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嵐の夜に
しおりを挟む「な、ど、」と片言しか言えないてないのになんでわかったのか、「アリア嬢が心配だからって許可くれたからだよ」と、言った。
ランプの明かりが、うつくしいエルファリ様を照らす。
肘をついて起きあがりかけていた身体は硬直したまま。
エルファリ様は、人差し指を微笑むくちびるにあてたまま、
とすん、と、わたしをベッドに沈めた。
「、うそ…っ」
「うん嘘。ほんとはジーンベルト」
「…っ、!」
おにいさま…やっぱり敵だった…。
わかっていたけど、傷つく。
ぐ、とくちびるを噛みしめてこらえる。
ひどい…。まさか崖崩れも嘘なの?まさか、でも、
「違うしあとでちゃんと説明してあげるけど、……そんなことより。
……かわいいね、この夜着。ひとりで寂しくなかった?俺は寂しかったよ。……クリスが逃げたから、ーームカついたし。」
だからなんで、わかるの?
こわいよ。
「エル、さま、」
鍵盤をすべるように指が首から撫でて、釦にかかる。
怖くなってわたしは、遠い昔の、名前で呼んでた。
エルファリ様はうれしそうに「なぁに、クリス」と、あまったるく言うけれど。
じっとりと絡みつくような視線は、簡単に瞼を水分で満たしてゆく。
ただでさえ、今日は、泣くのをがまんしていたから、
「こわい…」
「怖くないよ」
「やだ、…」
「…大丈夫。言い訳もぜんぶ、聞いてあげる」
一度泣き出せば、とまらない。
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