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八章 ただいま、みんな
四十話 休息と次の一手
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「帰ってこなくても良かったんだぞ?」
「ぶン殴るからこっち来い」
感動の再開という言葉を無視して嫌味を言ってくる愁の腹をぶん殴る
「……もう事後じゃねえか……」
殴られた腹を抑えながら愁は呻く。
「ハハハ、深雪を泳がせて僕を生贄にしたバツだよ」
笑顔で言う。彼方達は慌てて僕の家に入って何かを始めている。僕は入るなと言われた。トホホ。
「……なんでそれ知ってるんだよ……」
虫の息の愁が言葉を発する。
「深雪から聞いた。あと、深雪はNumberへ戻るから」
「俺のおかげだな!っていってええええええええええ!!!」
調子に乗る愁をもう一度殴る
「……全く……まあいいよ。僕は用事があるからこの話はまた後で、ゆ~っくりとしようねえ????」
そう言い残し、みぞおちを抑えて失神しかけている愁を放って僕は歩き出した。
「…二重人格、ですか」
医者が苦々しく呟く
「検査は無理でしょう…疑われたくないので」
「……独断で構わないなら、診断をしましょう」
ここはNumberの中にある病院だ。Number専門の
今は精神病棟に居る。勿論要件は深雪のことだ。
本当に二重人格かはわからないのだ
そして診断が始まる
僕の体験談とともに、知っていることをすべて話す
そして出た結果は――
重い足取りで家の敷地に入る。暗い気持ちでドアを開けた。
……人格の暴走、か。少し詳しく勉強する必要がありそうだ
そして玄関に入る。すると―――
「疾風~!!!」
急に何故か家に居た彼方が飛びついてきた。びっくりして、態勢を崩しかける
「……おぅふ……」
少々弱っていた僕はそんな声を漏らす
「ご、ごめん……」
僕から彼方が離れる。
「……むぅ……」
頭痛がする。
とりあえず一旦忘れよう。
「やあ彼方」
「情緒不安定すぎない?!」
驚く彼方の顔を見ながら僕は笑った
「……こ、怖いわね……もういいわ。とりあえず入りなさい」
「僕の家だけどね」
我が家のような発言をする彼方に突っ込みつつ靴を脱ぎ、家に上がる。玄関に直結してる洗面所で手を洗い、リビングに入る
彼方が家に居ることで他のみんなが居るのは察しては居たのだが―――
「……へ?」
中の地味に凝られた装飾、豪華な食事を見て仰天した。しかも机に愁、姉さん、由香里、彼方が食事の乗った机の前の椅子に座っている。何故かろうそくの乗った大きいホールのショートケーキが乗っていた。
「……なんのつもりだい?」
そう呟くと、パン!という大きい音がした。音質的に拳銃ではないが…
しかし、音の正体は次の瞬間わかることになった
『お誕生日おめでとう!疾風!』
ぽかーん。
そんな効果音が頭の中で流れた気がした。
「……今日、僕誕生日だっけ」
クラッカーの紐を引いたままの姿勢のみんなに聞いた
「誕生日の一月十二日に失踪してて家に居なかったのはどこの誰だったかしらぁ……」
にこにこ……というかケタケタ笑いながら言う彼方
……こ、怖い……怖いよ彼方……
「まあ座れや、疾風」
ヤクザのように言う愁に促されて座る。
「さ、改めておめでとう、疾風」
姉さんに言われる
「…ありがと」
なにか気恥ずかしい。そんな中飯を爆食いし始める愁にはあっぱれ
「そんじゃ、いただきまーす」
僕も食べだす。……この国は誕生日にチキンでも食う風習があるのか?
無言で食べる時間が続いた。みんなが食事をし終え、ケーキに手を付けようとする。
「疾風……ろうそく……」
「ん?」
近くから彼方の声。
ケーキには16本のろうそく。
「……僕が消すってことか」
ふう、と息を吹きかける。割と強かったみたいで、一回ですべての火が消えた。
『もう一度改めて、疾風、誕生日とおめでとう!…そして、帰ってきてくれてありがとう!』
みんなの笑顔での大きな喝采。なに、盛大に祝ってくれるじゃあないの
「…へっ。僕が死ぬわけ無かろう。……ありがとう」
そしてケーキがわけられ、食べたあと、その後みんな僕の家に泊まっていった。
Happy Birthdayが歌われなかったのは、やはり、姉さんたちクオリティーである。
……嬉しいこともあるもんだな。やっぱ、帰れて良かったよ。神様
みんなが寝静まった頃、僕はリビングに居た
……楽しいときには考えるのをやめていた。深雪のこととDreamerに関して。
まず深雪のことだ。……もう結論は出ていた
僕にはどうしょうもない。医者に任せるしか無いだろう
次にDreamerだ。Dreamerの正体について。一つ、わからないことがある
……前に送られてきた簡単な暗号。なぜ僕たちならわかるような暗号を送りつけたのか。
ほんとに敵対視して、僕達が憎いならば、そもそも自分たちの情報を送りつけるようなことはしないだろう。
敵に塩なんかを超えた、米、いや、作りたてほやほやのおむすびを送りつけている。
それがDreamerのすることか?
僕たちが憎いであろう、Dreamerが。
相手を助けるような男ではないだろう。ああいうやつは。
あいつと初めて手合わせしたとき。僕はやつから憎い、という感情だけでなく、哀愁を感じた。
そして、懐かしいという感情。
……Dreamer、睦月優斗。あいつは。あいつは……
……本当に、僕の―――
……僕の、親友の、睦月優斗なのだろうか。
それとも騙りか?
騙りなら、やはりあんな紙は送ってこないだろう。そして……顔が似すぎている
……ならば、あの睦月優斗は、僕の親友の睦月優斗で、あいつが僕に、真実を気づかせるため……?
ーーーーーーーーーーーーーーー
「疾風~~~!!!」
僕は声の主に反応する
「あ、中学の卒業式終わったね。バイバイ」
「ちょい待てコラァ!」
手を振って帰ろうとする僕の腕を掴んでくる。
「…優斗、落ち着いて」
「……僕、なんでこんなやつの親友してるんだろ」
本気で嘆く優斗。
僕と優斗の付き合いは小学生からだ。
小学校で仲良くなり、中学校に進学し、Numberに入ったあともその関係は続いている。
Numberに入ったあとはちょっと元気が無さそうだが。
「もう、優斗さん、はしゃぎすぎですわよ」
後ろから穏やかな声。ちょっと呆れが混じっている
「…瞳ぃぃ……疾風がいじめてくる~……」
鳴き真似しながら瞳に抱きつく優斗
瞳とも小学校からの付き合いだ。優斗と瞳はクッソラブラブだ。彼方と違う中学校だし、しかも僕転校するし……
ちなみにうちは中高一貫校だ。僕は女子校に転校することが決まっている。
「……いいだろ。Numberで会えるんだから。」
「……へっ?」
優斗はキョトンとしたあと、慌てたように
「あ、ああ。そうだね」
と言った
親友との学校での別れ。やっぱ学校離れちゃうから辛い。あっちにはクソ…姉さんが居るからまだマシだが
なんでキョトンとしただろうか。
「じゃ、僕は行くから」
「ちょ、待って、疾風」
優斗が静止する。
「なんだい?」
「……実は僕には双子が居るんだ」
僕は目を見開いた。瞳も優斗を抱きしめながら目を見開く。リア充が……
「初耳だよ…まいいや。バイ」
「待って!ちょちょ!」
そこから去ろうとしたら、優斗がもっと慌てて静止する
「……いや。ごめん。なんでもない」
「そうか。じゃあね。優斗」
僕は卒業証書を持ち、その場から立ち去った
最後の優斗のあの顔。あの、やっちまったというような顔。そして、悲しそうな顔。
僕は忘れることはできないだろう
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「…なるほど。」
記憶を掘り出し、理解する。
簡単な話だった。
Dreamerは双子の方なのだろう。
ただ、気になるのは、僕が高校に入ってから、優斗が瞳に抱きついたりするようなイチャラブは見かけてない。
瞳も優斗を不審に思っている。
……結論は出なかった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
次の日、僕はNumberの事務所に居た。
次なる一手を仕掛けるためだ。
しかし、僕は頭を抱えていた。
手紙が僕あてに届いていた
『フハハハ!家には帰れたか?疾風 睦月優斗』
……こいつ……ますますDreamerがどっちかわからないぞ……
「おはよ~ございま~す」
姉さんが僕が居るフロアに到着した。ちなみに7階。
姉さんが僕のいる会議室に入る。
「……姉さん。早速だが、次の一手を打つ」
「ん?次の一手って?」
僕は一拍開けて話し始める
「……Dreamerの正体が絞れた」
「なんですって?!」
目を見開いて絶叫する姉さん
「落ち着いて。でもまだ二択にしか絞れてない」
そこまで言うと、
「誰と誰なの?!」
と姉さんが叫んだ直後、会議室のドアがキィ、と音を立てて開いた。
「遅くなりました。Number.0様、外まで聞こえましたよ」
いつもの深雪の声がする。姉さんには深雪のことを聞かせてるため、『Numberから追放された』深雪がここにいることに驚いてない。
「ご、ごめん……」
「深雪、僕は先輩で姉さんはNumber.0様なのか…」
「……うるさい先輩様ですね。早く話してください」
僕の演技、というかちょっとした本音を混ぜたネタに頬を少し赤くしながら僕を急かしてくる。怒ってるのかな?
「まあ、本題に入ろう
……Dreamerは、自らを睦月優斗と名乗った」
「ッ!」
「姉さん、落ち着いて。
……だから不思議だったよ。優斗はNumberに居るし、あの状況下では僕を襲えないだろう。あと、優斗と戦い方がちょっと違かった。昔の優斗の戦い方に似てた。……そして、顔もそっくりだった。本人と同じみたいだった。
…僕は、一つ思い出したよ。昔の記憶を。……優斗は、自分に双子が居ると、中学時代に教えてくれていた。どこで生きてるのかは知らない。多分、何らかの事情で離れたんだろう。」
「えっ……なにそれ。優斗はそんなこと一言も言ってないよ?」
心底驚く姉さん。僕は話を続けた。
「……こっから2つの仮説を建てた。
Dreamerは、睦月優斗説。これは根拠がないから弱いし、今の優斗はここに居る。
…もう一つは、Dreamerは双子の方であるというもの。
ぶっちゃけ言って、どれだけ証拠があっても無くても、この2つしか無いと思う。
他人の変装説もあるが、あそこまで顔を似せるのは無理だろう。」
「……」
話し終え、渋い顔の姉さんを見る
「……一つ、聞きたいことがあるわ」
姉さんが長い沈黙の後、口を開いた。
「……疾風は、Dreamerと接触したのかしら?」
「…うん」
「…わかったわ。ありがとう」
それだけ言って、姉さんは会議室から立ち去った。深雪も出ようとしたため、静止する。
「待って……深雪。僕は君にも話したいことがある。」
「…なんですか?」
そして、僕は聞いた
「……君は、多重人格者なのかい?」
深雪はそれを聞き、目を見張ったあとうつむいた。
「……ごめんね。聞く必要は―――」
「先輩の言う通りです」
鉛のように重い空気がいやで会議室を出ようとすると、深雪に静止される
「……隠しててごめんなさい。バレちゃったから…もう話します。昔、小林さんにお世話になったとき、トラウマのせいで、もう一つの自分ができちゃったようで。Dreamerに居た時代もトラウマになっちゃって。前はもう一つの人格……『天ノ川恭子』が出ちゃいました。とても凶暴で、人の言葉を聞かない人格が」
「ちょっと待て」
話を聞いている中で疑問に思ったことがある。『天ノ川恭子』?そして、多重人格者である自覚があるのか?
「……私、『天ノ川恭子』という名前がだいっきらいで、小林さんに名付けてもらったんです。」
「……なるほどね。」
それについてはわかった。どうやら発現条件は『トラウマの再燃』だろう。
なら、前のDreamerの襲撃のとき、暴走しなかったのはなぜか
……覚悟を決めていたからか?考えても本人しかわからない。
そして、第2人格があることを自覚してるのはなぜか……もしかして
「……トラウマへの恨みと恐怖、か」
「……ご明察、名探偵」
僕のつぶやきは深雪に聞こえていたらしい。深雪の情けなさそうな声が聞こえる。
「……ごめんね。」
なんて言えばいいかわからず、とりあえず謝る
「先輩は優しすぎます。もっとNumber.2として、冷酷になることも大事なんですから。そのくらい身につけてください。あと」
鈍感すぎるんですよ。僕はその言葉の意味がわからない。
その優しい声と、少し赤い顔では深雪の心の中はわからなかった
僕はフッと笑い、会議室から去った
窓から差し込むあまりにも青い空から星屑のように降り注ぐ日光が、僕を襲った
インターホンを鳴らす。
ピンポーンという音が道端に響いた
今僕は、小林圭の小鳥遊組のアジトに来ていた。仕事は終わらせてある。
ひとつ優斗に聞きたいことがあったので聞いた。
『お前、僕に送られた暗号って知ってるか?』
僕の問に、Number.52、優斗はこう答えた
『はぁ?そんなもんDreamerは送ってないだろ。』
まるでDreamerの内側を知っているような口ぶり。……顔には、『俺は知らん』と書いてあった
……もしかして、どちらかがどちらかになりすましを…?
いや、無いか。
『はーい、今出まーす』
圭の声が聞こえる。その約1分後に圭は出てきた。
「げ、疾風……」
「おい待てコラ」
客が僕だとわかった瞬間にドアの奥に引っ込もうとする圭の腕を一瞬で鷲掴みにする。
「な~に露骨に嫌そうな声出してんだ。話があるんだよ。」
僕はお邪魔しま~す、といい無理やりアジトに入る。
「……はあ、大事な話なら俺の部屋に来てね」
僕はNumber.2さん、いらっしゃい!という圭の部下の声を聞きながら圭の部屋に入る。圭も一緒に。
「……唐突だが天ノ川深雪と、『天ノ川恭子』について知ってることを話せ」
僕は圭が座った瞬間その問をぶつける。
「……へ?」
圭は心底びっくりしたようだ。そりゃそうか。なんで僕が知ってるのか、っていう話だ。
「……そっちか。楓もまだ話してないのか……いや、深雪の話だとは思わなかった。」
しかし、圭の驚きはベクトルが違ったようだ。前半は聞き取れなかったが、後半は聞き取れた。予想外の回答に意味がわからず首を傾げる。
「いや、こっちの話さ。…後で話すよ。
さて、深雪については彼女自身から聞いてることに間違いはないと思うよ。深雪の父は、うちの部下にこき使われてるし、父を拉致するついでに深雪を拾ったのも。Numberに入るよう勧めたのも。
さて。恭子の方についてだ。僕も恭子を一度見たことがある。あれは怖いね。僕が彼女の過去に触れちゃったときに、恭子が暴れたんだ。本当に驚いた。
でも『恭子』は多分、深雪が大切なのかもしれない。」
「…どういうこと?」
圭の言っていることがわからない。深雪ともう一つの人格が、お互いを認知している……?
二つの人格が『お互いを』、認知している……?
恭子も深雪も互いを大事に……?
「……多分、疾風の考えていることは合っている。彼女たちはお互いを認知してる。……深雪は恭子のことを本当に大事のしている。恭子もだ。
それは何故か。……僕が拾ったのは『恭子』だからだ」
「……え?」
圭の言葉に唖然とする。……前、深雪は『恭子』のときの記憶が無かった。もし圭の言ってることがほんとうならなぜ、深雪は『恭子』のときの記憶である圭に拾われたことを覚えているのか。
「……深雪は、改名したんだ。恭子から、深雪に、ね。僕の名義で改名させた。」
「……はあ???」
もう驚きっぱなし。改名したんか……そんなこと深雪は言ってませんがね。まさか隠したい理由があったのかね?
「……多分だけど、やっぱ多重人格って周りに話したら、『恭子』が馬鹿にされると思ったんだろうね。自分じゃなくてね。ほんと凄い子だよ。……深雪は恭子を以心伝心、表裏一体の存在と考えている。だからこそ、いつ発現したかは僕にはわからないけど……深雪への侮辱=恭子への侮辱と考えてたんじゃない?」
「……なるほど。」
「深雪は、改名したあと、自らのもう一つの人格に前の名前の『恭子』を名付けた。……深雪は、母親に『恭子』と名付けられたから、私の名前を変えてもう一つの人格に『恭子』と名付けると言ったんだよ。恭子は深雪の凶暴な面だけでなく、怒り、憎しみ、そして……悲しみ。
恭子は強い。とっても。君も戦ったんだろう?」
「―――……ああ」
「君と同じくらいの実力だ。……僕はそれ以上は知らない。」
圭はそこまで言って話を終わらせた。
「……ありがとう」
すっきりした僕は礼を言ってそのあと無言でアジトを去ろうとした。が
「…まて疾風。もうひとつ話しがある。」
「話って?」
圭に引き止められた。そして、圭のもう一つの話が始まった
「実は―――」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「……はぁ」
圭の話を聞き終えた僕は、Dreamerへの次の一手を打つべくバイクを走らせていた。
……気分が落ちていた。圭のはなしはあまりにも……
いや。忘れよう。とにかく今は次の一手についてだ。
僕は相手のアジトをもう一つ知っている。小さいアジトだが。そこを潰す。
……多分、Dreamerは慎重な人間だ。前の戦いでわかった。あの状況下で拳銃の引き金を引かなかったのは慎重にほかならない。
だから、小さくてもアジトは潰したほうが良い。相手が追い詰められた場合、めんどくさいから、と攻め込まなかった小さいアジトが重要になる、なんてこともある。
アジトに着くと、ドアの鍵はかかってなかった。……なるほど。僕が来ることがわかってたのか?
Dreamerは頭も冴えているのだろうか。
僕はドアを慎重に開ける。銃撃音が聞こえてこなかった。
そこまでして僕は気づいた。…中に誰も居ない?
人の気配がしない。となると、アジトを残して逃げたか。なぜかは知らないが。
とりあえず、中を探すだけ探して帰ることにした。
そして、めぼしいものもなく最深部にたどり着いた。結局人は居なかった。
最後の部屋のドアを開ける。中には一つの机。
「おっ?」
その机の上には書類が乗っていた。
机に近づき、書類を手に取る。
「………」
僕はその書面を見て絶句した。紙を持つ手は震えている。
そしてその書面には
「……Dreamerの、正体………」
それが、書いてあった。
……書面に書いてある内容が嘘かもしれないが、僕にはもうDreamerの正体に確証がついた。
日記のようなものだった。
僕はそれを読み終わり、こう言った。
「……神様、あんた、可哀想とは思わねえのか……?
お前は、僕の親友を痛めつけたいのか?」
「ぶン殴るからこっち来い」
感動の再開という言葉を無視して嫌味を言ってくる愁の腹をぶん殴る
「……もう事後じゃねえか……」
殴られた腹を抑えながら愁は呻く。
「ハハハ、深雪を泳がせて僕を生贄にしたバツだよ」
笑顔で言う。彼方達は慌てて僕の家に入って何かを始めている。僕は入るなと言われた。トホホ。
「……なんでそれ知ってるんだよ……」
虫の息の愁が言葉を発する。
「深雪から聞いた。あと、深雪はNumberへ戻るから」
「俺のおかげだな!っていってええええええええええ!!!」
調子に乗る愁をもう一度殴る
「……全く……まあいいよ。僕は用事があるからこの話はまた後で、ゆ~っくりとしようねえ????」
そう言い残し、みぞおちを抑えて失神しかけている愁を放って僕は歩き出した。
「…二重人格、ですか」
医者が苦々しく呟く
「検査は無理でしょう…疑われたくないので」
「……独断で構わないなら、診断をしましょう」
ここはNumberの中にある病院だ。Number専門の
今は精神病棟に居る。勿論要件は深雪のことだ。
本当に二重人格かはわからないのだ
そして診断が始まる
僕の体験談とともに、知っていることをすべて話す
そして出た結果は――
重い足取りで家の敷地に入る。暗い気持ちでドアを開けた。
……人格の暴走、か。少し詳しく勉強する必要がありそうだ
そして玄関に入る。すると―――
「疾風~!!!」
急に何故か家に居た彼方が飛びついてきた。びっくりして、態勢を崩しかける
「……おぅふ……」
少々弱っていた僕はそんな声を漏らす
「ご、ごめん……」
僕から彼方が離れる。
「……むぅ……」
頭痛がする。
とりあえず一旦忘れよう。
「やあ彼方」
「情緒不安定すぎない?!」
驚く彼方の顔を見ながら僕は笑った
「……こ、怖いわね……もういいわ。とりあえず入りなさい」
「僕の家だけどね」
我が家のような発言をする彼方に突っ込みつつ靴を脱ぎ、家に上がる。玄関に直結してる洗面所で手を洗い、リビングに入る
彼方が家に居ることで他のみんなが居るのは察しては居たのだが―――
「……へ?」
中の地味に凝られた装飾、豪華な食事を見て仰天した。しかも机に愁、姉さん、由香里、彼方が食事の乗った机の前の椅子に座っている。何故かろうそくの乗った大きいホールのショートケーキが乗っていた。
「……なんのつもりだい?」
そう呟くと、パン!という大きい音がした。音質的に拳銃ではないが…
しかし、音の正体は次の瞬間わかることになった
『お誕生日おめでとう!疾風!』
ぽかーん。
そんな効果音が頭の中で流れた気がした。
「……今日、僕誕生日だっけ」
クラッカーの紐を引いたままの姿勢のみんなに聞いた
「誕生日の一月十二日に失踪してて家に居なかったのはどこの誰だったかしらぁ……」
にこにこ……というかケタケタ笑いながら言う彼方
……こ、怖い……怖いよ彼方……
「まあ座れや、疾風」
ヤクザのように言う愁に促されて座る。
「さ、改めておめでとう、疾風」
姉さんに言われる
「…ありがと」
なにか気恥ずかしい。そんな中飯を爆食いし始める愁にはあっぱれ
「そんじゃ、いただきまーす」
僕も食べだす。……この国は誕生日にチキンでも食う風習があるのか?
無言で食べる時間が続いた。みんなが食事をし終え、ケーキに手を付けようとする。
「疾風……ろうそく……」
「ん?」
近くから彼方の声。
ケーキには16本のろうそく。
「……僕が消すってことか」
ふう、と息を吹きかける。割と強かったみたいで、一回ですべての火が消えた。
『もう一度改めて、疾風、誕生日とおめでとう!…そして、帰ってきてくれてありがとう!』
みんなの笑顔での大きな喝采。なに、盛大に祝ってくれるじゃあないの
「…へっ。僕が死ぬわけ無かろう。……ありがとう」
そしてケーキがわけられ、食べたあと、その後みんな僕の家に泊まっていった。
Happy Birthdayが歌われなかったのは、やはり、姉さんたちクオリティーである。
……嬉しいこともあるもんだな。やっぱ、帰れて良かったよ。神様
みんなが寝静まった頃、僕はリビングに居た
……楽しいときには考えるのをやめていた。深雪のこととDreamerに関して。
まず深雪のことだ。……もう結論は出ていた
僕にはどうしょうもない。医者に任せるしか無いだろう
次にDreamerだ。Dreamerの正体について。一つ、わからないことがある
……前に送られてきた簡単な暗号。なぜ僕たちならわかるような暗号を送りつけたのか。
ほんとに敵対視して、僕達が憎いならば、そもそも自分たちの情報を送りつけるようなことはしないだろう。
敵に塩なんかを超えた、米、いや、作りたてほやほやのおむすびを送りつけている。
それがDreamerのすることか?
僕たちが憎いであろう、Dreamerが。
相手を助けるような男ではないだろう。ああいうやつは。
あいつと初めて手合わせしたとき。僕はやつから憎い、という感情だけでなく、哀愁を感じた。
そして、懐かしいという感情。
……Dreamer、睦月優斗。あいつは。あいつは……
……本当に、僕の―――
……僕の、親友の、睦月優斗なのだろうか。
それとも騙りか?
騙りなら、やはりあんな紙は送ってこないだろう。そして……顔が似すぎている
……ならば、あの睦月優斗は、僕の親友の睦月優斗で、あいつが僕に、真実を気づかせるため……?
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「疾風~~~!!!」
僕は声の主に反応する
「あ、中学の卒業式終わったね。バイバイ」
「ちょい待てコラァ!」
手を振って帰ろうとする僕の腕を掴んでくる。
「…優斗、落ち着いて」
「……僕、なんでこんなやつの親友してるんだろ」
本気で嘆く優斗。
僕と優斗の付き合いは小学生からだ。
小学校で仲良くなり、中学校に進学し、Numberに入ったあともその関係は続いている。
Numberに入ったあとはちょっと元気が無さそうだが。
「もう、優斗さん、はしゃぎすぎですわよ」
後ろから穏やかな声。ちょっと呆れが混じっている
「…瞳ぃぃ……疾風がいじめてくる~……」
鳴き真似しながら瞳に抱きつく優斗
瞳とも小学校からの付き合いだ。優斗と瞳はクッソラブラブだ。彼方と違う中学校だし、しかも僕転校するし……
ちなみにうちは中高一貫校だ。僕は女子校に転校することが決まっている。
「……いいだろ。Numberで会えるんだから。」
「……へっ?」
優斗はキョトンとしたあと、慌てたように
「あ、ああ。そうだね」
と言った
親友との学校での別れ。やっぱ学校離れちゃうから辛い。あっちにはクソ…姉さんが居るからまだマシだが
なんでキョトンとしただろうか。
「じゃ、僕は行くから」
「ちょ、待って、疾風」
優斗が静止する。
「なんだい?」
「……実は僕には双子が居るんだ」
僕は目を見開いた。瞳も優斗を抱きしめながら目を見開く。リア充が……
「初耳だよ…まいいや。バイ」
「待って!ちょちょ!」
そこから去ろうとしたら、優斗がもっと慌てて静止する
「……いや。ごめん。なんでもない」
「そうか。じゃあね。優斗」
僕は卒業証書を持ち、その場から立ち去った
最後の優斗のあの顔。あの、やっちまったというような顔。そして、悲しそうな顔。
僕は忘れることはできないだろう
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「…なるほど。」
記憶を掘り出し、理解する。
簡単な話だった。
Dreamerは双子の方なのだろう。
ただ、気になるのは、僕が高校に入ってから、優斗が瞳に抱きついたりするようなイチャラブは見かけてない。
瞳も優斗を不審に思っている。
……結論は出なかった
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次の日、僕はNumberの事務所に居た。
次なる一手を仕掛けるためだ。
しかし、僕は頭を抱えていた。
手紙が僕あてに届いていた
『フハハハ!家には帰れたか?疾風 睦月優斗』
……こいつ……ますますDreamerがどっちかわからないぞ……
「おはよ~ございま~す」
姉さんが僕が居るフロアに到着した。ちなみに7階。
姉さんが僕のいる会議室に入る。
「……姉さん。早速だが、次の一手を打つ」
「ん?次の一手って?」
僕は一拍開けて話し始める
「……Dreamerの正体が絞れた」
「なんですって?!」
目を見開いて絶叫する姉さん
「落ち着いて。でもまだ二択にしか絞れてない」
そこまで言うと、
「誰と誰なの?!」
と姉さんが叫んだ直後、会議室のドアがキィ、と音を立てて開いた。
「遅くなりました。Number.0様、外まで聞こえましたよ」
いつもの深雪の声がする。姉さんには深雪のことを聞かせてるため、『Numberから追放された』深雪がここにいることに驚いてない。
「ご、ごめん……」
「深雪、僕は先輩で姉さんはNumber.0様なのか…」
「……うるさい先輩様ですね。早く話してください」
僕の演技、というかちょっとした本音を混ぜたネタに頬を少し赤くしながら僕を急かしてくる。怒ってるのかな?
「まあ、本題に入ろう
……Dreamerは、自らを睦月優斗と名乗った」
「ッ!」
「姉さん、落ち着いて。
……だから不思議だったよ。優斗はNumberに居るし、あの状況下では僕を襲えないだろう。あと、優斗と戦い方がちょっと違かった。昔の優斗の戦い方に似てた。……そして、顔もそっくりだった。本人と同じみたいだった。
…僕は、一つ思い出したよ。昔の記憶を。……優斗は、自分に双子が居ると、中学時代に教えてくれていた。どこで生きてるのかは知らない。多分、何らかの事情で離れたんだろう。」
「えっ……なにそれ。優斗はそんなこと一言も言ってないよ?」
心底驚く姉さん。僕は話を続けた。
「……こっから2つの仮説を建てた。
Dreamerは、睦月優斗説。これは根拠がないから弱いし、今の優斗はここに居る。
…もう一つは、Dreamerは双子の方であるというもの。
ぶっちゃけ言って、どれだけ証拠があっても無くても、この2つしか無いと思う。
他人の変装説もあるが、あそこまで顔を似せるのは無理だろう。」
「……」
話し終え、渋い顔の姉さんを見る
「……一つ、聞きたいことがあるわ」
姉さんが長い沈黙の後、口を開いた。
「……疾風は、Dreamerと接触したのかしら?」
「…うん」
「…わかったわ。ありがとう」
それだけ言って、姉さんは会議室から立ち去った。深雪も出ようとしたため、静止する。
「待って……深雪。僕は君にも話したいことがある。」
「…なんですか?」
そして、僕は聞いた
「……君は、多重人格者なのかい?」
深雪はそれを聞き、目を見張ったあとうつむいた。
「……ごめんね。聞く必要は―――」
「先輩の言う通りです」
鉛のように重い空気がいやで会議室を出ようとすると、深雪に静止される
「……隠しててごめんなさい。バレちゃったから…もう話します。昔、小林さんにお世話になったとき、トラウマのせいで、もう一つの自分ができちゃったようで。Dreamerに居た時代もトラウマになっちゃって。前はもう一つの人格……『天ノ川恭子』が出ちゃいました。とても凶暴で、人の言葉を聞かない人格が」
「ちょっと待て」
話を聞いている中で疑問に思ったことがある。『天ノ川恭子』?そして、多重人格者である自覚があるのか?
「……私、『天ノ川恭子』という名前がだいっきらいで、小林さんに名付けてもらったんです。」
「……なるほどね。」
それについてはわかった。どうやら発現条件は『トラウマの再燃』だろう。
なら、前のDreamerの襲撃のとき、暴走しなかったのはなぜか
……覚悟を決めていたからか?考えても本人しかわからない。
そして、第2人格があることを自覚してるのはなぜか……もしかして
「……トラウマへの恨みと恐怖、か」
「……ご明察、名探偵」
僕のつぶやきは深雪に聞こえていたらしい。深雪の情けなさそうな声が聞こえる。
「……ごめんね。」
なんて言えばいいかわからず、とりあえず謝る
「先輩は優しすぎます。もっとNumber.2として、冷酷になることも大事なんですから。そのくらい身につけてください。あと」
鈍感すぎるんですよ。僕はその言葉の意味がわからない。
その優しい声と、少し赤い顔では深雪の心の中はわからなかった
僕はフッと笑い、会議室から去った
窓から差し込むあまりにも青い空から星屑のように降り注ぐ日光が、僕を襲った
インターホンを鳴らす。
ピンポーンという音が道端に響いた
今僕は、小林圭の小鳥遊組のアジトに来ていた。仕事は終わらせてある。
ひとつ優斗に聞きたいことがあったので聞いた。
『お前、僕に送られた暗号って知ってるか?』
僕の問に、Number.52、優斗はこう答えた
『はぁ?そんなもんDreamerは送ってないだろ。』
まるでDreamerの内側を知っているような口ぶり。……顔には、『俺は知らん』と書いてあった
……もしかして、どちらかがどちらかになりすましを…?
いや、無いか。
『はーい、今出まーす』
圭の声が聞こえる。その約1分後に圭は出てきた。
「げ、疾風……」
「おい待てコラ」
客が僕だとわかった瞬間にドアの奥に引っ込もうとする圭の腕を一瞬で鷲掴みにする。
「な~に露骨に嫌そうな声出してんだ。話があるんだよ。」
僕はお邪魔しま~す、といい無理やりアジトに入る。
「……はあ、大事な話なら俺の部屋に来てね」
僕はNumber.2さん、いらっしゃい!という圭の部下の声を聞きながら圭の部屋に入る。圭も一緒に。
「……唐突だが天ノ川深雪と、『天ノ川恭子』について知ってることを話せ」
僕は圭が座った瞬間その問をぶつける。
「……へ?」
圭は心底びっくりしたようだ。そりゃそうか。なんで僕が知ってるのか、っていう話だ。
「……そっちか。楓もまだ話してないのか……いや、深雪の話だとは思わなかった。」
しかし、圭の驚きはベクトルが違ったようだ。前半は聞き取れなかったが、後半は聞き取れた。予想外の回答に意味がわからず首を傾げる。
「いや、こっちの話さ。…後で話すよ。
さて、深雪については彼女自身から聞いてることに間違いはないと思うよ。深雪の父は、うちの部下にこき使われてるし、父を拉致するついでに深雪を拾ったのも。Numberに入るよう勧めたのも。
さて。恭子の方についてだ。僕も恭子を一度見たことがある。あれは怖いね。僕が彼女の過去に触れちゃったときに、恭子が暴れたんだ。本当に驚いた。
でも『恭子』は多分、深雪が大切なのかもしれない。」
「…どういうこと?」
圭の言っていることがわからない。深雪ともう一つの人格が、お互いを認知している……?
二つの人格が『お互いを』、認知している……?
恭子も深雪も互いを大事に……?
「……多分、疾風の考えていることは合っている。彼女たちはお互いを認知してる。……深雪は恭子のことを本当に大事のしている。恭子もだ。
それは何故か。……僕が拾ったのは『恭子』だからだ」
「……え?」
圭の言葉に唖然とする。……前、深雪は『恭子』のときの記憶が無かった。もし圭の言ってることがほんとうならなぜ、深雪は『恭子』のときの記憶である圭に拾われたことを覚えているのか。
「……深雪は、改名したんだ。恭子から、深雪に、ね。僕の名義で改名させた。」
「……はあ???」
もう驚きっぱなし。改名したんか……そんなこと深雪は言ってませんがね。まさか隠したい理由があったのかね?
「……多分だけど、やっぱ多重人格って周りに話したら、『恭子』が馬鹿にされると思ったんだろうね。自分じゃなくてね。ほんと凄い子だよ。……深雪は恭子を以心伝心、表裏一体の存在と考えている。だからこそ、いつ発現したかは僕にはわからないけど……深雪への侮辱=恭子への侮辱と考えてたんじゃない?」
「……なるほど。」
「深雪は、改名したあと、自らのもう一つの人格に前の名前の『恭子』を名付けた。……深雪は、母親に『恭子』と名付けられたから、私の名前を変えてもう一つの人格に『恭子』と名付けると言ったんだよ。恭子は深雪の凶暴な面だけでなく、怒り、憎しみ、そして……悲しみ。
恭子は強い。とっても。君も戦ったんだろう?」
「―――……ああ」
「君と同じくらいの実力だ。……僕はそれ以上は知らない。」
圭はそこまで言って話を終わらせた。
「……ありがとう」
すっきりした僕は礼を言ってそのあと無言でアジトを去ろうとした。が
「…まて疾風。もうひとつ話しがある。」
「話って?」
圭に引き止められた。そして、圭のもう一つの話が始まった
「実は―――」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「……はぁ」
圭の話を聞き終えた僕は、Dreamerへの次の一手を打つべくバイクを走らせていた。
……気分が落ちていた。圭のはなしはあまりにも……
いや。忘れよう。とにかく今は次の一手についてだ。
僕は相手のアジトをもう一つ知っている。小さいアジトだが。そこを潰す。
……多分、Dreamerは慎重な人間だ。前の戦いでわかった。あの状況下で拳銃の引き金を引かなかったのは慎重にほかならない。
だから、小さくてもアジトは潰したほうが良い。相手が追い詰められた場合、めんどくさいから、と攻め込まなかった小さいアジトが重要になる、なんてこともある。
アジトに着くと、ドアの鍵はかかってなかった。……なるほど。僕が来ることがわかってたのか?
Dreamerは頭も冴えているのだろうか。
僕はドアを慎重に開ける。銃撃音が聞こえてこなかった。
そこまでして僕は気づいた。…中に誰も居ない?
人の気配がしない。となると、アジトを残して逃げたか。なぜかは知らないが。
とりあえず、中を探すだけ探して帰ることにした。
そして、めぼしいものもなく最深部にたどり着いた。結局人は居なかった。
最後の部屋のドアを開ける。中には一つの机。
「おっ?」
その机の上には書類が乗っていた。
机に近づき、書類を手に取る。
「………」
僕はその書面を見て絶句した。紙を持つ手は震えている。
そしてその書面には
「……Dreamerの、正体………」
それが、書いてあった。
……書面に書いてある内容が嘘かもしれないが、僕にはもうDreamerの正体に確証がついた。
日記のようなものだった。
僕はそれを読み終わり、こう言った。
「……神様、あんた、可哀想とは思わねえのか……?
お前は、僕の親友を痛めつけたいのか?」
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