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九章 決着への道

四十二話 疾風の父さん

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「入るぞ~」
僕は病室のドアをノックし、ドアを開け、松葉杖をついて中に入る
「よお。調子はどうだい」
ドアを閉め、ベッドに近寄る
「…先輩」
ベッドには弱々しくそうつぶやく深雪。
「久しぶり。元気かい?」
ベッド近くの椅子に座る。松葉杖を壁に立てかけた。
「ほれ、見舞い品だよ」
僕は背中に背負うバックからお菓子とその『見舞い品』をとりだし、袋を開け、中身を渡す。
「……これは」
受け取った深雪が目を大きく見開く。
「いや~。驚いたよ。起きたら僕のバックに見たこと無い拳銃が入ってたんだから。」
「……」
袋の中身は、僕の足を撃ち抜いた深雪の拳銃だった。
「……ありがとう、ございます……えっぐ」
「……」
泣き始める深雪。僕は何も言わなかった。
「……ありがとうございました、先輩。……おかげで、恭子はもう大丈夫です。」
「大丈夫、とは」
「……父親は死んだんです。恭子はもう……」
「あー……」
そういや言ってなかったな。あのあと、東は結局死んだ。急所は外れたと思ったが、心臓に傷がついていたそうだ。
「……恭子は、もう私の中に囚われなくていいんです。」
「……とらわれる、か」
僕はそう呟いた。弱々しく言葉を発する深雪は、どこか寂しそうだった
「……囚われていたわけじゃないと思うけどね。」
「……え?」
「君が大事だから、恭子は父親を殺したんでしょ?んじゃあ、恭子は恭子の意思で君の中に居たってことじゃない?…彼女は父親を殺し、僕に抑え込まれた。恭子はもう勝手に凶暴化する要因が無いんじゃない?……君が恭子と対話できるなら。彼女と一度話してみるといいさ」
僕はそれだけ言って松葉杖を取る。
「……先輩」
「お詫びならあとでいいから、二人で話してみな」
松葉杖をつき、病室のドアを開ける。
「あ、お詫びしてくれるなら今度叙々苑奢ってね」
それだけ言って僕は病室を出た。








「……最悪だ……」
俺―――Dreamer―――はアジトの自室で頭を抱える。
Number.2は生きている。
そして、俺はNumber.2に正体がバレたかも知れない。
「…クソ。」
机を拳に力を入れて叩く。
……また、あいつの。あいつのせいで……
「クソッ!!!!!」
「……残念だったね。正体がバレて。」
急に部屋に入ってくる男がそう声を発した。
「……クソ兄貴が。てめえのせいで、てめえのせいでええええええ!!!!!!!!!」
俺は立ち上がり、部屋に入ってきた男、クソ兄貴に殴りかかる。
「……無駄だよ」
クソ兄貴は俺の拳を軽々受け止める。
「……――家。確かに皆殺し屋として優秀な家系だ。でも僕は頭脳明晰ではなかった。……君も。だからこそ、先に成長し、Numberに入った僕に嫉妬し、Dreamerを作り上げた。……だがしかし、君は強い意志を持たない。僕に負けたのが悔しいから、Dreamerをつくり、僕を潰しにかかった。……でも」
兄貴は俺の手をひねり上げる。
「あがっ……」
「君には無理だ。僕を倒すなんて。実力が違いすぎるんだ。……負けを認めることも、時には大切だ」
そう呆れたように言い放ち、兄貴は俺の腕を開放する
「……いてえ……」
「……まして、Number.2に勝つことなんか無理だよ。……バイバイ」
そして、兄貴は去っていった。
「クソッ」
俺は本気で木製の壁を殴った。
木製の壁はベコ、と言う音を立てながら凹んだ










「……あのさあああああああああ」
「ん?」
僕―――睦月優斗は神無月疾風に話しかける。
疾風はNumber本部の部屋で松葉杖を壁に立てかけ、ソファーで寝ながらスマホをつついていた。
「あああああああ愛しの安藤○紗の星5がすり抜けたーーーー!!!!!!!なんでこのタイミングでミ○アム・○・グ○ピウスが出るんだよおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」
ソシャゲのガチャですり抜けたのか疾風はスマホをぶんぶん上下に振り回す疾風。…ほんとに足をぶち抜かれて戦闘禁止になった病人?とは思えない元気さだ。
「てかポ○モンの大会もやらなきゃいけないし……なんなら東○ダンマクカ○ラもやんなきゃ……あとゲーセンで太○の達人もやんなきゃ……」
「どんだけゲーム掛け持ちしてるの?!」
なんなのこの人。ゲームしすぎでしょ。てかそんな体で太○の達人できるの?あのゲームだいぶ体使うと思うんだけど。足腰も
最近疾風はこんな感じだ。…高校を中退してから。
彼の彼女である彼方が学校のため昼間会えてないからこうなったのだろう。
ちなみに僕は今日は選択していない授業だったため休んでいる。
「くっ……復学したいけどゲームもしたい……」
「……馬鹿なのか?」
僕は声に呆れを含んで言葉を発する。
……僕は疾風を信頼しているが、これがDreamerに勝てるのかちょっと不安になる。
能あるたかは爪を隠すとはこういうことかあ……
……能あるのかな?
「さ、ポ○モンやるかあ……」
「なんでさらっとアジトにニン○ンドース○ッチを持ち込んでるの????」
会社にゲーム機を持ってくるのは大丈夫…なのか?
…いや、王牙さんならOKっていいそうだな
と考えていると疾風のポケットに入れていた無線がバイブ音を鳴らした。
「……なんだ?ポケ○ンしたかったんでけどなあ」
疾風もニンテ○ドース○ッチを置き、無線を取った。
『Number.2様、来客でございます』
「はーい」
疾風は無線を置き松葉杖をついて、立ち上がった。
「ふぁあ……行くかあ」
疾風は部屋を出た。
……憧れるよなあ。疾風。
イケメン、高身長。頭もよく、喧嘩も強く、優しい
……完璧な人間だ。とてもそうとは見えないけど
でも。
睦月家も本来そういう家系だった。
殺し屋が多い家系で、みんな頭がキレ、世間に溶け込み、その中でターゲットをひっそり殺す。
……でも。僕達兄弟だけ、違った。僕達だけ、凡人だった。
…僕には、弟がいる。みんなにはそれを隠しているが。なぜかというと、家族が殺し屋を営んでいることもついでに隠すため。
弟は凡人でも、殺し屋としてギリギリやっていくスペックはあったが、彼は睦月家から出ていった。そして、自分で組織とアジトを建て、なんとか生計を建てているようだ。
…それに比べ僕は……
僕は、大した活躍もせず、Numberに住み着く居候だ……言ってしまえば……
要らない虫だ。
…弟がしでかしたことの、贖罪くらい、できたらなあ









「……来客と言われ、誰かと思って応接室に来てみれば……なんで母さんが居るの???しかも圭と一緒に。」
応接間に来ると、来客、もとい母さんと圭が居た。
そもそもこの状況がおかしい。
圭は母さんと関わりが無いはずだ。なぜこの二人が一緒に、しかも仲よさげにしてるんだ?
「いやあ、急に来て悪かったね、疾風。君に言いたいことがあってね。あ、ちなみに僕と楓は昔の悪友でね。昔は一緒にヤンキーしてたんだよ。」
「え、なにそれ初耳」
さらっと衝撃的な言葉を発する圭。なんなのこの人たち。仲いいならせめて息子に話してくれよ、母さん
しかしつぎ母さんが発した言葉はもっと衝撃的だった
「いやあ、今日は私達が再婚したことについて話そうと思ってね」
「へ~再婚かあ」
僕はコーヒーのペットボトルを取り出し、飲む。
再婚………再婚か
僕はその言葉を反芻する。
そっか。母さんもいい年だもんな。きっといい男性を見つけたに違いない―――
まて、今『私達』っつたよな?
「……ん?母さんと圭が再婚するの?」
僕はおずおずと聞く。多分僕の手は震えている。
え、嘘でしょ?嘘だと言ってよ
そんな儚い理想は一瞬で当事者によって破壊された
「?そうだけど?」
…………………うん、
「はああああああああああああああああああああああああああああああ?!?!?!?!?!?!?!?!?!」
「え、何そんなに驚いてるの」
僕が驚いていることに驚く破壊魔。
もうこの人怖いよ。隣に座る圭を見やる。
圭はバツが悪そうにしている。………圭をじっと睨みつける。
「……一応言っておくよ。…楓は結婚三回目だよ。」
僕の睨みを恐れず堂々と言い放つ圭。
「は?」
ちょっと待て母さんは俺の実の父親と一回、圭とで二回目じゃないのか?
爆弾を投下し続ける母さんたち。そしてさらに爆弾は落とされる。
「……この際言っちゃうわ。疾風。あなたは私の元夫の息子じゃなくてそこの圭の息子よ」
ぽく、ぽく、ぽく、ちーん。
そんな音が聞こえてきた。自分が魚人になった気がした。違うこれ魚目だ
まってこれなんだっけ。もういいや。
この世界に原爆がぶちかまされた。アメリカよ、なぜ日本を滅ぼすんだ………………
私は日本だ。イタリア……ナチスドイツ……俺、先に行くね
「…………………は???????????????????????????????????」
ちょ、僕の心は復興できないぜ。ちょ、GHQ攻め込まないでもろて?????
「……すみません。よくわかりません」
僕は無機質な声を出す。
人って、マジで理解できないと感情がなくなるんだな……
「だから。君の実父は私の隣に座ってる圭なの」
今度は長崎に原爆が落とされた。
「……あの男、マジで僕の父親じゃないの?」
「うん。アイツは圭の血縁者でな。忙しい―――ていうか、ヤクザだからな。圭は。そんな圭さんは、信用できる血縁者に私と疾風を任せたらあのザマだったってことだ。ははは~私は可愛そうだなああ」
「……申し訳ないでした。はい。すみませんでした。はい。」
さも日常会話のように話す圭と母さん。……ちょっと理解しようとするか。
今人類哀れみの令が出ていて、僕が守られて―――
うん違うね
僕は父親じゃない人を殺したんですね。
「…………」
僕は一瞬で賢者へと成り上がった。
…今ようやく理解した。
「……なぜ僕にそれを言わなかった……」
僕は頭を抱える。
「……あ~……言うタイミング逃しちゃった。てへ!」
陽気な声で言ってくる母さん。
「てへじゃねえよ」
僕はガチトーンで突っ込む。
「いやごめんて。疾風が中学から一人暮らし始めてからたっぷり話をする時間がなくてね。なかなか話せなかったというわけよ」
「……あ~……」
僕は中学から一人暮らしだ。
……なんというか、母さんらしい理由だなあと。
てか待てよ
「……圭。ならお前が言えばよかったんじゃないのか????33歳バツイチ」
僕はおもいっきり圭を睨みつける。
「いやあ……楓が話さなかったし、いいかなって思って」
「ふざけんな」
苦笑しながら言う圭。
「うんごめんね?いや、楓と関わってるとは疾風は知らないのに、急に『疾風は小林圭の息子』なんて言われたら困惑するでしょ?」
「なんだまともな理由だった」
「まともな理由って…どんだけ僕に期待してないのよ」
僕はため息をつく。
「…とりあえずわかったよ。祝福する気にはならないけど、お幸せに。―――母さん、父さん」
「…うん。頑張ってね、疾風」
それだけ言って僕は松葉杖をついて立ち上がり、応接室から去った
いやあ、それにしてもいまだに信じられんなあ
「僕が圭の息子とはなあ……」
ぽつりとつぶやく。
「言ってほしかったな」
僕は天井を仰いだ。
……圭は父さんなのか。
てか、父さんって…始めて言ったな。
な、圭







「ふぃ~……疲れたよぉ」
僕は彼方の家のリビングのソファでくつろぐ。
「お疲れ。…てか、なんでそんな疲れてるのよ」
彼方は苦笑する。彼方が淹れてくれたコーヒーを口にする。あ~生き返る~
「いやあ…衝撃すぎる新事実を2つも聞いちゃって精神的に……」
「あー…お疲れ」
彼方は隣に座ってくる。
「で、どんな新事実だったの?」
「なんか知らぬ間に母さんが再婚してた」
「はえ~、楓さんまた結婚したんだ」
「で、小林圭ってやつが僕の父親だってしった。まあつまり、僕が殺った父親は本当の父親じゃなかったってことだ」
「え!?そうなの?!え、ちょ、は?」
「なんで僕よりビビってるんだよ……」
圭が僕の父親であることを告げると、彼方は僕より驚いていた。いや、あなた僕の家族じゃないよね……
「いや、あの、あなた父親じゃない人に虐待されて、父親じゃない人を殺ったの?」
「そういうことだ」
「今世紀最大のビッグニュースだわ……」
心底驚く彼方。そしてなぜか抱きしめてき
「お~よしよし。今までよく頑張りましたね~」
「え、ちょ、急に何よ」
「いやあ、疾風も苦労してたんだなって」
「……どういうことよ……」
「いや~なんとなく?」
「ほんとにどういうこと?」
彼方は僕から離れた。
…一体何だったんだ
「そ・れ・よ・り・も」
「ん?」
「……なんで松葉杖ついてるのよ」
彼方は松葉杖を指さしながら心配そうに言ってきた
「後輩と喧嘩した」
「なんで喧嘩程度で足に包帯巻いて松葉杖をついてるのよ…」
僕は乾いた笑いをしながら
「生意気な後輩さんでね。拳銃を喧嘩に持ち出してきちゃってさ」
「けけけけけけけけ拳銃?!」
「生意気でしょ?ははは」
「大丈夫なの?!他に怪我は無いの?!」
「ちょちょちょ落ち着いて」
彼方は僕の頭をぶんぶん振ってくる。めっちゃ慌ててるよこの人。
「落ち着けるわけが無いでしょ?!え、喧嘩程度で拳銃?!今までよく生きてきたね!?」
「いやいや、今回だけだから!落ち着いて!」
その後、彼方の暴走が落ち着くまで1時間ちょっとかかった。
僕のことを心配してくれるのは嬉しいけど、ここまで大げさに驚かないでおくれよ。
ほんと、みんな過保護なんだから








とりあえず、僕は松葉杖を外すことができた。拳銃でできた傷だったので、二週間程度で外せた。
いつもどおりNumberのエントランスに入ると
「うげ」
「なにがうげだしばくぞ」
「いや最近あんま顔合わせてなかったからさ」
「まあ俺は後輩の育成に尽力してたからな」
「さすが脳筋のNumber.8」
「誰が脳筋だコラ」
「事実じゃん」
僕は苦笑する。
エントランスには愁が居て、僕は愁とばったり出くわした。なんという不幸…こほん、幸運なんだろう
「ま、愁はNumberの名を持つ人の中で一番強いからね。僕も怪我してたし、後輩の育成には関われなかったな」
「ま、俺お前より強いしな」
意外とでかい大胸筋もつ胸を張りながら言ってくる愁。ま、武器あったら僕のほうが強いと思うけど、体術ではこいつには勝てないな。
まあ、なんか認めたくないので
「ほんとかなあ?」
と不敵な笑みで言ってみた。
「……ほんとだろ、多分」
愁はちょっと不安そうに言う。
「うふふ……」
僕はそう笑う。
二人でエレベーターを待つ。エレベーターが来ると、二人で乗る。中に乗っていた人がそそくさと去っていった
エレベーターに乗り、上から二番目の階のボタンを押す。実はそこには訓練場と言うなの戦闘ホールがある。
あそこには木刀、モデルガン、果にはガチの日本刀や拳銃などもあり、殺伐とした部屋に大量の傷がついている。まじで戦闘狂しか使わないんじゃないか、という感じの部屋だった。
…今日はそこで愁と仲良く過ごそうかな。
上から二番目の階につく。僕はいつも過ごしている大きい部屋を過ぎ去り、訓練場に向かう
愁は僕がどこへ向かっているのか察したようで
「お手柔らかにな、最強のNumber。」
と言ってきた。僕は大きく笑い、
「死なない程度にはしてあげるよ」
と言った
訓練場につき、ドアを開け、中に入る。
早速僕が愛用する日本刀、三笠に大きさが近い木刀を取り、愁と距離を置く。
訓練には珍しく、愁も木刀を持ってた。いつもは訓練に武器を使わないんだけどな、この脳筋ゴリラ
「……本気ってことかい、愁」
僕が問うと愁は
「お前に負けたくないんでな」
と返してきた。負けず嫌いだな。
…そうかい。んじゃ僕も本気を出そう
僕は一旦呼吸を整え、中段の構えをとる。
愁も構えた。
緊迫した空気。……久々だな。訓練でこんな空気になったのは。
さてやりますか。相手はNumber.8。愁が相手だからこそ。
「このNumber.2、本気で行くよん!」
「とてもこれから本気を出す人間とは思えないな!」
僕は地面を踏み込む。容赦なく愁の銅に木刀を振り下ろす。愁はそれを後ろに下がりながら僕の木刀を叩き、それを防ぐ。さすがに残心なんてやってる場合じゃない。次なる一手を打とうとした瞬間、愁の蹴りが飛んでくる。―――速い。
僕はとっさに片手を木刀から離し、愁の足をはたき落とす。流石に愁も態勢を崩す。
僕はその隙きに木刀を頭に振り下ろす。
しかしだが、さすがの脳筋。それを見切ってしっかり木刀でガードする
……動きがいちいちはええ。僕の攻撃を見切って最速で最適な手を撃ってくる。
厄介この上ない。なんなんだこいつは。頭いいのか悪いのか…いや、愁の場合は本能で動いてるのか
愁は僕の木刀を上に振り払う。木刀が押し上げられる力が強すぎて僕は少し後ろによろめく
まじでなんつーパワー……
愁は態勢を立て直す。そして硬直状態。お互いににらみ合う。
それを破り、先に仕掛けたのは愁だった。愁は木刀を槍投げの要領で投げてくる。ちょっとまて。いくらなんでも速すぎるだろ。だいたい人が卵をぶん投げるときの速さだ。わからないかもしれないが
僕はそれをスレスレで避ける。
避けた瞬間愁の殴りが飛んでくる。流石に完全に止めることはできなかった。手でできるだけ衝撃をカバーする。
だがしかし手がアホみたいに痛い。痛みを堪えて愁の手を掴む。そして―――
「おりゃ」
上に持ち上げてから投げた。
愁はきれいに受け身を取る。うう…これじゃだめかあ
もういっそ―――
受け身を取った愁に向かって飛びかかり、かかと落としをする。愁は転がって避ける。かかったなアホが!
僕はかかとを完全にはおろさず普通に着地。木刀を放り投げそして立ち上がろうとしている愁に
「サンダークロススプリットアタック!!!!!」
と某ジョジョのキャラの技名を叫びながらクロスチョップを飛びかかりながら放つ。
そして愁はそれをギリギリで受け止める
そしてその状態のままにらみ合う。
そして、二人同時に右足で蹴りを放ち、二人同時に左足に被弾する
僕らは重なり合うように二人で倒れた。僕は苦笑し、

「なんだ、僕ら、同じだな」

と言った。愁は大きく笑い
「どっちも勝てないなんてな……はははは!やっぱ俺ら同じだな!!!」
と言った。僕は苦笑を普通の笑いに変える。
僕らは数分間、ともに笑い続けた。
……彼方と過ごすときとは違う幸せを感じた
    
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