6 / 46
ユラ③
しおりを挟むルーシーはちっさいから、俺の手とか身体に、ぜんぶ収まる。はじめからルーシーの居場所だったみたいに。
どこもかしこもちいさくて、狭い。
初めてのときは大変だった。
案の定俺のは半分も挿入らず、時間をかけてはいたけどルーシーはずっと泣いていて。
それに俺は興奮するしで、まぁ、色々と。
……よくはいったな、と今も不思議ではある。
「…ぁ、ぁ、…っ」
こんなちいさな身体で、俺をのみこんでる。そう思うとたまらなくなる。
それを何度も感じたくて、ずろろろ、と変な音が出そうになるほど出し入れをくり返す。
焼き付けるように殊更ゆっくり、肉の締め付けを感じてれば、耐えきれなくなったルーシーがかわいく泣き出す。
動いて、と。
先端から、ぐっと膨らんでゆく。
どこもかしこも、甘い。
「、!ぁ、ぁ、ゆら、さ…っ」
本能が、首をもたげる。
孕ませたい。
この女を。
奥の奥まで注いで、連れ去って、巣穴にこもる。
そうして孕ませる。
何度も何度も、その胎のなかが真っ白に染まっても、まだ。
あー喉が、渇く。
「…」
発情期じゃないのは運がいい。
もしそうだったら、こんなものでは済まない。
突き出た犬歯を舌でなぞりながら、見下ろす。
投げ出された腕を拾い、足を拾う。
腕は頭上へ、足は大きく開いたまま、見えるように。
グロテスクな凶器が、自分の肉をかき分けるのを見せつけてその感覚をすり込む。
気持ちがいいことなんだと、教え込む。
「見ろよ、ルーシー」
ばちゅ、ばちゅ、と響く合間に聞こえる俺の声は愉しげで、ルーシーのか細い嬌声にますます誇張してゆく。
コレ、が。
俺以外のモノである必要なんてない。
「愛してる、ルーシー」
でも俺はケモノじゃない、ルーシー。
傷つけないでキスする方法だって、俺は知ってる。
ユラの父親は狼獣人だった。
真っ当に生きていた男だったが、ある日運命の番に出会った。
ヒト族の女性。
ユラの父は独り身であったが、その女性には夫がいた。
だがそんなことは関係ないとばかりに女性を攫い、その胎内に証を残した。
父だった男は捕縛され国外追放。番感知不可魔法を刻まれ、その後は行方知らず。
母だった女性は教会に保護されユラを産み落としたあと、亡くなった。
女性の夫は復縁を望んでいたが、最後までうなずくことはなかったそうだ。
すべて教会や孤児院のシスターに聞いた話。
ユラ、という名も母だった女性が名付けてくれたということも。
ユラは恐ろしかった。
本能というモノは、そこまでヒトをおかしくさせるのか、と。
ユラは、自分をヒトだと思っている。獣じゃない。
だが感情が昂るとあらわれる耳、尻尾、鋭い爪、牙。唸り声。
獣じゃないのにあらわれるそれが、恐ろしかった。
父だったヒトの苦しみ。
母だったヒトの苦しみ。
母の夫だったヒトの、苦しみ。
傷つけたくない。
ひとりで生きていくつもりだけどもし、出会ってしまったら。
運命の番。恋人。好きなひと。
どうかお願いしますと。
子どもだった狼獣人の少年は、ずっと祈っていた。
48
お気に入りに追加
1,760
あなたにおすすめの小説
オネエなエリート研究者がしつこすぎて困ってます!
まるい丸
恋愛
獣人と人の割合が6対4という世界で暮らしているマリは25歳になり早く結婚せねばと焦っていた。しかし婚活は20連敗中。そんな連敗続きの彼女に1年前から猛アプローチしてくる国立研究所に勤めるエリート研究者がいた。けれどその人は癖アリで……
「マリちゃんあたしがお嫁さんにしてあ・げ・る♡」
「早く結婚したいけどあなたとは嫌です!!」
「照れてないで素直になりなさい♡」
果たして彼女の婚活は成功するのか
※全5話完結
※ムーンライトノベルズでも同タイトルで掲載しています、興味がありましたらそちらもご覧いただけると嬉しいです!
番から逃げる事にしました
みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。
前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。
彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。
❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。
❋独自設定有りです。
❋他視点の話もあります。
❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。
くたばれ番
あいうえお
恋愛
17歳の少女「あかり」は突然異世界に召喚された上に、竜帝陛下の番認定されてしまう。
「元の世界に返して……!」あかりの悲痛な叫びは周りには届かない。
これはあかりが元の世界に帰ろうと精一杯頑張るお話。
────────────────────────
主人公は精神的に少し幼いところがございますが成長を楽しんでいただきたいです
不定期更新
番認定された王女は愛さない
青葉めいこ
恋愛
世界最強の帝国の統治者、竜帝は、よりによって爬虫類が生理的に駄目な弱小国の王女リーヴァを番認定し求婚してきた。
人間であるリーヴァには番という概念がなく相愛の婚約者シグルズもいる。何より、本性が爬虫類もどきの竜帝を絶対に愛せない。
けれど、リーヴァの本心を無視して竜帝との結婚を決められてしまう。
竜帝と結婚するくらいなら死を選ぼうとするリーヴァにシグルスはある提案をしてきた。
番を否定する意図はありません。
小説家になろうにも投稿しています。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
獣人公爵のエスコート
ざっく
恋愛
デビューの日、城に着いたが、会場に入れてもらえず、別室に通されたフィディア。エスコート役が来ると言うが、心当たりがない。
将軍閣下は、番を見つけて興奮していた。すぐに他の男からの視線が無い場所へ、移動してもらうべく、副官に命令した。
軽いすれ違いです。
書籍化していただくことになりました!それに伴い、11月10日に削除いたします。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。
そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。
相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。
トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。
あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。
ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。
そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが…
追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。
今更ですが、閲覧の際はご注意ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる