキルの強さ、スキルの使用の速さ、スキルの使いこなしさ、そして防御力。
この内この瞬殺で確定で4つとも最高評価を受けるだろう。というより、10秒程度で試験が終われば試すどころじゃないだろう。
「…なるほどねえ~。でも私、そういうの得意じゃないのよね。自分で言うのもあれだけど、戦い方が頭脳系だし。」
「じゃあ真正面から最高評価を受けるんだな。俺は他の方法でもらうから」
俺はニヤリと笑いながらそう言った。頬をふくらませる水谷
「…ずるくない?」
「勝てばよかろう。俺はブラックコーヒー飲んで帰るから」
俺は公園の自販機に行こうと歩きだした。
「ちょ、待ってよ~!」
後ろから追いかけてくる水谷の足音を聞きながら俺は苦笑した







翌日。俺はあくびをしながら本番の試験会場となる校庭に立っていた。前方約10m先、教師が立っていた。とてもいかつい。こいつが俺の試験をする教師か。
俺の番となったため今立っているのだが…
今までの試験中の生徒を見て俺は少々不安になっていた。番号順に試験が行われるため、直前は神楽の試験だったのだが―――
先程の神楽の試験も近くから見ていたのだが―――素晴らしすぎて何も言えなかった。
防御、攻撃、スキルの使いこなしさ…どれを取っても一級品だった。
あれ、これ俺大丈夫か?と思うレベルに。そして教師もランク6くらいの実力はありそうだ。
『準備はいいですか』遠くからメガホンを通じて担任の声が聞こえる。俺は大きく
「はい」
声を放つ。そしてそのまま
「それではいきます。よおい…はじめ!」
その合図と同時に教師が炎の弾を投げてきた。
それをすこし体をよじって避け、こちらも紫電でその炎の弾を弾くと、教師は拳に炎を纏わせてこちらに接近してくる。あれ?これ…
俺は体を教師の方に向き直し、俺は雷の波動で『武蔵』を急いで作り出す。さらに拳と体に紫電をまとう。
「?!」
教師はそんな俺の姿に驚いた。その隙きを見つけて俺は仕掛けた。
(わりぃ、先生)
心の中で謝罪したあと俺は腹に蹴りを放ち、ふっとばした後、『武蔵』の腹を教師の首筋に当てた瞬間。
『ストップ!スト―――ップ!』
と担任である葉月の叫び声が聞こえる。
俺は武蔵を消す。教師は俺を恐怖の対象を見るような視線で見てくる。ガチで怖そうにしている。ブルブルと体を震わせている
だが何も言わずにここを去る事もできないので
「ありがとうございました」
と言ってお辞儀して去っていった。校庭から校舎へと戻っていった。屋上にて水谷を待つのだ。
まあやることもないんだがな。
屋上へ行くと
「お、来たか。早かったな」
神楽が地に寝そべっていた。その隣にルシファーが気持ちよさそうに寝ている
「来たよ。お前すごかったな」
「何が?」
「試験だよ」
俺は本心から神楽を褒めちぎる。
「…そうか?」
「そうだよ。防御力、そのスキルの使い方、攻撃のパターンも豊富だった。悪い点がなかった。」
俺は神楽の近くに寝そべる。
「…近くないか?」
「そうか?」
友人の距離なんてこんなものだろうと俺は内心呟いた。
「…その、ありがとう。褒めてくれて」
「ははは。本心だよ」
少し赤い顔でボソッと言ってくる神楽。
「…あんた、罪深い人よね。ほんっと」
ホルスが姿を表して俺の真隣に寝そべった。なに普通に堂々の俺のすぐ隣に寝てるの、こいつ
「友達なんてこんなもんだ」
「私には二股かけてるチャラ男にしか見えないわ」
「ええ?」
俺は困惑する。
「…昔の親友もこんな感じだったのになあ」
ぼそっと呟く。何故かホルスの体がビクっと跳ねた。…なんでお前が跳ねる
「つーか疾雷、試験終わるの早かったな」
「ああ…うん。悪いとは思ってるよ、うん」
「…何が起きたんだよ、校庭で。」
困惑する神楽。
「なんか一瞬でしばかれてたわよ。」
ホルスがそう言った。
「ええっと…疾雷がだよな?」
信じられない、というような声で聞いてくる神楽。俺は苦笑し
「もちろん…俺じゃなく教師だ」
「はあ、良かったぁ…」
「は?」
神楽は天を仰ぎそう呟いていた。どうしたんだこいつ。
「…信じられない。マジで。」
神楽が呆れたかのようにそう言っていた。
「いやあ。うん。相手の初動が弱すぎてだな…すぐ終わった。多分教師側も最初は様子見のつもりだったのだろうが……まあ俺相手にはそれは間違いだったな。」
俺はハハハ、と乾いた笑いを浮かべた。
あんな初動されたらそりゃ返しにワンパンするだろう。普通は。神楽たちはそれが普通じゃないのだろうと言うか、単純に神楽は返しに一撃で終わらせるのは苦手なタイプなのだろうか。まあスキルがトリッキーだから仕方ないか。
「…相変わらずの脳筋よね。ほんっと」
ホルスが呆れた口調でそう言った。
その言い草に俺は少し疑問が残るが無視する。
「頭を使って戦うのはエネルギーを使うのでな。あまりそういうのはしたくない。」
瞬殺戦法のおかげでほとんど何も疲れてない。「いい運動になったなあ」程度である。
「…こいつ、これで割と勉強できるの本当に腹立つなあ…」
神楽がそう呟く。
「勉強と戦闘は全く違うぞ」
俺は真面目な顔で言った。別に戦闘で頭を使わないからって勉強にも頭を使えないとは言ってない。
まあ俺は勉強にも頭を使ってないのだが、今はそれは置いておこう。
「勉強にも頭使ってないとか言ってるくせに何が違うだよ」
「やべバレた」
そういやそんなこと言ったなあ…と思いながら言葉をこぼす。
「はぁ…」
神楽が深いため息をつく。
「そんなに深くため息をつくな、俺に感染る」
「なにが感染るんだよ……」
「気だるさ」
「呆れてるんだよ……」
再度深くため息をつく神楽。俺はハハハと笑った
腕時計を見ると先程から10分程度しか経っていない。
ちなみに今は10時程度。9時からみんなの試験が開始されていた。試験は番号順に進んでいき、一人5分程度かかるため、40人居る俺らのクラスはだいたい4時間かかる。
水谷はだいたい3限くらい、つまり11時位に終わるらしい。あと1時間もあるそのため腹も減るので俺は持ってきた間食をポケットから出して食べる。ちなみにカロリーメ◯トを持ってきた。バニラ味である
「あ~生き返る~」
「さほど疲れてないくせに」
「バレたか」
一瞬で終わったから疲れてはない。ただ腹は減るのだ。生理現象であるから。
「俺、飯はわりと食うタイプだからな」
一本を一気に食ってからそう言う。
「だからってそんな四本入りをこんな時間から食べるもんでもないでしょ…」
若干引かれる。
「いやあ…勉強のストレスの反動でな…」
「ああ…」
俺の切実な声に同情するような声を出す水谷。俺は遠い目で空を見つめた。少し視界がぼやけているのは気のせいだろう
「実技試験って響きがえっちよね~」
「急に何の話をしとるんだお前は」
唐突に爆弾を落とすホルスに俺はそうツッコんだ
「いやだって実技って……試験が体育の実技っぽいし保健体k」
「ん?電話か?」
ホルスが爆発を起こす寸前に俺のズボンのポケットのスマホが振動した。上半身を起こし、スマホを取り出して電話に出る
「もしもし。今学校なんですけど」
ちなみにこの学校は授業中以外のスマホは許可されている。まあゲームなどは当然禁止されてるわけだが、連絡を取るなどの行為は許可されている。
『疾雷』
「…親父?」
出ると親父だった。親父はいつも忙しくて家に居ないし、そもそも電話すらかけてこない。
『久しぶりだな』
「ああ久しぶりだ。珍しいな、そっちからかけてくるなんて」
『…そうだな。2ヶ月ぶりか?』
「そんな息子をほったらかしにする親父様が一体なんの御用で」
別に微塵もそんなこと思ってないが冗談で嫌味を言った
『嫌味ったらしいな……まあいい。跡継ぎの話をしたくてな』
「本家のか?」
『そうだ』
跡継ぎ…か
前にも言ったがうちは超名門の由緒正しい家系だ。俺の家系である京極家が神奈月家の本家である。そしてその家長となる者が超名門、神奈月家の代表となる。バカみたいに権力がある人間と成るのだ。
なぜ今その話題を出すのか知らんが。
『俺ももう40だ。今のままではいつ死ぬかはわからんのでな。仕事の方の跡継ぎと神奈月家の跡継ぎを同時に決めたいと思っていてな』
「…仕事の方、も?」
『そうだ』
仕事の跡継ぎ、と言われて俺は頭を押さえる。
「そんなに簡単に言っていいのか?」
『…どうなんだろうな』
「あんたが知らないでどうする」
俺は苦笑した。ちなみに親父はバカみたいに偉い役職に付いているためその役職を世襲させるのはいかがなものかと思う。
『まあ家の人間強いから大丈夫だし、どうせ受け継ぐにしても、【試験】が必要になるから、多分大丈夫だ』
「…あくまでも、候補ということか?」
『イグザクトリー』
「で、なんで俺にこの電話をかけてきた?」
俺は話を聞き終えた後に素直な疑問をぶつけた。
『近々そっちに帰るから、その報告と同時にな』
「その帰ってくるタイミングで、跡継ぎを決めるのな」
『YES』
「OK。いつ帰ってくる?」
『ん~。今週の土曜日は学校あるか?』
「すまん、その日は学校あるんや」
『じゃ日曜日で』
「はいよ。できるだけ覚えておくわ」
『じゃよろしく~』
「うぃ~」
適当な返事を最後にして俺は電話を切った。その後にもう一本のカロリーメ◯トを口に放り込む。
「ふぇんふぉふへえな…」
「飲み込んでから話しなさいや」
呆れた声を出すホルス。俺はそれにふぇいと言ってさっさと喉に流した。甘いバニラが口を通り抜ける気持ち良い感覚がした。
「いやあめんどくさい。」
「どうしたんだ」
神楽が興味津々といった様子で聞いてくる
「まあ簡単に言うと家の跡継ぎを決めるんだよ」
そして俺は電話の内容を話した。神楽もああ~、そりゃご苦労さんなどと相槌を打っていた。
話し終わった俺はは~~と深くため息を付いてからまた横になる。
「どうせ姉貴なのにな」
俺はボソッと呟いた
「…あれ、お前兄弟居るのか?」
少し驚いた様子で聞いてくる神楽。
「ああ。姉貴と妹がな。」
再び大きく息をつく。
「あいつら俺らより優秀だからなぁ~」
「例えば?」
「頭」
「ええ…」
俺は天を仰ぐ。
「姉貴に至ってはスキルランク7、成績トップ、挙句の果てには生徒会長とかいう生徒のなかで最強の立場に立ってるんだぞ…?」
「…どんまい」
同情してくる神楽。こころなしか母性を感じた。
俺は自分の非力さに辟易する
「…なんでわざわざ姉貴を跡継ぎに決定するだけの会合に関係ない俺を呼ぶのかなぁッ…!」
俺は小さくそう叫んだ
「でも、あなた別にどうでもいいと思ってるでしょ?」
「お、よく気づいたな」
鋭いホルスのツッコミに俺はあっさり自白する。
だって別に俺の立場なんぞ神奈月家には関係ないわけなのである。ましてや俺も高い地位がほしいとは思わない。
なので姉貴が神奈月家のトップになるのだろうと漠然と思っているだけだ。仕事の方の跡継ぎも。
まあ親父の仕事はおいおい話すこととしよう
「ほんと無欲よねえ……」
呆れた様子のホルス様。俺は苦笑する
「無欲なんじゃない。ほしいもんはほしいし、要らんものを要らないと言ってるだけだ。」
「普通の人間は、そのほしいもんの中に地位と名誉があるのよ」
「金さえあれば生きていける」
「その金を手に入れるために地位と名誉が必要なのよ?」
「…ぐぅ」
ホルスの正論に俺は押し黙ってしまった。神楽が急にどうしたこいつらみたいな視線を送ってくる。
「まあだからといって俺は地位と名誉を欲しいとは思わんな。」
「なんでなの?」
素朴な疑問をホルスがぶつけてくる。俺らの真面目な会話を聞いて眠くなったのか神楽は気持ちよさそうに目を閉じて夢を見ている。
「面倒だろ?地位と名誉が目的の奴らが大量に近づいてきて。姉貴は婚約者が居るが俺には居ないんでね。」
「なるほどね~。いっそ氷華ちゃんと婚約でもすればその問題は解決するわよ?」
ニヤニヤしながら言ってくるホルス
「冗談か?」
「いいや?本気よ?」
「…」
俺は一瞬考えた後、こう答えた
「あいつどうせ婚約者できるだろ。名門なわけだし、その名門の家系の中でも強いほうだし、俺なんかよりずっと地位の高い人間と結婚するだろうよ」
と答えた。あくまでも俺の意思については触れなかった
「あ~、それは有りあるわね」
「だろ?」
「だけど、あなたの本音はどうなの?」
引き続き気持ちの悪い笑顔を浮かべるホルスに向かって大きくため息を吐く
「これが心の底からの本音だ」
俺は体を倒し、仰向けになる
「真面目な話をして疲れた、寝る」
「おやすみなさい。いい夢を」
ホルスの優しいささやき声を最後に聞いてから俺はフンっと鼻を鳴らして目を閉じた。
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