あの大空の下で 一部 始まりの「Number.2」

KsTAIN

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八章 ただいま、みんな

三十八話 諏訪防衛戦

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「…遂に。遂にッ!!!」
僕は腕を天に突き出す。後ろから舞さんと深雪がひょこっと顔を出している。
僕の目の前には看板がぽつんと立っていた。そこに書かれていたのは



『諏訪』という文字だった。


遂に。遂に目的地に到着した。僕は人生の絶頂期を迎えていた
「FOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
奇声をあげる僕、神無月疾風。過去に出したことのないような声。そう!まさしく絶頂期!生きているって素晴らっしい!
嬉しすぎて看板の前でダンスを踊る。後輩と大先輩様は苦笑しながら僕のことを見ていた。
僕は遂にここまで来たッ…クリスマスから山をさまよい続けることおよそ3週間…遂に目的地に到着した。
長かった戦いが終わった…
僕は目の前の広々とした光景を見て僕は涙を流す。
「おいおい、泣くこたないだろ…」
呆れつつ言う舞さん。しかし、涙は止まらない。
「…だって」
僕は涙声で言う。
「……海の上でさまよい、死ぬかもしれなかった人間が、浜辺に打ち上がることだけでも幸運なのに…山を超え、市街地に来たんですよ?泣きもしますよ。」
「…ああ。そうだったな。…よく帰ってきた。Number.2」
背中に優しい手が置かれる。…温かい。とても。
優しい時間が過ぎていく。20分はたったであろう。
「…行きましょう。諏訪支部に」
「…うん」
「ああ」
深雪の言葉に応じて僕らは足を動かす。そして───ずっと歩き続け、諏訪支部の近くまでやって来る。すると──
「ッ?!」
銃声が───聞こえた。なぜだ。東京本部ならわかる。でもなんで諏訪で───
「もしかして、深雪を奪われた報復か?」
深雪の方を見る舞さん。深雪は
「……あはは」
と乾いた笑みを浮かべる
「……あんにゃろ共……」
深雪を取り返されたから報復に来たんだな……
僕はポケットを開け、地を蹴るのだった






「…寒いわねえ」
私、霞雨真理奈はそう呟いた。現在、私、優斗、瞳、愁の四人で諏訪支部の周りの警備を努めていた。瞳は後方の役割を担っている。一応紹介しておこう。瞳(西園寺瞳)はNumber…なんだっけ。75だっけ。まあいいや。である。とある富豪のお嬢様らい。幼馴染である優斗についてきてNumberに入ったと言う。戦闘より狙撃などの後方支援が得意だ。
優斗は中距離での銃撃戦が得意。
「皆さん、お昼にしましょう」
瞳が建物からひょっこり顔を出して言ってきた。
「そうだな。飯の時間だ」
愁が応答する。それに続いてみんなが建物に入る

そして昼食をとった。昼食中、瞳が妙なことを呟いていた。
『優斗…最近優斗が私の知っている優斗じゃない……』
それ以降は聞き取れなかった
…一応念頭においておこう。とりあえず警備に集中だ。と、考えると
ズドン、と銃声が響いた。…ここら一体の住民の避難は済ませた。さあ、これを倒して本部に帰ろう。私はそう決意して軽やかに銃声が響いた方向へ足を動かすのだった


「あら、随分と重役出勤じゃない」
私はそう呟いた。今は愁が交戦しているが、こちら側にも相手は100人は居る。そして幹部らしき人物も。
優斗も応戦するが───どこかぎこちない。
敵を誘導してしまっている。私は二丁拳銃を取り出し、加勢する。
なんだろう。数の暴力するのやめてもらっていいですか?
あたりに銃声と悲鳴が響き渡る。
十何人か撃った後引き金を何回も引くが、弾は出ない。───弾切れだ。相手の中にも拳銃を持っている奴はいる。リロードなんかしてられない。ポッケに隠しておいたナイフを取り出す。突撃一択!
しかし数の多さと拳銃によって阻まれる。
目の前に現れるDreamerを自家製ナイフによって切って切って切る。
気づいたら愁は負傷していた。優斗は見る余裕がない。
最後まで抗いましょう。隠し持っていた十数本のナイフを取り出し、投げる。ナイフは相手に深く突き刺さる。それを何回か繰り返した後、ナイフが尽きると、私は拳銃の銃身もフルで使う。銃身とナイフで敵をなぎ倒す。
だが―――もうそれも限界だった
周りを囲まれている。残り十人くらいまで銃身とナイフで倒したが…もう限界だ。私だって人なんだ。
ニヤニヤしながら奴らは包囲網を狭めてくる
「手こずらせやがって……これで手柄は俺らのもんだ!…Number.8も負傷させたし…ふふふ。さっさとお前らを殺して帰ってやる」
…もう。終わりね
パンッ
銃声が響いた。自然と痛みはなかった。
…終わり、ね
私はそっと地面に倒れた。




「…間に合って…はあ…無い…はあ…」
僕は拳銃を突き出しながら肩で息をする。膝に手をついた。キッツ…
囲まれている姉さん。倒れている瞬間が僕の目に写った。
「まあやるしか無いか…」
僕は最後の力を振り絞る。ちょ、疲れたよ……
見たところ残十程度。。相手は姉さんを倒したと喜んで僕に気づいてない。……愁は腕を抱えながら戦ってるな。まああいつはほっとくか。僕は容赦なく発砲する。
ひとり倒れる。びっくりした敵がこちらを見る。動きは止まった。
静寂が流れる。
僕は呼吸を整え、膝から手を話し、立ち上がる。拳銃を構え直す。
「Number…2…」
絞り出すように、一人が震える声でつぶやく。……その声は恐怖に染まっており、姿も蛇に睨まれたカエルのようだった。
……僕を襲ってきたDreamerのように、『僕が生きていること』は知っているようだった。
だが、この場に現れるのは想定外だったのだろう。
……フッ。僕は人類の予想をいつも超えるんだよ。
さて、姉さんも死にかけだしさっさと始めよう
カエルを睨みつける蛇は、カエルに言い放った。
「残念だったな」
と。
僕は拳銃の引き金を引いた。
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