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九章 決着への道

四十四話 夢咲奏とDreamerの情報

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剣と剣が交差する。
お互い、押す力は互角だ。
このまま押し合うと、剣が凹むかも知れないので、僕は後ろへ跳んだ。
同時に夢咲も跳ぶ。
なんだこいつ、僕と全く同じ行動をするじゃないか
僕らは少しの間にらみ合う。先に仕掛けたのは、夢咲だった。
夢咲は僕の頭を見ながら突進してくる。
僕は苦笑し、ぎりぎりまで剣をひきつけ―――
思いっきり剣を右に払う
剣は気持ち良い音を出して払われた。
「…君は僕に似ているね」
「それはぜひとも光栄だ」
狙う場所とは違う場所を狙い、ほんとの狙いに素早く剣を叩き込む。これは僕もよくやっている。
剣道で言うと、面に視線を飛ばし、籠手に思いっきり一撃を叩き込む感じだ。
僕は一歩斜め前に踏み出し、夢咲の胴体に思いっきり斜め上から剣を叩き込む。
「まるでお遊びの剣道だな」
夢咲は一歩下がって剣を下に叩き込む
「スポーツマンシップにのっとろうか?」
「いやだね。死んだら負けだ」
夢咲は僕の喉に突きを繰り出してくる
「でも剣道みたいにやるのは、楽しいだろう?」
僕はすぐさまそれを剣の腹でガードする。クソ強い力で押されるため、お互い剣がプルプル震え、腕にとんでもない負担がかかる。
「まあ、違いない」
僕は埒が明かなくなったので、剣を上に思いっきり払った。お互いの剣が宙に浮く。
僕はすぐさま構え直し、一歩踏み出す。あいての手をにらみ―――
「…性格悪いぞ、お前」
頭に振り下ろした。
「やられたら、やり返す、だよ」
夢咲はそれをしっかり見切って、頭の上でガードする。
……楽しい。
夢咲と戦っていて、本気でそう感じた。
僕は大量に戦ってきた。それは何百人と。
しかし、それでも僕と同じレベルの実力者は現れなかった。
……初めてだ。僕とまともに渡り合える人間は。
僕は初めての体験に、興奮し、楽しんでいた。
「君は僕と同じだね。拳銃でも使って優勢に立とうかな?」
僕はすり足で前に進み、斬新する。お互い中段の構えをする
「おいおい、スポーツマンシップ、だろ?」
夢咲は苦笑しながらそういった。
「はは、それを嫌だ、と言ったのはだぁれ?」
僕らはお互い踏み込み、また剣を交差させる。ガキィン、と鉄同士がぶつかる気持ちいい音が響く。
「さあ、俺はさっぱり覚えてないよ」
「ふふ。性格悪いね。」
「お前も、だろ?」
「さあ?認めないよ?」
「そういうところだろ」
お互いに思いっきり力を込める。
僕らは一緒に吹っ飛ぶ。
3Mくらい距離が開いた。クッソ飛んだな。
「夢咲、君、力強いね」
僕は走る。
「トイトイだろ」
夢咲もまたこちらに走ってくる。
「それを言うなら、五分五分だ。」
僕はかがんで腹を横に薙ぐ。夢咲はとんでもない高さで飛んでそれを避け、僕を飛び越える。
身体能力どうなってんだよこいつ
僕は剣を払った姿勢のまま足を止める。そして振り返り、立ち上がると―――
「うぉっ?!」
夢咲が蹴りを僕の顔面に飛ばしていた。振り返ったときには足は既に鼻先にあった。
僕は仕方なくそれを食らう。激痛が顔面に走る。
僕はそれを無視して夢咲の足を掴む。
「あ、ヤベ」
僕の手から逃れようとする足を握力でねじ伏せ、腕に力をこめて―――
横に回転する。夢咲は宙に浮く。そのままぶんぶん回した後に投げる
夢咲はけっこう飛んで、離れた場所に倒れる。しかししっかり受け身はとっている。さすが。あっぱれ、である。
「さあて君の負けかな?」
僕は剣を構え、少し近づく。しかしもう夢咲は立ち上がっていた。
「…ゴキブリ並みの、生命力を、舐めるな」
「あら、アースジェット炊こうか?」
「そんなものより、お前の剣のほうが効果あるぞ」
僕らは剣を体の右横で斜めに構える。
夢咲も僕も息が荒い。これがラストアタックになるだろう。僕らはそれを察していた。だから、最高の最後で締めたかった。この力が互角の者同士の戦いを。
「同じモノ同士、考えることは同じと」
「御託はいい。もう疲れたからさっさと終わらせろ」
「なっさけないなあ」
僕は高らかに笑う。
二階からドタバタという音が聞こえる。僕らが戦っていることを感知して、慌てて来てるのだろう。
邪魔させたくないし、終わらせるか
「……」
「……」
僕はにらみ合い、
同時に走り出す。
そして、剣先がかすりあい―――
同時にお互いの体を浅く斬りつける。
そして、お互いに至近距離で静止する。そして先に倒れたのは―――
「スポーツマンシップだらけのお遊戯だったな……マジで……」
夢咲だった
「おっと僕の勝ちかな」
「なんでだよ……俺ぁお前なんかにまけたくねえよ……」
「大丈夫、引き分けだから」
それだけ言って僕も倒れる。
あんなの食らって倒れねえわけねえだろ。クソいてえし疲れたし。
「俺は割と深く斬られたんだよ…お前は疲れただけだろ。」
「まどっちもだね」
「なんなんだよ、ガチで俺ら同じだな。」
「僕ら、クローンかもよ?」
「かもな」
ははは、と二人で笑い合う。僕らの中では、僕にはわからなかったが、確実になにか絆が芽生えていた。
「ちょ、あんた、どうしたの?!てか、その男誰?!」
甲高い叫び声が聞こえる。顔をあげると姉さんだった。…ちょっと決着が遅れてたら姉さんにちゃちゃいれられてたな。あっぶね
「いや、戦っただけ。とりあえず疲労と痛さで立ち上がれないから僕を病院かどっか連れてってくんない?ダイアーさん呼んで車出してもらってくれ。お互いに胴体斬られてるんだよ。あと、こいつも連れてってくれ。病院に行くなら、同じ病室に入れてくれ。手は出さないでくれ」
「ちょ、なんで?!詳しく話してよ?!」
「理由はないよ。何となく、僕こいつのこと好きだから」
「は、はぁ…わかったわ。ダイアーさん呼んでくるわ!」
姉さんはそう言って階段へ走り去っていった。遠くから「Number.2様、大丈夫ですか?!」という声が大量に聞こえる。
「……なんで俺をかばった」
夢咲が怪訝そうに尋ねてくる。僕はフッと笑い、
「君をNumberで働かせるためだよ」
と言った。夢咲は
「……そこは、君が大切だから、とか言えよ。だせえな」
「僕はそういうのは嫌いなんでね」
夢咲は笑い、
「お前、ほんっと俺にそっくりだな」
と言ってきた。僕は
「……光栄だよ」
それだけ言って意識が飛んだ。
ほんとうは普通に疲労が溜まってて寝ただけだけど









「お、目が冷めたのか」
目が覚めると、白い天井が目に写った。
辺りを見渡すと、ここは病室のようだった。そして、僕はベッドの上にいる。点滴などは刺さってない。まあ、寝ているだけか。病院服じゃないし。
で、近くには―――
「おはよう。」
夢咲が居た。
僕は笑顔で挨拶する。
「もうおはようって時間じゃないけどな」
「え?」
夢咲は苦笑しながら病室にあった時計を指差す。
「11時……」
「昨日から13時間位寝てたんだよ、お前。俺なんか9時に起きたのに」
「……疲れが溜まってたのかもねえ」
夢咲が来る前に少し戦闘があったし…いや、違うか。あれクッソ小規模だったし
「まあいいや。それよりも、だ」
「それよりも、なんだ?」
僕は夢咲の方を向き直る。僕は大きく息を吸い込み、こう言った
「夢咲。Numberに来ないか?」
夢咲は間髪入れず
「行くぜ。もちろんだ」
「即答かよ」
と言ってきた。僕はあぜんとする
しかし、即答した理由のほうが、もっとびっくりさせてきた
「だってそっちには深雪が居るんだろ?」
「お前深雪狙いかよ!」
叫ぶ。こいつ下心しかねえのかよ
「俺はDreamerでは深雪の教育係でな。あいつと割と密接に関わってきた。」
「それで?」
「俺はあいつに一目惚れしたんだよ」
「嘘だろお前」
マジで驚く。こいつマジで下心しかねえな。一目惚れした女が居るからこっちに来るのかよ
「で、俺はDreamerに不信感を抱いてたし、深雪が居るならそっちに行くって話だ」
「…ふ~ん」
僕は顎を擦る。ま、まあ……いい理由なんじゃないかな
「わかったよ。歓迎する。……深雪に手を出さないでくれよ」
僕が言うと、夢咲はニッと白い歯を見せながら笑い、
「お互いの同意があればヤッちゃっても大丈夫だ。」
「そっちじゃねえよ!!!」
僕は我慢できずに叫ぶのだった
自分の後輩と自分に似ているやつがヤッてたらホラーもんである
「じゃあどういう意味だよ!」
夢咲も負けじと叫び返す
「察せよ……」
「なんなんだよ……」
「とにかく!手を出さないと約束するならこっちに入っていいよ」
「最初に勧誘したのお前なのにお前が条件つけるなや!」
「うるさい!お前が下心たっぷりなのが悪い!」
「何が悪い!」
「なんも悪くねえよ!」
夢咲は僕の言葉に対して、
大きく、大きく息を吸い込んで
大声で叫んだ
「じゃあ文句言うんじゃねえええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」






「で、落ち着いたかしら?」
「はい……」
病室には姉さんが居た。先程入ってきたのだ。
「ほんと、もう少し静かに騒ぎなさい。外までだだ漏れよ」
「…ごめん」
「で、こいつは何なの?」
姉さんは夢咲に視線を飛ばす。
「夢咲。夢咲奏だ」
夢咲は姉さんに自己紹介する。
「名前を聞きたいわけじゃないのよ……で、あんたNumberに来るって本当なの?」
「ああ」
「そう。……あんなに強いDreamerの腹心っぽい男が裏切って?」
姉さんはフンッと鼻を鳴らす。夢咲は苦笑し、
「あんなヤツの腹心にはなりたくないな」
と言った。…こいつ、『あんなやつもう裏切ってやる』みたいに言わないとこが性格悪いよな。
人につけこむのが上手いや
「……なんなのこいつ」
姉さんが不思議そうに言う僕も苦笑して
「ま、信用していいと思うよ。こいつ下心しか無いから」
「それこっちも裏切るってことじゃん……やっぱ殺そ」
「おちつけNumber.0」
拳銃を取り出し夢咲に向ける姉さん。僕は慌ててなだめた
「じゃあなんなのよ。Number.2はこいつを入れるのに賛成ってわけ?」
念の為Numberのほうの名前で呼び合う。まだ夢咲が入ると決まったわけではないから本名を明かすわけには行かない。、まあでも
「夢咲はこちらに本名というでかい情報を渡している。僕は入れてもいいと思うよ」
「……」
姉さんは銃を下ろし、黙り込む。そして数分考えた後―――
「わーった」
「…いいのか?俺はスパイかもしれんぞ?」
夢咲が煽るように問う。姉さんは苦笑し
「もしそうなら本名を言わないでしょ。入ることを許可するわ。その代わり、Dreamerについて洗いざらい話しなさい。」
「…わかった。ええっと」
「Number.0。霞雨真理奈よ。」
姉さんが自己紹介する。この人、夢咲が裏切るってわかった瞬間殺す気だな。だから本名言ったのか
まあ、夢咲が裏切るかどうかは僕にもわからんが。
「僕は神無月疾風」
「……ああ。霞雨、神無月、よろしくな。……Dreamerのこと、なんでも教えてやるよ」
夢咲はそう言って姉さんに手を差し出す。僕にも手を差し出してきた
「ええ、よろしく」
姉さんはその手を握った。僕は苦笑し、
「下心は隠してね?」
といい、もう片方の手を軽く握ったのだった










「さあて洗いざらい話してもらおうか」
「急に入ってきてなんですか?先輩」
僕は深雪の病室へと来ていた。まだ完治してないらしい。
ちなみに僕も完治してはいないが、服を着ているため深雪には見えていない。
「とりあえず深雪に聞きたいことがあってね」
「最初からそう言えばいいのに」
「はいそこうるさい」
僕は咳払いをして、聞き始める
「まず夢咲奏について話してほしい」
「あ~……」
深雪は病室の窓の向こうを見る。僕もつられてみてみるとなんの変哲もない街が広がっている。
「あの人のことですか、というかなんで先輩奏さん知ってるんですか」
「あいつうちに来るんだよ」
「ええ?!?!」
僕が苦笑しながら言うと、深雪は振り返ってそう叫んだ
「いや、捕虜として捕まえて、無理やりこっちに引き入れた」
「な、なるほど」
深雪は困惑しつつそういった。
「あの人は私の教育係でした」
深雪は一泊置いてぽつりぽつりと話し始める
「奏さんは、私を良くしてくれました。他の人は、私をもののように扱っていました。だけど、あの人だけは私に優しく接してくれました。彼は実は孤立してて、Dreamerの指示に度々従わないことが多くて……色んな人から嫌われてるんですよね」
「へ~。」
優しくてもアイツは下心たっぷりなんだよなあ……
僕は心の中で苦笑する
「なんていうか、根本的なとこが先輩にほんっっと似てるんですよね」
「奇遇だね。僕もそう思う」
苦笑する。僕も間違った指示を出され続けたら従わないと思う。
たとえ相手が誰だとしても。
「まあ、夢咲についてはそんな感じですね。」
「ん、ありがとう」
夢咲がほんとに孤立してたならわざわざNumberを裏切る、ってことは無さそうだ
それを確認し、僕は安堵する。
そして、2つ目の質問をする
「じゃ、アジトの場所を教えてくれ」
「うげ、やっぱそれ聞いてきますか……」
深雪は唸った後、手をぽん、と叩いた
「スマホに写真ありますよ」
「え、マジ?」
深雪はそう言い、スマホを取り出し、スクロールする。
少し経って
「ありました」
とスマホの画面を見せてきた
「ちょい貸して」
「はい」
深雪からスマホを借りる。アジトは、周りになにもない静かな場所にあった。なので、アジトはひときわ目立っていた。
外見はただの二階建てらしき建物だが―――
「ん?」
よく見てみると、看板が横に付いていた。その看板には―――
「なんでもや夢見?」
「あそこ、表向きにはなんでも屋なんですよ。それでお金を稼いで、それを資金として運用してるんです。」
「ふ~ん。ありがとう。」
僕はお礼を言って深雪にスマホを返す。
「ありがとう、色々話してくれて。」
「いえいえ。こちらこそ。」
「じゃ、今度ご飯おごるね」
僕がそう言うと、深雪は笑って、
「叙々苑割り勘にしましょう」
と言ってきた。僕も笑い、
「そうしよう」
と言って、病室を去った。






「じゃあ、Dreamerについて洗いざらい吐いてもらおうかしら」
「何でも聞いてくれ」
私、霞雨真理奈は夢咲奏にそう言っていた
こいつはNumberに入る代わりにDreamerの情報を渡すと言っていた。だからこそ今吐かせる
「まずDreamerのアジトについてよ」
「ああ。それなら写真がある」
夢咲はスマホを取り出し、中にある写真を見せてくる。その写真を注視する。
アジトはただの二階建てらしき建物だ
「周りになにもない静かな場所ね」
「ああ。あと、よく見てほしい」
夢咲はアジトのとある場所を指さした。
そこには―――
「なんでもや夢見?」
「ああ。あそこ、表向きにはなんでも屋なんだよ。それでお金を稼いで、それを資金として運用してるんだ」
「なるほど……」
これは大きい情報だ。
「もういいわよ」
私は夢咲にスマホを戻すよう促す。
「次はDreamerのボス。Dreamerのことを教えて。」
「ああ。分かる範囲で話そう」
夢咲は一拍置いた後話し始めた
「…実は、Dreamerと俺は不仲でな。アイツについてわかるのは、短気ってことと容姿端麗ということくらいだ。……あと、Numberに兄が居るらしい。兄の名前は知らないが、Dreamerの名前は知っている。」
私は目を剥く。名前があればワンちゃん特定できる。
「あと、顔写真もあるぞ」
「マジで?!」
「ということで教えてやろう。」
そして夢咲はスマホの画面を見せてきた。
「えっ……」
私は目を見開いた。
だって、その顔は私のよく知る人にそっくりだったから。
「確か、こいつの名前は―――」
そして、こいつの名前も―――
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