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第3章・風雲竜虎編

   第281夜・『クラッシュ』

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 近くのスーパーで、専用ボトルを購入すると、何度でも無料でアルカリイオン水を詰めて貰える。

 私は、二つの空ボトルを助手席において、車でスーパーに向かう。

 五日市街道下りに合流する睦橋通り・・・。

 その通りの右側にスーパー「オザム」はあった。

     #     #     #     #

 私は、「オザム」の前で右折待ちをしていた。

 対向車がなくなり、対向車線を横切り、駐車場入り口に進んだ。

 その時!

 後ろで、「キュルキュルキュルキュル」と聞いたことない音が聞こえ、

 続いて、「グワシャ!」と車のフレームがひしゃげる音・・・。

     「ああ、やられた・・・!」

 私は、<対ショック/対閃光防御>の態勢に入った。

 ・・・・・、・・・・・。

 しかし、衝撃は来なかった。

 対向車線の途中に止まったままでおそるおそる後ろを見たら、

 シルバーのワゴンに、赤い軽がぶつかっていた。

 赤のフロントからは煙が立ち昇っていた。

 前面がグシャグシャだった。

 私はホッと一安心すると同時に、身体中を「ジュワアッ!」と疲労感に支配された。

 駐車場に車を止めた後、買い物に来ていた奥さんに、「事故の瞬間を見ましたか?」と問うた。

 奥さんは「見た見た! 赤い方が悪い! 凄い勢いで走ってきていた!」と元気良く言った。

 私は、私が原因であることを恐れたのだが、そうではないようだった・・・。

 銀のワゴンのほうのドライバーは、特に負傷はないようで、近所の家に電話を借りていた。

 赤い車のドライバーは出てこなかった。

 銀のドライバーがドアを開けてやったが、足が挟まれているようで出てこなかった。

 しばらくして、足を引きずりながら出てきた。

 私は遠くから、車が爆発しやしないかとドキドキしていたが、すぐに飽きて、水を汲みに店内に入った。

     #     #     #     #

 買い物はする気が起きなくて、アルカリイオン水だけ頂いて店を出ると、消防車が三台と救急車とパトカーが来ていた。

   


 赤のドライバーは、ケンケンする格好で、まだ苦しんでいた。

 私は、何故だか、予告で見ていた映画『クローバー・フィールド』を思い出して、「早く観たいなぁ・・・」と思った。

 触らぬ神にたたりなし・・・。

 私は、近所のスーパー「いなげや」で買い物し、そそくさと帰宅した。

                  ・・・(2008/03/26)
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