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【第一部】三章

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 「あー! いた! やっと見つけたわ、ロロ」
 「やったね、マーリー!」

 突如二人の子供が現れた。顔が良く似ている。双子のようだ。

 「ニコラ姉ちゃん! あの子! あの子の包みと入れ替わっちゃったんだ!

 ティムが叫んだ。

 「もしかして…、ライアーさんが言っていた双子ってこの子達?」
 「多分、そうだろう」

 ニコラの問いにチャリオが答えた。

 「もう! このあたしに小麦粉を運ばせるなんて最悪! 信じられない!」

 マーリーと呼ばれた双子の女の子は憤慨して言った。

 「ニコラちゃーん、チャリオー! もう何処に行ったのかと思った!」

 広場の方からライアーが現れた。

 「あんまり遅いから月星亭に行ったらいなくて、広場に行ったって言うからさ~…って、君たちはこの前の!?」
 「「げっ」」
 「『げっ』とは何だ! やっぱり思った通り! 全てはお前たちの仕業だったんだな!」

 思ったのはアベルだったがそれは言わない。

 「なーんだ。もうお見通しってわけ? バレちゃしょうがないわ」

 見通したのもアベルだったが、それも言わない。

 「ロロ!」

 マーリーという双子の女の子に呼ばれて、双子の男の子がマントが入った包みに手を伸ばした。
 が、あと一歩のところでチャリオが先に包みを手にした。チャリオは走り出した。

 「チャリオ!」

 ニコラが叫ぶ。

 「こらー! 待ちなさーい!」
 「待てー!」

 チャリオの後をロロとマーリーが追った。

 「ライアーさん、ティムをお願い!」

 ライアーにティムを託してニコラもチャリオの後を追った。 

 「え? え!? ちょっ、ちょっとニコラちゃん!?」

 ライアーはニコラたちが行った先と呆然と立ち尽くしているティムを交互に見比べる。

 ああ…これでまたアベルに怒られる……

 ライアーはその様子を想像して肩を落とした。でも、

 「チャリオがいるなら大丈夫かな……」

 と、ひとりごちた。

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