上 下
145 / 299
第2章・この世界の片隅で

   第146夜・『社長の視察と、恥知らずな俺:完結篇』

しおりを挟む
   (前回からの続き)

 私は、三つのミスを犯した。

 犯しまくっちゃった。

 見境なしだ。

   ①・最初の挨拶後の指差呼称の失念

   ②・フォーク作業、隣りのパレット、5センチ弾き

   ③・軍手し忘れ、素手作業

 私は、何度も何度も、頭の中で、それらのミスをリピートした。

 先ず、①だが、これはおそらく、視察集団の誰も気にかけていまい。

 ②だが、これはヤバかった。

 ひたすらに「安全第一」を掲げる会社である。

 5センチとは言え、それで、充分に人身事故もあり得るのである。

 だが…、とも思った。

 私は心配性なのだと。

 これも、多分、誰も気付いていないのではないだろうか。

 こういうのって、自分の中では接触や擦過音が過剰に感じられるけど、他人は意外に気づかないものである。

 うん、大丈夫、大丈夫!^^

 そして、③である、支店の上司がコッソリと教えてくれたということは、社長からその指摘はなかったのだろう。

 これも大丈夫^^

 その後も、私は、①が見咎められた時の②と③とか、

 ③が社長に見咎められた時の①と②とか、

 色々、頭の中で反芻した。

 一番ヤバいけど、②が社長に見咎められた場合は、少なくとも、①と③の問題などは吹っ飛ぶだろうと思った。

 が、私の頭の中では、②はバレてないと思いたかったので、①と③もバレないだろう・・・、と、ムチャクチャ能天気な結論を下していた。

 だが、まだまだ色々と心配なので、同僚に、それら経緯を話しまくった。

「いやぁ、社長、見に来ないと思っていたら、来たじゃないですか~^^ まいっちゃいましたよ~、ずーっと僕の作業を見ているんですもの~^^;」

 なんか、こんな風に、周囲の者に話すと、なんとなく、起こったことがなかったことになるような気がしたのだ。

 4,5人に話すと、私は、なんとなく、問題ないことのように思えた。

 午前中に、あまり気の良い対応を出来なかった「少年ジャンプ大好き少女」とも、作業の合間に、非常に盛り上がって話した。

 この娘、外見も普通以上にオシャレにしているし、仕事振りも堅実だが、「少年ジャンプ」の話をし出すと、とたんに凄くなる。

 おいおい、そんなディープな話を、それ程に親しくない俺に話しちゃっていいのかよ・・・、と私は心配になる。

 私の彼女も、たいがい『ワンピース』好きだが、この、「少年ジャンプ大好き娘」は、その比じゃない。

 私だから対応できるが、彼女の外見に惹かれた男は、「あれ?」とドン引きする可能性も高かろう。

 ここに具体的な話をかけないですまん^^;

 でも、近日、その子を主役に、「ドリーム小説」を書いてやろうと思っている。

 ・・・とまあ、私は、この日も、楽しく仕事を終えた。

 残業が連日続き、私は定時であがれることとなった。

 終礼だ。

 私は、定時あがりが嬉しくてホクホクしながら終礼の場へ。

 そこには、ヒッチコック(にそっくりの)リーダーがいた。

 ヒッチコック・リーダーは、私と目が合うとニヤリとした。

「聞いたよ聞いたよ、団地クン!! 社長の前でやらかしたってね~!!!^^」

     エーッ!!!

 ・・・マ、マジカルエミィ・・・^^;;;;

           ・・・(2011/08/05)
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

水族園・植物園・昆虫園・動物園・博物園・文学館・歴史館・産業科学館・天文科学館・美術館・音楽館・食文化館・図書館 etc.

淀川 乱歩
エッセイ・ノンフィクション
https://www.irasutoya.com いらすとやは季節のイベント・動物・子供などのかわいいイラストが沢山見つかるフリー素材サイトです。 ガラスの地球を救え―二十一世紀の君たちへ (知恵の森文庫) 文庫 – 1996/9/1 手塚 治虫 (著) 文庫 ¥638 Amazon

チャネリングごっこの答え

一郎丸ゆう子
エッセイ・ノンフィクション
霊感とかはまったくないのですが、YouTubeで宇宙語でチャネリングしてる人がいて、やってみたくなったので真似してたら、なんとなく答えが降りてきて、誰かに言いたくなったのでここで発表させてください。 これが神様の声なのか、ハイヤーセルフのメッセージなのか、私の潜在意識なのか、ただの妄想なのかわかりませんが、なんか気になる!って思うところがあったら、今のあなたに必要なメッセージなのかもしれません。 飽くまで私の感覚ですので、絶対鵜呑みにはしないでくださいね。 あなたが幸せになれるように受け取ってください。 馬鹿なおばさんが変な事いってるう😆 と思って気楽に読んでいただければ幸いです。

【連載中】何かの日記②

九時せんり
エッセイ・ノンフィクション
九時せんりが日常で気になったことや面白かったこと、面白くなかった事をダラダラ書くだけの脱力系エッセイ。書くことから離れないをモットーにやってます。

北の大地で熱く生きていた男達。全国初暴走族殺人事件。

ボウズ
エッセイ・ノンフィクション
最近熱く生きていた事を思い出す。 ガキのように朝と寝る前に心を沈ませ5年間願ってきたが1つも叶わない。 よくセラピストが言っている(夢投げ)だ。 今日朝起きたら感じたのか頭がおかしくなったのかカーテンを開け 外を見ていきなりこの世界は=と=からの分岐なのかとこの歳で氣ずいた。 簡単に言えば生=死。 馬鹿だから色々考えて自分の存在が分からなくなって書いている。 リアルにこれまで生きてきた自分は20歳〜5回、合計15年間は刑務所の中で生きてきた。 殺人(傷害致死)、恐喝、窃盗、暴行、詐欺。 お決まりの犯罪者コース。 いつからか忘れたが精神安定剤と眠剤を病院で出してくれるマックスの量を飲んでいる。 小学校4年まではイジメられっ子だった。 なぜか小学校5年の時に泣きながらイジメっ子達に花壇のレンガで闘い氣が付いた時には イジメっ子達は全員頭から血を流し俺を見て泣いていた。 次の日からイジメの人生がなく周りには取り巻きがいて泣き虫の俺はいなくなり恐怖の存在。 貧乏だったけど金持ちの子から金を持ってくる様に言ったら持って来た。 貧乏とイジメからの卒業。 中学生生活は1年に1度学校が変わった。 転機は中学3年の時。 都会の学校に転校(田舎の学校じゃ見放され) 当時この中学は悪くて有名、俺の受け入れ先に最適だったが俺より強い奴はいなかった。 中学2年のときに3年の先輩に童貞を捧げてからやりまくってたから3年の転校先でも 勿論やりまくり彼女がいても女子達は俺に股を開きっぱなし。 当時はヤンキー全盛期だが背が高く顔も良く強かった俺はモテた笑 都会の中学は学校同士で潰し合いが当たり前。 転校して近くの中学2つ速攻で潰して配下に収める、ただ都会はデカい。 3年のガチなヤンキーは俺を入れて5人あとはザコが10人。 女子ヤンキーはガチで15人いたから他校との交流も女子の方があった。 3年の夏、散々電話でやり取りしてた奴らと喧嘩する。 相手は5校の連合隊、対して俺らはザコ入れて15人… 敵う訳ないが向こうの指定する家に向かったが、そこには5人しか居なくて 相手のお父様が当時しズボンからベルトを外し1人の頭にヒット。 頭からは真っ直ぐ血が空に、そこに移動交番が来て凶器準備傷害で逮捕された。 あれ、5校の連合隊の奴らは? 別な場所に居て移動交番で凶器準備傷害で逮捕されてた笑笑 中学生活の派手な喧嘩はこれ以上なく終わる。 だが卒業後、この都会で一番の暴走族が誕生することに。 この時の喧嘩相手で氣が合う2人と後輩、総勢15人で。 舞台は札幌、1987年。

10秒で読めるちょっと怖い話。

絢郷水沙
ホラー
 ほんのりと不条理なギャグが香るホラーテイスト・ショートショートです。意味怖的要素も含んでおりますので、意味怖好きならぜひ読んでみてください。(毎日昼頃1話更新中!)

【完結】忘れてください

仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。 貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。 夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。 貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。 もういいの。 私は貴方を解放する覚悟を決めた。 貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。 私の事は忘れてください。 ※6月26日初回完結  7月12日2回目完結しました。 お読みいただきありがとうございます。

製作雑記

詩方夢那
エッセイ・ノンフィクション
 作っている最中に考えるあれこれ、近況ボードに載せていましたが、エッセイにまとめてみる事にしました。作業中の備忘録といいますか。  更新しましたー、的な書き込みは後から編入されるかもしれません。

怪談実話 その4

紫苑
ホラー
今回は割とほのぼの系の怪談です(笑)

処理中です...